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第八章①「疑惑と逃亡編」
そして君に繋がっていく
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「あんたの性格がこんがらがったのはあれだね。養子の件だ。生まれのせいじゃない。」
「でしょうね。」
タバコの火を消しながらマダムが言った言葉に、俺は乾いた笑いで答えた。
俺の性格が悪いと言うなら、そこ以外、考えられないだろう。
「本当、そこまでのあんたは可愛かったよ~。皆に愛されて、鼻っ垂れで甘ったれで愛想振り撒いてさ~。その頃に会いたかったね~。純粋無垢でなつっこい可愛いサークにさ~。今のこの腹黒さか無いうちに。」
「……別に俺は腹黒くないです。」
「ま。こう言うことさ。」
「どういう事です?」
マダムはひねくれてるだの腹黒いだの言っておきながら、妙な言い方をした。
何なのかさっぱりわからない。
「あれはお前の必要悪さ。サーク。」
「必要悪?」
「そ。何らかの理由あってあんたはあの場所で育った。大事に守られて、愛されて、世の中の汚いもの、何にも知らずに育った。だが、それだけでいっぱしの大人になれると思うかい?」
マダムは意味深にそう言うと、じっと俺の目を見つめた。
俺は黙ってそれを見返していた。
言いたいことはわかる。
確かに嫌な思いはしたが、それによって物事をどうとらえるべきか、どう立ち回るべきか学んだと言える。
俺が面倒くさい世の中を一人で生きていけたのも、逆を言えば、あそこでさんざん世の中の醜さを見たからだ。
「でもな~。だからって、いきなりあそこで一括払いされてもな~。」
「仕方ないだろ。理由あって、あんたはまずはあそこで、大事に守られて愛されて過ごす必要があったんだろ?あんたが個として自覚を持ち、考えを持ってから、そう言うものを教える必要があったんだろうよ。」
「人間じゃないからですか??」
「さぁね、そんなのはあたしにゃわからないよ。ただあの時、あんたの風向きが急に変わったんだ。導かれるようあんたが東の国に入って親父さんのところに来たように、突然、全体があんたを外に出すように働いた。」
「……何か力が働いたと?」
「さぁ?あたしゃ見るだけだ。そんな事はわからないよ。ただ、当事者じゃないあたしがあれを見た時、物凄く不自然に見えた。その場にいたあんたや父親なんかの当事者は、まったくそれに気付いてなかった。見ていて気持ち悪かったよ。全体が操られたように動いていてさ。」
言われてみれば確かにあの時、熱病にでも浮かされたようだった。
何故か皆、ハクマ家に養子に出して魔術学校に行かせようとしていた。
考えてみれば名字がある身分が必要なだけで、別に貴族のハクマ家に養子に行く必要はなかったのだ。
名字のある家ならどこでも良かったはずだし、何ならちょっと難しいが俺が個人で名字を申請しても良かったはずだ。
義父さんが職業柄名前を持っていなかったから仕方がないが、あそこから独立してた兄ちゃん達の子になったって良かったはずなのだ。
まぁ、ハクマ家からはかなり援助を受けていたし、熱心な信者だったおじさんとおばさんには小さい時から可愛がってもらってたし、俺の話を聞いて学費も出してくれると言っていたし、養子にと言われたら断りづらかった面もあるけど、そんな事で義父さんが俺の一生を軽んじるはずは無いのだ。
「確かに……今、考えると気持ち悪いですね?当時は何にも疑いませんでしたけど……。」
「そう言うこと。多分、あれがあんたの1つのターニングポイントだ。父親の元で得るものが終わって、次の段階に入ったのさ。だからあれはあんたにとっての必要悪だったのさ。いっぱしの大人になるためのね。」
嫌な思いはしたが、こうして第三者的な目で見れば、確かに必要悪だったと言える。
あの経験がなければ今の俺はいない。
