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第八章①「疑惑と逃亡編」
人嫌いの友人
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ギルドからバーに戻ると、お祭り状態は若干和らいでいた。
おっさん達が腕相撲勝負で盛り上がる脇で、シルクはおばあちゃん達に囲まれて可愛がられていた。
「あ!主~!お帰り~!!」
にこにこと満面の笑みでシルクが手を振る。
落ち着いたからか、ボーイのお兄さんは居なくなり、マスターとバーテンダーのお姉さんがカウンターの中で作業をしていた。
俺は戻った事をアイコンタクトでマスターに伝え、シルクの所に行った。
途端、おばあちゃん達が俺を椅子に座らせ話しかけてくる。
「あんたはいい子だよ~。」
「本当、本当。」
「若いのに、そうそうできる事じゃない。」
いったい、何の話だ??
シルクと踊っていたおばあちゃんに至っては、涙ぐんで大きめのハンカチを目に当てている。
どういう話の流れかわからないので下手な事が言えず困っていると、シルクがガバッと俺に抱きついてきた。
「そうなんだよ~!だからね~!俺は主を主に選んだんだ~!」
どうやら俺とシルクの馴れ初め?を話したらしい。
どう話したかは知らないが、確かに行き倒れていたのを拾ったのだから、命の恩人みたいなところだろう。
「いや、俺もシルクには凄い助けられてるし。お互い様だろ?」
ちょっと恥ずかしくなってそう言うと、おばあちゃん達が手を握ったり、ぐりぐりと俺の頭や背中を撫でてくれた。
「いい子だよ!本当、いい子だよ!」
「主は俺の自慢だから~!もっと褒めて~!」
「いや、照れ臭いから、この辺で勘弁して下さい。」
そんな事をしていると、バーテンダーのお姉さんが小さめのグラスに発酵麦酒を一杯持ってきてくれた。
「父からの奢りです。今日は久しぶりに楽しい昼下がりだったって。私も楽しかったです。」
「ありがとうございます。でも俺は何にもしてないんですけどね?盛り上げたのはシルクですし。」
「主~!そこは謙遜しないの~!」
「いや、謙遜って言うか……。」
と言うか、娘さんなんだ?お姉さん。
ならボーイのお兄さんは息子さんなのかな?
そんな事を思いながらありがたく一杯、ご馳走になる事にした。
「娘さん、ここってテイクアウトできますか?」
「シュークルートとかならできるわ。」
「じゃあ、夕飯用にテイクアウトできるものを3人分ほど頼めますか?」
「わかった。伝えておくね?」
お姉さんはそう言って俺にウインクした。
うふふと可愛らしく微笑んで、カウンターに戻っていく。
シルクがそれを見て、ムスッと膨れると俺の首に腕を回して軽く絞めた。
「おい!苦しい!」
「主はそうやって直ぐ人をたらしこむんだから~!何で今、大変なのか考えてよねっ!!」
「は!?たらしこんでなんかないだろ!?」
「無自覚の罪は重いんだよ!すぐ誰彼構わず惚れさせるんだから~!!」
「そんな事してないだろ!?」
いったい何でそうなるんだ!?
俺は注文をしただけだ!
お姉さんのだって、あれは営業だ!社交辞令だ!
少し不機嫌になったシルクは俺がもらった発酵麦酒を半分くらい飲んでしまった。
本当にワクだな、お前。
どんだけ飲むんだよ??発酵麦酒ぐらいじゃ酔わないってか??
