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3話
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あの日、私がウェル様に告げた一週間後の夜、私は覚悟を決めていたのにウェル様はお屋敷には帰って来なかった。
正直、内心ではかなりホッとしていた。そしてこのまま他の女性と遊んでいてくれたらと願わずにはいられなかった。
それにしても明日もあるのよね、一応、三日間て言ってしまったので。でも初日をすっぽかしたのはあちらなんだから、もう私から行く必要はないわ、と決めた。
『きっと、今夜は俺のことを待っているに違いない、あんな事を告げたくらいだ』
と心の中で思っていた。
俺の部屋に来たら中には誰もいない、そんな状況でどんな顔をするのか見てみたいが仕方ない。さぞかし悔しがっていることだろう。
あの日の俺の気持ちを思い知ったか、惨めに自分の部屋へ帰るがいいさ。
公爵家の跡取りをロザリーなんかに産ませてたまるかと考えていた俺は、今後もロザリーとは関係を持たないと決めた。
[それから月日は流れてロザリーが公爵家に嫁いで半年が過ぎようとしていた。]
今のここでの生活は快適だけど、いつまでもこのままというわけにもいかない気がする。
ウェル様はこの先どうしようとしているのかしら? 一度きちんと、聞いた方がいいのかもしれない。
その答え次第では、私は実家である侯爵邸に帰らなくてはいけない。
だけどそんなことをしたらきっとお父様に何と言われるか、考えただけでも頭が痛いわ。それにお母様、どんなお顔をなさるのかしら? お母様はきっと分かってくれる気がするけれど、悲しまれるわね。
とりあえず来週、王宮で開かれる舞踏会に参加して、そこでウェル様に声をかけて、時間を取っていただきましょう、今はほとんどこのお屋敷には帰って来ないけれど社交界にはまめに顔を出しているみたいだから、きっと会えるはずだわ。
マーガレットが教えてくれたわ、最近ではあの時の男爵令嬢のアンリさんを連れ歩いていると。
舞踏会当日、私はいつもより時間をかけてドレスアップをしてもらった。侍女のランナは
「今日の舞踏会でこれほど美しい奥様をみたら、きっとご主人様もこのお屋敷に帰ってくる回数も増えますね」
と、私にとっては嬉しくないことを言っている。
私はその言葉をスルーして何もなかったように馬車で王宮へと向かった。
王宮に着くと、親友のマーガレットが実の兄であるルイス様にエスコートをされ、私に声をかけてくれた。
「ロザリー、何だか今日は一段と綺麗よ」
「ありがとう、今日は私、ウェル様にきちんとお話ししようと思って」
「そうね、いつまでもこのままというわけにはいかないものね」
するとマーガレットのお兄様が
「全く、ウェルのやつ、しょうがないなあ、こんなに綺麗な妻がいるというのに」
暫くするとやはり、男爵令嬢のアンリさんをエスコートしながらウェル様が現れた。
するとマーガレットのお兄様のルイス様が
「ウェル、どういうつもりだ、君にはこうやってきちんとした妻がいるというのに」
「あールイス殿、お久しぶりです。ロザリーは形だけの妻ですからどうぞお気になさらず」
そう言って、隣の男爵令嬢の腰に手を回していた。
するとルイス様が
「ウェル、いつまでもこのままというわけにはいかないだろう? どうするのかきちんとけじめをつけるべきだ」
「もちろん、近いうちに、はっきりけじめはつけますからご心配なく」
それを聞いて私は
「近いうちではなく今、はっきりお聞かせください。どうせ結論はもう出ていらっしゃるのでしょう?」
「でははっきり言おう。ロザリー、君とは婚姻無効とさせてもらう。一度も夫婦の関係はなかったのだから当然だがな」
「分かりました、ではそのように」
そう言って、私はその場を後にした。
後ろではマーガレットとルイス様が、ウェル様に色々言ってくださっていたが、さすがにあの場に留まる気にはなれなかった。
