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第三王子編
危険な生還
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可愛い姿に見とれていたが、ウィルにばかりやらせてはいられない。
俺は立ち上がって埃を払った。
「シルク、もう少し頑張れるか?」
「余裕でしょ?ウィルばっかり働かせられないし。」
俺に習って立ち上がったシルクは、ぐいぐいとストレッチをしている。
柔らかい体を伸ばす様は本当、猫みたいだ。
「おそらくウィルから合図が来る。それに従え。」
そういった瞬間、何故かシルクが固まった。
物凄い青い顔で俺を振り返る。
「……ねぇ……まさかと思うけど……あれに乗るの……??」
「多分。」
「やだよ!俺!鳥とか飛ぶもの嫌い!!」
「じゃあ頑張って歩いて帰れ。」
「主の意地悪っ!!」
シルクが駄々をこねたが放っておいた。
まぁ、ワガママが出るくらい気持ちに余裕が出来たのだろう。
ウィルの乗るヴィオールは何度も空に飛び上がり、下降する動きを繰り返していたが、段々とその動きが悪くなっていた。
当然だ。
風がないまま、あの巨体を何度も羽ばたきで持ち上げているのだ。
その羽ばたきも敵陣にとったら、驚異なのだけれども。
俺は上昇するヴィオールに合わせて風を送った。
風を受けたヴィオールはそれを利用して素早く空に舞い上がる。
背に乗るウィルが俺を見て笑った気がした。
「う~ん。久しぶり過ぎて、何もかもが可愛い……。」
俺は向かってきた兵士の首を締め上げた。
気持ちが高まっていたせいで、危うく殺しかけてしまった。
気を付けないと。
ウィルは風の抵抗から目と呼吸を守るために、ゴーグルとマスクをしていた。
見慣れないその姿もまたカッコ良くて、非常に可愛い。
いつの間に作ったのか、ヴィオールには馬具のようなものがつけてある。
さすがは竜の谷の民だ。
自在にヴィオールを操り、竜と槍で敵を翻弄する様は、物語に出てくる竜騎士そのものだった。
ウィルが強いのはわかっていたが、その強さは竜に乗ってこそ本領を発揮するようだ。
「どうしよう……。死ぬほど可愛いんだけど……。」
目がハートになると言うが、きっと今の俺はそんな感じだ。
横で敵を斬り捌いていたシルクが呆れたようにため息をついた。
「……あれを可愛いって思う主の感覚がわかんない……。俺は怖いくらいカッコいいと思うけど……。」
「そこが!そこが痺れるくらい可愛いんじゃないか!!」
「……ウィルに関しては、主がおかしいって事がよくわかった……。」
シルクは諦めたようにそれ以上何も言わなかった。
何でだよ!?
あんなに可愛いのに!!
俺はタイミングを見ながらヴィオールに風を送り、戦闘を続けた。
突然の竜の出現と攻撃に、敵陣は烏合の集のようになっていた。
そこにまた俺とシルクが加わったものだから、それこそ大惨事だ。
ほとんどの者は戦意を喪失して、蟻のようにバラバラと逃げていく。
まぁ絵本でしか知らない竜が出てきたら、そうなるよな?
あの雄叫びは俺でもビビったし。
その時、俺の耳に高い音が聞こえた。
ハッとして顔をあげると、ウィルが指笛を吹いている。
そして大きく旋回し、低空飛行で俺たちの方に向かってきた。
「ぎ……っ!ぎゃああぁぁ~っ!!」
これは敵の悲鳴じゃない。
シルクの悲鳴だ。
そして刀をしまうと、尻尾を巻いて一目散に逃げ始めた。
「おいシルク!?何やってんだ!?」
「やだやだやだやだっ!!飛んでるヤツ怖いっ!!」
俺は炎蛇にその場を任すと、慌ててシルクを追っかけた。
迫り来るヴィオールにシルクは悲鳴をあげる。
「ぎゃああぁぁ~っ!!」
「落ち着けっ!!」
俺は仕方なくシルクを取っ捕まえた。
その時ちょうどウィルとヴィオールが後ろにつけたので、そのまま力任せにシルクをぶん投げた。
「ぎゃああぁぁっ!!」
うるさいことこの上ない。
ウィルはシルクをキャッチすると、一度上昇し始めた。
もう一度降りて俺を拾うつもりだろうが、シルクのあの取り乱しようでは、暴れて上手く下降出来ないだろう。
そう判断した俺は、ウィルを真似て指笛を吹いた。
ちらりとウィルが俺を見る。
ここはお互いの考えが同じことを祈るしかない。
ヴィオールは上昇し始め、そして俺はその片足にしがみついた。
ヴィオールも反対の足を添えて俺を押さえる。
爪が肩に軽く食い込んで少し痛かったが、攻撃するつもりで掴んでいる訳ではないので我慢する。
そしてそのまま空高く舞い上がった。
「……ぎっぎゃああぁぁっ!!」
ちなみにこれは俺の悲鳴だ。
ヴィオールで空は何度か飛んだが、それは背中の上だ。
こんな足に捕まって宙ぶらりんで飛んだ事はない。
めちゃくちゃ怖い!!
