拝啓、いつかの僕達へ ~枯澄高校天文学部活動記録~

一☆一

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ハルナ

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 ガクンガクンと体が無造作に揺らされるのに耐えかねて、俺は起きた。
 寝起きはいい方ではないので、幾らかの不快感が心中に募るが、御構い無しと俺の身体は揺れ続ける。

「起きろ起きろよほら起きろ起きろっつの起きろっつんてんだろ!!」

 耳に届くはそんな女らしさとは程遠いような、暴力的な口調のモーニングコール。瞼を開けると、俺の身体を無造作に蹴り続ける、昨日の女子生徒がいた。
 そして、短いスカートは俺がまだ寝転んでいる事もありなんの防御もやはり果たしていなかった。何故わざわざ短くしてしまうのか。これがわからない。

「……起きる、起きるよ……朝から騒がしいな」

 苦言を呈すと、その女子生徒は、はあ!? と声を荒げた。

「テメエが全ッ………………然!! 起きないから起こしてやったんだろ! 遅刻して理由でも聞かれてみろ、俺や先輩達まで迷惑かかんだろうが!」

 ……そこまで起きなかったのか。そういえば、何時も俺に不快感と共に意識をプレゼントしてくれる愛用の目覚まし時計は、此処にはない。

「……それは……すまん。結局此処って何なんだ? 正式な部活……では、無いんだよな」
「ん? まぁなー。使われてない教室で、なんかコソコソ星見てるっつーだけの……ま、擬似部活、同好会みたいなもんだな。バレたらそりゃ、怒られるが」

 何処か楽しそうに、その女子生徒は言う。そのスリルすら含めて楽しんでいるような、それでいて、本当に星が心底好きなような口ぶりで。

「つーわけで、また気が向いたら来いよ。ってかもう半分部員みたいなもんじゃね?」
「? 何で……そう思うんだ」
「は? だって昨日、お前楽しんでたろ」

 当然の事のように、指を突きつけてそう言うそいつに、俺は何も言えなかった。

 ──楽しんでた……のか。

 信じられず、しかし否定も出来なかった俺は、半ば茫然自失の体で、突きつけられた指先を見る。

「一回星見て、綺麗だ・・・って思って……そんで、楽しいって。また見たいって思えたら、そいつはもう虜だよ。逃げられねえ。だから俺もこうして、此処にいるんだから」

 何処までも楽しそうに、誇らしげに胸を張って、語るそいつを、俺は──

「っやべえ! もうホームルームが始まっちまう! おい、手前も早くしろ、急げ! 俺先に出てっから……!!」

 バタバタと慌て、傍に置いていた制鞄を引っ掴んでドアを開け放って廊下に繰り出そうとするそいつに、俺は叫んだ。

「あっ……待て、お前、名前は!」
「あ? ハルナだよ、カミサト、ハルナ!」

 言い捨てて駆けていくハルナ。

 何処までも楽しそうに、誇らしげに胸を張って、語るそいつを──俺は、羨ましいと、感じてしまったのだ──
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