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第二章 コーチング開始

24.変わり始めた日常

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「これでよし、っと」



 俺は佐藤さんとの通話を終えた後、キャンパスノートにするべきアドバイスや思った事をツラツラと書き溜めていた。



 たった一度きりのアドバイスのつもりだし、まとめて伝えた方がいいと思い、こうしてノートに書いているわけなのだが。



「三人かぁ」



 そう呟いて手元のほうじ茶をごくりと飲む。

 元々佐藤さんに直接アドバイスをし、他の二人用のアドバイスは佐藤さんから伝えてもらおうと思っていた。



 そのために色々と考えてはいたのだけれど、まさか実際に来る事になるとは思わなかった。

 俺みたいな一般人が大人気アイドル三人とご対面か……そう考えると妙に緊張してきた。



 念の為に調べてみたが、平凡Dガールズはどこの事務所にも所属していないようだった。

 正確に言うならば佐藤さん個人が経営しているグループ、という事になる。

 だから事務所にお伺いを立てる事もしなくていいし、その分楽なのだけれど。



「大変だろうな」



 俺はただ毎日ダンジョンを回ってPKKをし、モンスターを狩っているだけだ。

 それに比べて彼女は歌を作り、ダンスを考え、配信をし、ファンに応えるべく頑張っている。



 俺からはとても想像の付かない世界だ。

 年末になると隼人が確定申告がどうのって、いつも言っているが、佐藤さんもきっとそうなのだろう。



 隼人は税理士に丸投げしているらしいけれど、こんなボロアパートに住んでいる佐藤さんが税理士に頼むとは考えにくい。



 いや、もしかしたら税理士に頼っているのかもしれないけれど、もし一人でやっているとなると絶対に大変だろう。



「凄いなぁ。年も同じなのに、ここまで世界が違うか」



 まぁ俺は俺でやりたいように生きているし、きっと死ぬ時に看取ってくれるのは隼人くらいだろう。

 

「ん?」



 隼人の事を考えていたら、携帯に隼人からメッセージが届いた。

 佐藤さんへのアドバイスをする際、マジックアイテムやその他装備品などに関しては俺より隼人の方がいい。



 俺と隼人では知識量が圧倒的に違う。

 俺だって色々な知識は持っているけれど、隼人の持つ知識は純度が違う。

 だから予め隼人に連絡を入れ、佐藤さんとの事を話しておいたのだ。



 先ほど日程が決まった際にメッセージを送ったが、奴も大体は研究室に籠っているので大丈夫なようだ。

 そしてさらに風吹さんからもOKの返事が来た。

 後は当日が来るのを待つだけだ。
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