今の俺だから出来た事も、出会えた人も、全部そうやって繋がっているのだと思えた。
「思い出すのも嫌な事でも、全て、今の俺を作る大事な構成部分って事ですね~。」
「……だいぶ繋がってきただろ?」
「ミッシングリンクが?」
「ミッシングリンクが。」
ニヤッと笑った俺に、マダムが同じようにニヤッと笑って返した。
確かにこんがらがっていた自分と言う存在が、道筋を立ててはっきりしてきた気がする。
「なら聞きたいんですけど、俺の性欲って、何なんですかね??」
「自分でわかってるだろ?」
「……やっぱり、そうなんですかね~。」
「その辺はボーンのジジイに聞きゃあ良いだろ?」
「だってボーンさん、これ系の話はまともに取り合ってくれないじゃ無いですか?見たんでしょ?マダム?」
「まあね。全く、あの馬鹿は本当に頭が固いって言うか、頭でっかちって言うか。もうすぐ死ぬって騒いでるジジイの癖に、変に潔癖って言うか、役立たずだね。」
「いや、そこまで言ってないですよ?俺?」
マダムが面倒そうに顔をしかめるのも無理はない。
俺はボーンさんにウィルの事を相談した時、ついでに俺の性欲についても相談しようとしたのだ。
俺がどうやら生まれつき性欲が無いこと。
なのにウィルに対してそれが起こり始めている事を話したのだ。
俺はそれがウィルが無意識に奇跡を使っているんじゃないかと思っていて、だから魔法師のボーンさんの意見が聞きたかったのだ。
ところが、ここからが本題となってくると、ボーンさんはイライラして殆ど取り合ってくれなかった。
まぁ、この話はエロが交じるので仕方がないって言えば仕方がないのだか。
「ジジイの癖に純情とか、聞いて呆れる。」
「いや、まぁ。ボーンさんですから。」
茹でダコのように赤くなりながら悪態をついたボーンさんを思い出す。
いや本当、あの人はからかい甲斐の……いや、可愛いオッサンだな、と思う。
ボーンさんのその様子を見たであろうマダムは、本当に呆れ返った顔をしていてちょっと笑えた。
見た目の割に小動物っぽいボーンさんとは真逆で、マダムは油断ならないが存在が本当に揺るがず力強い。
だから俺は師匠に話したように、マダムにも話そうと思った。
「新しい情報も交えて考えると、俺はどうやら人間じゃない。それで1つ、謎が溶けたと言うか、仮説が出来ました。俺に性欲が無いのはそのせいです。馬とロバの間にはラバが生まれますが、ラバには生殖機能がない。それと同じです。」
ずっと悩み続けていた自分の欠落した本能。
俺は自分が人間と精霊か何かの間に生まれた可能性が高いと知って急に何かが腑に落ちた。
異種間で子供が出来た場合、生殖機能がない事が多い。
まぁ、ラピットフッドみたいに交雑種が産まれて繁殖する事もあるけど、普通は子供は出来ても一代限りの事が多い。
俺の生殖機能の欠落は、恐らくそれに当たるんじゃないかと思う。
「ただ…今までの事と言うか、俺の体質はそれで説明がつくんですけど、ウィルとの事だけが例外になってくるんです。」
「みたいだね。」
マダムの言葉に、何をどこまで見られたのかと考えると顔から火が出そうになったがぐっと堪える。
話が進まないので、ひとまずそれは置いておこう。
「ウィルは夜の宝石です。つまり回復能力者……魔法の始祖に当たります。本来なら夜の宝石は純度が高すぎて普通の方法では魔法は使えないそうですが、始祖と言うからにはその素質は持っています。そして魔術も魔法も根本を突き詰めれば、強い願いから成り立っています。……だから、その……。」
「……あの子が真にそれを望めば、少なからず奇跡を起こしているんじゃないかって事だろ?」
「まぁ、そう言うことです……。」
言い淀んだ俺に対し、マダムはあっさり言葉にした。
何かそう言ってしまうと、ウィルがそう言うことを望んでいると言ってしまっているようで気が引けるが、そうなんじゃないかと言う可能性の話なのでそう言うしかないのだが。
