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第八章①「疑惑と逃亡編」
血を分ける
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「……ますか……サ……さんっ……聞こえ…すかっ!?」
誰かが必死に呼び掛ける声に、俺はふと目を開いた。
あれ?何をしてたんだっけ??
「サークさん!聞こえていますか!?聞こえてたら何か反応を返して下さいっ!!」
必死な声に目を向けると、受付のサーニャさんが俺の手を握って、涙目で呼び掛けていた。
う~ん、目覚めたら可愛い半獣人の女性に手を握られているというのは、なかなかどうして悪くない。
しゅんとしている獣耳が可愛らしい。
いや、浮気はしないけど。
「…………っ。」
声を出そうとしたが出なかった。
だから仕方なく、握られている手の指を動かした。
「……!!先生っ!!気づかれましたっ!!」
俺の見上げている視線に、ムスッとしたドワーフのおっさんが入り込む。
えええぇ~!?サーニャさんだけで良いのに~!!いきなりおっさんズームインだよっ!!
そんな下らない事を思ったら、不機嫌そうなおっさんのゴツい手が、ぐいっと俺の目と額を覆った。
何だ?何されてるんだ??
と言うか、どういう状況??これ??
頭がはっきりしてきて、俺はトート迷宮遺跡のアタックをしていた事を思い出す。
確かいきなりドラゴンゾンビが出てきて、でも倒したら駄目で、それで……。
「……え??どういう事??」
今度は普通に声が出た。
体もなんとなく軽い。
おっさんが手を退けてくれたので、周囲を確認できた。
そこはまだ、トート迷宮遺跡のあの部屋だった。
俺はガバッと体を起こした。
「サークちゃんっ!!」
「ぐえぇっ!!」
何かを話す前に、ぐいっと厚い胸板に抱き締められる。
めちゃめちゃ苦しいが安心した。
「師匠……苦しいです……。」
「ごめんなさい。でも本当、心配したのよ!?」
「すみません……俺も何が何だか……。」
相変わらず、ゴツい肉体に乙女の心。
俺には力加減をしてくれないのもいつもの事。
破天荒な師匠が本気で心配してくれていることに、少し申し訳なく思う。
そう言えば、初めてぶっ倒れた時もその場に師匠はいたんだよな?
何だか懐かしい。
むぎゅっとキツイ包容して気が済んだ師匠が体を離してくれて、俺はやっと周囲を確認できた。
ドラゴンゾンビと戦ってぼろぼろになったはずの部屋は何故か綺麗に修復されている。
そして祭壇の奥の壁を見ると、そこには雄々しくも美しい一体の地竜が壁の中で眠っていた。
良かった。
あいつ浄化してもらえたんだ……。
俺はにっこり笑ってドワーフのおっさんを見た。
「あなたが浄化して下さったんですか?」
その言葉にドワーフのおっさんは苦々しい顔をして俺を睨んだ。
そんな嫌そうな顔しなくても良いのに??
不思議に思った俺におっさんは言った。
「……やったのは俺じゃねぇ。お前だ。」
「え??でも、俺は魔術師ですよ??浄化はできません。」
「そんなこたぁわかってるっ!!」
ドワーフのおっさんは酷くイライラして見せた後、ガシッと俺の肩を掴む。
背丈は俺より小さいのに、顔の老け具合と力は格段に上だ。
力一杯握られた肩がちょっと痛い。
おっさんの真剣な眼が突き刺すように俺を見ている。
「お前……何者だ!?」
「……それはお互い様ですよね??偉大なる魔法師さん??」
そう言ってにっこり笑うとおっさんはパッと手を離し、ばつが悪そうに視線を反らせた。
俺の言葉にサーニャさんはあわあわしていて、師匠は鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔をしている。
「……え!?えええぇっ!?サークちゃんが探していたビショップさんて……このドワーフさん!?」
「ええ、そうだと思います。実は入り口の時点で気づいてたんですけど、聞いても答えてくれないだろうし、奥にいるって言ったってことは奥に話を聞いて貰うための何かがあるのかなって思ってたんで。」
「……性格の悪いガキだな。」
「お互い様と言うことで。」
俺がにこにこそう言うと、ドアーフのおっさんはふんっ!と顔を背けた。
何だかんだあるがひとまずこれでいい。
これでもうおっさんは自分が魔法師ではないと言い逃れは出来ないし、話も聞いてくれるだろう。
