欠片の軌跡④〜南国の王太子

ねぎ(塩ダレ)

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第三王子編

終わりと始まり

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つまり……どういう事だ???

王都に帰って、俺は夜、研究室に籠った。
関連しそうなデータを探す。
正直、俺と同じように性欲がない人間と言うのはデータ上は見つかっていないので、同じ状況を探すことは出来ない。
そもそもあれを本当にイッたと考えて良いのかもよくわからない。

「サーク、夕飯、シチューで良いか?」

「うん。ありがとう。」

ウィルはあの日以来、俺と行動を共にしている。

ああ言ったものの、ウィル自身、本当にそうだと言う確信はなく、むしろ俺の頭に何か異常が起きたのではないかと心配している。
言いはしないが、ちゃんと検査を受けて欲しいと思っているようだ。

あの後、だんだん意識がしっかりしてきて、俺はすぐにぺニスバンドを外して中のちんこを確認した。
俺自身、勃ったり腫れたりした感覚はなかったが、やはり代わり映えしないいつものふにゃチンだった。
ふにゃチンを入れていた疑似ぺニスの穴の中を調べたが、着ける時に入れたローションだけで、別に何か他の液体が混ざっている事はなかった。
念のためそのローションを魔力探査したが、若干の汗とかは混じっていたが、精液もカウパーも痕跡はなく、もっと言えば尿も確認出来なかった。

つまりぺニスには異変がなく、何も出ていないことになる。

そこで俺は自分のケツの穴に指を突っ込んだ。
俺の突然の行動にウィルが度肝を抜かれた顔がちょっと面白かった。

いやだって、ちんこがイッてないなら、ケツかな?と思ったのだ。
いきなり奥には突っ込めないが、外側を触った感じも中の感覚も特に代わり映えしなかった。
確認のためとりあえずローションをつけて中までほじってみたが、相変わらず痛いだけで中がうねっていたり痙攣したりもしていなかった。
そんな俺の探究心と言う名の暴挙に、ウィルがかなりひいていたのが忘れられない。

いや、データは大事だから!

「となると……だ。」

俺はいくつかの論文を机にまとめた。
後考えられるのは、大きく2つ。
喉イキしたか脳イキしたかだ。
他にもあるが大きく言えばこの2つで、あの時俺はキスもフェラもしていないので、多分、イッたと仮定するなら、脳イキしたことになる。

まぁ状況から考えても、脳イキが一番あり得るし、なんだかんだ言っても快楽を感じるのは脳であり、だから全てイッた時と言うのは脳で感じている訳だ。

俺の場合、身体的な快楽と言うのは感じられない。
竿も穴もその他ありとあらゆる場所をその道のプロに頼んで開発を試みたが、どれも1ヶ月かかってもどうにもならなかった。
まぁ昔の話だし、この話はウィルにはしていない。
もちろん今後も話すつもりはない。
穴は本当、ソフトなオモチャすらいつまでたっても痛いし違和感しかなくて辛かった。
俺の前立腺は存在してないのか性感帯として機能していないようだ。
更に奥の奥までやってみればまた違うかもと言われたが、心が折れてそれ以上挑戦しなかった。

だからウィルとセックスするようになって、精神的にだが、気持ち良かったり衝動を感じたりし始めた時は本当に驚いた。
おまけに今は、ウィルを抱きたいと言う性欲もあるし、ウィルに対しての激しい独占欲や嫉妬心みたいなものもある。

そして今回のイッたかもしれない事件だ。
恋愛感情すら持てなくて、あんなに苦労していたのは何だったんだろう?
人間、何が起こるかわからない。

「やっぱり、愛って大事なんだな~。」

「何言ってるんだ??」

「ん~?愛が奇跡を起こすとか馬鹿らしいと思ってたけどさ~。実際問題、ウィルを好きになって、ウィルが俺を愛してくれて、そんで色々、欲情したりし始めてさ~。」

何の気なしに俺はウィルにそう言った。
そう言いながら突如ハッとした。

……奇跡??


「……あっ、奇跡か!?」


俺は思わず大声を出した。
いきなり大声を出した俺を、ウィルが怪訝な顔で心配する。

「サーク、大丈夫か?何言ってるんだ?」

「奇跡だよ!奇跡っ!!」

「は??」

「奇跡だよ!ウィル!!」

「え??」

いきなり色々わかった気がした。
イッたか云々は置いておいて、これまでの急激な変化については、これで仮説が立てられる。

「その可能性があるのかっ!!」

「サーク??」

「ありがとう!ウィル!!世界一愛してる!!」

「え??あ、うん。ありがとう??」

おかしなテンションに陥った俺を、ウィルは不思議そうに眺めていた。








王子を無事に王宮に連れ帰ったが、やはり問題は大きかった。
何よりもやはり、南の軍と交戦したと言うのは両国の関係に亀裂を生むのに十分だった。
向こうが襲ってきたのに、何で俺たちが吊し上げられないといけないのか納得が行かないが、そこは政治と言うヤツなのだろう。

そもそも、裏事情だかなんだか知らないが、王子を嫁がせる事が出来ないなら、さっさとすっぱり断るべきだったんだ。
なのにずるずる先伸ばして、危険があるのに王子を南の国に訪問させて、こっちは無事に連れて帰ってこいって言うから連れて帰ってきたのに、問題を起こしたと言われても、起こるのをわかってて送り出した癖に何言ってるんだって感じだ。
責任を問われても、どうしろって言うんだよ、本当。

南の国は、両国の関係改善の為に、王子との婚姻と貢ぎ物(?)として俺を寄越せと言っているらしい。
王子を渡せないなら、ひとまず俺を献上して取り成そうと言う動きが強まっているらしいが、ガスパーが先にある程度根回しをしたことや、ナーバル議長とフレデリカ女史の発言力、そして何より第三王子ライオネル殿下のスイッチが入っているので、おいそれと俺を引き合いには出せないようだ。

意外なところでは、ヴィオールの存在も大きいらしい。
あの時、ウィルがヴィオールで俺を迎えにきた事で、我が国には竜がいるというステータスのようなものが働いて、俺を南にやると当然竜も南に行ってしまうと思われストッパーになっている。
まぁ本当は竜じゃなくて精霊なんだけれども。

それはシルクも同じで、よくわからないが俺とイヴァンが王子が襲われた時、武術で対応したのは大きかったようで、それを可能にした人物であり演舞の使い手を南にやるわけにはいかないとなっているらしい。

何だか俺自身の能力とかじゃなく、回りの能力に助けられて、首の皮一枚で保たれてる感じだ。

そんな状況なので王宮にはいかせられないとギルとガスパーに言われ、俺は王宮会議やらなんやらには出ていない。
代わりに代理としてガスパーが行っていて、本当に申し訳ない。
ギルとガスパーが禿げないよう祈るばかりだ。

俺が王宮に行けないので、イヴァンはずっと王宮警護担当だ。
最近は俺が町の家に帰っているので、あまり会っていない。
会った時に王子の様子を聞いたが、スイッチが入った状態でバリバリ動いているらく、ぽわんとした人だと思っていたイヴァンはかなりびっくりしているようだった。
俺に会いたがっているが、王宮に来させるのは王子も不味いと思うようで、何も言わないと言っていた。

何だかな、と思う。

本当に俺は政治向きではない。
むしろ政治に対しては、問題を起こしてばかりの問題児だろう。
別に間違った事をしてきた訳ではないけれど、政治と言うのは面倒くさくて難しい。

これからどうなるんだろうと言う不安を感じながら、俺は任されている別宮の仕事をライルさんとふたり淡々とこなしていたのだった。
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