しかし自分の事を弄られるのは良いが、あまりそういう意味でウィルを晒して弄られたくはないと言う思いもある。
複雑な顔をした俺に、マダムはハンッと鼻を鳴らした。
「愛した相手と真に結ばれたいって思うのは、別に恥じることじゃないだろ。それだけあの子はあんたに本気だって事さ。」
事も無げに言いきったマダムに、少し気持ちが軽くなる。
あの時、師匠もからかってくるかと思ったのに真剣に聞いてくれた。
こう言う方面の話は人を選ぶだけに、真面目に聞いてくれる人がいるのはとても心強い。
「…あの子はあんたの全てを受け入れているよ、サーク。あんたが勃とうが勃つまいが関係なくあんたを愛してる。それはあんたが人間だろうがそうでなかろうが変わらない。……だから、あんただって、あの子に決めてもらったんだろ?自分が何者なのかを。」
「……ええ。」
「あたしにゃ魔術も魔法もわからない。ただ見ることしかできないからね。だから、あんたのそういう機能が回復してきたのが奇跡なのかはわからない。そんでもって、ボーンの所で修行してあの子が回復能力を使いこなせるようになったとしても、あんたの機能を回復させられるかどうかなんて事はあたしにゃ答えられないよ。……でも、サーク。あんたを通して見てきたあの子は、あんたが思っている以上に本気であんたを想っている。それだけは確かだよ。」
マダムの言葉が胸に響く。
俺の目に映るウィルは、いつだって何の飾り気もなく真っ直ぐに俺を抱きとめてくれた。
不安な思いも、我儘も、全部受けとめ包み込んでくれた。
無意識に胸に手を当て強く思う。
俺もウィルを想っているよ、多分、ウィルが思ってるよりずっと。
それこそ本当にウィルなしでは生きられないほどにね。
性欲どころか恋愛感情さえままならなかった俺がこんな気持ちになるのも、ウィルが俺を想ってくれた事で起きた奇跡なのだろうか?
答えはわからないけどそれでいいんだと思う。
そんな俺を見て、マダムは面倒そうにため息をついた。
「……あの子は物好きだよ。こんな破天荒でメチャクチャな男、あたしならごめんだね。」
「でしょうね。」
タバコの火を消しながらマダムが言った言葉に、俺は乾いた笑いで答えた。
俺の性格が悪いと言うなら、そこ以外、考えられないだろう。
「本当、そこまでのあんたは可愛かったよ~。皆に愛されて、鼻っ垂れで甘ったれで愛想振り撒いてさ~。その頃に会いたかったね~。純粋無垢でなつっこい可愛いサークにさ~。今のこの腹黒さか無いうちに。」
「……別に俺は腹黒くないです。」
「ま。こう言うことさ。」
「どういう事です?」
マダムはひねくれてるだの腹黒いだの言っておきながら、妙な言い方をした。
何なのかさっぱりわからない。
「あれはお前の必要悪さ。サーク。」
「必要悪?」
「そ。何らかの理由あってあんたはあの場所で育った。大事に守られて、愛されて、世の中の汚いもの、何にも知らずに育った。だが、それだけでいっぱしの大人になれると思うかい?」
マダムは意味深にそう言うと、じっと俺の目を見つめた。
俺は黙ってそれを見返していた。
言いたいことはわかる。
確かに嫌な思いはしたが、それによって物事をどうとらえるべきか、どう立ち回るべきか学んだと言える。
俺が面倒くさい世の中を一人で生きていけたのも、逆を言えば、あそこでさんざん世の中の醜さを見たからだ。
「でもな~。だからって、いきなりあそこで一括払いされてもな~。」
「仕方ないだろ。理由あって、あんたはまずはあそこで、大事に守られて愛されて過ごす必要があったんだろ?あんたが個として自覚を持ち、考えを持ってから、そう言うものを教える必要があったんだろうよ。」
「人間じゃないからですか??」
「さぁね、そんなのはあたしにゃわからないよ。ただあの時、あんたの風向きが急に変わったんだ。導かれるようあんたが東の国に入って親父さんのところに来たように、突然、全体があんたを外に出すように働いた。」