俺は呆れながら諦める。
おばあちゃん達としばらくたわいもない会話をして時間を潰す。
少ししてテイクアウトの準備が出来たとカウンターから声がかかったので、俺は立ち上がった。
「行くの?」
「ああ。もうひとつやりたい事がある。」
俺の言葉にシルクも立ち上がった。
俺とシルクはおばあちゃんや常連さん達とハグを交わし、カウンターに向かう。
「ありがとうございます。代金はこれで足りますか?」
俺がいない間、シルクがどれだけ飲み食いしたかはわからなかったが、可愛がってくれたおばあちゃん達の分も含めて多目に出した。
「やだ!多いわよ、お兄さん!」
「多い分は常連さんやおばあちゃん達の足しにして下さい。シルクが可愛がってもらったので。」
「わかったわ。」
娘さんはとてもいい笑顔で代金を受け取り、テイクアウトを持たせてくれた。
そこに息子さんと思われるボーイのお兄さんがやって来た。
「お兄さん!これあげるって父さんが!!朝焼いたパンの残りだけと。」
「え?いいんですか??」
「うん、夜のパンは今焼き始めたから、大丈夫だよ!久しぶりに繁盛して楽しかったよ!また来てな!!従者さんも!!」
「はい、ありがとうございます。」
「また来るね!凄く楽しかった!」
シルクのお陰で、この店とは馴染みの客になれたようだ。
マスターは奥でパンを焼いているのか、顔を見せない。
でも、そんなところもいいなと思った。
お礼を言って店を出る。
パンの焼ける匂いがうっすら辺りに漂い始めた。
店を出ながら、シルクは何度か振り替えり、常連さんや声をかけてきた町の人に手を振っていた。
「楽しかった~!!」
「それは良かった。」
観光旅行に来た訳ではないけれど、シルクに旅の良い思い出が出来たのは嬉しい。
何だかんだ、今回に限らずシルクには辛い思いをさせる事が多い分、楽しめる部分は楽しんで欲しい。
鼻唄を歌いながら弾むように歩くシルクを見ながら、そう思った。
「それで、どこに行くの??」
「ちょっとな。」
そう聞かれ、俺はポケットから封筒を取り出した。
その住所を確認する。
場所はだいたいわかっているので大丈夫。
問題は、どうやってドアを開けてもらうか、だ。
住宅街の一角、ちょっと奥まった所にあるその家のドアを俺はノックした。
しかし誰も出てこない。
「……留守なのかな?」
「しっ。」
不思議そうにするシルクに喋らないように促す。
そして、俺は少し強めにドアを叩いた。
「すみませ~ん!!郵便物です~!!速達なので!直接受け取りお願いしま~す!!」
そう言った俺にシルクがぎょっとした顔をした。
俺は唇に指を当て、静かにするように念をおす。
やがて微かに中で音がしてドアが少しだけ開くと、そこから手だけが出てきた。
俺はすかさず、そのドアが閉まらないように手と足で押さえた。
「うわっ?ちょっと!何するんですかっ!!」
「ノル!!俺です!サークです!!」
焦ってドアを閉めようとするその人に、俺は声をかける。
せっかくこじ開けたんだ、逃してなるものか。
俺の名前と声を確認してドアを閉めようとする力は弱まった。
「え!?サーク!?」
「はい。突然、押し掛けてすみません。中に入れてもらえませんか?」
「え!?ちょっと待って!?本当にあのサークなの!?」
「ええ、性欲研究をしてるサークです。」
「わわっ!?どうしよう!?チェーン外すから、ちょっと一回閉めていいか!?」
「はい。」
俺が手を離すとドアが閉まり、今度は勢いよく開いた。
驚きと戸惑いと嬉しさをごちゃ混ぜにした顔をしている。
結婚式で初めて会ったあの時と同じ、髪はぼさぼさで天パーっぽくくるくるだ。
地味目なワイシャツにサスペンダー付きのズボン姿で、大きすぎる丸眼鏡を持ち上げて俺を見つめている。
そう、この人こそ古代の科学技術研究の第一人者、ノックス・リー・バンクロフト博士、その人だ。
俺の顔を見て、顔をくしゃっとさせる。
本当、くたびれた大人のようで子供みたいに無邪気に笑う人だ。
「わ~!!サーク!!本当にサークだ!!今日は着物じゃないんだな!?」
「久しぶりです。ノル。着物は普段は着ませんよ。」
「どうしたんだよ!来るなんて手紙、もらってないよ!?」
「突然、すみません。ちょっと近くまで来たもので。中に入っても??」
「うん!散らかってるけど……、そちらは??」
「俺の従者でシルクと言います。」
「……サークは婚約者が美人なだけでなく、従者さんも美人なんだな……。う~ん??これと言って秀でた外観はないのに……モテる秘訣は何なんだ??ま、とにかくあがって!足元気を付けてなっ!!」
そう言ってノルは俺たちを家に入れてくれた。
何か若干、デスられた気もするのだがひとまず置いておこう。
ノルの研究室兼自宅というその家はかなり散らかっていたが、俺には酷く居心地が良くて馴染み深かった。
おっさん達が腕相撲勝負で盛り上がる脇で、シルクはおばあちゃん達に囲まれて可愛がられていた。
「あ!主~!お帰り~!!」
にこにこと満面の笑みでシルクが手を振る。
落ち着いたからか、ボーイのお兄さんは居なくなり、マスターとバーテンダーのお姉さんがカウンターの中で作業をしていた。
俺は戻った事をアイコンタクトでマスターに伝え、シルクの所に行った。
途端、おばあちゃん達が俺を椅子に座らせ話しかけてくる。
「あんたはいい子だよ~。」
「本当、本当。」
「若いのに、そうそうできる事じゃない。」
いったい、何の話だ??
