7 / 10
7.嫉妬
しおりを挟む
「あなたなんて、全然彼らに釣り合ってないでしょう。いい加減にしてほしいですわ」
キャリーは今、女生徒たちに囲まれている。そりゃもう、おっしゃる通りですと思うけれど、集団で囲まれるのはこわかった。リーナは今は暇すぎね‥と寝てしまった。女生徒たちに囲まれてるとわかってるのに寝てしまったのだ。退屈だから。キャリーはこわくて泣きそうなのに。リーナは退屈だって言った。同じ人間なのになんてちがうんだろう。
「私はそんなつもりはなくて、ただ音楽祭に出てがんばりたいだけなんです」
「ちがうでしょう。現に今、みなさまはあなたの練習を見に通ってると聞いてますわ」
「歌が聞きたいだけです」
「まぁ、あなた程度の実力、誰でも代わりはいますわ。音楽祭を辞退なさることね」
リーナの目が覚めた。歌に関しては貪欲だった。
「私の歌を聞いたことがないの?」
さっきまでオドオドしていたキャリーのあまりの変わりように女生徒たちは動揺した。
「特別に聞かせてあげるわ」
そうして歌い出したリーナは、この間攻略対象に向けたより過激に、深淵に人を誘い込むように歌い出した。女生徒たちは、文句が言えなくなり、あまりの迫力に硬直した。泣いている子も多い。もはやリーナの声は攻撃だ。
「おい、集まって何をしている?」
マルドだった。キャリーの凄まじい声に圧倒されながらも、女生徒たちを追い払おうとする。悲鳴を上げながら、女生徒たちはバラバラに逃げ去った。
「もはや、凶器だな、お前の歌は」
「あら、心外だわ。天使の歌声ともてはやされてきたのに」
どこらへんが天使なのか?とマルドは思いつつ、キャリーに手を差し出した。キャリーは歌いながら座り込んでいた。いろいろ起きてびっくりしてしまったのだ。
「大丈夫か?キャリー」
マルドの優しい声にキャリーは泣き出した。
「こわかったな」
頭を撫でられた。キャリーはきゅんきゅんした。リーナはちょろいわね、とだけ言った。
ちょろいキャリーはマルドにすっかり熱を上げた。マルドも悪い気がしない、と態度でよくわかった。ただ、スクルスもリリスもトルイデもバレンタインもキャリーに好意を寄せていた。マルドは独り占めにできる自信がなかった。じゃあみんなで、キャリーを応援して、いずれは1人を選んでもらえばいいかと、マルドは思った。リーナはこの状況がすっかり気に入ったようだ。キャリーと誰がうまくいっても楽しい。リーナの趣味は、案外リリスだったが、キャリーとの相性はあまりよくなさそうだ。これからが乙女ゲームの醍醐味ってやつかしら?あら、でも、ヒロイン登場すらしてないわね、とつぶやいた。キャリーがヒロインに変わったのだろうか。
キャリーは今、女生徒たちに囲まれている。そりゃもう、おっしゃる通りですと思うけれど、集団で囲まれるのはこわかった。リーナは今は暇すぎね‥と寝てしまった。女生徒たちに囲まれてるとわかってるのに寝てしまったのだ。退屈だから。キャリーはこわくて泣きそうなのに。リーナは退屈だって言った。同じ人間なのになんてちがうんだろう。
「私はそんなつもりはなくて、ただ音楽祭に出てがんばりたいだけなんです」
「ちがうでしょう。現に今、みなさまはあなたの練習を見に通ってると聞いてますわ」
「歌が聞きたいだけです」
「まぁ、あなた程度の実力、誰でも代わりはいますわ。音楽祭を辞退なさることね」
リーナの目が覚めた。歌に関しては貪欲だった。
「私の歌を聞いたことがないの?」
さっきまでオドオドしていたキャリーのあまりの変わりように女生徒たちは動揺した。
「特別に聞かせてあげるわ」
そうして歌い出したリーナは、この間攻略対象に向けたより過激に、深淵に人を誘い込むように歌い出した。女生徒たちは、文句が言えなくなり、あまりの迫力に硬直した。泣いている子も多い。もはやリーナの声は攻撃だ。
「おい、集まって何をしている?」
マルドだった。キャリーの凄まじい声に圧倒されながらも、女生徒たちを追い払おうとする。悲鳴を上げながら、女生徒たちはバラバラに逃げ去った。
「もはや、凶器だな、お前の歌は」
「あら、心外だわ。天使の歌声ともてはやされてきたのに」
どこらへんが天使なのか?とマルドは思いつつ、キャリーに手を差し出した。キャリーは歌いながら座り込んでいた。いろいろ起きてびっくりしてしまったのだ。
「大丈夫か?キャリー」
マルドの優しい声にキャリーは泣き出した。
「こわかったな」
頭を撫でられた。キャリーはきゅんきゅんした。リーナはちょろいわね、とだけ言った。
ちょろいキャリーはマルドにすっかり熱を上げた。マルドも悪い気がしない、と態度でよくわかった。ただ、スクルスもリリスもトルイデもバレンタインもキャリーに好意を寄せていた。マルドは独り占めにできる自信がなかった。じゃあみんなで、キャリーを応援して、いずれは1人を選んでもらえばいいかと、マルドは思った。リーナはこの状況がすっかり気に入ったようだ。キャリーと誰がうまくいっても楽しい。リーナの趣味は、案外リリスだったが、キャリーとの相性はあまりよくなさそうだ。これからが乙女ゲームの醍醐味ってやつかしら?あら、でも、ヒロイン登場すらしてないわね、とつぶやいた。キャリーがヒロインに変わったのだろうか。
113
あなたにおすすめの小説
枯れ専モブ令嬢のはずが…どうしてこうなった!
宵森みなと
恋愛
気づけば異世界。しかもモブ美少女な伯爵令嬢に転生していたわたくし。
静かに余生——いえ、学園生活を送る予定でしたのに、魔法暴発事件で隠していた全属性持ちがバレてしまい、なぜか王子に目をつけられ、魔法師団から訓練指導、さらには騎士団長にも出会ってしまうという急展開。
……団長様方、どうしてそんなに推せるお顔をしていらっしゃるのですか?
枯れ専なわたくしの理性がもちません——と思いつつ、学園生活を謳歌しつつ魔法の訓練や騎士団での治療の手助けと
忙しい日々。残念ながらお子様には興味がありませんとヒロイン(自称)の取り巻きへの塩対応に、怒らせると意外に強烈パンチの言葉を話すモブ令嬢(自称)
これは、恋と使命のはざまで悩む“ちんまり美少女令嬢”が、騎士団と王都を巻き込みながら心を育てていく、
――枯れ専ヒロインのほんわか異世界成長ラブファンタジーです。
『候補』だって言ったじゃないですか!
鳥類
恋愛
いつのまにやら『転生』して美幼女になっていましたよ!魔法がある世界とかサイコーか!
頑張って王宮魔導師になるぞ!と意気込んでいたら…いつのまにやら第一王子殿下の『婚約者候補』にされていた…!!
初投稿です。
異世界転生モノをやってみたかった…。
誤字脱字・タグ違いなどございましたらご一報いただければ幸いです。
内容については生温くサラッと読んでいただけたらと…思います。
転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる