太陽の猫と戦いの神

中安子

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六人

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 部屋は二つ与えられた。
 レイの判断で、姫二人は同室で、他の者は一つの部屋で過ごす事になった。基本的にレイはハルカの傍を片時も離れなかったため、ユウとシュウトしかいなかった。二人共荷物だけ置くと、ユウは剣の鍛錬に、シュウトは庭へ出かけていった。
 姫二人は、王宮ほどではないものの、質素だが綺麗に整えられた部屋を見て感動していた。ベッドのシーツは心地よく、それぞれ横になると一瞬で眠りに落ちた。思えば、ちゃんとした寝床で寝るのは王宮を出て以来だった。清潔で心地の良い場所が、どれだけ貴重でありがたいものかを痛感した。命の危険も、追いかけられ続ける恐怖も、ここでは夢の一幕のようだった。今なら何もかも無かった事にできそうだった。神聖な場所だからか、辺りはひっそりと静かで、時間の流れさえも忘れてしまうほどだった。
 姉がそっと妹を起こした頃には、既に空は暗くなり始めていた。若い神官が、夕食を運んできてくれたのだった。アンリは申し訳なさそうに頭を下げる。王宮の召使いとは訳が違う。神に仕える者に世話をしてもらうのは、どうしても気が引けた。ここの神官と顔を合わすと、誰もが恭しく丁寧に接してくれる。遠い国の姫など、崇めても何の得にもならないはずだった。
「みんな退屈だろうな」
 ハルカは独り言のように呟いた。レイに手伝ってもらって夕食を食べた後だった。
 レイは食器を片付けていた手を止めて、ふっと笑った。
「皆さん、神殿の仕事を手伝ってくれています」
 ここを訪ねて四日か後に、長官が宴を開いてくれたのだった。四人はそこで大半の神官達と対面する事ができた。
 誰も迷惑がる事なく、むしろ歓迎してくれていた。長官を入れて十人ほどだった。長官の父母、兄弟に子供達、護衛。皆似たような顔で、仲睦まじい様子だった。四人の中の神官のイメージと全く違ったため戸惑いもあったが、彼らの雰囲気にすぐに馴染んでしまった。アンリは皆を代表して、ここに置いてもらうかわりに何か手伝いをさせてほしいと申し出たのだった。長官はにこやかに受け入れてくれた。
 姫二人は主に台所に立って、神官達の食事、神への供物の準備を手伝った。男達は力仕事をしていた。神殿の掃除、薪を割ったり、食料の調達をした。時には、神官達に倣って神に祈りもした。王が無事でありますように、ハルカが早く回復しますように。四人はそれぞれの願いを込めた。
「シュウトもか?」
 ハルカは心配そうに訊ねた。
「ええ。よく働いてくださっているようですよ。ここの神官が言っていました」
「俺も早く動きたいぜ」
 多少動かせるようになった手を掲げてハルカは言った。もどかしさを痛感すると同時に、レイに居てもらわないと何も出来ないのが申し訳なかった。
「お前には迷惑かけっぱなしだな」
「僕の望みは、六人で目的を成し遂げる事です。ハルカには最後まで居てもらわないと」
 レイの言葉は、弱っているハルカには沁みた。
「レイが女だったら惚れてたよ」
 ハルカとレイは顔を見合わせると、思わず笑った。
「何が何でも、早く全快するよ」
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