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第一章 清浄編
第9話 人魚病【一方的な愛情】
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首のしこりを潰したら、真珠が出てきた
思わず息をのむ。
冷たく、つるりと光るその小さな球体。
◆
海面が切子ガラスのように輝く。
地平線の彼方には、海鳥が小さく羽ばたいている。
その鳥の羽だろうか、海面に白い羽が漂い黒くなって沈んだのが見えた。
俺は海に広がる地平線を岸から眺めていた。
首が凸凹し始めてから痛みがあり、熱っぽい。
海に映る俺の顔は、土気色。
周りは俺を、気味悪そうに、遠巻きに眺めていた。
俺は周りの視線を気にせず、仲睦まじい姿を見せる一組の夫婦を見ている。
幸せそうに笑いあう。
――あぁ、愛おしい。
俺は、その夫婦の方へ歩き出した。
……上手く歩けない。
片足は怪我をしてから一向に治らず、ついには足が真っ黒になった。
夫婦のすぐ近くまで来た。
俺を映す瞳。
俺は、真珠を差し出した。
夫婦はピタリと作業をやめ、俺を見つめる。
「湊《みなと》……」
弥吉が、自分の妻を抱き寄せる。
妻である伊予は、俺が来ると青ざめて震えた。
――見たくない姿だ。
伊予が俺の真珠を一度、眺めて顔をしかめて突き返すように返す。
そして、俺などいなかったように二人で話を再開する。
「また、受け取ってもらえなかった。」
俺は、真珠をじっと見つめる。
「おい」
後ろから声がかかる。
少年の声だった。
振り向くと白銀の髪を持ったこれ以上ないほど顔が整った少年と、黒髪の少女がいた。
「お前、病にかかっているな?」
白銀の少年が、不機嫌そうに告げてくる。
ちらっと牙が口から覗いている。
俺は、真珠を慌てて隠す。
「いえ、病になんかかかっていません」
「それは病だ、そのままだと死ぬぞ」
海のように青い瞳が、自分を見透かしたように見てくる。
心臓が突き破らんばかりに、大きな音を出して刻む。
俺はその瞳から一刻も早く逃れたくて、目をそらした。
白銀の少年が言う。
「その病、喰わせろ」
思わず走り出した。
これを喰わせるなんて嫌だ!!
真珠が落ちてしまったが
……もう取りに戻れない。
◆
「私達、不審者なんでしょうか、慈眼?」
私は、逃げた男を見ながら言った。
「蘇芳、俺、陰陽師の服、着ているんだがな……」
慈眼は、心底不思議そうに私に言葉を返す。
「服より、たぶん貴方のせいです。」
私は、ため息を吐く。
――喰わせろなんていうから、逃げてしまった。
なんのために、人間らしい恰好をしているのか。
慈眼は、自分の好きなようにいつも振る舞う。
少し……そんな所がうらやましくもあるが、自分にはそんな振る舞いはできない。
正しいことをする陰陽師なのだから。
私は懐から手紙を取り出す。
「今回、師匠からもらった手紙に書いてあった人魚病の人は、あの人に間違いないですね」
と男性が去り際に、落としていった真珠を私は拾う。
つるりとした表面に薄いピンクの照りが、桜のように輝く。
私は、思わずため息をつく。
その真珠を大事にしまおうとすると、慈眼が奪い取り、眺める。
あ、それ私の……。
「……たしかに真珠だな」
「返してください!私のですから」
「はいはい」
慈眼は興味がなさそうに私に投げて返す。
私は真珠を大事に撫でた。
そんな私を、呆れた目で見た慈眼が言う。
「だいぶ警戒されてたな」
慈眼が言う通り、警戒されていたため、どうやって接触して祓おうか悩む。
そこへ、先ほど男と話をしていた夫婦が、慈眼達の方へ走りながらやってきた。
青ざめた表情で私達に詰め寄る。
「大丈夫ですか?」
「呪われていませんか?」
心配そうに告げて、私がもっている真珠を見る。
この真珠に何かあるんだろうか……。
私は疑問に思った。
「呪いって何かあるんですか、これ」
私が真珠を二人の前に見せると