「サークっ!!」
気流に乗って安定したところで、ウィルがマスクを外し、逆さまになって俺を覗き込んだ。
え?何それ??
どうやってるの?ウィル??
半泣きの俺を見て、ゴーグルのウィルが苦笑いする。
いや、死ぬほど怖いのよ?これ??
ウィルは本当にどうやっているのか、器用にヴィオールの体を伝って俺に近づいた。
だが手を伸ばしても届かない距離。
涙目の俺。
考え込むウィル。
「ウィル~!タ~ス~ケ~テ~ッ!」
「……ごめん、サーク。俺を信じて?」
そしてウィルが申し訳無さそうに言った。
何だろう?
嫌な予感しかしない……。
ウィルが上に戻り姿が見えなくなった瞬間、ヴィオールの爪が俺の肩を離した。
半ばパニックの俺が、腕だけで捕まっていられる訳がない。
真っ逆さまに空に放り出される。
「ぎゃああぁぁっ!!ウィルの馬鹿~っ!!」
わかってる。
多分、そうするしかないのだ。
ないのだけれども、怖すぎるだろ!?
殺す気なのか!?
とりあえず、空気抵抗を高めるために、俺は体を広げた。
よくその判断ができたと自分を褒めてやりたい。
旋回してきたヴィオールが下に近づいてくる。
「……サークっ!!」
ウィルが手綱を握らない片手を広げて叫んだ。
ドスンと俺はウィルの腕の中に落っこちる。
「痛たたた……。サーク!?大丈夫か!?」
一緒に倒れ込んだウィルがそう言った。
ウィルの片腕はちゃんと俺の服をしっかり掴んでいてくれた。
「……大丈夫じゃないっ!!死ぬかと思ったっ!!」
ありがとうよりも先に恨み言が出てしまう。
そしてガバッとウィルに抱きついた。
「死ぬほど怖かった~!!」
「だったら足に捕まるなんて無謀な選択しないでくれ。あれは谷の人間でもあまりやらないぞ?」
「だって、それしかなかったから~!!」
「うん。よく頑張ったな。」
ぎゅっと抱き締められ、凄く安心した。
ああ、ウィルだ。
俺の格好いいお姫様だ。
「……来てくれてありがとう。ウィル。」
「いいよ。間に合って良かった。サークとシルクが足止めに残ったって早馬の知らせを聞いた時は、生きた心地がしなかったから……。」
「ごめん……。」
そうやって抱き締めてもらって、俺はある程度落ち着きを取り戻した。
そしてふと気がついた。
「そう言えば、シルクは??」
俺の言葉にウィルはまた苦笑いした。
そしてヴィオールの首の方を見る。
つられてそちらに目を向けると、シルクが必死にヴィオールの首にしがみついていた。
あんまりにも必死にしがみついていたいるから、なんかちょっとヴィオールが苦しそうな気がしてしまう。
「……何か、人には見せられない姿だな。」
「そんな事言って。サークだって初めて乗った時、あんな感じだったよ?」
「え!?マジ??」
「うん、マジ。」
ウィルにそう言われ、俺は恥ずかしくなってしまった。
そんな俺をウィルがくすくすと笑う。
ウィルはヴィオールの背骨の脇の窪みに置いていた槍を取った。
手綱を握る自分の前に槍を置き、俺に両脇から槍を掴むように指示した。
なるほど、これで俺はウィルにくっついていれば良いのね?
体が安定して回りを見る余裕が出来た。
風を掴んで空を飛ぶと、本当に早い。
もう、国境の外壁が近づいていた。
俺は立ち上がって埃を払った。
「シルク、もう少し頑張れるか?」
「余裕でしょ?ウィルばっかり働かせられないし。」
俺に習って立ち上がったシルクは、ぐいぐいとストレッチをしている。
柔らかい体を伸ばす様は本当、猫みたいだ。
「おそらくウィルから合図が来る。それに従え。」
そういった瞬間、何故かシルクが固まった。
物凄い青い顔で俺を振り返る。
「……ねぇ……まさかと思うけど……あれに乗るの……??」
「多分。」
「やだよ!俺!鳥とか飛ぶもの嫌い!!」
「じゃあ頑張って歩いて帰れ。」
「主の意地悪っ!!」
シルクが駄々をこねたが放っておいた。
まぁ、ワガママが出るくらい気持ちに余裕が出来たのだろう。
ウィルの乗るヴィオールは何度も空に飛び上がり、下降する動きを繰り返していたが、段々とその動きが悪くなっていた。
当然だ。
風がないまま、あの巨体を何度も羽ばたきで持ち上げているのだ。
その羽ばたきも敵陣にとったら、驚異なのだけれども。
俺は上昇するヴィオールに合わせて風を送った。
風を受けたヴィオールはそれを利用して素早く空に舞い上がる。
背に乗るウィルが俺を見て笑った気がした。
「う~ん。久しぶり過ぎて、何もかもが可愛い……。」
俺は向かってきた兵士の首を締め上げた。
気持ちが高まっていたせいで、危うく殺しかけてしまった。
気を付けないと。
ウィルは風の抵抗から目と呼吸を守るために、ゴーグルとマスクをしていた。
見慣れないその姿もまたカッコ良くて、非常に可愛い。
いつの間に作ったのか、ヴィオールには馬具のようなものがつけてある。
さすがは竜の谷の民だ。
自在にヴィオールを操り、竜と槍で敵を翻弄する様は、物語に出てくる竜騎士そのものだった。
ウィルが強いのはわかっていたが、その強さは竜に乗ってこそ本領を発揮するようだ。
「どうしよう……。死ぬほど可愛いんだけど……。」
目がハートになると言うが、きっと今の俺はそんな感じだ。
横で敵を斬り捌いていたシルクが呆れたようにため息をついた。
「……あれを可愛いって思う主の感覚がわかんない……。俺は怖いくらいカッコいいと思うけど……。」
「そこが!そこが痺れるくらい可愛いんじゃないか!!」
「……ウィルに関しては、主がおかしいって事がよくわかった……。」
シルクは諦めたようにそれ以上何も言わなかった。
何でだよ!?
あんなに可愛いのに!!
俺はタイミングを見ながらヴィオールに風を送り、戦闘を続けた。
突然の竜の出現と攻撃に、敵陣は烏合の集のようになっていた。
そこにまた俺とシルクが加わったものだから、それこそ大惨事だ。
ほとんどの者は戦意を喪失して、蟻のようにバラバラと逃げていく。
まぁ絵本でしか知らない竜が出てきたら、そうなるよな?
あの雄叫びは俺でもビビったし。
その時、俺の耳に高い音が聞こえた。
ハッとして顔をあげると、ウィルが指笛を吹いている。
そして大きく旋回し、低空飛行で俺たちの方に向かってきた。
「ぎ……っ!ぎゃああぁぁ~っ!!」
これは敵の悲鳴じゃない。
シルクの悲鳴だ。
そして刀をしまうと、尻尾を巻いて一目散に逃げ始めた。
「おいシルク!?何やってんだ!?」
「やだやだやだやだっ!!飛んでるヤツ怖いっ!!」
俺は炎蛇にその場を任すと、慌ててシルクを追っかけた。
迫り来るヴィオールにシルクは悲鳴をあげる。
「ぎゃああぁぁ~っ!!」
「落ち着けっ!!」
俺は仕方なくシルクを取っ捕まえた。
その時ちょうどウィルとヴィオールが後ろにつけたので、そのまま力任せにシルクをぶん投げた。
「ぎゃああぁぁっ!!」
うるさいことこの上ない。
ウィルはシルクをキャッチすると、一度上昇し始めた。
もう一度降りて俺を拾うつもりだろうが、シルクのあの取り乱しようでは、暴れて上手く下降出来ないだろう。
そう判断した俺は、ウィルを真似て指笛を吹いた。
ちらりとウィルが俺を見る。
ここはお互いの考えが同じことを祈るしかない。
ヴィオールは上昇し始め、そして俺はその片足にしがみついた。
ヴィオールも反対の足を添えて俺を押さえる。
爪が肩に軽く食い込んで少し痛かったが、攻撃するつもりで掴んでいる訳ではないので我慢する。
そしてそのまま空高く舞い上がった。
「……ぎっぎゃああぁぁっ!!」
ちなみにこれは俺の悲鳴だ。
ヴィオールで空は何度か飛んだが、それは背中の上だ。
こんな足に捕まって宙ぶらりんで飛んだ事はない。
めちゃくちゃ怖い!!
