9 / 28
9
しおりを挟む
「えっ……? 買えない、のですか?」
王都の一等地にある高級ブティック『ローズ・マリー』。
最新の流行を取り入れたドレスが並ぶ店内で、ミント男爵令嬢の甲高い声が響いた。
彼女の手には、繊細なレースがあしらわれたピンク色のドレスが握られている。
お値段、金貨五十枚。
平民なら一生遊んで暮らせる金額だ。
「申し訳ございません、ミント様」
店長が慇懃無礼な態度で頭を下げる。
「お客様のツケ払いは、現在利用停止となっております」
「利用停止!? どういうことですの! 私は次期王妃になる女ですわよ!?」
ミントは瞳を潤ませ、可愛らしく(計算済み)抗議した。
「お店のシステムのエラーじゃありませんの~? アレク様にお願いすれば、こんなお店、すぐに潰せますわよ?」
脅し文句も、語尾を伸ばせば可愛く聞こえると思っている節がある。
しかし、店長は動じない。
「システムのエラーではございません。これまでミント様のお買い物代金は、全てショコラ公爵家……つまり、スイート様の口座から引き落とされておりました」
「は……?」
ミントの動きが止まった。
「ですが、先日公爵家より『今後、一切の支払いを停止する』との正式な通達がございまして。……それに伴い、ミント様の未払い分も含めて、現在は全額現金での即時決済をお願いしております」
「そ、そんな……」
ミントは青ざめた。
スイートの金で買い物をしていた自覚はあった。
だが、まさかこれほど即座に、容赦なく切られるとは思っていなかったのだ。
「アレク様ぁ~!」
ミントは、試着室の前で待っていたアレクサンドル王子に泣きついた。
「ひどいですぅ! お店の人が意地悪するんですぅ! このドレス、買えないって……」
「なんだと? 不敬な!」
王子が立ち上がる。
「僕の愛するミントを悲しませるとは! 金ならある! 王家のツケで回しておけ!」
「……殿下」
背後に控えていた王宮の財務官が、冷ややかな声で割り込んだ。
「王家の予算からは出せません」
「なっ、なぜだ! 僕は王太子だぞ!」
「王太子費は、すでに今月分の上限を超えております。……そのほとんどが、ミント様の宝石やドレス代、そして高級レストランでの食事代に消えましたが」
財務官が分厚い帳簿をパラパラとめくる。
「それに、これまではスイート様が『未来の投資』として、ご自身の私財から王子の交際費を補填してくださっておりました。その支援がなくなった今、殿下が使えるお金は……そうですね、このハンカチ一枚買えるかどうかです」
「は、ハンカチ一枚……?」
王子の顔が引きつる。
「嘘だろう? 僕が……この国の王子である僕が、貧乏だと言うのか!?」
「貧乏ではありません。身の丈に合わない浪費を繰り返していただけでございます」
財務官は冷酷に告げた。
「これ以上の支出をご希望であれば、国王陛下の決裁が必要になりますが……申請なさいますか? 『愛人のドレス代』として」
「うぐっ……!」
今の父王にそんな申請を出せば、即座に廃嫡だ。
王子は唇を噛み締め、ミントに向き直った。
「ミ、ミント……すまない。今日のところは我慢してくれないか? 来月になれば、また予算が入るから……」
「……え?」
ミントの瞳から、スッと「可愛らしさ」が消えた。
ほんの一瞬、ゴミを見るような目が王子に向けられる。
「(は? 金がない? 使えない男ね……)」
心の声が漏れそうになるのを、彼女は必死の演技力で押し殺した。
「そ、そうですかぁ……。残念ですぅ……。でも、アレク様がそう仰るなら……」
「ああ、わかってくれて嬉しいよ! やはり君は優しいな!」
王子は安堵の表情を浮かべるが、ミントの内面は嵐だった。
* * *
その日の帰り道。
王宮への馬車の中で、ミントは窓の外を眺めながら、ギリギリと爪を噛んでいた。
(計算が狂ったわ)
彼女は、ただの天真爛漫な少女ではない。
地方の貧乏男爵家に生まれ、這い上がるために「可愛さ」という武器を磨き上げてきた、野心家である。
王子に近づいたのも、愛などではなく、将来の王妃の座と、贅沢な暮らしが目的だった。
邪魔なスイートを追い出し、ようやくその座を手に入れたと思ったのに。
(まさか、あの堅物女が「金ヅル」だったなんて……)
スイートは地味で、可愛げがなく、いつも仏頂面だった。
だから侮っていた。
しかし、彼女の実家であるショコラ公爵家は、国内有数の資産家だ。
そしてスイート自身も、王妃教育で培った経営手腕で、資産を増やしていたらしい。
(アレクサンドル王子は、ただの飾り。実質的な権力と財力を持っていたのはスイート……。それを追い出した私は、ただの『金食い虫』として、これから王家のお荷物になる……?)
