ついてくる男の子

ハツカ

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高2・春・女の子・後編

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「僕…君のことがずっと好きだった…」
放課後。
彼に声をかけられ連れてこられた、小さくて手入れもされていない公園。
遊具は錆が浮き、ペンキも剥がれ、地面には雑草が生い茂っている。
それでも、たった今、私にとって世界で1番特別な場所になった。
「僕はずっと君だけを見てた…小学生の頃からずっと…。
これからもずっと死ぬまで、君のことを1番傍で見続けていきたい。
君が行く所なら、どこにでもついていくから…」
風が吹き、伸び放題になっている豊かな草木の香りが、私達の周りを通り過ぎる。
相変わらず量が多い彼の髪が、軽やかに揺れる。
「君のことが好きな気持ちだけは、他の誰にも負けない…。
だから、僕の彼女になって…ください」
彼の白い肌が真っ赤になっている。
私だって、負けないくらい赤くなっているだろう。
照れているのと…嬉しくて。
怖い時、悲しい時、私の傍についていてくれたのは彼だった。
私はコクリと深くうなづいた。
「うん…私で良ければ」
「…本当に…?」
「うん」
彼は、嬉しそうな、それでいて泣きそうな顔になった。
10年以上の付き合いがあるけど、彼のこんな表情を見るのは初めてかも。
「…僕、もしダメだったらもう死んじゃおうって思ってた…」
「バカね、何言ってんの」
大袈裟なセリフに、私は苦笑する。
昔はこんなオーバーなこと言うキャラじゃなかったはずなのに。

幼馴染から恋人になって、これから私と彼はお互いどんな姿や表情を見せあうのだろう。
もしかしたら、今まで知らなかった相手の意外な一面を知ることもあるかもしれない。
それでも、その新しい一面の発見は、私に驚きと喜びをもたらしてくれるだろう。
だって、どんな一面があったとしても、目の前で満面の笑顔で喜んでいる彼に、恐ろしい一面があるとは思えない。
この優しい彼に恐ろしい一面なんてあるはずない。
私達のこれからに思いを馳せながら、私は数年ぶりに彼と手をつなぎ、公園を後にした。

終わり
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