「……何か力が働いたと?」
「さぁ?あたしゃ見るだけだ。そんな事はわからないよ。ただ、当事者じゃないあたしがあれを見た時、物凄く不自然に見えた。その場にいたあんたや父親なんかの当事者は、まったくそれに気付いてなかった。見ていて気持ち悪かったよ。全体が操られたように動いていてさ。」
言われてみれば確かにあの時、熱病にでも浮かされたようだった。
何故か皆、ハクマ家に養子に出して魔術学校に行かせようとしていた。
考えてみれば名字がある身分が必要なだけで、別に貴族のハクマ家に養子に行く必要はなかったのだ。
名字のある家ならどこでも良かったはずだし、何ならちょっと難しいが俺が個人で名字を申請しても良かったはずだ。
義父さんが職業柄名前を持っていなかったから仕方がないが、あそこから独立してた兄ちゃん達の子になったって良かったはずなのだ。
まぁ、ハクマ家からはかなり援助を受けていたし、熱心な信者だったおじさんとおばさんには小さい時から可愛がってもらってたし、俺の話を聞いて学費も出してくれると言っていたし、養子にと言われたら断りづらかった面もあるけど、そんな事で義父さんが俺の一生を軽んじるはずは無いのだ。
「確かに……今、考えると気持ち悪いですね?当時は何にも疑いませんでしたけど……。」
「そう言うこと。多分、あれがあんたの1つのターニングポイントだ。父親の元で得るものが終わって、次の段階に入ったのさ。だからあれはあんたにとっての必要悪だったのさ。いっぱしの大人になるためのね。」
嫌な思いはしたが、こうして第三者的な目で見れば、確かに必要悪だったと言える。
あの経験がなければ今の俺はいない。
今の俺だから出来た事も、出会えた人も、全部そうやって繋がっているのだと思えた。
「思い出すのも嫌な事でも、全て、今の俺を作る大事な構成部分って事ですね~。」
「……だいぶ繋がってきただろ?」
「ミッシングリンクが?」
「ミッシングリンクが。」
ニヤッと笑った俺に、マダムが同じようにニヤッと笑って返した。
確かにこんがらがっていた自分と言う存在が、道筋を立ててはっきりしてきた気がする。
「なら聞きたいんですけど、俺の性欲って、何なんですかね??」
「自分でわかってるだろ?」
「……やっぱり、そうなんですかね~。」
「その辺はボーンのジジイに聞きゃあ良いだろ?」
「だってボーンさん、これ系の話はまともに取り合ってくれないじゃ無いですか?見たんでしょ?マダム?」
「まあね。全く、あの馬鹿は本当に頭が固いって言うか、頭でっかちって言うか。もうすぐ死ぬって騒いでるジジイの癖に、変に潔癖って言うか、役立たずだね。」
「いや、そこまで言ってないですよ?俺?」
マダムが面倒そうに顔をしかめるのも無理はない。
俺はボーンさんにウィルの事を相談した時、ついでに俺の性欲についても相談しようとしたのだ。
俺がどうやら生まれつき性欲が無いこと。
なのにウィルに対してそれが起こり始めている事を話したのだ。
俺はそれがウィルが無意識に奇跡を使っているんじゃないかと思っていて、だから魔法師のボーンさんの意見が聞きたかったのだ。
ところが、ここからが本題となってくると、ボーンさんはイライラして殆ど取り合ってくれなかった。
まぁ、この話はエロが交じるので仕方がないって言えば仕方がないのだか。
「ジジイの癖に純情とか、聞いて呆れる。」
「いや、まぁ。ボーンさんですから。」
茹でダコのように赤くなりながら悪態をついたボーンさんを思い出す。
いや本当、あの人はからかい甲斐の……いや、可愛いオッサンだな、と思う。
ボーンさんのその様子を見たであろうマダムは、本当に呆れ返った顔をしていてちょっと笑えた。
見た目の割に小動物っぽいボーンさんとは真逆で、マダムは油断ならないが存在が本当に揺るがず力強い。
だから俺は師匠に話したように、マダムにも話そうと思った。