「ひぃ」
夫婦は震え、耳を抑える。
何かを聞きたくないように。
「どうしたんだ?」
――様子がおかしい。
慈眼が、夫婦の様子に何かを感じたのか確認をする。
夫婦は震えた手で、真珠を指さす。
「そこから聞こえるんです。
音が……」
私は、耳を澄ましてみる。
聞こえない。
慈眼の耳元にも近づけてみるが、眉をぴくりと動かし
「聞こえねぇな」
私達には、何も聞こえなかった。
夫婦は私達が聞こえないと知ると、ガタガタと震え、自分の体を抱きしめた。
妻の方が、叫びだすように言う。
「呪いなんです。
呪いだ!私達を呪っている!!」
妻の背をさすり支えながら夫が言う。
「俺らが、あいつを裏切ったから……」
顔をくしゃくしゃにして、後悔をするような表情をする。
私は、この二人と何か関係があるのだなと感じた。
それにと自分の手にある宝石を見た。
――この真珠はとても美しい。
この宝は、保存しなければ。
私は、頼れる陰陽師感を出して言う。
「私達は陰陽師ですから
安心して、何があったか話してくれませんか?」
二人は、口ごもり、ややあって顔を見合わせて言った。
「俺らがあいつを人魚にしてしまった」
「人魚?」
慈眼が、眉をピクリと動かして言う。
「はい、あいつ足が悪いんですよ
俺らのせいで……」
歯切れ悪く言うのに痺れを切らしたのか
不機嫌そうに慈眼が、
夫婦を睨みつけるように言う。
「はやく言え!腹が減ったんだよ俺は!」
と威嚇する虎のように吠える。
夫婦はあっけに取られて話し出した。
いわく、幼馴染だったそうだ。
年が近い子供が三人しか
いなかったせいかとても仲がよかった。
村でも有名だったそうだ。
だが。
弥吉と名乗った男は、拳を握りしめた。
「……あの日、船で珊瑚がよく取れる小島に行ったんだ。三人で
その日は不思議なほどとても潮が引いていたから
あわよくば珊瑚があるかもと思ったんだ。」
伊予が震えながら、懺悔をするように言う。
「湊はやめようって言ったの、
波がいつもより引いているって」
「でも俺たちは、二人して湊の制止を聞かずに入った。」
二人は顔を見合わせた。
「湊は浜辺に下りずに警戒するように周りを見ていた。
俺らは珊瑚を拾って、船に戻ろうとしたんだ。」
「そうしたら、急に波が大きくなってーー俺たちは波にのまれた。」
弥吉の喉が鳴る。
「湊が飛び込んできた。あいつ、昔から馬鹿みたいに泳ぎが得意で……」
そこで言葉が止まる。
慈眼が、苛立たしげに舌打ちする。
「結論から言え」
弥吉は顔を歪めた。
「俺は……伊予の名前を呼んだ」
沈黙。
弥吉は自分の耳を塞ぐ。
ぎゅっと手に力を込めて、耳を引きちぎらんばかりに。
「湊は俺の腕を掴んでた。
なのに俺は……伊予を助けてくれって」
伊予の肩が震える。
「次の波で、私は流されたの。
弥吉が……私の方へ来た。
湊の手を振り払って」
その一言で、空気が変わる。
私は手の中の真珠を見る。
ーーかすかに、真珠が、脈打った気がした。
「湊は珊瑚で足を切った。
足を……悪くした」
弥吉の声は、ほとんど掠れていた。
「俺は、あいつに礼を言った。
命の恩人だって。……でも」
言葉が続かない。
その先が気になるけど、言葉が出ない。
慈眼が低く問う。
「でも?」
「湊は、俺を見なかった」
その一言。
海風が強く吹く。
私の手の中の真珠から、震えが走る。
夫婦が同時に耳を押さえた。
手の爪で耳元に引っかき傷が出来ているのが見えた。
「まただ……!」
「聞こえるんだ、あいつの声が!」
私には、聞こえない。
慈眼に目をやると、無言で首を振られた。
ーー夫婦だけが聞こえている。
夫婦は泣きそうな顔で
「見て……って選んでくれって……!」
「俺らが足を奪ったから
あいつは俺らを呪うために!真珠を渡してくるんだ!!」
夫婦二人は、耐えきれないように耳をかきむしる。
血が出ているのが見えた。
明らかに、異常な光景。
私はぞっとする。
「あいつが死なないとこれがずっと続くんだ!
