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第八章①「疑惑と逃亡編」
プライスレス
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「楽しかった~!」
シルクはそう言って、上機嫌に軽く躍りながら歩いている。
まさか最後の最後に、店長の隠し酒(時価)を大量に頼むとは思わなかった。
何なんだ、こいつは??
ザルを通り越してワクだな……。
お陰で懐の風通しがとてもいい。
ウィルといいシルクといい、美人は金がかかるんだな……。
あ、ウィルは臨時的にお金がかかっただけで、普段は質素だけど。
ギルも大変だな……。
まぁ、あいつは金持ちだし高給取りだし、シルクに糸目もつけずに金を使うのが楽しいみたいだからいいけど。
庶民に毛が生えた程度の俺は、ローンもあるので無駄遣いは出来ない。
どうしようもなくなったら、性具の特許を一個売ろう……。
でもシルクにもウィルにも、使った事に後悔はない。
その分、喜んでくれたし、お金には変えられないものがあるから全く損はない。
ちょっと懐が痛いだけだ。
この辺のバランス感覚がきっといい男と破産しちゃう男の差なんだろう。
とりあえず、俺の恋人がウィルで良かった。
「シルク、危ないからあまり暴れんな~。」
「暴れてない~!踊ってるの~!」
「はいはい。人の迷惑にならないようにな~。」
店を出て、俺はシルクを独身寮まで送るのに別宮まで歩いていた。
送らなくてもいいと言われたが、送らなかったら後でギルとウィルに睨まれると思う。
シルクは何だかんだ美人なのだから、遅くに一人で歩いていたら危ない。
ちなみに俺が危ないと思うのは、襲いかかった奴の方だ。
間違いなく息の根を止められる。
シルクを一人で帰して、明日の朝、裏路地に名もしれぬ死体が転がってたなんて事になったらと思うと恐ろしい……。
例え俺でも、一緒に歩いていれば歯止めにはなるだろう。
別宮の門に付くと、シルクはにこにこと俺の両手を握った。
何だかこのまま踊り出しそうだ。
「今日はありがとう、主。」
「ああ、また飲みに行こうな。」
「うん。」
シルクは酔っているのか、にへへっと笑いながら、手を繋いだままブンブン揺らす。
よほど嬉しかったらしい。
こんなに喜ぶなら、もっと早く連れていってやるんだった。
財布は痛いけどな。
「主~?」
「ん?」
シルクがえへへっと笑う。
そして、いきなりチュッと唇にキスをした。
「!?!?」
「えへへ~。お休みなさい~。」
シルクは意識していないのか、いつもの調子でそう言うと機嫌良く門を潜って帰っていった。
待ってくれ……。
嘘だろ!?
油断してきたとはいえ、これはまずい。
いや、酔っぱらいの行動だ!
ノーカンノーカンっ!!
俺は口元を押さえて頭で必死に言い訳をした。
いやだって!不可抗力だし!
そんな事言ったらウィルとシルクも口にチュッとしたことあるし!!
だから浮気じゃないっ!!
「あ~、やっぱ、少し距離感、考えた方が良いのかも……。」
飲んだせいか頭がぐるぐるする。
俺は真っ赤になりながら、しばらくその場に立ち尽くした。
参ったな…もう一人サシで誘おうと思ってた奴がいるんだけど……。
まぁ、あいつはシルクみたいな度胸はないだろうけど、酒が入ると人間、何が起こるかわからん。
シルクのせいで、ちょっとサシは怖いなと何となく身構えてしまった。
「と、言うわけで!遅くなりました!まだまだ問題は解決していませんが、ひとまず、南の国訪問と無事帰還した事を祝って!乾杯っ!!」
って何で俺が乾杯の音頭をとらないといけないんだよ??
まぁ、ギルだと皆、萎縮するからって理由はわかるけどさ、絶対、面倒くさいからだろ、おい。
俺は横にいるギルを睨んだ。
だいぶ時間はたったが、隊員達の労いとして、食堂で慰労会と言う名の飲み会を開いた。
帰ってからは本当、バタバタしてたし、関係悪化だ何だいちゃもんをつけられて、それどころではなかったからな。
でもシルクを飲みに誘ってみて、こう言うのはそれなりに大事だなと思ったのだ。
基本、飲み会は自由参加だが、大体の隊員が顔を出してくれる。
大半はタダ飯タダ酒目当てだけどな。
まぁ最近は、女神信仰者がふだんと違う女神達を拝みたいと熱心に参加していると言うのもあるんだが。
今日はウィルから目を離さないでおかないと……。
同じ轍は踏まないつもりだ。
今日は挨拶回りもないので、ウィルは俺の前に座っている。
隣がシルクってのが引っ掛かるが、女神信仰者達の楽しみを奪うのも可哀想なので我慢する。
「……それで、どんな感じなんだ?」
俺は炒めた麺を大皿から取りながら、ギルに聞いた。
ギルはいつも通り無表情だが、どこか疲れて見える。
「別に。お前が気にする事は何もない。」
「なくはないだろ?なくは?」
「気にするな。大丈夫だ。」
「お前さ?前に俺に何も相談しないで勝手ばかりやってって、怒ったよな??」
「……忘れた。」
「ほほう!?いい度胸だな!?」
「そうだな。」
ツンと澄ましていて埒が開かない。
俺はため息をついた。
多分、こいつは頑として口を割らないだろう。
まぁいい。
手は他にもあるからな。
「ギル。」
「何だ?」
「あ~んしてみろ?」
「!?」
途端に無表情が崩れて固まる。
俺はニヤニヤとその顔を眺めた。
言わないのは別にいいが、ちょっといじめてやる。
ウィルはキョトンとしていて、シルクは面白そうにそれを見ている。
「何を……。」
「ほら、口開けろ。」
俺は麺と一緒に盛り付けてあった、ヤングコーンを手でつまみ、顔の近くまで持っていく。
「ほら!早く!」
「何でいきなり……!?」
「あ~んだ、あ~ん。」
ギルは目を白黒させて口を開けた。
そのまま口の中にヤングコーンを突っ込んだ。
ちょっと指先が唇に触れる。
意外と柔らかかったので、ちょっと恥ずかしくなってすぐに手を引っ込めた。
「旨いか?」
「………ああ。」
ニヤニヤと俺が聞くと、ギルはそう言って顔を背けてしまった。
耳が赤いのが面白い。
いつかのエクレアの仕返しだ。
参ったか、このやろう。
軽くいたぶってやった事で俺は満足し、皿に取った麺をずるずる食べた。
シルクがけらけらと笑っている。
「主~、面白かったけど気をつけてね?そんな事してると食べられちゃうよ?」
うふふと含みを持たせてシルクが笑う。
なんだよ、食われるって……。
言っとくが一度目は油断しただけで、警戒している今はそんな事起こり得ないからな。
そう思いながらもりもりと麺を口に運ぶ。
そんな状況だが、ウィルは特に何も言わず少し考え込んでいる。
んん??
ウィルがこうなった時って、何かまずくないか??
俺は頬張っていた麺を咀嚼しながら身構える。
案の定と言うか、ウィルは赤くなって立ち上がると、ツカツカと歩いてきて俺を見下ろした。
その顔は何かを思い詰めているように緊張している。
「ウィル?何する気だ?!」
ウィルは無言で、赤い顔のままヤングコーンを皿からつまむと口に咥えた。
そしてぐいっと俺の顎を掴む。
俺は赤面して狼狽えてしまった。
ええと!?
これはそのつまり!?
「待ったっ!!ウィルっ!!…………っ!!」
ぐいっと引っ張られて、口移しでヤングコーンを食べさせられる。
しかもそのままフレンチキス突入~。
ヤングコーンの塩味と香ばしさが堪らないってか。
あ~やっちゃったよ、ウィル。
こういうのって、どこでスイッチ入っちゃうんだろうな??
顔を離したウィルが、そこはかとなく艶っぽく笑う。
「……美味しいか?サーク?」
「~は、はい、でもできればこう言うのは二人きりの時にお願いします……。」
「サークが自分が誰のものか自覚が足りないから悪いんだ。」
「はい、すみません。もうしません。」
「ん、いい子。」
ウィルはそう言って、満足げに俺の頬にキスをして席に戻った。
シルクが机を叩いて笑っている。
何だかな、やっぱり酒が入ると、予想だにしない事が起こるから怖い。
サシ飲みとかしなくても、これだからな~。
面白いって言えば面白いけど。
俺は赤くなりながら、視線だけで辺りを見渡す。
あんま酔いが回らないうちに済ませた方が良いだろうな。
目的の人物を見つけ、そんな事を考えていた。
シルクはそう言って、上機嫌に軽く躍りながら歩いている。
まさか最後の最後に、店長の隠し酒(時価)を大量に頼むとは思わなかった。
何なんだ、こいつは??
ザルを通り越してワクだな……。
お陰で懐の風通しがとてもいい。
ウィルといいシルクといい、美人は金がかかるんだな……。
あ、ウィルは臨時的にお金がかかっただけで、普段は質素だけど。
ギルも大変だな……。
まぁ、あいつは金持ちだし高給取りだし、シルクに糸目もつけずに金を使うのが楽しいみたいだからいいけど。
庶民に毛が生えた程度の俺は、ローンもあるので無駄遣いは出来ない。
どうしようもなくなったら、性具の特許を一個売ろう……。
でもシルクにもウィルにも、使った事に後悔はない。
その分、喜んでくれたし、お金には変えられないものがあるから全く損はない。
ちょっと懐が痛いだけだ。
この辺のバランス感覚がきっといい男と破産しちゃう男の差なんだろう。
とりあえず、俺の恋人がウィルで良かった。
「シルク、危ないからあまり暴れんな~。」
「暴れてない~!踊ってるの~!」
「はいはい。人の迷惑にならないようにな~。」
店を出て、俺はシルクを独身寮まで送るのに別宮まで歩いていた。
送らなくてもいいと言われたが、送らなかったら後でギルとウィルに睨まれると思う。
シルクは何だかんだ美人なのだから、遅くに一人で歩いていたら危ない。
ちなみに俺が危ないと思うのは、襲いかかった奴の方だ。
間違いなく息の根を止められる。
シルクを一人で帰して、明日の朝、裏路地に名もしれぬ死体が転がってたなんて事になったらと思うと恐ろしい……。
例え俺でも、一緒に歩いていれば歯止めにはなるだろう。
別宮の門に付くと、シルクはにこにこと俺の両手を握った。
何だかこのまま踊り出しそうだ。
「今日はありがとう、主。」
「ああ、また飲みに行こうな。」
「うん。」
シルクは酔っているのか、にへへっと笑いながら、手を繋いだままブンブン揺らす。
よほど嬉しかったらしい。
こんなに喜ぶなら、もっと早く連れていってやるんだった。
財布は痛いけどな。
「主~?」
「ん?」
シルクがえへへっと笑う。
そして、いきなりチュッと唇にキスをした。
「!?!?」
「えへへ~。お休みなさい~。」
シルクは意識していないのか、いつもの調子でそう言うと機嫌良く門を潜って帰っていった。
待ってくれ……。
嘘だろ!?
油断してきたとはいえ、これはまずい。
いや、酔っぱらいの行動だ!
ノーカンノーカンっ!!
俺は口元を押さえて頭で必死に言い訳をした。
いやだって!不可抗力だし!
そんな事言ったらウィルとシルクも口にチュッとしたことあるし!!
だから浮気じゃないっ!!
「あ~、やっぱ、少し距離感、考えた方が良いのかも……。」
飲んだせいか頭がぐるぐるする。
俺は真っ赤になりながら、しばらくその場に立ち尽くした。
参ったな…もう一人サシで誘おうと思ってた奴がいるんだけど……。
まぁ、あいつはシルクみたいな度胸はないだろうけど、酒が入ると人間、何が起こるかわからん。
シルクのせいで、ちょっとサシは怖いなと何となく身構えてしまった。
「と、言うわけで!遅くなりました!まだまだ問題は解決していませんが、ひとまず、南の国訪問と無事帰還した事を祝って!乾杯っ!!」
って何で俺が乾杯の音頭をとらないといけないんだよ??
まぁ、ギルだと皆、萎縮するからって理由はわかるけどさ、絶対、面倒くさいからだろ、おい。
俺は横にいるギルを睨んだ。
だいぶ時間はたったが、隊員達の労いとして、食堂で慰労会と言う名の飲み会を開いた。
帰ってからは本当、バタバタしてたし、関係悪化だ何だいちゃもんをつけられて、それどころではなかったからな。
でもシルクを飲みに誘ってみて、こう言うのはそれなりに大事だなと思ったのだ。
基本、飲み会は自由参加だが、大体の隊員が顔を出してくれる。
大半はタダ飯タダ酒目当てだけどな。
まぁ最近は、女神信仰者がふだんと違う女神達を拝みたいと熱心に参加していると言うのもあるんだが。
今日はウィルから目を離さないでおかないと……。
同じ轍は踏まないつもりだ。
今日は挨拶回りもないので、ウィルは俺の前に座っている。
隣がシルクってのが引っ掛かるが、女神信仰者達の楽しみを奪うのも可哀想なので我慢する。
「……それで、どんな感じなんだ?」
俺は炒めた麺を大皿から取りながら、ギルに聞いた。
ギルはいつも通り無表情だが、どこか疲れて見える。
「別に。お前が気にする事は何もない。」
「なくはないだろ?なくは?」
「気にするな。大丈夫だ。」
「お前さ?前に俺に何も相談しないで勝手ばかりやってって、怒ったよな??」
「……忘れた。」
「ほほう!?いい度胸だな!?」
「そうだな。」
ツンと澄ましていて埒が開かない。
俺はため息をついた。
多分、こいつは頑として口を割らないだろう。
まぁいい。
手は他にもあるからな。
「ギル。」
「何だ?」
「あ~んしてみろ?」
「!?」
途端に無表情が崩れて固まる。
俺はニヤニヤとその顔を眺めた。
言わないのは別にいいが、ちょっといじめてやる。
ウィルはキョトンとしていて、シルクは面白そうにそれを見ている。
「何を……。」
「ほら、口開けろ。」
俺は麺と一緒に盛り付けてあった、ヤングコーンを手でつまみ、顔の近くまで持っていく。
「ほら!早く!」
「何でいきなり……!?」
「あ~んだ、あ~ん。」
ギルは目を白黒させて口を開けた。
そのまま口の中にヤングコーンを突っ込んだ。
ちょっと指先が唇に触れる。
意外と柔らかかったので、ちょっと恥ずかしくなってすぐに手を引っ込めた。
「旨いか?」
「………ああ。」
ニヤニヤと俺が聞くと、ギルはそう言って顔を背けてしまった。
耳が赤いのが面白い。
いつかのエクレアの仕返しだ。
参ったか、このやろう。
軽くいたぶってやった事で俺は満足し、皿に取った麺をずるずる食べた。
シルクがけらけらと笑っている。
「主~、面白かったけど気をつけてね?そんな事してると食べられちゃうよ?」
うふふと含みを持たせてシルクが笑う。
なんだよ、食われるって……。
言っとくが一度目は油断しただけで、警戒している今はそんな事起こり得ないからな。
そう思いながらもりもりと麺を口に運ぶ。
そんな状況だが、ウィルは特に何も言わず少し考え込んでいる。
んん??
ウィルがこうなった時って、何かまずくないか??
俺は頬張っていた麺を咀嚼しながら身構える。
案の定と言うか、ウィルは赤くなって立ち上がると、ツカツカと歩いてきて俺を見下ろした。
その顔は何かを思い詰めているように緊張している。
「ウィル?何する気だ?!」
ウィルは無言で、赤い顔のままヤングコーンを皿からつまむと口に咥えた。
そしてぐいっと俺の顎を掴む。
俺は赤面して狼狽えてしまった。
ええと!?
これはそのつまり!?
「待ったっ!!ウィルっ!!…………っ!!」
ぐいっと引っ張られて、口移しでヤングコーンを食べさせられる。
しかもそのままフレンチキス突入~。
ヤングコーンの塩味と香ばしさが堪らないってか。
あ~やっちゃったよ、ウィル。
こういうのって、どこでスイッチ入っちゃうんだろうな??
顔を離したウィルが、そこはかとなく艶っぽく笑う。
「……美味しいか?サーク?」
「~は、はい、でもできればこう言うのは二人きりの時にお願いします……。」
「サークが自分が誰のものか自覚が足りないから悪いんだ。」
「はい、すみません。もうしません。」
「ん、いい子。」
ウィルはそう言って、満足げに俺の頬にキスをして席に戻った。
シルクが机を叩いて笑っている。
何だかな、やっぱり酒が入ると、予想だにしない事が起こるから怖い。
サシ飲みとかしなくても、これだからな~。
面白いって言えば面白いけど。
俺は赤くなりながら、視線だけで辺りを見渡す。
あんま酔いが回らないうちに済ませた方が良いだろうな。
目的の人物を見つけ、そんな事を考えていた。
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