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第一章 始まりのハジマリ

12.愛銃ブラックサレナ

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「なぁコノミン」


「なんだ?」



 隼人の研究室で売りに出す素材を仕分けながら返事を返す。

 

「この前の逸脱者さぁ」


「あぁ、その事か。思い出したくも無い」


「いやまぁそうだろうけど……今回もお前とんでもなくバズッてんぞ」


「バズり要素どこにあるんだ……?」


 どこにGの大群動画がバズる世界線があるんだよ。


「さぁ、分かんないけど切り抜きとかまとめ記事とか、あとはお前のブラックサレナに関しての考察動画とか、色々」


「あー……ね。そこは確かに突っ込まれるか」


 今までどこにも公表していないし、銃器禁制のダンジョンで派手にぶちかましてれば


「機関に見つかったな?」


「ふん、例え機関に嗅ぎつけられようが俺はどうと言う事は無い」


「例の計画はどうする? 奴無しにはオペレーションに支障が出る」


「かまわんさ。奴がいなくとも俺達だけで遂行する。それが俺達シャドウレジスタンスだ」


「ぷっ……! シャドウレジスタンス……! だははは! 今日もいい波乗ってんねぇ!」


「はぁ? 何だよ俺はてっきり隼人も目覚めたのかと」


「そんなわけないっしょー! ぶははは!」



 隼人はいつもこうやって俺をからかっては楽しんでいる。

 そして俺もそれを分かって付き合っている。

 俺が【ガンナー】というジョブをゲット出来たのも、ブラックサレナがここまで強くなったのも隼人の協力があってこそだからだ。



 俺は5年前、【ドラゴンシューター】というユニーク武器をたまたまゲットした。

 甲府のじいちゃんの家の近くのに出来ていた初級ダンジョン。

 まだ探索者にもなっていなかった頃、そのダンジョンの入口を見に行った時だった。



 名前も知らない通りがかりの探索者に、土産だと言って渡されたのがドラゴンシューターだった。

 名前はかっこいいが、見た目は持ち手に小さな石が付いたぼろっちいパチンコだった。



 その頃の俺は身長が小さく、12歳でありながら115センチという高さだったため、探索者の人は勘違いをしたんだろう。

 たまたま近くにいた小さな子供に、ダンジョンで得たアイテム(自分はいらない物)をお土産として渡すのはよくある事だった。



 当時はぼろいパチンコでもそりゃあ喜んだ。

 俺はそのパチンコでよく遊んだ。

 石を飛ばしたり松ぼっくりを飛ばしたり、隼人と一緒に遊びまわっていた。

 そしてとある事件が起きて、俺がダンジョンに籠り始めた頃にそれは発覚した。

 ドラゴンシューターが進化したのだ。



 それまで使っていた子供のおもちゃみたいなパチンコではなく、鳥獣被害防止などで使われている本格的なスリングショットに生まれ変わった。

 武器の名称はそのまま、しかしその性能がぶっ壊れの性能をしていたのだ。



 カテゴリーはユニークエクステンド武器。



 特性:成長進化、経験値上昇率1,5倍、LvUP時ステータス向上1,5倍、魔力上昇1,5倍。

 性能:貫通力増加、通常ダメージ+割合ダメージ10%、魔力自然回復10%、魔力弾生成、身体能力補佐。



 これが初期の性能であり、その後も成長と進化を続けていった。

 スリングショットの次は弓、次はボウガン、そして拳銃、今のブラックサレナの形になった。

 今の性能は以下の通り。



 特性:成長進化、経験値上昇率2倍、LvUP時ステータス向上率2倍、LvUP時魔力上昇率2倍。

 性能:貫通力増加、通常ダメージ+割合ダメージ50%、魔力自然回復40%ヘッドショットダメージ50%増加、ホーミング、複数ロック、形状変化、弾種選択、弾薬生成。



 と、こんな感じでかなりぶっ壊れた性能をしている。

 このステータス向上のおかげで初級の頃からステータスはもの凄い速度で爆上がりしたし、魔力自然回復のおかげで弾をほぼ無制限で撃つことが出来た。



 さらに元々付いていた小さな石が、いつの間にかジョブスフィアへ変わっていた。

 内包されていたのは今のジョブである【ガンナー】、この武器とジョブスフィアは連動しているのだろう、と解析をした隼人は言っていた。



 このジョブと武器のおかげで、【ダンジョン内での銃火器の使用は不可能】というダンジョンの仕様から外れたわけだ。

 正確に言えば飛ばしているのは鉛玉ではなく、魔力で生成された魔力玉なのだけれど。



 そんなこんながあり、今のレベルは大体2000Lvまで上がっている。

 このレベルになるまで死ぬほど苦労したけれど、俺の目的の為にはきっとまだ足りない、足りているのかもしれないが念には念を入れておきたいのだ。



 俺と隼人しか知らない俺がPKを憎む理由、そして目的を他の誰かに打ち明ける時が来るのだろうか。
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