もう無理だ!無理!」
発狂するように叫びだすと、私達を押しのけて走り去っていった。
私は、自分の手元に残された真珠を見る。
「綺麗。」
薄桜色の真珠がつるりと輝く。
この真珠から一体何が聞こえるのだろうか……。
月夜が輝く夜になる。
海は月の光を抱いて静かに波の音を奏でていた。
窓際に置いた真珠が光り輝いていた。
波が来るタイミングに合わせて光りだす。
私は、夫婦二人と別れた後、宿に泊まっていた。
「こんなに美しいのに、あんなに恐れるなんて、一体どんな風に聞こえているのでしょうか」
私は、真珠の神秘的な輝きを見ながら、月明かりに照らされていた。
その桜色に光る玉を、そっと耳に寄せ、目をつむり神経を集中させる。
――やはり何も聞こえない。
「聞こえないか」
残念だなと思いながら、外の光景を見た。
静かな波が、私の耳を揺さぶる。
突然、自分に影がかかる。
慈眼だった。
私の姿を見ていたのか眉根を寄せた表情だ。
「あんまり魅入られるなよ」
慈眼が私に言うと、真珠をひょいっと拾い上げ、食べた。
「あ!」
「はぁ、腹の足しにもなりやしねぇ」
私は慈眼へ詰め寄る。
「それ!私の!
なんで食べるんですかもう!!」
そう言いながら、慈眼へ抗議をしようとしたが、手をおろして固まってしまう。
――なんて美しいのだろう。
月明かりに照らされ、白銀の髪が光り輝いている。
私は堪えきれず慈眼に伝えた。
「月明かり、似合いますね」
慈眼が、ぴたりと止まった。
目が、わずかに揺れる。
返事がない。
やがて、こちらを見た。
「……おまえほどじゃない」
笑っているのに、声がかすれていた。
胸の奥が、締め付けられる。
なんだろう、きっと私は知っている――。
聞きたいことが山ほどある。
でも、教えてくれない。
ここで聞いたら教えてくれるかも。
口を開こうとしたその時、
外から怒号が聞こえる。
「~~て!!な…!」
「~~!」
「来るな!」
あの夫婦の叫び声だった。
私達は、顔を見合わせて外へと出た。
声が聞こえる方へ走る。
◆
俺、弥吉は恐怖で頭がいっぱいだった。
浜辺には夫婦と、片足を引きずる男が言い争っていた。
目の前の男が、俺の名を呼ぶ。
「弥吉」
呼ぶな!
俺は、恐怖におびえていた。
自分達へ大量の真珠を、渡そうとする湊に
――なぜ、こんなにも渡そうとするのだろうとするのかわからない。
「なんなんだよ!湊!」
「もう!私達に関わらないで!!」
家に押しかけてきたので、慌てて逃げてきたが、足が不自由にも関わらずその足を引きずりながら、どこまでも追いかけてくる。
怖い。
俺たちは、恐怖でいっぱいだった。
湊は拒絶されても足を引きずり、手にいっぱいの真珠を差し出す。
『ーーみて、えらんでーー』
真珠から、声が聞こえる。
「やめて!」
伊予は、耳を塞ぎながら勢いよく手を叩いて拒絶した。
砂浜に散らばる真珠。
ぱらぱらと落ちていく。
それをまたかき集めて、俺達へ湊は差し出した。
そこへ昼間に出会った陰陽師の黒髪の少女と、白銀の少年が近づいてくる。
黒髪の少女が俺を見ながら、
「話くらい聞いてあげたらどうでしょうか
きっと何か伝えたいことがあるんですよ」
冷静な声で言ってくる。
俺達の恐怖もわからないくせに!
伊予は、なにもわかってない陰陽師の少女を突き飛ばし、逃げようとする。
そこへ白銀の少年が、子供とは思えない力で肩を掴み、拘束してきた。
――やめろ!
そのまま湊の方に向けられる。
私達は震えていると少年が言う。
「自分のやったことの後始末をつけろ」
青い瞳で、俺達にいら立ちを隠さない視線で、逃げないようにせき止める。
湊は、真珠を集め終わったのか、こちらへとゆっくり向かってくる。
片足を引きずる、重たい足音。
首元は不自然に膨らみ、皮膚の下で何かが光っている。
「やめろ……!」
俺は叫ぶ。
湊は、静かに首を傾げた。
怒りはない。
ただ、疲れた目をしている。
「俺はさ」
掠れた声。
「お前を助けたかったんだ」
俺は足の力が入らなくなった。
――俺は、お前を拒絶した。
「俺だって……友だちだと思ってた……!」
その言葉に、湊は目をつむりわずかに笑う。
優しくも、寂しくもない。
ただ、事実を受け入れた顔。
俺の目を見て、久々に見た優しい表情で言ってくる。
「知ってる」
真珠が、ぽとりと砂に落ちる。
手にもった真珠がばらばらと、手の指の隙間から落ちていった。
首元の膨らみがさらに大きくなる。
白銀の少年が湊にそっと言った。
「その病、喰ってやろうか?」
湊は首を振る。
俺を眺めて、白銀の少年へ告げる。
「これは渡さない、俺だけの病」
「そうか……」
首元のふくらみが裂けた。
中から真珠があふれ出す。
裂け目はまるで、エラのようだった。
体中から、膨らみが生まれ、真珠があふれ出てくる。
それは、まるで鱗のように淡く月明かりをしたためながら、静かに光る。
湊は、俺の顔を見る。
「俺は……祝われる側じゃない」
自分の首からポロリと真珠が落ちる。
その真珠に、湊の顔が映るのが見えた。
――あんな目、見たことがなかった。
湊は真珠を自分の耳にあてたあと、その真珠をぎゅっと握りしめた。
何かを決めたような表情をし、足を引きずりながら沖へ歩いていく。
「海はきれいだ」
湊は呟くように言った。
ぱしゃ……。
湊が海に入り、波が膝を、腰を飲みこむように消えていく。
湊は途中で座り込み、動かなくなった。
「俺だけの海だ。お前らには見せなくていい」
俺だけに言っているような音色で湊が言う。
「湊!」
俺が、思わず湊にかけようとするが
白銀の少年に制止された。
「お前に止める権利はない」
ざざっ――。
先ほどまで静かだった波が、急に大きくなり、湊を飲み込んだ。
急な出来事で俺たちは動けなかった。
波が去ったあと、そこには誰もいなかった。
伊予が言う。
「どこにいっちゃったの……」
その声を、海が受け止める。
砂浜に散らばった真珠が、静かに月の光を浴びて、冷たく光る。
伊予は震える手で落ちていた真珠を拾った。
「……湊、私達を許さないんだ」
崩れ落ちて伊予の手のひらから、真珠が滑り落ちる。
そのままころころと俺の手元まで転がってきた。
おそるおそる、真珠を拾って耳に当てた。
『愛している』
俺は、目から熱いものが流れ、唇が震えてうまく言葉を発せない。
目からあふれ出した涙を、砂浜が受け止め吸い上げるのが見えた。
「あぁ……ごめん。
見てなかった」
俺の手の平から離れた真珠は、そのまま波が攫って行った。
◆
私は、明らかに妖化した湊がいなくなったことで、焦っていた。
「どうしましょう! 探さないと」
私はそう言いながら、海に入ろうとした。
慈眼が、腕を掴んで止める。
「探すな」
かなり強い口調で言われる。
でも、妖になっていたら、あの病が、人に繋がると危ない。
「でも!」
「探してやるな、あいつが選んだ」
今度は、真剣な音色で言う。
私の腕を強く引き寄せた。
「でも、私は陰陽師で........」
「正しいことだけが正解とは限らない
放っておけ」
もう一度子供を叱るような口調で慈眼が言う。
私は、なぜ湊が、弥吉と話して諦めた表情をしたのかわからなかった。
そして、真珠を耳に当てて涙を流す弥吉の気持ちも。
私は、色とりどりに輝く真珠から
一つをそっと拾い、耳に当てる。
「............何も聞こえない」
真珠を月明かりに照らしてみる。
月明かりを反射して怪しく光るその欠片。
「病は美しい」
慈眼は、どかっと私の横に座った。
「自分で選んだ海は、誰にも奪えねぇ」
淡々と呟いた後、砂浜に散らばる真珠を一つ、口へ放り込む。
私の海風に揺れる髪を眺めている視線を感じる。
――何か言おうとしているのだろうか?
私は振り向いた。
慈眼は、何か言いかけて、やめる。
目を伏せて言った。
「――あぁ、腹が減った」
いつもの慈眼だった。
海へと目を向ける。
海は静かにそこにあるだけ、沖の方できらりと大きな魚が跳ねた。
気のせいだろうか、その背に、淡い桜色がひとすじ光った。
波がひときわ大きくなる。
砂浜にあった真珠をさらい、
あとは波の音だけがあたりを包んでいた。
思わず息をのむ。
冷たく、つるりと光るその小さな球体。
◆
海面が切子ガラスのように輝く。
地平線の彼方には、海鳥が小さく羽ばたいている。
その鳥の羽だろうか、海面に白い羽が漂い黒くなって沈んだのが見えた。
俺は海に広がる地平線を岸から眺めていた。
首が凸凹し始めてから痛みがあり、熱っぽい。
海に映る俺の顔は、土気色。
周りは俺を、気味悪そうに、遠巻きに眺めていた。
俺は周りの視線を気にせず、仲睦まじい姿を見せる一組の夫婦を見ている。
幸せそうに笑いあう。
――あぁ、愛おしい。
俺は、その夫婦の方へ歩き出した。
……上手く歩けない。
片足は怪我をしてから一向に治らず、ついには足が真っ黒になった。
夫婦のすぐ近くまで来た。
俺を映す瞳。
俺は、真珠を差し出した。
夫婦はピタリと作業をやめ、俺を見つめる。
「湊《みなと》……」
弥吉が、自分の妻を抱き寄せる。
妻である伊予は、俺が来ると青ざめて震えた。
――見たくない姿だ。
伊予が俺の真珠を一度、眺めて顔をしかめて突き返すように返す。
そして、俺などいなかったように二人で話を再開する。
「また、受け取ってもらえなかった。」
俺は、真珠をじっと見つめる。
「おい」
後ろから声がかかる。
少年の声だった。
振り向くと白銀の髪を持ったこれ以上ないほど顔が整った少年と、黒髪の少女がいた。
「お前、病にかかっているな?」
白銀の少年が、不機嫌そうに告げてくる。
ちらっと牙が口から覗いている。
俺は、真珠を慌てて隠す。
「いえ、病になんかかかっていません」
「それは病だ、そのままだと死ぬぞ」
海のように青い瞳が、自分を見透かしたように見てくる。
心臓が突き破らんばかりに、大きな音を出して刻む。
俺はその瞳から一刻も早く逃れたくて、目をそらした。
白銀の少年が言う。
「その病、喰わせろ」
思わず走り出した。
これを喰わせるなんて嫌だ!!
真珠が落ちてしまったが
……もう取りに戻れない。
◆
「私達、不審者なんでしょうか、慈眼?」
私は、逃げた男を見ながら言った。
「蘇芳、俺、陰陽師の服、着ているんだがな……」
慈眼は、心底不思議そうに私に言葉を返す。
「服より、たぶん貴方のせいです。」
私は、ため息を吐く。
――喰わせろなんていうから、逃げてしまった。
なんのために、人間らしい恰好をしているのか。
慈眼は、自分の好きなようにいつも振る舞う。
少し……そんな所がうらやましくもあるが、自分にはそんな振る舞いはできない。
正しいことをする陰陽師なのだから。
私は懐から手紙を取り出す。
「今回、師匠からもらった手紙に書いてあった人魚病の人は、あの人に間違いないですね」
と男性が去り際に、落としていった真珠を私は拾う。
つるりとした表面に薄いピンクの照りが、桜のように輝く。
私は、思わずため息をつく。
その真珠を大事にしまおうとすると、慈眼が奪い取り、眺める。
あ、それ私の……。
「……たしかに真珠だな」
「返してください!私のですから」
「はいはい」
慈眼は興味がなさそうに私に投げて返す。
私は真珠を大事に撫でた。
そんな私を、呆れた目で見た慈眼が言う。
「だいぶ警戒されてたな」
慈眼が言う通り、警戒されていたため、どうやって接触して祓おうか悩む。
そこへ、先ほど男と話をしていた夫婦が、慈眼達の方へ走りながらやってきた。
青ざめた表情で私達に詰め寄る。
「大丈夫ですか?」
「呪われていませんか?」
心配そうに告げて、私がもっている真珠を見る。
この真珠に何かあるんだろうか……。
私は疑問に思った。
「呪いって何かあるんですか、これ」
私が真珠を二人の前に見せると
「ひぃ」
夫婦は震え、耳を抑える。
何かを聞きたくないように。
「どうしたんだ?」
――様子がおかしい。
慈眼が、夫婦の様子に何かを感じたのか確認をする。
夫婦は震えた手で、真珠を指さす。
「そこから聞こえるんです。
音が……」
私は、耳を澄ましてみる。
聞こえない。
慈眼の耳元にも近づけてみるが、眉をぴくりと動かし
「聞こえねぇな」
私達には、何も聞こえなかった。
夫婦は私達が聞こえないと知ると、ガタガタと震え、自分の体を抱きしめた。
妻の方が、叫びだすように言う。
「呪いなんです。
呪いだ!私達を呪っている!!」
妻の背をさすり支えながら夫が言う。
「俺らが、あいつを裏切ったから……」
顔をくしゃくしゃにして、後悔をするような表情をする。
私は、この二人と何か関係があるのだなと感じた。
それにと自分の手にある宝石を見た。
――この真珠はとても美しい。
この宝は、保存しなければ。
私は、頼れる陰陽師感を出して言う。
「私達は陰陽師ですから
安心して、何があったか話してくれませんか?」
二人は、口ごもり、ややあって顔を見合わせて言った。
「俺らがあいつを人魚にしてしまった」
「人魚?」
慈眼が、眉をピクリと動かして言う。
「はい、あいつ足が悪いんですよ
俺らのせいで……」
歯切れ悪く言うのに痺れを切らしたのか
不機嫌そうに慈眼が、
夫婦を睨みつけるように言う。
「はやく言え!腹が減ったんだよ俺は!」
と威嚇する虎のように吠える。
夫婦はあっけに取られて話し出した。
いわく、幼馴染だったそうだ。
年が近い子供が三人しか
いなかったせいかとても仲がよかった。
村でも有名だったそうだ。
だが。
弥吉と名乗った男は、拳を握りしめた。
「……あの日、船で珊瑚がよく取れる小島に行ったんだ。三人で
その日は不思議なほどとても潮が引いていたから
あわよくば珊瑚があるかもと思ったんだ。」
伊予が震えながら、懺悔をするように言う。
「湊はやめようって言ったの、
波がいつもより引いているって」
「でも俺たちは、二人して湊の制止を聞かずに入った。」
二人は顔を見合わせた。
「湊は浜辺に下りずに警戒するように周りを見ていた。
俺らは珊瑚を拾って、船に戻ろうとしたんだ。」
「そうしたら、急に波が大きくなってーー俺たちは波にのまれた。」
弥吉の喉が鳴る。
「湊が飛び込んできた。あいつ、昔から馬鹿みたいに泳ぎが得意で……」
そこで言葉が止まる。
慈眼が、苛立たしげに舌打ちする。
「結論から言え」
弥吉は顔を歪めた。
「俺は……伊予の名前を呼んだ」
沈黙。
弥吉は自分の耳を塞ぐ。
ぎゅっと手に力を込めて、耳を引きちぎらんばかりに。
「湊は俺の腕を掴んでた。
なのに俺は……伊予を助けてくれって」
伊予の肩が震える。
「次の波で、私は流されたの。
弥吉が……私の方へ来た。
湊の手を振り払って」
その一言で、空気が変わる。
私は手の中の真珠を見る。
ーーかすかに、真珠が、脈打った気がした。
「湊は珊瑚で足を切った。
足を……悪くした」
弥吉の声は、ほとんど掠れていた。
「俺は、あいつに礼を言った。
命の恩人だって。……でも」
言葉が続かない。
その先が気になるけど、言葉が出ない。
慈眼が低く問う。
「でも?」
「湊は、俺を見なかった」
その一言。
海風が強く吹く。
私の手の中の真珠から、震えが走る。
夫婦が同時に耳を押さえた。
手の爪で耳元に引っかき傷が出来ているのが見えた。
「まただ……!」
「聞こえるんだ、あいつの声が!」
私には、聞こえない。
慈眼に目をやると、無言で首を振られた。
ーー夫婦だけが聞こえている。
夫婦は泣きそうな顔で
「見て……って選んでくれって……!」
「俺らが足を奪ったから
あいつは俺らを呪うために!真珠を渡してくるんだ!!」
夫婦二人は、耐えきれないように耳をかきむしる。
血が出ているのが見えた。
明らかに、異常な光景。
私はぞっとする。
「あいつが死なないとこれがずっと続くんだ!
