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第三王子編
ニシヘヒガシヘ
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「降伏するか?あがなうか?」
「知ってるだろ……。」
ギルはクッと喉の奥で笑った。
どうやら考えは同じようだ。
降伏すれば、誰も死なず傷付かず済むかもしれない。
だが、捕虜扱いだ。
王子とて例外ではない。
だがあがなえば、南の国との戦争のきっかけになりかねない。
わかっている。
それでも、やられっぱなしと言うのは腹に据えかねる。
相手の思い通りになるなどつまらないだろう。
遠くに南の軍が見えて来た。
「……なぁ、まさかとは思うが、誰も殺すなとか言わないよな?」
「殺されずにが優先だ。殺さずにすむなら越したことはないがな。」
ギルはそう言って、近くの隊員に王子達を馬に乗り換えさせるよう指示した。
馬車の馬を使うとしても足りないだろう。
俺は馬を降り、それを連れさせた。
その瞬間、ギルの顔が強張った。
それが何を意味するのかわかったからだ。
だが、奥歯を噛み締めて顔を伏せた。
それより他にいい方法を見いだせなかったのだろう。
「サーク……。」
「シルク!!来い!!」
俺は何も言わずシルクを呼んだ。
少し後ろで様子を見ていたシルクも馬を降りた。
俺と同じように奥に向かう隊員に馬を預ける。
こちらに来たシルクは、すでにいつぞやギルに買ってもらった三日月刀二本を特殊なベルトで腰につけていた。
「呼んだ?主?」
「……ああ。」
何故呼んだのかは、馬を渡したのだから理解しているだろう。
シルクはとても嬉しそうににっこり笑った。
俺は無言のまま、軽くハグする。
「悪いな。」
「全然?むしろ今呼ばなかったら刺してたよ。」
冗談交じりにシルクは笑った。
こいつに刺されるのは怖いな?
でもある意味、一思いにやってくれそうだから楽なのかもしれない。
そんなことを思う。
シルクから体を離しギルを見上げた。
「……この場は俺とシルクで持つ。異論はないな?」
ギルの目が珍しく迷っていた。
俺とシルクを残すのが、一番、少人数で確実に足止めが可能なのはわかっているはずだ。
少しの沈黙の後、ギルは言った。
「……他にいるものは?」
「かえって邪魔だ。」
「そうか……。」
頭ではわかっていても、割りきれないのが人の情だ。
トップと言うのは、その時、酷な選択を選ばないとならない。
それをさせざる負えなかった。
無表情の中の苦悩を感じ、悪いと思う。
だが言わなかった。
「……いざと言う時は、俺とシルクは切れ。俺たちは勝手にする。そしてそれが可能だ。」
「だろうな……。」
「お前はこの一団の長だ。それを忘れるな。準備が出来たら行け。」
遠くで雄叫びが上がった。
こちらの様子を見て、向こうから来る気になったようだ。
俺はギルに背を向け、それと向き合った。
「シルク、抜刀を許可する。好きに踊れ。」
「わかった。」
ベルトから小刀を抜き、掌に刺す。
流れ出る血を腕に塗った。
そしてそのまま、大きめの炎蛇を一匹出し、騒々しい連中との間の壁とした。
炎蛇の威嚇に彼らは一瞬怯み、進行が止まった。
「ギル……ちょっと耳貸して?」
俺がそうしている間に、シルクはにこにことギルに話しかけていた。
硬い表情のギルが話を聞こうと馬上の体を傾ける。
シルクはニヤッと笑って、ギルの顔をぐいっと引っ張ると口付けをした。
それも音が周囲に漂うような濃厚なやつを……。
思わずまわりが息を飲んだが気にも止めない。
くちゅっと音をさせて顔が離れる。
「行ってくるね?いい子で待っててね。」
「……ああ、待っている。」
後ろで聞こえたギルの声は幾分柔らかかった気がした。
シルクが俺の方に歩いてくる。
俺達はもう、後ろを振り向かなかった。
「お待たせ、主。」