それよりも、だ。
「師匠、何が起こったんです??でもって何でドワーフさんとサーニャさんがここにいるんです??死んでも骨は誰も拾いに行けないって言ってませんでしたっけ??」
「……お前、とことんひねくれてるな??」
「人は人を映す鏡と言います。ひねくれてる人にはひねくれて見えるだけですよ??」
「めちゃくちゃひねくれてんじゃねぇかっ!!」
「いや~さすがにここまで死ぬ思いをさせられるとは思ってなかったんで~。それで、何があったんですか??」
俺は少しおっさんに皮肉を言ってやった。
それから事の次第を聞く。
良くわからないが、やはり俺の血が反応した事で地竜は元の姿に戻り、そして力を取り戻した地竜がおっさん達をここに呼んだらしい。
大雑把に言うとそんな感じだ。
「つまり……ドワーフさんはここの守人って事ですね??」
「ああ……いつか守り竜がゾンビ化した時に、戻してやるのが俺の役目だった。」
どうやら今回、ドラゴンゾンビが目覚めたのはおっさんも予想していなかった事で、本当に偶然だったようだ。
おっさん的には魔法を使えるメンバーがいないのにこんなに奥まで来れると思っていなかったし、ましてや来れたとしてもドラゴンゾンビが目覚めるタイミングとかち合うとは思わなかったらしい。
「……ほほ~う。そのお役目を、話を聞くのが面倒だから迷宮の奥にぶちこんだ青臭いガキが、何故かやってのけたって事ですね??」
「……お前……根に持ちすぎだろ……。」
「いや~多分3日ほども迷宮に閉じ込められて散々苦しんだんで~。嫌味の1つぐらい言わせてくださいよ~。」
俺が笑みを絶やさずそう言うと、おっさんはつんと素知らぬ顔でそっぽを向いた。
ばつが悪いと素知らぬ振りをする人間にはなれている。
表情が分かりやすい分、おっさんの方が可愛いけど。
それを後ろに立っていたサーニャさんが怒る。
「これは先生が悪いです!私、断るなら断る。会うならちゃんと話を聞いてあげて下さいって言ったじゃないですか!!」
「……サーニャ、てめえ、味方がいるからって強気だな!?」
「ひゃっ!!ごめんなさいっ!!」
何となくだが二人の関係性が見える。
おっさんは口悪くサーニャさんと話すが、それは気心が知れているからだ。
どことなく融通の効かない頑固親父と、気は弱いがしっかり者の娘みたいな感じだ。
何だかんだおっさんのサーニャさんに向ける視線は優しい。
それに加えて、師弟関係でもあるのだろう。
サーニャさん的にはこっちの方が色濃く見える。
いつもの事なんだろうが、軽く怒鳴られてビクッとしたサーニャさんを師匠がハグして慰める。
師匠は女性……いや、同姓?に優しいのだ。
女の敵とばかりにおっさんを睨む。
心は乙女だが見た目はゴツい師匠に睨まれ、ドワーフのおっさんは少したじろいだ。
「八つ当たりはみっともないわよ~??」
「くそう!!だからあのババアと関わりたくなかったんだっ!!」
「へ~??伝えておきますね?マダムに。」
「やめろ!殺されるっ!!」
マダムの名前を出した途端、あんなにも強気で意地でも自分を曲げないドワーフのおっさんがあわあわし出し思わず皆が笑った。
マダムって本当、何者なんだろう??
面白いからいいけど。
おっさんが仕切り直すように咳払いをする。
そしてかしこまって俺に聞いた。
「サークとか言ったな……。」
「はい。」
「……お前、本当に何者なんだ?」
「ごく普通の一般人ですけど??」
「そんなはずはない……お前のやった事は……血を分けると言うヤツだ……。」
「血を分ける??」
「ああ……。同族が仲間を癒すために、自分の血を相手に与える行為だ……。」
「……同族……って??竜なら竜同士って事ですか??」
「その筈だ。異種間で行われたなんて話は聞いたことがない。」
「でも、俺はやったって事ですよね??残念ながら殆ど覚えてないんですけど……。」
あの時、手から血が霧状にドラゴンゾンビに広がって行った。
血の魔術を限界以上使った時と同じで、俺はそのままぶっ倒れた。
だからそれで地竜が浄化され回復したところも見てない。
そして目覚めたらすでに壁の中だ。
元気になったところを一目見たかった……。
「……俺達を呼んだ守り竜も、お前に血を分けてもらったと言っていたから間違いない。……いったい、どうやったんだ??」
おっさんが疑念を持ちながら俺を見つめる。
どうやったって言われても、どうやったんでしょうね??
俺は覚えてないし、気を失ってたし、そんな事ができるなんて知らなかったし。
「さぁ……。強いて言えば、俺は生まれつき血の魔術がつかえます。それぐらいしか思い当たりません。」
「……は?!お前っ!!血の魔術が使えるのか!?」
「ええ。」
おれの言葉におっさんは目の色を変えた。
ガシッとまた凄い凄い力で俺の肩を押さえると、食い入るように聞いてきた。
あまりの真剣さに俺は少したじろぐ。
「何だ!?何の子だ!?」
「はい!?」
おっさんの言葉にポカンとする。
何の子??
いや、人間ですけど??
何なんだいったい??
だが冗談にしてはおっさんが真剣すぎた。
でも俺にはその目を見返す事しか出来ない。
俺自身がわかっていないと見たのか、誤魔化していると思ったのかわからないが、おっさんは俺の目をじっと見つめた。
見つめられるならサーニャさんの方がいいな~と下らない事を思った。
「……いいか?人間で血の魔術が使えるのは、高位精霊や竜が人と交わって生まれた子どもである場合が殆どだ……。お前は何の子だ?……やはり竜か!?」
……………………。
はい??
何の事ですか??
さっぱりわからない。
おっさんの言葉に、俺はただただ面食らってしまった。
何の子だ??
いや、知らんがな。
おっさんの言葉は確かに耳から聞こえて脳に届いたけれど、脳がそれを理解できない。
「…………え?え??何??……俺ってもしかして………人間の子じゃないの??」
言葉にしてみたが、やはり脳で処理がされない。
あまりの事に目をぱちくりさせる。
師匠も俺を見て、訳がわからないと首を振った。
え??どういう事??
俺は何だかわからなくて、ゴツいドワーフのおっさんの髭面をぽかんと眺めた。
誰かが必死に呼び掛ける声に、俺はふと目を開いた。
あれ?何をしてたんだっけ??
「サークさん!聞こえていますか!?聞こえてたら何か反応を返して下さいっ!!」
必死な声に目を向けると、受付のサーニャさんが俺の手を握って、涙目で呼び掛けていた。
う~ん、目覚めたら可愛い半獣人の女性に手を握られているというのは、なかなかどうして悪くない。
しゅんとしている獣耳が可愛らしい。
いや、浮気はしないけど。
「…………っ。」
声を出そうとしたが出なかった。
だから仕方なく、握られている手の指を動かした。
「……!!先生っ!!気づかれましたっ!!」
俺の見上げている視線に、ムスッとしたドワーフのおっさんが入り込む。
えええぇ~!?サーニャさんだけで良いのに~!!いきなりおっさんズームインだよっ!!
そんな下らない事を思ったら、不機嫌そうなおっさんのゴツい手が、ぐいっと俺の目と額を覆った。
何だ?何されてるんだ??
と言うか、どういう状況??これ??
頭がはっきりしてきて、俺はトート迷宮遺跡のアタックをしていた事を思い出す。
確かいきなりドラゴンゾンビが出てきて、でも倒したら駄目で、それで……。
「……え??どういう事??」
今度は普通に声が出た。
体もなんとなく軽い。
おっさんが手を退けてくれたので、周囲を確認できた。
そこはまだ、トート迷宮遺跡のあの部屋だった。
俺はガバッと体を起こした。
「サークちゃんっ!!」
「ぐえぇっ!!」
何かを話す前に、ぐいっと厚い胸板に抱き締められる。
めちゃめちゃ苦しいが安心した。
「師匠……苦しいです……。」
「ごめんなさい。でも本当、心配したのよ!?」
「すみません……俺も何が何だか……。」
相変わらず、ゴツい肉体に乙女の心。
俺には力加減をしてくれないのもいつもの事。
破天荒な師匠が本気で心配してくれていることに、少し申し訳なく思う。
そう言えば、初めてぶっ倒れた時もその場に師匠はいたんだよな?
何だか懐かしい。
むぎゅっとキツイ包容して気が済んだ師匠が体を離してくれて、俺はやっと周囲を確認できた。
ドラゴンゾンビと戦ってぼろぼろになったはずの部屋は何故か綺麗に修復されている。
そして祭壇の奥の壁を見ると、そこには雄々しくも美しい一体の地竜が壁の中で眠っていた。
良かった。
あいつ浄化してもらえたんだ……。
俺はにっこり笑ってドワーフのおっさんを見た。
「あなたが浄化して下さったんですか?」
その言葉にドワーフのおっさんは苦々しい顔をして俺を睨んだ。
そんな嫌そうな顔しなくても良いのに??
不思議に思った俺におっさんは言った。
「……やったのは俺じゃねぇ。お前だ。」
「え??でも、俺は魔術師ですよ??浄化はできません。」
「そんなこたぁわかってるっ!!」
ドワーフのおっさんは酷くイライラして見せた後、ガシッと俺の肩を掴む。
背丈は俺より小さいのに、顔の老け具合と力は格段に上だ。
力一杯握られた肩がちょっと痛い。
おっさんの真剣な眼が突き刺すように俺を見ている。
「お前……何者だ!?」
「……それはお互い様ですよね??偉大なる魔法師さん??」
そう言ってにっこり笑うとおっさんはパッと手を離し、ばつが悪そうに視線を反らせた。
俺の言葉にサーニャさんはあわあわしていて、師匠は鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔をしている。
「……え!?えええぇっ!?サークちゃんが探していたビショップさんて……このドワーフさん!?」
「ええ、そうだと思います。実は入り口の時点で気づいてたんですけど、聞いても答えてくれないだろうし、奥にいるって言ったってことは奥に話を聞いて貰うための何かがあるのかなって思ってたんで。」
「……性格の悪いガキだな。」
「お互い様と言うことで。」
俺がにこにこそう言うと、ドアーフのおっさんはふんっ!と顔を背けた。
何だかんだあるがひとまずこれでいい。
これでもうおっさんは自分が魔法師ではないと言い逃れは出来ないし、話も聞いてくれるだろう。
それよりも、だ。
「師匠、何が起こったんです??でもって何でドワーフさんとサーニャさんがここにいるんです??死んでも骨は誰も拾いに行けないって言ってませんでしたっけ??」
「……お前、とことんひねくれてるな??」
「人は人を映す鏡と言います。ひねくれてる人にはひねくれて見えるだけですよ??」
「めちゃくちゃひねくれてんじゃねぇかっ!!」
「いや~さすがにここまで死ぬ思いをさせられるとは思ってなかったんで~。それで、何があったんですか??」
俺は少しおっさんに皮肉を言ってやった。
それから事の次第を聞く。
良くわからないが、やはり俺の血が反応した事で地竜は元の姿に戻り、そして力を取り戻した地竜がおっさん達をここに呼んだらしい。
大雑把に言うとそんな感じだ。
「つまり……ドワーフさんはここの守人って事ですね??」
「ああ……いつか守り竜がゾンビ化した時に、戻してやるのが俺の役目だった。」
どうやら今回、ドラゴンゾンビが目覚めたのはおっさんも予想していなかった事で、本当に偶然だったようだ。
おっさん的には魔法を使えるメンバーがいないのにこんなに奥まで来れると思っていなかったし、ましてや来れたとしてもドラゴンゾンビが目覚めるタイミングとかち合うとは思わなかったらしい。
「……ほほ~う。そのお役目を、話を聞くのが面倒だから迷宮の奥にぶちこんだ青臭いガキが、何故かやってのけたって事ですね??」
「……お前……根に持ちすぎだろ……。」
「いや~多分3日ほども迷宮に閉じ込められて散々苦しんだんで~。嫌味の1つぐらい言わせてくださいよ~。」
俺が笑みを絶やさずそう言うと、おっさんはつんと素知らぬ顔でそっぽを向いた。
ばつが悪いと素知らぬ振りをする人間にはなれている。
表情が分かりやすい分、おっさんの方が可愛いけど。
それを後ろに立っていたサーニャさんが怒る。
「これは先生が悪いです!私、断るなら断る。会うならちゃんと話を聞いてあげて下さいって言ったじゃないですか!!」
「……サーニャ、てめえ、味方がいるからって強気だな!?」
「ひゃっ!!ごめんなさいっ!!」
何となくだが二人の関係性が見える。
おっさんは口悪くサーニャさんと話すが、それは気心が知れているからだ。
どことなく融通の効かない頑固親父と、気は弱いがしっかり者の娘みたいな感じだ。
何だかんだおっさんのサーニャさんに向ける視線は優しい。
それに加えて、師弟関係でもあるのだろう。
サーニャさん的にはこっちの方が色濃く見える。
いつもの事なんだろうが、軽く怒鳴られてビクッとしたサーニャさんを師匠がハグして慰める。
師匠は女性……いや、同姓?に優しいのだ。
女の敵とばかりにおっさんを睨む。
心は乙女だが見た目はゴツい師匠に睨まれ、ドワーフのおっさんは少したじろいだ。
「八つ当たりはみっともないわよ~??」
「くそう!!だからあのババアと関わりたくなかったんだっ!!」
「へ~??伝えておきますね?マダムに。」
「やめろ!殺されるっ!!」
マダムの名前を出した途端、あんなにも強気で意地でも自分を曲げないドワーフのおっさんがあわあわし出し思わず皆が笑った。
マダムって本当、何者なんだろう??
面白いからいいけど。
おっさんが仕切り直すように咳払いをする。
そしてかしこまって俺に聞いた。
「サークとか言ったな……。」
「はい。」
「……お前、本当に何者なんだ?」
「ごく普通の一般人ですけど??」
「そんなはずはない……お前のやった事は……血を分けると言うヤツだ……。」
「血を分ける??」
「ああ……。同族が仲間を癒すために、自分の血を相手に与える行為だ……。」
「……同族……って??竜なら竜同士って事ですか??」
「その筈だ。異種間で行われたなんて話は聞いたことがない。」
「でも、俺はやったって事ですよね??残念ながら殆ど覚えてないんですけど……。」
あの時、手から血が霧状にドラゴンゾンビに広がって行った。
血の魔術を限界以上使った時と同じで、俺はそのままぶっ倒れた。
だからそれで地竜が浄化され回復したところも見てない。
そして目覚めたらすでに壁の中だ。
元気になったところを一目見たかった……。
「……俺達を呼んだ守り竜も、お前に血を分けてもらったと言っていたから間違いない。……いったい、どうやったんだ??」
おっさんが疑念を持ちながら俺を見つめる。
どうやったって言われても、どうやったんでしょうね??
俺は覚えてないし、気を失ってたし、そんな事ができるなんて知らなかったし。
「さぁ……。強いて言えば、俺は生まれつき血の魔術がつかえます。それぐらいしか思い当たりません。」
「……は?!お前っ!!血の魔術が使えるのか!?」
「ええ。」
おれの言葉におっさんは目の色を変えた。
ガシッとまた凄い凄い力で俺の肩を押さえると、食い入るように聞いてきた。
あまりの真剣さに俺は少したじろぐ。
「何だ!?何の子だ!?」
「はい!?」
おっさんの言葉にポカンとする。
何の子??
いや、人間ですけど??
何なんだいったい??
だが冗談にしてはおっさんが真剣すぎた。
でも俺にはその目を見返す事しか出来ない。
俺自身がわかっていないと見たのか、誤魔化していると思ったのかわからないが、おっさんは俺の目をじっと見つめた。
見つめられるならサーニャさんの方がいいな~と下らない事を思った。
「……いいか?人間で血の魔術が使えるのは、高位精霊や竜が人と交わって生まれた子どもである場合が殆どだ……。お前は何の子だ?……やはり竜か!?」
……………………。
はい??
何の事ですか??
さっぱりわからない。
おっさんの言葉に、俺はただただ面食らってしまった。
何の子だ??
いや、知らんがな。
おっさんの言葉は確かに耳から聞こえて脳に届いたけれど、脳がそれを理解できない。
「…………え?え??何??……俺ってもしかして………人間の子じゃないの??」
言葉にしてみたが、やはり脳で処理がされない。
あまりの事に目をぱちくりさせる。
師匠も俺を見て、訳がわからないと首を振った。
え??どういう事??
俺は何だかわからなくて、ゴツいドワーフのおっさんの髭面をぽかんと眺めた。
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