「サークっ!!」
気流に乗って安定したところで、ウィルがマスクを外し、逆さまになって俺を覗き込んだ。
え?何それ??
どうやってるの?ウィル??
半泣きの俺を見て、ゴーグルのウィルが苦笑いする。
いや、死ぬほど怖いのよ?これ??
ウィルは本当にどうやっているのか、器用にヴィオールの体を伝って俺に近づいた。
だが手を伸ばしても届かない距離。
涙目の俺。
考え込むウィル。
「ウィル~!タ~ス~ケ~テ~ッ!」
「……ごめん、サーク。俺を信じて?」
そしてウィルが申し訳無さそうに言った。
何だろう?
嫌な予感しかしない……。
ウィルが上に戻り姿が見えなくなった瞬間、ヴィオールの爪が俺の肩を離した。
半ばパニックの俺が、腕だけで捕まっていられる訳がない。
真っ逆さまに空に放り出される。
「ぎゃああぁぁっ!!ウィルの馬鹿~っ!!」
わかってる。
多分、そうするしかないのだ。
ないのだけれども、怖すぎるだろ!?
殺す気なのか!?
とりあえず、空気抵抗を高めるために、俺は体を広げた。
よくその判断ができたと自分を褒めてやりたい。
旋回してきたヴィオールが下に近づいてくる。
「……サークっ!!」
ウィルが手綱を握らない片手を広げて叫んだ。
ドスンと俺はウィルの腕の中に落っこちる。
「痛たたた……。サーク!?大丈夫か!?」
一緒に倒れ込んだウィルがそう言った。
ウィルの片腕はちゃんと俺の服をしっかり掴んでいてくれた。
「……大丈夫じゃないっ!!死ぬかと思ったっ!!」
ありがとうよりも先に恨み言が出てしまう。
そしてガバッとウィルに抱きついた。
「死ぬほど怖かった~!!」
「だったら足に捕まるなんて無謀な選択しないでくれ。あれは谷の人間でもあまりやらないぞ?」
「だって、それしかなかったから~!!」
「うん。よく頑張ったな。」
ぎゅっと抱き締められ、凄く安心した。
ああ、ウィルだ。
俺の格好いいお姫様だ。
「……来てくれてありがとう。ウィル。」
「いいよ。間に合って良かった。サークとシルクが足止めに残ったって早馬の知らせを聞いた時は、生きた心地がしなかったから……。」
「ごめん……。」
そうやって抱き締めてもらって、俺はある程度落ち着きを取り戻した。
そしてふと気がついた。
「そう言えば、シルクは??」
俺の言葉にウィルはまた苦笑いした。
そしてヴィオールの首の方を見る。
つられてそちらに目を向けると、シルクが必死にヴィオールの首にしがみついていた。
あんまりにも必死にしがみついていたいるから、なんかちょっとヴィオールが苦しそうな気がしてしまう。
「……何か、人には見せられない姿だな。」
「そんな事言って。サークだって初めて乗った時、あんな感じだったよ?」
「え!?マジ??」
「うん、マジ。」
ウィルにそう言われ、俺は恥ずかしくなってしまった。
そんな俺をウィルがくすくすと笑う。
ウィルはヴィオールの背骨の脇の窪みに置いていた槍を取った。
手綱を握る自分の前に槍を置き、俺に両脇から槍を掴むように指示した。
なるほど、これで俺はウィルにくっついていれば良いのね?
体が安定して回りを見る余裕が出来た。
風を掴んで空を飛ぶと、本当に早い。
もう、国境の外壁が近づいていた。
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