「遅ぇぞ、馬鹿。」
俺たちは並んで立った。
そしてただ、挑戦的に前を睨んた。
後ろで馬の嘶きと、慌ただしい蹄の音がする。
俺はゆっくり歩き出した。
その横をシルクが並ぶ。
「あれで全部?」
「さぁ?」
シルクが抜刀した。
二本の三日月刀が白く光る。
「全部殺せば良い?」
「ん~。殺されずにが最優先、殺さずに済むなら越したことはないってさ。」
「ええ~!?殺した方が楽じゃん!!」
「まぁそう言うな。俺たちは足止めだ。皆が逃げる時間、こいつらを後ろにやらなければいい。」
「は~い。」
炎蛇の壁をすり抜けたのか一人の兵士が向かってきた。
それをシルクが音もなく斬り捨てる。
相変わらず恐ろしく、そして美しい。
「……いくぞ。」
「了解っ!!」
シルクはそう言うと、しなやかな体のバネを使って、軽々と炎蛇の壁を飛び越えた。
何の音もない。
ふわりと着地した時には、周囲は血に染まっていた。
シルクが動く。
音もなく流れ、その度に血飛沫が上がる。
演舞は舞いだ。
踊らせたら、シルクの右に出るものはいないだろう。
血の華を咲かせて、シルクが踊る。
鮮血の飛び散る中にシルクの伸ばされた白い後ろ髪が、弧を描いて優雅に流れる。
何度見ても恐ろしい。
そして、何より美しい。
「うわあぁぁっ!!」
兵士のひとりが叫びながら俺に向かってきた。
呼吸を整え、全身に魔力を流す。
身体強化を行い、向かってきた兵士の胸を渾身の力で殴り付けた。
後から襲い掛かろうとしていた兵士ごとふっ飛んで行く。
俺は瞬間的に切り替えを行い、風の矢を無数に生み出した。
そのまま、軍隊に向かってそれを放つ。
頑丈な鎧に風の矢はあまり効果はないが、固まっている兵士達の間、鎧の間にその風は入り込む。
パチンっと指を鳴らした。
「うわあぁぁっ!?」
次の瞬間、兵士たちは爆発的に炎に包まれた。
俺は何の効果もない風の矢を放った訳じゃない。
あれは水素の塊だ。
頑丈な鎧を着ていたって、中に空気が入る隙間はある。
だから中から攻撃してしまえば、鎧の強度は関係のない事なのだ。
すぐに身体強化に切り替え、襲ってくる兵士に対応する。
俺とシルクの隙をついて抜け出す者を、壁を担った炎蛇が飲み込んでいく。
「何だよ……こいつら……。」
南の国の兵士が、誰とでもなく呟いた。
たったふたりで武装した一部隊に向かってきた時は、鼻で笑うかのような顔だったのに今はひきつった顔をしている。
「悪いな。売られた喧嘩は買う性分でね。」
ニヤッと俺は笑った。
その横で、ふわりとシルクが妖艶な笑みを浮かべる。
「ヤバ~い。俺、興奮してきたかも~。」
顔についた血を舐める。
さすがにどうかと思ったので、魔術で拭ってやった。
「シルク、他人の血は簡単に舐めるな。病気になっても知らないぞ?」
「は~い。気を付けます~。」
シルクは狩りを楽しむ豹のように、しなやかな素早さで敵を斬り捌いていく。
獅子の牙を抜くと言う言葉があるが、今のシルクはその逆だ。
牙と爪を得て、思うがまま謳歌している。
我ながら、恐ろしい男の主になったもんだ。
少し笑えた。
「そんじゃま、どっこいしょっ!!」
思わず出た掛け声がオッサンくさかった。
ちょっと恥ずかしい。
シルクに任せてばかりなのも悪いので、少し大きめの魔術の公式を解した。
フォン……っと言う微かな音をさせて、部隊の真ん中に巨大な魔方陣が現れる。
「……開け。」
俺がそれを展開すると、ガバッと大地か割れた。
そこに兵士たちが落ちていく。
どんどん大きくなる割れ目に逃げ惑う兵士をシルクがサクサクと斬っていく。
俺はまた水素の風の矢を無数に放った。
鎧に関係なく、爆発的に燃え上がる。
正直、シルクにスパッと切られた方が楽だよな。
火傷って後々痛いし。
まぁ動けなくなるくらいで調整しているから、大丈夫だろう。
あれだけ居た兵士達は、動ける者は既に半数になっている。
顔つきも明らかに戦意を喪失している。