もう無理だ!無理!」
発狂するように叫びだすと、私達を押しのけて走り去っていった。
私は、自分の手元に残された真珠を見る。
「綺麗。」
薄桜色の真珠がつるりと輝く。
この真珠から一体何が聞こえるのだろうか……。
月夜が輝く夜になる。
海は月の光を抱いて静かに波の音を奏でていた。
窓際に置いた真珠が光り輝いていた。
波が来るタイミングに合わせて光りだす。
私は、夫婦二人と別れた後、宿に泊まっていた。
「こんなに美しいのに、あんなに恐れるなんて、一体どんな風に聞こえているのでしょうか」
私は、真珠の神秘的な輝きを見ながら、月明かりに照らされていた。
その桜色に光る玉を、そっと耳に寄せ、目をつむり神経を集中させる。
――やはり何も聞こえない。
「聞こえないか」
残念だなと思いながら、外の光景を見た。
静かな波が、私の耳を揺さぶる。
突然、自分に影がかかる。
慈眼だった。
私の姿を見ていたのか眉根を寄せた表情だ。
「あんまり魅入られるなよ」
慈眼が私に言うと、真珠をひょいっと拾い上げ、食べた。
「あ!」
「はぁ、腹の足しにもなりやしねぇ」
私は慈眼へ詰め寄る。
「それ!私の!
なんで食べるんですかもう!!」
そう言いながら、慈眼へ抗議をしようとしたが、手をおろして固まってしまう。
――なんて美しいのだろう。
月明かりに照らされ、白銀の髪が光り輝いている。
私は堪えきれず慈眼に伝えた。
「月明かり、似合いますね」
慈眼が、ぴたりと止まった。
目が、わずかに揺れる。
返事がない。
やがて、こちらを見た。
「……おまえほどじゃない」
笑っているのに、声がかすれていた。
胸の奥が、締め付けられる。
なんだろう、きっと私は知っている――。
聞きたいことが山ほどある。
でも、教えてくれない。
ここで聞いたら教えてくれるかも。
口を開こうとしたその時、
外から怒号が聞こえる。
「~~て!!な…!」
「~~!」
「来るな!」
あの夫婦の叫び声だった。
私達は、顔を見合わせて外へと出た。
声が聞こえる方へ走る。
◆
俺、弥吉は恐怖で頭がいっぱいだった。
浜辺には夫婦と、片足を引きずる男が言い争っていた。
目の前の男が、俺の名を呼ぶ。
「弥吉」
呼ぶな!
俺は、恐怖におびえていた。
自分達へ大量の真珠を、渡そうとする湊に
――なぜ、こんなにも渡そうとするのだろうとするのかわからない。
「なんなんだよ!湊!」
「もう!私達に関わらないで!!」
家に押しかけてきたので、慌てて逃げてきたが、足が不自由にも関わらずその足を引きずりながら、どこまでも追いかけてくる。
怖い。
俺たちは、恐怖でいっぱいだった。
湊は拒絶されても足を引きずり、手にいっぱいの真珠を差し出す。
『ーーみて、えらんでーー』
真珠から、声が聞こえる。
「やめて!」
伊予は、耳を塞ぎながら勢いよく手を叩いて拒絶した。
砂浜に散らばる真珠。
ぱらぱらと落ちていく。
それをまたかき集めて、俺達へ湊は差し出した。
そこへ昼間に出会った陰陽師の黒髪の少女と、白銀の少年が近づいてくる。
黒髪の少女が俺を見ながら、
「話くらい聞いてあげたらどうでしょうか
きっと何か伝えたいことがあるんですよ」
冷静な声で言ってくる。
俺達の恐怖もわからないくせに!
伊予は、なにもわかってない陰陽師の少女を突き飛ばし、逃げようとする。
そこへ白銀の少年が、子供とは思えない力で肩を掴み、拘束してきた。
――やめろ!
