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トライアル
しおりを挟む「トライアル。お待たせしたわね。食事はどう?」
綺麗な女性が部屋に入ってきた。
「えーとどちら様ですか?」
「気がつかないの?ダメね?ユイカよ」
「ユイカ?」
ユイカは、ウイッグをとった。
「え?団長?嘘?」
「これが私の本当の姿よ。」
とウイッグを元に戻した。
「どうゆうことなんでしょう?さっきの団長は、もう少し大きかったような、、、」
「それはよくわかってるわね。あなたと一緒で、全身スーツの重りよ。」
「意味がわかりません。」
メイドがさっき脱いだ、スーツを見せた。
トライアルは、そのスーツを手に取ると、重たかった。自分のつけていたものとは大違いだった。
「嘘だろ?」
これを着ていたのに、俺は勝てなかったのか、
「普段から、着ているのよ。流石に令嬢のドレスの時は着れないけどね。
私は、魔剣を扱うのは、知っている?」
「噂程度ですが、、」
「あなたには私の相手をしてもらうわ。私にあれだけやれるのはあの中では、あなただけよ。」
「アルカス様は?」
「アルカスのが、あなたより強いわ。でもね。アルカスも歳をとるから、最近相手をしてくれないのよ。」
「そうなんですね。私も強くなりたいから、頑張ります。」
「私、この4月に学園に入ったばっかだから、仕事は、基本夜だけで、溜まってきたら休みの日にする。あとは、アルカスに任せてあるの。私が学生というのは内緒ね。アルカスの方針だから。」
「学生、、しかも15歳ってあなたはいつから訓練してるですか?」
「まぁいいじゃないの。とりあえずそんな感じ。あなたは、三番手になるからね。アルカスに奥さんも紹介しておいてね。」
今学生と聞いても違和感がない。全くオーラがない。
令嬢そのもの。マナーもしっかりしていて、さっき闘った人同一人物だとは思えない。
そこへアルカスが入ってきた。
「副団長。」
「いいよ。座ってて。」
「ごめんアルカス。トライアルには先に食べてもらったわ。あんなに消耗したら、食事しないとね。」
「ああ。それは大丈夫だ。トライアルよく頑張ったな。」
「ありがとうございます。」
アルカスの前に食事が出された。
「いただきます。ユイカは食べたよな?」
「団長は、まだです。野菜ジュースを飲まれていましたが、、、」
「ユイカ、、トライアルがいてくれて助かる。」
アルカスは、メイドに向かって、
「雑炊を作ってくれ。」
「待って、、今日は、ちょっと無理そう
朝から少し体調が良くないの。
だから、野菜ジュースをもう一杯飲むから。これで許して。」
「ユイカ。今日は許すけど、明日は今日の分を食べてもらうよ。
トライアル。今後、訓練の後は、ユイカに食べ物を食べさせてくれるか?」
「はい。」
その姿は、本当に可愛い。
「トライアルを三番手でいいよね?」
「うん。他は?」
「一応20名を決めたよ。ただな。正直、20名で戦っても、魔獣と苦戦する。」
「まぁ。最悪ダメだったら私が1人で倒すわ。」
「それはダメだ。ユイカの体は大丈夫じゃないだろ?」
「大丈夫よ。魔剣がいるもの。」
ユイカは先に席を立つことにした。いや逃げたな。
「トライアル。ユイカと戦ってどうだった。」
「完敗です。強すぎます。団長は、いつから訓練しているのですか?今15と聞きました。」
「ユイカの話は、今日で最後にしてくれるか?」
「わかりました。内緒にしておきますので教えてください。」
「ユイカは、ユイカーナ伯爵令嬢だ。伯爵はわたしの弟が継ぐ。
18になったら政略結婚をさせられる可能性が高い。
親から愛されていないから、私がよく面倒を見ていたんだ。
小さい頃から、訓練をさせていた。
魔剣の宝石を手に入れることになった時は、死にかけてたらしい。
本人は言わないけど、大蛇や獅子から聞いたんだ。
魔剣も2本を操るから、どうしても訓練を怠ることはできない。いや、ユイカが怠らない。
魔剣の力で、あの状態なんだが、本当の体は傷だらけなんだ。
掘っておくと、眠らず訓練をするから困っている。
学園も今年から通うことになったが、もちろん優秀だ。
テストは満点だ。
生徒会役員に抜擢されてるから、あまり団長の仕事はさせたくないんだ。」
「あの人は完璧なんですね。」
「いや、恋には臆病だし、抜けてるところは抜けてるよ。ユイカを受け入れてくれる男が現れるといいんだがな。18までに、、、幸せになってほしい。」
「アルカス様は、団長の事、好きなんですね。」
「ああ。可愛い姪っ子だからな。俺の奥様も気に入ってるし、息子も懐いている。一緒に住んでるからな。
元々ユイカと俺が一緒に住んでいて、奥さんと結婚する時、ユイカが出る予定だったんだけど、うちの奥さんが離さなくてね。
ユイカは、放置しておくと何も食べなくなるし、令嬢に戻らなくなるんだ。
いまの格好するのもうちの奥さんの提案なんだ。
令嬢を忘れてはいけない。
幸せになる権利があるって、、
元々ドレスを着るのは好きだから、イヤイヤやってるわけではないんだ。」
トライアルは、わかってくれたようで、
ユイカのフォローをしてくれるようになった。
「ローズクレセント」これが団の名前らしい。そして団長をクィーンと呼ぶことになった。ユイカの名前を出すのをやめようということになった。
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