まずい。
非常にまずい。
このままでは、贅沢どころか、国王の怒りを買って処刑される未来すらあり得る。
「……ねえ、アレク様」
ミントは猫なで声を出した。
「なぁに? ミント」
「スイート様のことなんですけどぉ……。やっぱり、戻ってきていただいた方がいいんじゃないですかぁ?」
「えっ? でも君は、あいつのことが嫌いじゃ……」
「嫌いですわ! でもぉ、アレク様がお仕事で困っているのを見てると、私が辛いんですぅ」
ミントは嘘泣きをしてみせた。
「それに、スイート様だって、強がっているだけかもしれません。本当はアレク様の元に戻りたくて、枕を濡らしているかも……」
「そ、そうだな! そうに違いない!」
単純な王子は、すぐにその気になった。
「やはり、僕が迎えに行ってやるべきなのだ! 王命を持ってな!」
「ええ、ええ! ぜひそうしてくださいまし! ……そして、たっぷりと慰謝料……じゃなくて、結納金を持ってこさせましょう!」
ミントの目が、邪悪に光った。
(戻ってきたら、あの女を徹底的にこき使ってやるわ。私は王子の寵愛を受けながら贅沢三昧。スイートは裏方で馬車馬のように働き、金を稼ぐ。……うん、それがいいわ!)
「よし、善は急げだ! すぐに準備をさせよう!」
王子は窓を開け、御者に叫んだ。
「進路変更! 騎士団を招集しろ! 再びあの森へ向かうぞ!」
馬車が大きく揺れ、王都の石畳を駆け抜ける。
愚かな二人。
彼らはまだ知らない。
今度の相手は、ただの「お菓子作りが好きな令嬢」だけではないことを。
その背後には、「国最強の騎士団長」という、とんでもない番犬がついていることを。
そして何より、スイート本人が「婚約破棄されて清々している」という事実を。
「(ふふふ、待っててねスイート様。私の新しい財布にしてあげるわ!)」
ミントの歪んだ野望を乗せて、馬車は北へと向かった。
* * *
一方その頃、カフェ『シュガー・ドリーム』。
「ハックション!」
「おや、風邪か?」
店内でくつろいでいたガナッシュ様が、心配そうに顔を上げた。
「いえ、誰かが私の噂をしているようです」
私は鼻をこすり、焼き上がったばかりの新作クッキーを缶に詰めていた。
「悪い噂でなければいいが」
「ふふ、どうでしょうね。……もしかしたら、『もっと美味しいお菓子を作れ』という、神様からの催促かもしれません」
私は楽天的に笑い、ガナッシュ様に試作品を差し出した。
「ところでガナッシュ様、スパイスの効いたジンジャークッキーはお好きですか?」
「……貴殿の作るものなら、泥団子でも食う覚悟はある」
「泥団子は作りませんよ」
平和な午後。
しかし、その平穏を破る足音は、着実に近づいていた。
王都の一等地にある高級ブティック『ローズ・マリー』。
最新の流行を取り入れたドレスが並ぶ店内で、ミント男爵令嬢の甲高い声が響いた。
彼女の手には、繊細なレースがあしらわれたピンク色のドレスが握られている。
お値段、金貨五十枚。
平民なら一生遊んで暮らせる金額だ。
「申し訳ございません、ミント様」
店長が慇懃無礼な態度で頭を下げる。
「お客様のツケ払いは、現在利用停止となっております」
「利用停止!? どういうことですの! 私は次期王妃になる女ですわよ!?」
ミントは瞳を潤ませ、可愛らしく(計算済み)抗議した。
「お店のシステムのエラーじゃありませんの~? アレク様にお願いすれば、こんなお店、すぐに潰せますわよ?」
脅し文句も、語尾を伸ばせば可愛く聞こえると思っている節がある。
しかし、店長は動じない。
「システムのエラーではございません。これまでミント様のお買い物代金は、全てショコラ公爵家……つまり、スイート様の口座から引き落とされておりました」
