欠片の軌跡④〜南国の王太子

ねぎ(塩ダレ)

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第三王子編

悩ましい人 ☆

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昼飯なのか夕飯なのかわからない食事を食べていると、ウィルが来て前に座った。
俺は思いっきり口の中のものを吹きそうになった。
慌てて飲み込んで、少しむせる。

ヤバい。
しばらく会わなかったせいで、禁断症状でも出てるのか!?
ただ座っているだけのウィルが、耐えがたいほど官能的に見える。

とうとう頭がイカれたらしい。
もしくは南の軍と戦ってアドレナリンが過剰分泌されたのか。
見つめられただけで押し倒したくなる。

「お腹空いてたのか?」

「あ、うん。」

「美味しい?」

「うん……。」

そう言ってにっこり微笑まれる。
肘をついて、ただこちらを見ているだけなのだが、目のやり場に困るほど妖艶に見えてしまう。

唇が艶っぽいとか、指先の動きだけで衝動を感じるとか、ヤバいだろ!?俺!!
どんだけウィルに飢えてるんだよ!?

食べていた肉丼ももう味がわからなかった。
いたたまれなくて、ガツガツと口の中に押し込む。
ゴクンと飲み込んだのが、食事なのか生唾なのかよくわからない。

「食べ終わったか?」

「うん。」

「少し休む?」

「え?いや、大丈夫。」

「なら、来て。」

ウィルはそう言うと立ち上がり、俺の腕を掴んだ。
待って、今、その指先を腕にからめられたら、なんかもう、たまんないから!!
もて余す衝動に混乱している俺を、ウィルが急かす。
何か急いでいるようだった。

「……ウィル?何かあったの?急ぎ?」

「何もないけど、火急ではある。」

どういう事だろう?
らしくなく、ぐいぐい俺を引っ張る。
ああもう、キスしてぇ……。
頭が変になりすぎて、場所も憚らず煩悩に負けそうだ。
必死に理性を働かせる。

「ウィル、食器を返さないと……。」

「良いですよ、サークさん、ウィルさんもお急ぎのようですし。」

食堂の職員さんがそう言って食器を片してくれた。
ありがたいが暴発を宥める時間はなくなった。
その間もウィルは早くと急かしてくる。
なんだかただ事ではない様子なので、俺はお礼を言って、引っ張られるままウィルについて行った。

ウィルは使っていたらしい寝室に俺を連れてきた。
ちょっと待って!!
今、俺をベッドのある個室に入れないで!!
冷静に話なんか聞ける状態じゃないから!!
ああもう!どうしたんだよ!?俺!?
理性はどこに忘れてきた!?
脳内葛藤中の俺は固まって動けない。

しかしウィルはちょっと乱暴にドンと俺を部屋に押し込んだ。
慌てて振り向いた時には、無言で部屋のドアを閉めている。
俯いてただならぬ雰囲気だ。

「ウィル?どうした……っ!?」

いきなり襲い掛かるような情熱的なキスをされる。
俺の葛藤は吹き飛んで、頭が真っ白になった。

ウィルの顔は赤く熱に溺れ、酷く欲情している。
呼吸の為に唇が離れるたび、どちらともしれない唾液が糸を引く。

訳もわからず俺はウィルに翻弄された。
抵抗する暇も与えずぐいぐい押され、部屋の奥に誘導される。

「ん……っ…んん…っ。」

甘い声が漏れ、耳から脳に直接響く。
あまりに全てが衝動的で官能的だ。

無我夢中と言った様子でウィルは舌を絡めてくる。
頭の片隅で、そう言えばさっきのキスもウィルからだったななどと思う。

情熱的な口付けにこちらも応えようとしたが、我を忘れたようなウィルの勢いは止まらず、そのままベッドに押し倒された。
押し倒してもウィルは止まらず、馬乗りになって口の中をまさぐってくる。

ぷちんと何かがキレた。

俺の中の衝動が思考を焼いた。
ウィルの頭を乱暴に抱き抱え、やられた分思い切りやり返す。
軽く歯茎を舐め、上顎の裏をゆっくり刺激する。
舌の裏に舌を入れ込んで絡めとり軽く吸うと、口腔内を責められたウィルがびくりと震えた。

「う……んん…っ……ぁ…っ!!」

鼻にかかった吐息がねっとりと甘く絡む。
快楽から反射的に少し逃げるのを許さず、奥のパラタイン喉腺まで掠めるように執拗に責めたてる。
上側のウィルは唾液が押さえきれなくて、口から溢して苦しそうだ。
腕に力が入らなくなり体が震えだしたので、頭を押さえる腕を緩めて顔を離した。

「……そんなにがっついて、どうしたんだよ、ウィル?」

「うるさい。サークが続きはベッドでと言ったんだ。なのに長々放っておきやがって……。」

悔しかったのか照れ隠しか、口許を拭いながらぶっきらぼうにそう言った。
かなり苦しかったのか快楽からか、ウィルは涙目になっている。
俺も熱くなり過ぎて、少しやり過ぎたかと反省する。

「ごめん、夜にってつもりだった。」

「そんなに待てない。」

ウィルは切り替えるように、はぁ…と大きく呼吸する。
俺に跨がって話すウィルは、何かとてもエロチックで悩ましかった。

う~ん。
この流れとこの感じはあれだ。
久々にウィルのスイッチが入っちゃったようだ。

今日は色気が凄いことになるなと思いながら、音消しの魔術を部屋にかける。
エロいウィルは大歓迎だが、他の誰にも知られたくはない。

ウィルは体を倒しチュッと軽く口付けると、ベッドを降りた。
さっきのキスで満足して少し落ち着いたらしい。

俺から降りたウィルは鞄の中から何か袋を取り出し、それを俺に投げて寄越した。
何だろうと開けてみると、見慣れたローションとぺニスバンドが入っていた。

「え!?どうしたの!?これ!?」

「ガスパーを送っていった時、ついでたから寄って持ってきた。」

「ガスパーを送っていった??」

「うん。昨日、夕方にここについて、そのまま王都まで戻るって言うんだけど、疲れきってて……。そんな状態で夜道を走らせる訳にもいかなかったから、俺が乗せて送った。」

「え!?じゃあウィルはいつここに帰って来たの!?」

「昼過ぎ。戻って食事してたら、早馬から緊急撤退中に交戦して、サークとシルクが足止めに残ったって聞いて……。」

と、言うことは、だ。

夜中に王都まで馬を走らせ、帰って来たばかりの状態で俺達をヴィオールで迎えに来た事になる。
それって殆んど休んでなくないか!?

「ちょっと待って!ウィル!ならめちゃくちゃ疲れてるんじゃ!?」

「そうかもね?だからたくさん労って……?」

ウィルは甘い声でそう言った。

いや、だがしかし。
俺もその気になってたから残念だけど、セックスしている場合じゃなくないか?

とりあえず休んだ方がいいと言おうとして、俺は固まった。
ウィルが服を脱ぎ出したからだ。

「えぇ…っ!?」

ただ脱いだだけなら、俺だって止める自信はあった。
しかし俺の目は、信じられないものを見た。

ベルトを外しズボンを下ろしたウィルは、下着を身に付けていた。
ズボンの下に下着を着ているのは当たり前だが、問題はその下着だ。

ちょっと待ってくれ!!
それは反則だろっ!!

言葉を失った俺は心の中で叫んでいた。
俺はガバッと起き上がった。
冗談ではなく、本当に鼻血が出るんじゃないかと言うほど、カッと頭に血が上った。

嘘だろ……!?
あまりの衝撃と悩ましさにまたも何かが切れる。

「ウィルっ!!」

「……サークにこう言う趣味があるとは思わなかった。どうせそのうち着せられるんならいっそのことって思って。……興奮した?」

「…………。めちゃくちゃしてます……。」

俺はそれの放つ淫らな色気に負けた。

ウィルは黒のガーターベルトのストッキングに、ティーバッグの紐パンを身に付けていた。

って事は、当然、上も……。

俺の視線を意識して、ウィルが妖艶に笑った。
ゆっくりと見せつけるようにワイシャツのボタンを外していく。
ボタンが外れて開いた胸元には、黒いブラジャーがちらりと見えていた。

「それって……。」

「サークの竿とか探してたら出てきた。……いつの間にこんなもの用意してたんだよ?サーク?」

セクシーな仕草でウィルが笑う。
相変わらずワイシャツは脱がずに、前を開いて引っ掻けている。
黒い下着を程よく隠す、白いワイシャツ。

ウィルは自分をエロく見せる天才だと思った。

いや、誤解しないでくれ。
着せようと思っていた訳じゃない。
いや嘘、そのうちチャンスがあれば……とかは思ってた。
でも着せようと思って買った訳じゃない。

昔、下着によって興奮具合がどれくらい違うかの実験をした時の残りだ。
使ったやつは使った人にあげたので、あれはちゃんと新品だ。
部屋を片付けていたら出てきたので、まぁ、うん……そのうち着せてみたいな~と思っていたのだ。
それをまさかここで拝めるとは思わなかった。

……と言うか。
俺の記憶が正しければその下着、着たまま行為ができるように大事なところに穴が空いているやつのはずだ。
そう思うと無意識にごくりと唾を飲んだ。

なんか最近、ちんこも勃たないのに性欲に脳が支配されてきた気がする。

はっきり言おう。
実験のデータでも実証済だが、めちゃくちゃ興奮する。
それがめちゃくちゃ抱きたい愛する人だったら、耐えられる訳がない。

ウィルは俺の反応に気を良くしたようで、艶かしい雰囲気を漂わせながら、ギシッとベッドに乗りかがった。
俺に顔を近づけ指で唇を撫でる。
全てが悩ましく、美しい。

「……まだ、その気にならない?」

「ならない訳ないでしょ?ウィルこそ、こんな格好して、俺にめちゃくちゃにされる覚悟はある?」

「なかったら、こんな事してまでお前を誘ったりなんかしない……。」

乗り掛かるような、しなる動きがはしたなくて色っぽい。
欲情に溺れたウィルの半端ない色気が、匂い立つように辺りに溢れていた。

俺は躊躇なくそれに溺れた。

少し頭痛がし始めたが、そんな事はどうでも良かった。
体を休めないととか、そう言うことはもう本当、今は構っていられなかった。
ベッドの上、膝立ちで俺の前にいるウィルの腰に手を添えると、ウィルの手が俺の肩に置かれる。

「……もっとよく見せて?」

「いいよ……。その為に着たんだから……。」

熱に濡れた瞳が俺を移す。
どちらからともなく唇が重なる。
これから始まる、狂うような熱気を感じて腕を絡めあった。
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