婚約者に浮気され、婚約破棄するしかなかった僕の話

もふっとしたクリームパン

文字の大きさ
11 / 34

11、キャメル伯爵家

しおりを挟む


 ライとの飲み会から、およそ三か月が過ぎた。両親は新たな僕の婚約者探しに余念がない。僕も仕事の傍ら、すでに二人ほどの女性と顔合わせもしていて、積極的に次の相手を探している。今のところ手応えはないが、出来れば一年以内に相手を見つけられたらいいと思っている。
 焦るつもりはないけれど、早く親を安心させたいし、何よりも後一ヶ月後くらいには王都内にある大神殿でライとライラの結婚式があるのだ。二人は恋愛ではなく友情よりの同士だと言ってはいるが、徐々に式が近づくにつれて互いを意識し合う事が増えた為か、以前より二人の距離が近い。この調子だとたぶん、子供も早く授かる事だろう。…新婚夫婦が傍にいて、その子供も生まれたら、僕だけ独り身だと絶対に寂しい気がするのだ。僕は案外寂しがりだったらしい。
 大事な友人二人の結婚式にはもちろん喜んで参加する予定だ。僕は婚約破棄となった事でキャメル伯爵家とは親族にはなれないが、新郎新婦の友人という事で招待されているので問題ない。不本意ながら社交界で話題を振りまいてしまった以上、式場では他の貴族達もいるので少々視線が煩わしい事になりそうだが、二人の門出なのだから堂々としていよう。結婚の御祝い品はすでに手配済みだから、喜んでくれるといいな。



 そんなこんなで日々を過ごしていると、ライラから手紙で連絡があった。急ぎ話があるので時間が欲しいとの事だったが、ライラこそ花嫁になるのだから今が一番忙しいはずなのに何かあったのだろうかと案じつつ応じる旨を記した返事を出した。
 後日、呼ばれた場所である王都内の貴族屋敷に出向くと、そこにはライラとライの二人だけでなく、キャメル伯爵夫妻もいた事に驚いた。わざわざ出迎えてくれた玄関で一通りの挨拶を済ませて、案内された応接間の長椅子ソファーに座るよう促される。対面には伯爵夫妻とライラが並んで座り、間を空けて僕の隣にライが座るようだ。

「ここは、私の妻の弟が婿入りした子爵家の屋敷でな。今は家族揃って子爵領に戻っているので、頼み込んで今日だけ借りる事が出来たのだよ。我が家では式の準備などで人の出入りが多く、落ち着かんからな」

「弟家族は私の娘の結婚式には間に合うように帰って来るそうだから、式場で紹介するわね。弟は貴方に会いたがっていたもの」

 初めて来た場所に緊張している事を悟られたのか、キャメル伯爵が教えてくれた。夫人も緊張を解してくれようとしてか優しく微笑んでくれた。会う度に思うが、キャメル伯爵夫人は本当にライラそっくりだ、いやこの場合はライラが夫人に似たのか。親子であるこの二人が並ぶとそっくり姉妹に見えて仕方がない。キャメル伯爵も金髪だが目は緑なので、ルル伯爵令嬢は父親と同じ色を持つのだ。伯爵はやや童顔に見えるのでルルと似て…いなくもない気もする。まぁだからこそ、息子と似たルル伯爵令嬢を前伯爵夫妻は溺愛したのだろうな。

「お気遣いありがとうございます。お会いする時を楽しみに待ちましょう。それで、僕に話とは一体何でしょうか?」

 僕はともかく、式の準備で忙しいキャメル伯爵家に余分な時間を取らせたくない。要件だけ聞いてさっくり終わらせよう、そう思って僕から話を切り出したのだが。

「あぁ、君に相談したい事があってね。……実はルルの移送が来週に決まったのだがね。うっかり漏らした従者からそれを知ったルルが、君に会うまでは動かない、会えなければ今すぐ死んでやると騒ぎ、どうにも手を焼いているのだよ」

「は?」

 疲れたように話すキャメル伯爵に、僕は困惑した様を隠せなかった。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」 仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。

騎士団長を追放した平和ボケ王国は、七日で滅びました

藤原遊
ファンタジー
長らく戦のなかった王国で、 騎士団長の父を病で失った令嬢は、その座を引き継いだ。 だが王城に呼び出された彼女に告げられたのは、 騎士団の解体と婚約破棄。 理由はただ一つ―― 「武力を持つ者は危険だから」。 平和ボケした王子は、 非力で可愛い令嬢を侍らせ、 彼女を“国の火種”として国外追放する。 しかし王国が攻められなかった本当の理由は、 騎士団長家が持つ“戦況を覆す力”への恐れだった。 追放された令嬢は、即座に隣国帝国へ迎えられ、 軍人として正当に評価され、安泰な地位を得る。 ――そして一週間後。 守りを捨てた王国は、あっけなく陥落した。 これは、 「守る力」を理解しなかった国の末路と、 追放された騎士団長令嬢のその後の物語。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

貴方に側室を決める権利はございません

章槻雅希
ファンタジー
婚約者がいきなり『側室を迎える』と言い出しました。まだ、結婚もしていないのに。そしてよくよく聞いてみると、婚約者は根本的な勘違いをしているようです。あなたに側室を決める権利はありませんし、迎える権利もございません。 思い付きによるショートショート。 国の背景やらの設定はふんわり。なんちゃって近世ヨーロッパ風な異世界。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様に重複投稿。

幸せな婚約破棄 ~どうぞ妹と添い遂げて~

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を宣言された私。彼の横には、何故か妹が。 私……あなたと婚約なんてしていませんけど?

平手打ちされたので、婚約破棄宣言に拳でお答えしました

Megumi
恋愛
婚約破棄を告げられ、婚約者に平手打ちされた——その瞬間。 伯爵令嬢イヴの拳が炸裂した。 理不尽に耐える淑女の時代は、もう終わり。 これは“我慢しない令嬢”が、これまでの常識を覆す話。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※短編です。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4800文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

処理中です...