「は……?」
ミントの動きが止まった。
「ですが、先日公爵家より『今後、一切の支払いを停止する』との正式な通達がございまして。……それに伴い、ミント様の未払い分も含めて、現在は全額現金での即時決済をお願いしております」
「そ、そんな……」
ミントは青ざめた。
スイートの金で買い物をしていた自覚はあった。
だが、まさかこれほど即座に、容赦なく切られるとは思っていなかったのだ。
「アレク様ぁ~!」
ミントは、試着室の前で待っていたアレクサンドル王子に泣きついた。
「ひどいですぅ! お店の人が意地悪するんですぅ! このドレス、買えないって……」
「なんだと? 不敬な!」
王子が立ち上がる。
「僕の愛するミントを悲しませるとは! 金ならある! 王家のツケで回しておけ!」
「……殿下」
背後に控えていた王宮の財務官が、冷ややかな声で割り込んだ。
「王家の予算からは出せません」
「なっ、なぜだ! 僕は王太子だぞ!」
「王太子費は、すでに今月分の上限を超えております。……そのほとんどが、ミント様の宝石やドレス代、そして高級レストランでの食事代に消えましたが」
財務官が分厚い帳簿をパラパラとめくる。
「それに、これまではスイート様が『未来の投資』として、ご自身の私財から王子の交際費を補填してくださっておりました。その支援がなくなった今、殿下が使えるお金は……そうですね、このハンカチ一枚買えるかどうかです」
「は、ハンカチ一枚……?」
王子の顔が引きつる。
「嘘だろう? 僕が……この国の王子である僕が、貧乏だと言うのか!?」
「貧乏ではありません。身の丈に合わない浪費を繰り返していただけでございます」
財務官は冷酷に告げた。
「これ以上の支出をご希望であれば、国王陛下の決裁が必要になりますが……申請なさいますか? 『愛人のドレス代』として」
「うぐっ……!」
今の父王にそんな申請を出せば、即座に廃嫡だ。
王子は唇を噛み締め、ミントに向き直った。
「ミ、ミント……すまない。今日のところは我慢してくれないか? 来月になれば、また予算が入るから……」
「……え?」
ミントの瞳から、スッと「可愛らしさ」が消えた。
ほんの一瞬、ゴミを見るような目が王子に向けられる。
「(は? 金がない? 使えない男ね……)」
心の声が漏れそうになるのを、彼女は必死の演技力で押し殺した。
「そ、そうですかぁ……。残念ですぅ……。でも、アレク様がそう仰るなら……」
「ああ、わかってくれて嬉しいよ! やはり君は優しいな!」
王子は安堵の表情を浮かべるが、ミントの内面は嵐だった。
* * *
その日の帰り道。
王宮への馬車の中で、ミントは窓の外を眺めながら、ギリギリと爪を噛んでいた。
(計算が狂ったわ)
彼女は、ただの天真爛漫な少女ではない。
地方の貧乏男爵家に生まれ、這い上がるために「可愛さ」という武器を磨き上げてきた、野心家である。
王子に近づいたのも、愛などではなく、将来の王妃の座と、贅沢な暮らしが目的だった。
邪魔なスイートを追い出し、ようやくその座を手に入れたと思ったのに。
(まさか、あの堅物女が「金ヅル」だったなんて……)
スイートは地味で、可愛げがなく、いつも仏頂面だった。
だから侮っていた。
しかし、彼女の実家であるショコラ公爵家は、国内有数の資産家だ。
そしてスイート自身も、王妃教育で培った経営手腕で、資産を増やしていたらしい。
(アレクサンドル王子は、ただの飾り。実質的な権力と財力を持っていたのはスイート……。それを追い出した私は、ただの『金食い虫』として、これから王家のお荷物になる……?)
まずい。
非常にまずい。
このままでは、贅沢どころか、国王の怒りを買って処刑される未来すらあり得る。
「……ねえ、アレク様」
ミントは猫なで声を出した。
「なぁに? ミント」
「スイート様のことなんですけどぉ……。やっぱり、戻ってきていただいた方がいいんじゃないですかぁ?」
「えっ? でも君は、あいつのことが嫌いじゃ……」
「嫌いですわ! でもぉ、アレク様がお仕事で困っているのを見てると、私が辛いんですぅ」
ミントは嘘泣きをしてみせた。
「それに、スイート様だって、強がっているだけかもしれません。本当はアレク様の元に戻りたくて、枕を濡らしているかも……」
「そ、そうだな! そうに違いない!」
単純な王子は、すぐにその気になった。
「やはり、僕が迎えに行ってやるべきなのだ! 王命を持ってな!」
「ええ、ええ! ぜひそうしてくださいまし! ……そして、たっぷりと慰謝料……じゃなくて、結納金を持ってこさせましょう!」
ミントの目が、邪悪に光った。
(戻ってきたら、あの女を徹底的にこき使ってやるわ。私は王子の寵愛を受けながら贅沢三昧。スイートは裏方で馬車馬のように働き、金を稼ぐ。……うん、それがいいわ!)
「よし、善は急げだ! すぐに準備をさせよう!」
王子は窓を開け、御者に叫んだ。
「進路変更! 騎士団を招集しろ! 再びあの森へ向かうぞ!」
馬車が大きく揺れ、王都の石畳を駆け抜ける。
愚かな二人。
彼らはまだ知らない。
今度の相手は、ただの「お菓子作りが好きな令嬢」だけではないことを。
その背後には、「国最強の騎士団長」という、とんでもない番犬がついていることを。
そして何より、スイート本人が「婚約破棄されて清々している」という事実を。
「(ふふふ、待っててねスイート様。私の新しい財布にしてあげるわ!)」
ミントの歪んだ野望を乗せて、馬車は北へと向かった。
* * *
一方その頃、カフェ『シュガー・ドリーム』。
「ハックション!」
「おや、風邪か?」
店内でくつろいでいたガナッシュ様が、心配そうに顔を上げた。
「いえ、誰かが私の噂をしているようです」
私は鼻をこすり、焼き上がったばかりの新作クッキーを缶に詰めていた。
「悪い噂でなければいいが」
「ふふ、どうでしょうね。……もしかしたら、『もっと美味しいお菓子を作れ』という、神様からの催促かもしれません」
私は楽天的に笑い、ガナッシュ様に試作品を差し出した。
「ところでガナッシュ様、スパイスの効いたジンジャークッキーはお好きですか?」
「……貴殿の作るものなら、泥団子でも食う覚悟はある」
「泥団子は作りませんよ」
平和な午後。
しかし、その平穏を破る足音は、着実に近づいていた。
1
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる