【完結】だって知らなかったんです。モブにはモブの生きる道

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7.嫉妬

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「あなたなんて、全然彼らに釣り合ってないでしょう。いい加減にしてほしいですわ」
キャリーは今、女生徒たちに囲まれている。そりゃもう、おっしゃる通りですと思うけれど、集団で囲まれるのはこわかった。リーナは今は暇すぎね‥と寝てしまった。女生徒たちに囲まれてるとわかってるのに寝てしまったのだ。退屈だから。キャリーはこわくて泣きそうなのに。リーナは退屈だって言った。同じ人間なのになんてちがうんだろう。
「私はそんなつもりはなくて、ただ音楽祭に出てがんばりたいだけなんです」
「ちがうでしょう。現に今、みなさまはあなたの練習を見に通ってると聞いてますわ」
「歌が聞きたいだけです」
「まぁ、あなた程度の実力、誰でも代わりはいますわ。音楽祭を辞退なさることね」
リーナの目が覚めた。歌に関しては貪欲だった。
「私の歌を聞いたことがないの?」
さっきまでオドオドしていたキャリーのあまりの変わりように女生徒たちは動揺した。
「特別に聞かせてあげるわ」
そうして歌い出したリーナは、この間攻略対象に向けたより過激に、深淵に人を誘い込むように歌い出した。女生徒たちは、文句が言えなくなり、あまりの迫力に硬直した。泣いている子も多い。もはやリーナの声は攻撃だ。

「おい、集まって何をしている?」
マルドだった。キャリーの凄まじい声に圧倒されながらも、女生徒たちを追い払おうとする。悲鳴を上げながら、女生徒たちはバラバラに逃げ去った。
「もはや、凶器だな、お前の歌は」
「あら、心外だわ。天使の歌声ともてはやされてきたのに」
どこらへんが天使なのか?とマルドは思いつつ、キャリーに手を差し出した。キャリーは歌いながら座り込んでいた。いろいろ起きてびっくりしてしまったのだ。
「大丈夫か?キャリー」
マルドの優しい声にキャリーは泣き出した。
「こわかったな」
頭を撫でられた。キャリーはきゅんきゅんした。リーナはちょろいわね、とだけ言った。

ちょろいキャリーはマルドにすっかり熱を上げた。マルドも悪い気がしない、と態度でよくわかった。ただ、スクルスもリリスもトルイデもバレンタインもキャリーに好意を寄せていた。マルドは独り占めにできる自信がなかった。じゃあみんなで、キャリーを応援して、いずれは1人を選んでもらえばいいかと、マルドは思った。リーナはこの状況がすっかり気に入ったようだ。キャリーと誰がうまくいっても楽しい。リーナの趣味は、案外リリスだったが、キャリーとの相性はあまりよくなさそうだ。これからが乙女ゲームの醍醐味ってやつかしら?あら、でも、ヒロイン登場すらしてないわね、とつぶやいた。キャリーがヒロインに変わったのだろうか。
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