シルクと踊っていたおばあちゃんに至っては、涙ぐんで大きめのハンカチを目に当てている。
どういう話の流れかわからないので下手な事が言えず困っていると、シルクがガバッと俺に抱きついてきた。
「そうなんだよ~!だからね~!俺は主を主に選んだんだ~!」
どうやら俺とシルクの馴れ初め?を話したらしい。
どう話したかは知らないが、確かに行き倒れていたのを拾ったのだから、命の恩人みたいなところだろう。
「いや、俺もシルクには凄い助けられてるし。お互い様だろ?」
ちょっと恥ずかしくなってそう言うと、おばあちゃん達が手を握ったり、ぐりぐりと俺の頭や背中を撫でてくれた。
「いい子だよ!本当、いい子だよ!」
「主は俺の自慢だから~!もっと褒めて~!」
「いや、照れ臭いから、この辺で勘弁して下さい。」
そんな事をしていると、バーテンダーのお姉さんが小さめのグラスに発酵麦酒を一杯持ってきてくれた。
「父からの奢りです。今日は久しぶりに楽しい昼下がりだったって。私も楽しかったです。」
「ありがとうございます。でも俺は何にもしてないんですけどね?盛り上げたのはシルクですし。」
「主~!そこは謙遜しないの~!」
「いや、謙遜って言うか……。」
と言うか、娘さんなんだ?お姉さん。
ならボーイのお兄さんは息子さんなのかな?
そんな事を思いながらありがたく一杯、ご馳走になる事にした。
「娘さん、ここってテイクアウトできますか?」
「シュークルートとかならできるわ。」
「じゃあ、夕飯用にテイクアウトできるものを3人分ほど頼めますか?」
「わかった。伝えておくね?」
お姉さんはそう言って俺にウインクした。
うふふと可愛らしく微笑んで、カウンターに戻っていく。
シルクがそれを見て、ムスッと膨れると俺の首に腕を回して軽く絞めた。
「おい!苦しい!」
「主はそうやって直ぐ人をたらしこむんだから~!何で今、大変なのか考えてよねっ!!」
「は!?たらしこんでなんかないだろ!?」
「無自覚の罪は重いんだよ!すぐ誰彼構わず惚れさせるんだから~!!」
「そんな事してないだろ!?」
いったい何でそうなるんだ!?
俺は注文をしただけだ!
お姉さんのだって、あれは営業だ!社交辞令だ!
少し不機嫌になったシルクは俺がもらった発酵麦酒を半分くらい飲んでしまった。
本当にワクだな、お前。
どんだけ飲むんだよ??発酵麦酒ぐらいじゃ酔わないってか??
俺は呆れながら諦める。
おばあちゃん達としばらくたわいもない会話をして時間を潰す。
少ししてテイクアウトの準備が出来たとカウンターから声がかかったので、俺は立ち上がった。
「行くの?」
「ああ。もうひとつやりたい事がある。」
俺の言葉にシルクも立ち上がった。
俺とシルクはおばあちゃんや常連さん達とハグを交わし、カウンターに向かう。
「ありがとうございます。代金はこれで足りますか?」
俺がいない間、シルクがどれだけ飲み食いしたかはわからなかったが、可愛がってくれたおばあちゃん達の分も含めて多目に出した。
「やだ!多いわよ、お兄さん!」
「多い分は常連さんやおばあちゃん達の足しにして下さい。シルクが可愛がってもらったので。」
「わかったわ。」
娘さんはとてもいい笑顔で代金を受け取り、テイクアウトを持たせてくれた。
そこに息子さんと思われるボーイのお兄さんがやって来た。
「お兄さん!これあげるって父さんが!!朝焼いたパンの残りだけと。」
「え?いいんですか??」
「うん、夜のパンは今焼き始めたから、大丈夫だよ!久しぶりに繁盛して楽しかったよ!また来てな!!従者さんも!!」
「はい、ありがとうございます。」
「また来るね!凄く楽しかった!」
シルクのお陰で、この店とは馴染みの客になれたようだ。
マスターは奥でパンを焼いているのか、顔を見せない。
でも、そんなところもいいなと思った。
お礼を言って店を出る。
パンの焼ける匂いがうっすら辺りに漂い始めた。
店を出ながら、シルクは何度か振り替えり、常連さんや声をかけてきた町の人に手を振っていた。
「楽しかった~!!」
「それは良かった。」
観光旅行に来た訳ではないけれど、シルクに旅の良い思い出が出来たのは嬉しい。
何だかんだ、今回に限らずシルクには辛い思いをさせる事が多い分、楽しめる部分は楽しんで欲しい。
鼻唄を歌いながら弾むように歩くシルクを見ながら、そう思った。
「それで、どこに行くの??」
「ちょっとな。」
そう聞かれ、俺はポケットから封筒を取り出した。
その住所を確認する。
場所はだいたいわかっているので大丈夫。
問題は、どうやってドアを開けてもらうか、だ。
住宅街の一角、ちょっと奥まった所にあるその家のドアを俺はノックした。
しかし誰も出てこない。
「……留守なのかな?」
「しっ。」
不思議そうにするシルクに喋らないように促す。
そして、俺は少し強めにドアを叩いた。
「すみませ~ん!!郵便物です~!!速達なので!直接受け取りお願いしま~す!!」
そう言った俺にシルクがぎょっとした顔をした。
俺は唇に指を当て、静かにするように念をおす。
やがて微かに中で音がしてドアが少しだけ開くと、そこから手だけが出てきた。
俺はすかさず、そのドアが閉まらないように手と足で押さえた。
「うわっ?ちょっと!何するんですかっ!!」
「ノル!!俺です!サークです!!」
焦ってドアを閉めようとするその人に、俺は声をかける。
せっかくこじ開けたんだ、逃してなるものか。
俺の名前と声を確認してドアを閉めようとする力は弱まった。
「え!?サーク!?」
「はい。突然、押し掛けてすみません。中に入れてもらえませんか?」
「え!?ちょっと待って!?本当にあのサークなの!?」
「ええ、性欲研究をしてるサークです。」
「わわっ!?どうしよう!?チェーン外すから、ちょっと一回閉めていいか!?」
「はい。」
俺が手を離すとドアが閉まり、今度は勢いよく開いた。
驚きと戸惑いと嬉しさをごちゃ混ぜにした顔をしている。
結婚式で初めて会ったあの時と同じ、髪はぼさぼさで天パーっぽくくるくるだ。
地味目なワイシャツにサスペンダー付きのズボン姿で、大きすぎる丸眼鏡を持ち上げて俺を見つめている。
そう、この人こそ古代の科学技術研究の第一人者、ノックス・リー・バンクロフト博士、その人だ。
俺の顔を見て、顔をくしゃっとさせる。
本当、くたびれた大人のようで子供みたいに無邪気に笑う人だ。
「わ~!!サーク!!本当にサークだ!!今日は着物じゃないんだな!?」
「久しぶりです。ノル。着物は普段は着ませんよ。」
「どうしたんだよ!来るなんて手紙、もらってないよ!?」
「突然、すみません。ちょっと近くまで来たもので。中に入っても??」
「うん!散らかってるけど……、そちらは??」
「俺の従者でシルクと言います。」
「……サークは婚約者が美人なだけでなく、従者さんも美人なんだな……。う~ん??これと言って秀でた外観はないのに……モテる秘訣は何なんだ??ま、とにかくあがって!足元気を付けてなっ!!」
そう言ってノルは俺たちを家に入れてくれた。
何か若干、デスられた気もするのだがひとまず置いておこう。
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