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第六章「副隊長編」
かたちのない関係
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その後、サムの挨拶が済み集会はお開きになった。
皆、それぞれの仕事に戻っていく。
シルクは着替えたいと言って、寮の部屋に戻った。
ウィルはこれから別宮の騎馬責任者と打ち合わせだ。
「じゃ、後で。」
「うん。何かあったら呼んで。すぐ行くから。」
「何だよそれ?俺は子供じゃないぞ?でも、ありがとう。」
ウィルはそう言って行ってしまった。
不安だ。
ついて行きたい。
だが俺はこれから、副隊長代理としてサムから引き継ぎを受けなければならない。
正直、組織の上に立つ仕事をするのは始めてだ。
立場的にはギルの補佐だし、副隊長補佐としてライルさんがついてくれるから、そこまで心配はしていないが、やはり自分の判断や言葉に責任があるのは慎重にならざる負えない。
まぁとにかく仕事を覚えるのが先決だけどな。
そんな事を考えながら、副隊長室に向かっていると、ガシッと腕を捕まれた。
背後にブラックホールみたいなオーラを感じる。
ヤバい……。
軽く血の気が引いた。
俺は恐る恐る振り返る。
予想通りの人物が、鬼の形相で立っていた。
「ちょっと、来い。異論は認めん…。」
その無表情が怖い……。
俺は有無を言わさず、隊長室に拉致された。
部屋に入るなり俺は襟首を捕まれて、ダンッと乱暴に壁に押し付けられた。
ギルの目がヤバい。
「……どういうつもりだ!?」
「悪かったよ、とりあえず落ち着けよ。」
「お前は……俺を馬鹿にしているのか……!?」
ギリリと喉元が締め上げられる。
ヤバいな、かなりマジだ、こいつ。
俺の額から冷や汗が流れた。
「悪かった。あそこまで言うつもりじゃなかったんだ。」
「だが、言ったよな?」
「……すみません、言いました……。」
「お前はっ……、お前はっ……っ!!」
ギルが容赦なく壁に押し付けながら喉元を締める。
さすがに苦しい。
「おい!いい加減に……っ!!」
「黙れっ!!」
ギクッとした。
ギルの突き刺すような視線とその強さに、俺は背筋がゾッとした。
思い出したくない事を思い出す。
それを堪えようと奥歯を噛んだ。
だがギルは喉を締め上げたまま、ぐっと体を寄せてくる。
ギクリと逃げ場のないまま壁に張り付く。
「よせ……やめろ……っ!!」
「うるさい……っ!!」
完全に壁に押さえ込まれた。
俺の顔の横にギルが締め上げていない方の肘をつき、至近距離で顔を覗き込んできた。
「あ……。」
「お前は忘れっぽいようだな……。」
暗い光が怒りで理性を失いかけていた。
忘れてなんかいない。
手が痺れて力が上手く入らない。
正直、怖かった。
「そう言えば……お前に何かしてもらえる約束があったな……。」
「……………。」
「おとなしくしてろ……いいな……?」
嫌だと言いたかった。
だが、過去と今が混乱しかけて何も言えない。
口を開いたが、乾いた音がするだけで言葉は出なかった。
その口にギルが顔を寄せた。
自分が何で動けないのかわからなかった。
恐怖なのか、謝罪の念なのか、また別のものか。
はね除ける力はある。
魔術を使えばいい。
方法はいくらでもある。
あの時だって払い除けられた。
今は前より自分は強い。
だから出来ないはずはないのだ。
互いの息がかかって、空気が濡れて温かかった。
少しでも動いたらまずい。
少しでも、心を許したら終わる。
そう思った。
「……ああぁっ!!クソッ……っ!!」
ギルが襟首から手を離して叫んだ。
ダンッとその手が壁を叩いた。
「ごめん……。」
「うるさい……黙れ……。」
ギルは何もしなかった。
ただ、壁に追い詰めただけた。
歯軋りの音が聞こえる。
俺はそのまま、ギルが落ち着くのを待った。
コイツの好意に少し甘えすぎた。
そう思った。
「……で?何でこうなるんだ?あの展開から?」
「うるさい。黙れ。」
俺にはこの男は理解できない。
やはり訳がわからない。
ギルはあの後、何を思ったのか膝枕をしろと言った。
は?と思ったが、色々後ろめたい思いもあったので仕方なく受け入れた。
俺はため息をついてその頭を撫でる。
「て、言うかこれ、膝枕じゃなくね?」
「膝枕だろ。」
「いや、違うだろ?」
これ、というのは、俺がソファーに座っていて、ギルは床に膝立ちになっていて、俺の腰回りに抱きついている状況だ。
何なんだ?これは??