そのまま湊の方に向けられる。
私達は震えていると少年が言う。
「自分のやったことの後始末をつけろ」
青い瞳で、俺達にいら立ちを隠さない視線で、逃げないようにせき止める。
湊は、真珠を集め終わったのか、こちらへとゆっくり向かってくる。
片足を引きずる、重たい足音。
首元は不自然に膨らみ、皮膚の下で何かが光っている。
「やめろ……!」
俺は叫ぶ。
湊は、静かに首を傾げた。
怒りはない。
ただ、疲れた目をしている。
「俺はさ」
掠れた声。
「お前を助けたかったんだ」
俺は足の力が入らなくなった。
――俺は、お前を拒絶した。
「俺だって……友だちだと思ってた……!」
その言葉に、湊は目をつむりわずかに笑う。
優しくも、寂しくもない。
ただ、事実を受け入れた顔。
俺の目を見て、久々に見た優しい表情で言ってくる。
「知ってる」
真珠が、ぽとりと砂に落ちる。
手にもった真珠がばらばらと、手の指の隙間から落ちていった。
首元の膨らみがさらに大きくなる。
白銀の少年が湊にそっと言った。
「その病、喰ってやろうか?」
湊は首を振る。
俺を眺めて、白銀の少年へ告げる。
「これは渡さない、俺だけの病」
「そうか……」
首元のふくらみが裂けた。
中から真珠があふれ出す。
裂け目はまるで、エラのようだった。
体中から、膨らみが生まれ、真珠があふれ出てくる。
それは、まるで鱗のように淡く月明かりをしたためながら、静かに光る。
湊は、俺の顔を見る。
「俺は……祝われる側じゃない」
自分の首からポロリと真珠が落ちる。
その真珠に、湊の顔が映るのが見えた。
――あんな目、見たことがなかった。
湊は真珠を自分の耳にあてたあと、その真珠をぎゅっと握りしめた。
何かを決めたような表情をし、足を引きずりながら沖へ歩いていく。
「海はきれいだ」
湊は呟くように言った。
ぱしゃ……。
湊が海に入り、波が膝を、腰を飲みこむように消えていく。
湊は途中で座り込み、動かなくなった。
「俺だけの海だ。お前らには見せなくていい」
俺だけに言っているような音色で湊が言う。
「湊!」
俺が、思わず湊にかけようとするが
白銀の少年に制止された。
「お前に止める権利はない」
ざざっ――。
先ほどまで静かだった波が、急に大きくなり、湊を飲み込んだ。
急な出来事で俺たちは動けなかった。
波が去ったあと、そこには誰もいなかった。
伊予が言う。
「どこにいっちゃったの……」
その声を、海が受け止める。
砂浜に散らばった真珠が、静かに月の光を浴びて、冷たく光る。
伊予は震える手で落ちていた真珠を拾った。
「……湊、私達を許さないんだ」
崩れ落ちて伊予の手のひらから、真珠が滑り落ちる。
そのままころころと俺の手元まで転がってきた。
おそるおそる、真珠を拾って耳に当てた。
『愛している』
俺は、目から熱いものが流れ、唇が震えてうまく言葉を発せない。
目からあふれ出した涙を、砂浜が受け止め吸い上げるのが見えた。
「あぁ……ごめん。
見てなかった」
俺の手の平から離れた真珠は、そのまま波が攫って行った。
◆
私は、明らかに妖化した湊がいなくなったことで、焦っていた。
「どうしましょう! 探さないと」
私はそう言いながら、海に入ろうとした。
慈眼が、腕を掴んで止める。
「探すな」
かなり強い口調で言われる。
でも、妖になっていたら、あの病が、人に繋がると危ない。
「でも!」
「探してやるな、あいつが選んだ」
今度は、真剣な音色で言う。
私の腕を強く引き寄せた。
「でも、私は陰陽師で........」
「正しいことだけが正解とは限らない
放っておけ」
もう一度子供を叱るような口調で慈眼が言う。
私は、なぜ湊が、弥吉と話して諦めた表情をしたのかわからなかった。
そして、真珠を耳に当てて涙を流す弥吉の気持ちも。
私は、色とりどりに輝く真珠から
一つをそっと拾い、耳に当てる。
「............何も聞こえない」
真珠を月明かりに照らしてみる。
月明かりを反射して怪しく光るその欠片。
「病は美しい」
慈眼は、どかっと私の横に座った。
「自分で選んだ海は、誰にも奪えねぇ」
淡々と呟いた後、砂浜に散らばる真珠を一つ、口へ放り込む。
私の海風に揺れる髪を眺めている視線を感じる。
――何か言おうとしているのだろうか?
私は振り向いた。
慈眼は、何か言いかけて、やめる。
目を伏せて言った。
「――あぁ、腹が減った」
いつもの慈眼だった。
海へと目を向ける。
海は静かにそこにあるだけ、沖の方できらりと大きな魚が跳ねた。
気のせいだろうか、その背に、淡い桜色がひとすじ光った。
波がひときわ大きくなる。
砂浜にあった真珠をさらい、
あとは波の音だけがあたりを包んでいた。
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