時間も頃合いだし、そろそろ撤退を考えてもいいだろうと、俺は思っていた。
「知ってるだろ……。」
ギルはクッと喉の奥で笑った。
どうやら考えは同じようだ。
降伏すれば、誰も死なず傷付かず済むかもしれない。
だが、捕虜扱いだ。
王子とて例外ではない。
だがあがなえば、南の国との戦争のきっかけになりかねない。
わかっている。
それでも、やられっぱなしと言うのは腹に据えかねる。
相手の思い通りになるなどつまらないだろう。
遠くに南の軍が見えて来た。
「……なぁ、まさかとは思うが、誰も殺すなとか言わないよな?」
「殺されずにが優先だ。殺さずにすむなら越したことはないがな。」
ギルはそう言って、近くの隊員に王子達を馬に乗り換えさせるよう指示した。
馬車の馬を使うとしても足りないだろう。
俺は馬を降り、それを連れさせた。
その瞬間、ギルの顔が強張った。
それが何を意味するのかわかったからだ。
だが、奥歯を噛み締めて顔を伏せた。
それより他にいい方法を見いだせなかったのだろう。
「サーク……。」
「シルク!!来い!!」
俺は何も言わずシルクを呼んだ。
少し後ろで様子を見ていたシルクも馬を降りた。
俺と同じように奥に向かう隊員に馬を預ける。
こちらに来たシルクは、すでにいつぞやギルに買ってもらった三日月刀二本を特殊なベルトで腰につけていた。
「呼んだ?主?」
「……ああ。」
何故呼んだのかは、馬を渡したのだから理解しているだろう。
シルクはとても嬉しそうににっこり笑った。
俺は無言のまま、軽くハグする。
「悪いな。」
「全然?むしろ今呼ばなかったら刺してたよ。」
冗談交じりにシルクは笑った。
こいつに刺されるのは怖いな?
でもある意味、一思いにやってくれそうだから楽なのかもしれない。
そんなことを思う。
シルクから体を離しギルを見上げた。
「……この場は俺とシルクで持つ。異論はないな?」
ギルの目が珍しく迷っていた。
俺とシルクを残すのが、一番、少人数で確実に足止めが可能なのはわかっているはずだ。
少しの沈黙の後、ギルは言った。
「……他にいるものは?」
「かえって邪魔だ。」
「そうか……。」
頭ではわかっていても、割りきれないのが人の情だ。
トップと言うのは、その時、酷な選択を選ばないとならない。
それをさせざる負えなかった。
無表情の中の苦悩を感じ、悪いと思う。
だが言わなかった。
「……いざと言う時は、俺とシルクは切れ。俺たちは勝手にする。そしてそれが可能だ。」
「だろうな……。」
「お前はこの一団の長だ。それを忘れるな。準備が出来たら行け。」
遠くで雄叫びが上がった。
こちらの様子を見て、向こうから来る気になったようだ。
俺はギルに背を向け、それと向き合った。
「シルク、抜刀を許可する。好きに踊れ。」
「わかった。」
ベルトから小刀を抜き、掌に刺す。
流れ出る血を腕に塗った。
そしてそのまま、大きめの炎蛇を一匹出し、騒々しい連中との間の壁とした。
炎蛇の威嚇に彼らは一瞬怯み、進行が止まった。
「ギル……ちょっと耳貸して?」
俺がそうしている間に、シルクはにこにことギルに話しかけていた。
硬い表情のギルが話を聞こうと馬上の体を傾ける。
シルクはニヤッと笑って、ギルの顔をぐいっと引っ張ると口付けをした。
それも音が周囲に漂うような濃厚なやつを……。
思わずまわりが息を飲んだが気にも止めない。
くちゅっと音をさせて顔が離れる。
「行ってくるね?いい子で待っててね。」
「……ああ、待っている。」
後ろで聞こえたギルの声は幾分柔らかかった気がした。
シルクが俺の方に歩いてくる。
俺達はもう、後ろを振り向かなかった。
「お待たせ、主。」
「遅ぇぞ、馬鹿。」
俺たちは並んで立った。
そしてただ、挑戦的に前を睨んた。
後ろで馬の嘶きと、慌ただしい蹄の音がする。
俺はゆっくり歩き出した。
その横をシルクが並ぶ。
「あれで全部?」
「さぁ?」
シルクが抜刀した。
二本の三日月刀が白く光る。
「全部殺せば良い?」
「ん~。殺されずにが最優先、殺さずに済むなら越したことはないってさ。」
「ええ~!?殺した方が楽じゃん!!」
「まぁそう言うな。俺たちは足止めだ。皆が逃げる時間、こいつらを後ろにやらなければいい。」
「は~い。」
炎蛇の壁をすり抜けたのか一人の兵士が向かってきた。
それをシルクが音もなく斬り捨てる。
相変わらず恐ろしく、そして美しい。
「……いくぞ。」
「了解っ!!」
シルクはそう言うと、しなやかな体のバネを使って、軽々と炎蛇の壁を飛び越えた。
何の音もない。
ふわりと着地した時には、周囲は血に染まっていた。
シルクが動く。
音もなく流れ、その度に血飛沫が上がる。
演舞は舞いだ。
踊らせたら、シルクの右に出るものはいないだろう。
血の華を咲かせて、シルクが踊る。
鮮血の飛び散る中にシルクの伸ばされた白い後ろ髪が、弧を描いて優雅に流れる。
何度見ても恐ろしい。
そして、何より美しい。
「うわあぁぁっ!!」
兵士のひとりが叫びながら俺に向かってきた。
呼吸を整え、全身に魔力を流す。
身体強化を行い、向かってきた兵士の胸を渾身の力で殴り付けた。
後から襲い掛かろうとしていた兵士ごとふっ飛んで行く。
俺は瞬間的に切り替えを行い、風の矢を無数に生み出した。
そのまま、軍隊に向かってそれを放つ。
頑丈な鎧に風の矢はあまり効果はないが、固まっている兵士達の間、鎧の間にその風は入り込む。
パチンっと指を鳴らした。
「うわあぁぁっ!?」
次の瞬間、兵士たちは爆発的に炎に包まれた。
俺は何の効果もない風の矢を放った訳じゃない。
あれは水素の塊だ。
頑丈な鎧を着ていたって、中に空気が入る隙間はある。
だから中から攻撃してしまえば、鎧の強度は関係のない事なのだ。
すぐに身体強化に切り替え、襲ってくる兵士に対応する。
俺とシルクの隙をついて抜け出す者を、壁を担った炎蛇が飲み込んでいく。
「何だよ……こいつら……。」
南の国の兵士が、誰とでもなく呟いた。
たったふたりで武装した一部隊に向かってきた時は、鼻で笑うかのような顔だったのに今はひきつった顔をしている。
「悪いな。売られた喧嘩は買う性分でね。」
ニヤッと俺は笑った。
その横で、ふわりとシルクが妖艶な笑みを浮かべる。
「ヤバ~い。俺、興奮してきたかも~。」
顔についた血を舐める。
さすがにどうかと思ったので、魔術で拭ってやった。
「シルク、他人の血は簡単に舐めるな。病気になっても知らないぞ?」
「は~い。気を付けます~。」
シルクは狩りを楽しむ豹のように、しなやかな素早さで敵を斬り捌いていく。
獅子の牙を抜くと言う言葉があるが、今のシルクはその逆だ。
牙と爪を得て、思うがまま謳歌している。
我ながら、恐ろしい男の主になったもんだ。
少し笑えた。
「そんじゃま、どっこいしょっ!!」
思わず出た掛け声がオッサンくさかった。
ちょっと恥ずかしい。
シルクに任せてばかりなのも悪いので、少し大きめの魔術の公式を解した。
フォン……っと言う微かな音をさせて、部隊の真ん中に巨大な魔方陣が現れる。
「……開け。」
俺がそれを展開すると、ガバッと大地か割れた。
そこに兵士たちが落ちていく。
どんどん大きくなる割れ目に逃げ惑う兵士をシルクがサクサクと斬っていく。
俺はまた水素の風の矢を無数に放った。
鎧に関係なく、爆発的に燃え上がる。
正直、シルクにスパッと切られた方が楽だよな。
火傷って後々痛いし。
まぁ動けなくなるくらいで調整しているから、大丈夫だろう。
あれだけ居た兵士達は、動ける者は既に半数になっている。
顔つきも明らかに戦意を喪失している。
時間も頃合いだし、そろそろ撤退を考えてもいいだろうと、俺は思っていた。
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