俺の膝枕の認識がおかしいのか!?
とはいえ、ギルがなんやかんやをどうにかしようとしてくれた結果がこれなので、受け入れるしかない。
時よりぎゅうっとしがみついてくるので、何か悪いな~と思う。
「こういうのは、シルクに頼めよ……。」
「うるさい。お前が悪い。」
「はいはい、俺が悪かったです。ごめんなさい。」
シルクがよくこいつを可愛い可愛いと言っているが、こう言うことなんだろうか?
まぁ、人間、甘えられる相手がいないと辛いよな。
ギルがまたぎゅっとしがみついた。
「俺はそんなに信用ないのか……?」
「は?信用してるじゃん??」
「いつもお前は勝手だ。」
「う~ん。ごめん。俺もお前に甘えすぎた。」
「……甘えていい。だが、ちゃんと話してくれ……。振り回されて辛い……。」
「悪かったよ。なんか、言わなくてもわかってくれるかな~みたいなところがあったんだよ。そういう部分で甘えすぎた。ごめん。今度からはちゃんと相談します。」
「絶対、嘘だな……それ……。」
「酷くない!?」
「酷いのはお前だ。」
「……返す言葉もありません。ごめんなさい。」
そのまましばらく沈黙が続く。
何か眠くてぐずってる子供みたいだな~と思った。
ギルの黒い髪は光沢があって黒漆器みたいだ。
するするしていて指通りがいい。
何となくそれを手で梳いていると、ギルが口を開いた。
「……お前にとって、俺は何だ?」
ボソリと言われた言葉。
だがそれはむしろこっちが知りたい。
「逆に聞くけど、お前は俺をどう思っている訳?どうしたい訳?」
「……わからん。」
「なら同じだ。俺もわからない。」
強いて言えば、かつてそういう関係になりかけた。
同意じゃなくて、襲ったヤツと襲われたヤツだけど。
後は……結構、勝負はしてるな?
殴りあったり普通にしてる。
後、お互い恋人が別にいる。
「……え!?これ、浮気になるか!?」
そのことに気付き、俺はすっとんきょうな声をあげた。
浮気になるなら困る。
だって俺としてはそういう意味は全くないのだ。
俺はウィルが好きで、ギルの事はそういう意味で見ていない。
戸惑う俺の言葉にギルがやっと顔をあげた。
相変わらず何を考えているのかわからない無表情だ。
「……気の持ちようだな。」
「は?何だよそれ??」
「お前が俺にそう言う意識があってやっているのか、そうじゃないのか。」
「う~ん。」
そういう意識、ね……。
恋愛的な意味で好きか嫌いかと言われたら、そういう意味合いじゃないからわからないとしか言いようがない。
抱きたいとか、抱かれたいとかだろうか?
恋愛的な意味合いがないのだからそこまで考えた事がない。
でもギルにそういうつもりがある事は否応なしに理解しているが、俺自身の方は元々性欲自体がないからわからない。
ウィルに欲情するようにはなったが、今のところ他の事に反応を覚えた事はない。
無表情なギルの顔を見つめる。
そう言う意識……そう言う意識……??
じっとその黒い眼を見つめる。
駄目だ、わからん。
だが、この訳のわからない男を突き放したいとは思ってない。
こんな訳のわからない要求をされても、受け入れるくらいの感情はあるのだろう。
あんな目に合わされて一時は精神不安に悩まされたし、今もトラウマが抜けた訳じゃない。
でも今、ここにこうして側においている。
突き放せないのか、そうしたくて一緒にいるのか、それすらよくわからない。
これってどういう事なんだろうか?
