チャラ孫子―もし孫武さんがちょっとだけチャラ男だったら―

神光寺かをり

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作戦篇 第二

作戦篇2・マジで戦争にはメチャクチャお金が掛かるっす。

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 戦争センソーやって国がビンボーになるってのの一番の理由は、機材とか材料とか食い物とかをわざわざ地元から持ち出して、遠くまで運んじゃったりしないといけないから、なんですよ。それやっちゃうと一日千ゴールドが、戦争が終るまで毎日丸々掛かるんですからね。
 んでそういう資材とか食べ物とかは、地元の人達が努力して作って蓄えてた物なワケじゃないですか。それがただ持ってかれちゃうは、しかも遠くまで運ぶ手間も負担させられるわで、残った自国民ジモティーはどんどんビンボーになってっちゃうのも当然でしょ?

 それから、兵隊メンバーさんたちを送り出して仕送り送ってる地元もですけど、基地ベースとか駐屯地キャンプの近くの都市や村って、割とインフレになるンすよ。
 駐屯してる部隊の人達がドンドン資材を持ってっちゃうから、物資が品薄になっちゃうでしょ? 品薄なものはお値段が上がっちゃう。買いたい人に対してモノが不足すれば物価が上がるってのが経済の仕組みなんですよ。
 ぶっちゃけ、モノが無い上に今まで払ってたお金では買えなくなるってことですよね。
 お金に余裕がある人達はまだ良いですよ。余裕の無い一般人パンピーはドンドン生活の困窮ボンビーが加速して、最終的に大貧民キングボンビーになっちゃうのねー、これが。
 そーなると大変ですよ。
 税金が払えない、年貢が納められない、そして兵隊メンバーさんを出せなくなる。
 だってほら、兵役ってのは、自分や家族の労働力カラダで払う税金、つまり血税ですもん。財産がないと税は払えないでしょ? 無い袖は振れませんから。

 お金が無い、ご飯が無い、遠征兵隊メンバーは足らない。
 それでも戦争を続けたら、地元はボンビーでヘロヘロという状態にオチイりますね。
 そうすると一般人パンピーの暮らしは、戦争センソーする前と比べて、七割引70%offの生活レベルまで落っこちゃうかもしんない。

 いやぁ、一般人パンピーだけじゃなくて、王様だってゴトなんかじゃないんですよ。
 戦争が長引くと、出費が増えるんですからね。
 
戦車クルマが壊れて、馬が逃げたんで、追加発注しまーす」
甲冑イショウとか矢弩コドウグ戟楯キザイとか蔽櫓オオドウグが、なんか足りないっぽいんですけどー」
「輸送用の牛車トラックが欲しいでーす」

 なんて追加注文が現場からドンドン来るようになりますよ。
 そーすると、国家予算の……そーですね、ざっくり六割方60%ぐらいはそっちに回さないといけなくなりますよ。いや多分、マジで、ガチで。

 そーゆー地元の負担を増やしちゃいけないってことまで頭の回る賢い将軍リーダーさんは、せめて食い物ぐらいは現地調達しようって、って努力しちゃえるんですよ。
 遠征先で「百四十本の魔剤エナジードリンク」を現地調達したとしましょうよ。地元から運んでくる手間が省ける上に、その分の敵の食料を減らしたことにもなる訳でしょ?
 だから、ざっくり言うと、地元から「二千八百本の魔剤エナドリ」を運んでくるのと同じくらいの価値になる感じかなーって。
 同じ意味で、「馬や牛のチモシーが三十袋」ぐらい現地調達できたら、それは地元から「チモシー六百袋」を運ん来たのと同じぐらいの価値だってことですヨ。
 スゴクないですか?

 あ、それから。
 敵をっつけるだけなら「怒り」って「感情」だけでもできちゃうんすけど、敵の物資をってきちゃうには「それで自分たちが得をするンだ」って「知識」とか「経験」が必要なんですよねー。

 だから、
「戦車戦をやって、敵の車を十台も鹵獲ロカクしました!」
 なんてすンごい成果があったら、ケチケチしないで一等最初に戦車をぶんどってきた兵隊メンバーさんに、ごっそりたんまりご褒美ボーナスを差し上げちゃいましょうヨ。

 そうすると褒められた人は、
「また頑張ろう」
 ってなるし、今回褒められなかった人も、
「次は頑張ってご褒美を貰うんだ」
 ってなる。やる気モチベが爆上がりですよ、コレ。

 その辺の経費はケチっちゃ駄目ですよ。
 ちょっとご褒美の費用を余分に出すだけで、みんな目標が一つに絞って突き進むようになるンから、コレ、かえってお得じゃないですか。

 それで、敵さんチームからってきた戦車は、敵チームのフラッグなんか速攻でむしっちゃって、自分とこのフラッグに取り替えっちゃいましょうね。んで、元から自分のチームのだった戦車と混ぜシャッフルして大切に使っちゃいます。
 コレで遠い地元に戦車の追加発注をしなくても済むでしょ? しかもソクで戦力が増えちゃったりしてる。ね、マジでお得でしょ?

 それからもし
「敵チームを辞めちゃいます」
 っていう人達がこっちに来てくれたときは、どんどん熱烈歓迎ウエルカムしちゃってください。
 そんで、そういう人達には優しく接して、ちゃんと美味しいご飯を食べさせてあげちゃうンです。
 そしたらその人達はすんげー喜んで、こっちの見方ミカタに付いてくれちゃったりするもの。
 そういう人達がたくさん来たら、自分の地元から追加兵隊メンバーを呼ぶ手間と時間が省けて人数は増やせるし、現地採用ご新規兵隊メンバーさんは敵サンの内情が判ってると来たモンだ。
 これもスゴクお得だと思いますよー。

 敵のモノを自分のにしちゃう。お前のものは俺のモノ。
 コレが、敵に勝った上に、ますます自分たちが強くなってくマジック。ゴイスーでしょ?

 とにかく、何度も言ってますけどー。
 戦争センソーは勝つことが一番タイセツ。だらだら長引かせちゃダメ。

 で、ですね。
 現場のリーダーは、現場センジョウのことだけじゃなくて、地元で頑張ってる人たちの生活も、国の未来も、トーゼン、王様の命も、全部背負ってる訳ですよ。
 そういうことは、戦争センソーの本質が判ってるリーダーなら、チャンと知ってるもンなんすよ。
 っていうか、判ってる人を将軍リーダーにしないといけませんよ、って話です。
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