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第三章 波乱
45.田中翆 戸惑いの夜
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「はぁ~どうしてこんな事に~」
私は田中翆、今をときめく超人気アイドルの3番手。
そんな私がどーしてか、謎の男達に拉致されて薄暗い倉庫の一室に監禁されちゃってる~。
一緒にいた瑠璃ちゃんは大丈夫かな?
少し前までの私だったらどうしているだろう? 泣きわめく? 叫んで助けを呼ぶ? それとも頑張ってお友達になろうとする?
そのどれもやりそうだけれど、今の私はいたって冷静だったりするの。
あー拉致されちゃったぁ、程度の感情しか湧いてこないんだよねぇ。
感情が死んだとかではないと思う。
現に怖いし不安だよ~?
けど心のどこかで妙な安心感があったりもするんだ。
その安心感の正体は探らずとも分かってる。
祈と瑠璃、それにコーチと隼人さんの存在。
きっとどうにかこうにかして、助けに来てくれるって私は信じているんだぁ。
だからこうして冷静でいられるの。
それとコーチの地獄のような特訓のおかげで、恐怖への耐性が付いた――のかな?
もしこれで殴る蹴るとかの暴行を受けていたら、話はまた違ってくるのかもしれないけれど、私がここに拉致されてからはとっても静か。
手首と足首が縛られているけれど、目隠しや猿轡なんかはされていない。
雑に扱われてはいるけど、手荒な真似をしては来なさそう。
というより、私が誰なのかを分かっている人もいて、そわそわしながら私をチラチラ見てくる人もいるんだよねぇ。
ガラは悪そうだけれど、目が合った際ににっこり笑顔をプレゼントしたら顔を赤くして、逃げるようにどこかへ行っちゃった。
ちょっと可愛いって思っちゃったのは内緒ね。
「はぁ……今何時だろ? こんなかび臭い所にいたらお肌荒れちゃう~」
とか呑気な事を考えていた時だった。
いきなりドッゴォオン! という爆発音が聞こえてきたの~。
それには私も驚いておひゃあ! と何とも情けない声を出しちゃって。
急いで立ち上がって周りを見回したけれど、それっぽい痕跡は見えなかった。
なのでうさぎ跳びの要領でぴょんぴょんと跳ねて、騒ぎの原因を探したの。
そしたらね、
「翆ちゃん! 無事か!」
「だいじょぶ~って誰!?」
ぴょんぴょんしていると、私の無事を確かめる声が後ろから聞こえたの。
思わず振り向いたけれど、そこに立っていたのはさっきのガラの悪い男だった。
「お、おおおお俺、あのわたっしがああぼぼ僕はす、すす翆ちゃんのふぁ、ファンでして!」
「へぇ~? おにーさん、私のファン~? ありがとぉ~」
「うっは! やっべぇ! 生で会話してるよ俺おほおお!」
「おにーさん……大丈夫?」
私がにこやかに返事をしたら、おにーさんはまた顔を真っ赤にして私に背中を向けちゃった。
それでぶつぶつと独り言を呟いている。
かと思えば勢いよくこっちを向いてまくしたてるように喋り出したの、このおにーさん情緒不安定すぎじゃない?
「そ、そうだ! こうしちゃいられねぇ! 襲撃だ! きっと他のグループの奴らだ! 捕えてるのが翆ちゃんだとどこかから漏れたんだろう! だから急いで逃げるんだ!」
「ほぇ~物騒ですねぇ」
「ぐっは……可愛い……尊い……」
「えへへ、ありがとぉ~」
という事でおにーさんにお姫様抱っこされた私は、おにーさんのなすがままに運ばれていった。
おにーさんに運ばれている途中、何人もの人とすれ違ったけれど、その誰もが忙しそうに動いていて私の事は見えていないみたいだった。
そうして運ばれていった私は、倉庫から出た時に予想外の光景を見る事になったの。
私は田中翆、今をときめく超人気アイドルの3番手。
そんな私がどーしてか、謎の男達に拉致されて薄暗い倉庫の一室に監禁されちゃってる~。
一緒にいた瑠璃ちゃんは大丈夫かな?
少し前までの私だったらどうしているだろう? 泣きわめく? 叫んで助けを呼ぶ? それとも頑張ってお友達になろうとする?
そのどれもやりそうだけれど、今の私はいたって冷静だったりするの。
あー拉致されちゃったぁ、程度の感情しか湧いてこないんだよねぇ。
感情が死んだとかではないと思う。
現に怖いし不安だよ~?
けど心のどこかで妙な安心感があったりもするんだ。
その安心感の正体は探らずとも分かってる。
祈と瑠璃、それにコーチと隼人さんの存在。
きっとどうにかこうにかして、助けに来てくれるって私は信じているんだぁ。
だからこうして冷静でいられるの。
それとコーチの地獄のような特訓のおかげで、恐怖への耐性が付いた――のかな?
もしこれで殴る蹴るとかの暴行を受けていたら、話はまた違ってくるのかもしれないけれど、私がここに拉致されてからはとっても静か。
手首と足首が縛られているけれど、目隠しや猿轡なんかはされていない。
雑に扱われてはいるけど、手荒な真似をしては来なさそう。
というより、私が誰なのかを分かっている人もいて、そわそわしながら私をチラチラ見てくる人もいるんだよねぇ。
ガラは悪そうだけれど、目が合った際ににっこり笑顔をプレゼントしたら顔を赤くして、逃げるようにどこかへ行っちゃった。
ちょっと可愛いって思っちゃったのは内緒ね。
「はぁ……今何時だろ? こんなかび臭い所にいたらお肌荒れちゃう~」
とか呑気な事を考えていた時だった。
いきなりドッゴォオン! という爆発音が聞こえてきたの~。
それには私も驚いておひゃあ! と何とも情けない声を出しちゃって。
急いで立ち上がって周りを見回したけれど、それっぽい痕跡は見えなかった。
なのでうさぎ跳びの要領でぴょんぴょんと跳ねて、騒ぎの原因を探したの。
そしたらね、
「翆ちゃん! 無事か!」
「だいじょぶ~って誰!?」
ぴょんぴょんしていると、私の無事を確かめる声が後ろから聞こえたの。
思わず振り向いたけれど、そこに立っていたのはさっきのガラの悪い男だった。
「お、おおおお俺、あのわたっしがああぼぼ僕はす、すす翆ちゃんのふぁ、ファンでして!」
「へぇ~? おにーさん、私のファン~? ありがとぉ~」
「うっは! やっべぇ! 生で会話してるよ俺おほおお!」
「おにーさん……大丈夫?」
私がにこやかに返事をしたら、おにーさんはまた顔を真っ赤にして私に背中を向けちゃった。
それでぶつぶつと独り言を呟いている。
かと思えば勢いよくこっちを向いてまくしたてるように喋り出したの、このおにーさん情緒不安定すぎじゃない?
「そ、そうだ! こうしちゃいられねぇ! 襲撃だ! きっと他のグループの奴らだ! 捕えてるのが翆ちゃんだとどこかから漏れたんだろう! だから急いで逃げるんだ!」
「ほぇ~物騒ですねぇ」
「ぐっは……可愛い……尊い……」
「えへへ、ありがとぉ~」
という事でおにーさんにお姫様抱っこされた私は、おにーさんのなすがままに運ばれていった。
おにーさんに運ばれている途中、何人もの人とすれ違ったけれど、その誰もが忙しそうに動いていて私の事は見えていないみたいだった。
そうして運ばれていった私は、倉庫から出た時に予想外の光景を見る事になったの。
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