答えになる形が見当たらない。
考え込んでじっと自分を見つめているサーク。
その癖、全く目の色が変わらない様子にギルはため息をついた。
「……ちなみに俺は浮気している自覚がある。」
「嘘だろ!?」
「嘘だ。」
嘘、という嘘をついている。
ギルには自覚があった。
浮気をしているという自覚が。
ギルはもう一度、サークの膝の上に頭を乗せる。
なついた動物でも撫でるように、サークは頭を撫でてくる。
悔しいが気持ちがいい。
その気がないからこそ油断して自分を受け入れているのだとわかっていたが、今はその無頓着さに付け入る。
何も気づかないのなら、今はそれでいい。
「……な~?この罰ゲーム、いつまで続くんだ??」
「後、30分だな。」
「嘘だろ!?」
大声で驚くサークがおかしくて、ギルは顔をあげた。
仕方がないのでこの辺で許してやろう。
ギルはシルクの事を思った。
この話を早く聞いて欲しいと考えていた。
狂ったものも全て共有できる、唯一の恋人に早く会いたかった。
皆、それぞれの仕事に戻っていく。
シルクは着替えたいと言って、寮の部屋に戻った。
ウィルはこれから別宮の騎馬責任者と打ち合わせだ。
「じゃ、後で。」
「うん。何かあったら呼んで。すぐ行くから。」
「何だよそれ?俺は子供じゃないぞ?でも、ありがとう。」
ウィルはそう言って行ってしまった。
不安だ。
ついて行きたい。
だが俺はこれから、副隊長代理としてサムから引き継ぎを受けなければならない。
正直、組織の上に立つ仕事をするのは始めてだ。
立場的にはギルの補佐だし、副隊長補佐としてライルさんがついてくれるから、そこまで心配はしていないが、やはり自分の判断や言葉に責任があるのは慎重にならざる負えない。
まぁとにかく仕事を覚えるのが先決だけどな。
そんな事を考えながら、副隊長室に向かっていると、ガシッと腕を捕まれた。
背後にブラックホールみたいなオーラを感じる。
ヤバい……。
軽く血の気が引いた。
俺は恐る恐る振り返る。
予想通りの人物が、鬼の形相で立っていた。
「ちょっと、来い。異論は認めん…。」
その無表情が怖い……。
俺は有無を言わさず、隊長室に拉致された。
部屋に入るなり俺は襟首を捕まれて、ダンッと乱暴に壁に押し付けられた。
ギルの目がヤバい。
「……どういうつもりだ!?」
「悪かったよ、とりあえず落ち着けよ。」
「お前は……俺を馬鹿にしているのか……!?」
ギリリと喉元が締め上げられる。
ヤバいな、かなりマジだ、こいつ。
俺の額から冷や汗が流れた。
「悪かった。あそこまで言うつもりじゃなかったんだ。」
「だが、言ったよな?」
「……すみません、言いました……。」
「お前はっ……、お前はっ……っ!!」
ギルが容赦なく壁に押し付けながら喉元を締める。
さすがに苦しい。
「おい!いい加減に……っ!!」
「黙れっ!!」
ギクッとした。
ギルの突き刺すような視線とその強さに、俺は背筋がゾッとした。
思い出したくない事を思い出す。
それを堪えようと奥歯を噛んだ。
だがギルは喉を締め上げたまま、ぐっと体を寄せてくる。
ギクリと逃げ場のないまま壁に張り付く。
「よせ……やめろ……っ!!」
「うるさい……っ!!」
完全に壁に押さえ込まれた。
俺の顔の横にギルが締め上げていない方の肘をつき、至近距離で顔を覗き込んできた。
「あ……。」
「お前は忘れっぽいようだな……。」
暗い光が怒りで理性を失いかけていた。
忘れてなんかいない。
手が痺れて力が上手く入らない。
正直、怖かった。
「そう言えば……お前に何かしてもらえる約束があったな……。」
「……………。」
「おとなしくしてろ……いいな……?」
嫌だと言いたかった。
だが、過去と今が混乱しかけて何も言えない。
口を開いたが、乾いた音がするだけで言葉は出なかった。
その口にギルが顔を寄せた。
自分が何で動けないのかわからなかった。
恐怖なのか、謝罪の念なのか、また別のものか。
はね除ける力はある。
魔術を使えばいい。
方法はいくらでもある。
あの時だって払い除けられた。
今は前より自分は強い。
だから出来ないはずはないのだ。
互いの息がかかって、空気が濡れて温かかった。
少しでも動いたらまずい。
少しでも、心を許したら終わる。
そう思った。
「……ああぁっ!!クソッ……っ!!」
ギルが襟首から手を離して叫んだ。
ダンッとその手が壁を叩いた。
「ごめん……。」
「うるさい……黙れ……。」
ギルは何もしなかった。
ただ、壁に追い詰めただけた。
歯軋りの音が聞こえる。
俺はそのまま、ギルが落ち着くのを待った。
コイツの好意に少し甘えすぎた。
そう思った。
「……で?何でこうなるんだ?あの展開から?」
「うるさい。黙れ。」
俺にはこの男は理解できない。
やはり訳がわからない。
ギルはあの後、何を思ったのか膝枕をしろと言った。
は?と思ったが、色々後ろめたい思いもあったので仕方なく受け入れた。
俺はため息をついてその頭を撫でる。
「て、言うかこれ、膝枕じゃなくね?」
「膝枕だろ。」
「いや、違うだろ?」
これ、というのは、俺がソファーに座っていて、ギルは床に膝立ちになっていて、俺の腰回りに抱きついている状況だ。
何なんだ?これは??