大勢の人たちの前であれほど大きな声で婚姻無効を告げられたのだから。
正直、内心ではかなりホッとしていた。そしてこのまま他の女性と遊んでいてくれたらと願わずにはいられなかった。
それにしても明日もあるのよね、一応、三日間て言ってしまったので。でも初日をすっぽかしたのはあちらなんだから、もう私から行く必要はないわ、と決めた。
『きっと、今夜は俺のことを待っているに違いない、あんな事を告げたくらいだ』
と心の中で思っていた。
俺の部屋に来たら中には誰もいない、そんな状況でどんな顔をするのか見てみたいが仕方ない。さぞかし悔しがっていることだろう。
あの日の俺の気持ちを思い知ったか、惨めに自分の部屋へ帰るがいいさ。
公爵家の跡取りをロザリーなんかに産ませてたまるかと考えていた俺は、今後もロザリーとは関係を持たないと決めた。
[それから月日は流れてロザリーが公爵家に嫁いで半年が過ぎようとしていた。]
今のここでの生活は快適だけど、いつまでもこのままというわけにもいかない気がする。
ウェル様はこの先どうしようとしているのかしら? 一度きちんと、聞いた方がいいのかもしれない。
その答え次第では、私は実家である侯爵邸に帰らなくてはいけない。
だけどそんなことをしたらきっとお父様に何と言われるか、考えただけでも頭が痛いわ。それにお母様、どんなお顔をなさるのかしら? お母様はきっと分かってくれる気がするけれど、悲しまれるわね。
とりあえず来週、王宮で開かれる舞踏会に参加して、そこでウェル様に声をかけて、時間を取っていただきましょう、今はほとんどこのお屋敷には帰って来ないけれど社交界にはまめに顔を出しているみたいだから、きっと会えるはずだわ。
マーガレットが教えてくれたわ、最近ではあの時の男爵令嬢のアンリさんを連れ歩いていると。
舞踏会当日、私はいつもより時間をかけてドレスアップをしてもらった。侍女のランナは
「今日の舞踏会でこれほど美しい奥様をみたら、きっとご主人様もこのお屋敷に帰ってくる回数も増えますね」
と、私にとっては嬉しくないことを言っている。
私はその言葉をスルーして何もなかったように馬車で王宮へと向かった。
王宮に着くと、親友のマーガレットが実の兄であるルイス様にエスコートをされ、私に声をかけてくれた。
「ロザリー、何だか今日は一段と綺麗よ」
「ありがとう、今日は私、ウェル様にきちんとお話ししようと思って」
「そうね、いつまでもこのままというわけにはいかないものね」
するとマーガレットのお兄様が
「全く、ウェルのやつ、しょうがないなあ、こんなに綺麗な妻がいるというのに」
暫くするとやはり、男爵令嬢のアンリさんをエスコートしながらウェル様が現れた。
するとマーガレットのお兄様のルイス様が
「ウェル、どういうつもりだ、君にはこうやってきちんとした妻がいるというのに」
「あールイス殿、お久しぶりです。ロザリーは形だけの妻ですからどうぞお気になさらず」
そう言って、隣の男爵令嬢の腰に手を回していた。
するとルイス様が
「ウェル、いつまでもこのままというわけにはいかないだろう? どうするのかきちんとけじめをつけるべきだ」
「もちろん、近いうちに、はっきりけじめはつけますからご心配なく」
それを聞いて私は
「近いうちではなく今、はっきりお聞かせください。どうせ結論はもう出ていらっしゃるのでしょう?」
「でははっきり言おう。ロザリー、君とは婚姻無効とさせてもらう。一度も夫婦の関係はなかったのだから当然だがな」
「分かりました、ではそのように」
そう言って、私はその場を後にした。
後ろではマーガレットとルイス様が、ウェル様に色々言ってくださっていたが、さすがにあの場に留まる気にはなれなかった。
大勢の人たちの前であれほど大きな声で婚姻無効を告げられたのだから。
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