「新しい情報も交えて考えると、俺はどうやら人間じゃない。それで1つ、謎が溶けたと言うか、仮説が出来ました。俺に性欲が無いのはそのせいです。馬とロバの間にはラバが生まれますが、ラバには生殖機能がない。それと同じです。」
ずっと悩み続けていた自分の欠落した本能。
俺は自分が人間と精霊か何かの間に生まれた可能性が高いと知って急に何かが腑に落ちた。
異種間で子供が出来た場合、生殖機能がない事が多い。
まぁ、ラピットフッドみたいに交雑種が産まれて繁殖する事もあるけど、普通は子供は出来ても一代限りの事が多い。
俺の生殖機能の欠落は、恐らくそれに当たるんじゃないかと思う。
「ただ…今までの事と言うか、俺の体質はそれで説明がつくんですけど、ウィルとの事だけが例外になってくるんです。」
「みたいだね。」
マダムの言葉に、何をどこまで見られたのかと考えると顔から火が出そうになったがぐっと堪える。
話が進まないので、ひとまずそれは置いておこう。
「ウィルは夜の宝石です。つまり回復能力者……魔法の始祖に当たります。本来なら夜の宝石は純度が高すぎて普通の方法では魔法は使えないそうですが、始祖と言うからにはその素質は持っています。そして魔術も魔法も根本を突き詰めれば、強い願いから成り立っています。……だから、その……。」
「……あの子が真にそれを望めば、少なからず奇跡を起こしているんじゃないかって事だろ?」
「まぁ、そう言うことです……。」
言い淀んだ俺に対し、マダムはあっさり言葉にした。
何かそう言ってしまうと、ウィルがそう言うことを望んでいると言ってしまっているようで気が引けるが、そうなんじゃないかと言う可能性の話なのでそう言うしかないのだが。
しかし自分の事を弄られるのは良いが、あまりそういう意味でウィルを晒して弄られたくはないと言う思いもある。
複雑な顔をした俺に、マダムはハンッと鼻を鳴らした。
「愛した相手と真に結ばれたいって思うのは、別に恥じることじゃないだろ。それだけあの子はあんたに本気だって事さ。」
事も無げに言いきったマダムに、少し気持ちが軽くなる。
あの時、師匠もからかってくるかと思ったのに真剣に聞いてくれた。
こう言う方面の話は人を選ぶだけに、真面目に聞いてくれる人がいるのはとても心強い。
「…あの子はあんたの全てを受け入れているよ、サーク。あんたが勃とうが勃つまいが関係なくあんたを愛してる。それはあんたが人間だろうがそうでなかろうが変わらない。……だから、あんただって、あの子に決めてもらったんだろ?自分が何者なのかを。」
「……ええ。」
「あたしにゃ魔術も魔法もわからない。ただ見ることしかできないからね。だから、あんたのそういう機能が回復してきたのが奇跡なのかはわからない。そんでもって、ボーンの所で修行してあの子が回復能力を使いこなせるようになったとしても、あんたの機能を回復させられるかどうかなんて事はあたしにゃ答えられないよ。……でも、サーク。あんたを通して見てきたあの子は、あんたが思っている以上に本気であんたを想っている。それだけは確かだよ。」
マダムの言葉が胸に響く。
俺の目に映るウィルは、いつだって何の飾り気もなく真っ直ぐに俺を抱きとめてくれた。
不安な思いも、我儘も、全部受けとめ包み込んでくれた。
無意識に胸に手を当て強く思う。
俺もウィルを想っているよ、多分、ウィルが思ってるよりずっと。
それこそ本当にウィルなしでは生きられないほどにね。
性欲どころか恋愛感情さえままならなかった俺がこんな気持ちになるのも、ウィルが俺を想ってくれた事で起きた奇跡なのだろうか?
答えはわからないけどそれでいいんだと思う。
そんな俺を見て、マダムは面倒そうにため息をついた。
「……あの子は物好きだよ。こんな破天荒でメチャクチャな男、あたしならごめんだね。」
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