俺の膝枕の認識がおかしいのか!?
とはいえ、ギルがなんやかんやをどうにかしようとしてくれた結果がこれなので、受け入れるしかない。
時よりぎゅうっとしがみついてくるので、何か悪いな~と思う。
「こういうのは、シルクに頼めよ……。」
「うるさい。お前が悪い。」
「はいはい、俺が悪かったです。ごめんなさい。」
シルクがよくこいつを可愛い可愛いと言っているが、こう言うことなんだろうか?
まぁ、人間、甘えられる相手がいないと辛いよな。
ギルがまたぎゅっとしがみついた。
「俺はそんなに信用ないのか……?」
「は?信用してるじゃん??」
「いつもお前は勝手だ。」
「う~ん。ごめん。俺もお前に甘えすぎた。」
「……甘えていい。だが、ちゃんと話してくれ……。振り回されて辛い……。」
「悪かったよ。なんか、言わなくてもわかってくれるかな~みたいなところがあったんだよ。そういう部分で甘えすぎた。ごめん。今度からはちゃんと相談します。」
「絶対、嘘だな……それ……。」
「酷くない!?」
「酷いのはお前だ。」
「……返す言葉もありません。ごめんなさい。」
そのまましばらく沈黙が続く。
何か眠くてぐずってる子供みたいだな~と思った。
ギルの黒い髪は光沢があって黒漆器みたいだ。
するするしていて指通りがいい。
何となくそれを手で梳いていると、ギルが口を開いた。
「……お前にとって、俺は何だ?」
ボソリと言われた言葉。
だがそれはむしろこっちが知りたい。
「逆に聞くけど、お前は俺をどう思っている訳?どうしたい訳?」
「……わからん。」
「なら同じだ。俺もわからない。」
強いて言えば、かつてそういう関係になりかけた。
同意じゃなくて、襲ったヤツと襲われたヤツだけど。
後は……結構、勝負はしてるな?
殴りあったり普通にしてる。
後、お互い恋人が別にいる。
「……え!?これ、浮気になるか!?」
そのことに気付き、俺はすっとんきょうな声をあげた。
浮気になるなら困る。
だって俺としてはそういう意味は全くないのだ。
俺はウィルが好きで、ギルの事はそういう意味で見ていない。
戸惑う俺の言葉にギルがやっと顔をあげた。
相変わらず何を考えているのかわからない無表情だ。
「……気の持ちようだな。」
「は?何だよそれ??」
「お前が俺にそう言う意識があってやっているのか、そうじゃないのか。」
「う~ん。」
そういう意識、ね……。
恋愛的な意味で好きか嫌いかと言われたら、そういう意味合いじゃないからわからないとしか言いようがない。
抱きたいとか、抱かれたいとかだろうか?
恋愛的な意味合いがないのだからそこまで考えた事がない。
でもギルにそういうつもりがある事は否応なしに理解しているが、俺自身の方は元々性欲自体がないからわからない。
ウィルに欲情するようにはなったが、今のところ他の事に反応を覚えた事はない。
無表情なギルの顔を見つめる。
そう言う意識……そう言う意識……??
じっとその黒い眼を見つめる。
駄目だ、わからん。
だが、この訳のわからない男を突き放したいとは思ってない。
こんな訳のわからない要求をされても、受け入れるくらいの感情はあるのだろう。
あんな目に合わされて一時は精神不安に悩まされたし、今もトラウマが抜けた訳じゃない。
でも今、ここにこうして側においている。
突き放せないのか、そうしたくて一緒にいるのか、それすらよくわからない。
これってどういう事なんだろうか?
答えになる形が見当たらない。
考え込んでじっと自分を見つめているサーク。
その癖、全く目の色が変わらない様子にギルはため息をついた。
「……ちなみに俺は浮気している自覚がある。」
「嘘だろ!?」
「嘘だ。」
嘘、という嘘をついている。
ギルには自覚があった。
浮気をしているという自覚が。
ギルはもう一度、サークの膝の上に頭を乗せる。
なついた動物でも撫でるように、サークは頭を撫でてくる。
悔しいが気持ちがいい。
その気がないからこそ油断して自分を受け入れているのだとわかっていたが、今はその無頓着さに付け入る。
何も気づかないのなら、今はそれでいい。
「……な~?この罰ゲーム、いつまで続くんだ??」
「後、30分だな。」
「嘘だろ!?」
大声で驚くサークがおかしくて、ギルは顔をあげた。
仕方がないのでこの辺で許してやろう。
ギルはシルクの事を思った。
この話を早く聞いて欲しいと考えていた。
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