4 / 6
第四話 フレアの過去3
しおりを挟むそうして、離縁から半年後。のんびり実家で暮らしていた私に、なんと再婚の打診があったのです。
その相手はホールド・ホットスルー公爵様でした。現王の弟であり、若い頃から美男子として騒がれ、若くして妻に先立たれてからずっと独り身で、45歳を過ぎても尚その美貌は損なわれず精悍さが増して、後釜を狙う女性が後を絶たないと社交界では有名な方です。そんな雲の上のような方から、私宛てに再婚が持ちかけられようなんて、思ってもみませんでした。
再婚ではあるものの、ホットスルー公爵家の後継者は決まっているので、無理して夫婦としての営みをする必要も無く、また同じ理由で無理して子を産む必要も無いこと。あと数年もしたら嫡男に爵位を譲り隠居する為、ゆっくり供に過ごせる時間はたくさんあること。公爵家の持ち家には離れもあるので、供に過ごすことが嫌ならばそちらで自由に暮らしても良いこと…などなど、結婚に憧れも魅力も感じなくなっていた今の私にとっては、好条件ばかりが提示されました。まるで夢のようで信じられないようなお話でしたが、公爵家からの使者だけでなく、ホールド様自らも我が家に来られての正式な再婚の打診でしたから、お話を信じる以外ありませんでしたが。
私とホールド様とは歳が20以上離れていますが、ご本人の姿を見れば実年齢を知っても軽く10はお若く見えますし、話題も分野が広く多岐に渡って豊富で楽しく、歳の差など全く気になりません。
前妻との子である成人済みの息子がいるとのことでしたが、後継問題の心配がないことは逆に安心出来ることです。…以前の家では義理の両親からの月に二度届く手紙に孫への期待と催促が常にありましたから、余計に有り難く感じます。ただ問題としては、子が不要な後妻での嫁入りとなるので、立場的に公爵夫人としての権限はほぼない状態となるでしょう。けれど、以前は妻の立場も権限も無い扱いを元夫から受けていた私ですもの。私の信頼するメイドや従者達を連れていく許可もありますし、王家からの信頼が厚いホットスルー公爵家の一員となるだけでも、その恩恵はと言えます。
そもそも白い結婚での離縁とはいえど、出戻りとなった私は貴族の令嬢として大いに価値が下がっており、このまま一生独り身である可能性もありました。そんな中での公爵家からの打診は嬉しい気持ちよりも、こんな私で良いのだろうかと恐れ多い気持ちの方が先に浮かんできたものです。
両親とも姉夫婦とも良く話し合い、ありがたいこのお話を受ける前提で前向きに取り組む事が決まりました。すぐに返事をしないのはお相手が公爵家ともなれば、我が家としても慎重に対応しなければならないからです。公爵家と伯爵家では権威も資産も差がありすぎて全く異なりますもの。万が一でも不評を買ってしまうような事態は避けなければなりません。時間をかけ両親も公爵家との話し合いを何度も続け、私とホールド様との面会には必ず姉夫婦と供に行いました。
私の第一印象では、ホールド様は落ち着いた紳士でとても誠実な方です。と言いますのも、最初の面会の時に『公爵家にとって政治としての価値もない私に、なぜ再婚を打診したのでしょうか?』と同席していたお姉様が慌てるほどのそんな不躾な問いに怒ることもなく、笑いながら私にも知る権利が確かにあるとホールド様の事情を語ってくれたのです。
106
あなたにおすすめの小説
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリエット・スチール公爵令嬢18歳
ロミオ王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました
山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。
王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。
レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。
3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。
将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ!
「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」
ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている?
婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
誰でもよいのであれば、私でなくてもよろしいですよね?
miyumeri
恋愛
「まぁ、婚約者なんてそれなりの家格と財産があればだれでもよかったんだよ。」
2か月前に婚約した彼は、そう友人たちと談笑していた。
そうですか、誰でもいいんですね。だったら、私でなくてもよいですよね?
最初、この馬鹿子息を主人公に書いていたのですが
なんだか、先にこのお嬢様のお話を書いたほうが
彼の心象を表現しやすいような気がして、急遽こちらを先に
投稿いたしました。来週お馬鹿君のストーリーを投稿させていただきます。
お読みいただければ幸いです。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる