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12話
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今日はルイス様が街に出て買い物をしようと言うので、今、一軒のお店の中にいる。
「ロザリー嬢、遠慮は要らない、好きな物を選んでくれ」
そう言われ、沢山の宝飾品が並んだ店内に案内された。
「好きな物と言われましても、今、持っている物で事足りていますので」
「そんなことは言わず、これなんかどうだ?」
ルイス様は水色の石で出来たネックレスを指さされた。
それは今まで見たことがないほど鮮明に光り輝いていた。
「本当に綺麗な石ですね」
「ではこれで決まりだ、丁度私の瞳の色と同じだし、これにしよう」
そう言って勝手に決めてしまわれた。
「こんな高価な物、頂けません」
「だったら来週、誕生日だろう? そのお祝いということにしよう」
そう仰って、強引に買われてしまった。私は心の中で思った。
(こんな高価な物を頂いたらルイス様とのお付き合い、断り難くなってしまうわ)
「もしかしたら、こんな物を貰ったら私とのこと、断れなくなると思っているのかな?」
思わず図星を突かれ、黙ってしまった。
「そんな心の狭い男ではないよ、嫌なら捨ててくれても構わない」
「そんな捨てるだなんて、頂いた物は一生、大事にします」
「良かった、ならそうしてくれると嬉しい」
ルイス様は優しい笑顔を向けてくださった。
「ありがとうございます。それでは大事に使わせて頂きますね」
(あら? 何故ルイス様は私のお誕生日を?)
「そういえば私のお誕生日はマーガレットから聞いたのですか?」
「ああ、そうだよ。来週のマーガレットの婚約パーティに是非、これを着けてくれたら嬉しいな」
「はい、では必ずこれを着けさせて頂きますね」
するとルイス様はとても嬉しそうに微笑んでくれた。
そんなお姿がとても素敵に感じられ、私は心の中で(決して物に釣られたわけではないわ)と自分に言い聞かせ、苦笑した。
いよいよ婚約パーティーの当日、ルイス様は前回の社交界の時と同じ様に迎えに来てくださった。
そして、頂いたネックレスに合うドレスを選び、仕上がった私を見て、ルイス様は 瞬きをしている。
「いつにも増して綺麗だ、良く似合っているよ」
そんなルイス様に私も返した。
「ルイス様もとても素敵です」
「ありがとう、君にそう言ってもらえて嬉しいよ」
そう言いながら、なんだか少し照れていらした。
そしてその後、私たちは王宮へと向かった。
王宮に着くと、今日はいつもよりも大勢の貴族たちが集まっていた。
ルイス様はそっと手を差し出した。
「じゃあ、殿下のところにまずは挨拶に行こう」
私は静かに首を振った。
「私は身内ではありませんので、まずはルイス様お一人で行かれるべきかと」
「いいや、遠慮は要らない、君はマーガレットの親友でもあるんだ」
「いえ、こればかりはダメです、まずはお身内からでないと」
するとルイス様はさすがに諦めて
「分かった、では先に行って来るよ」
そう言われ、王族の方々のところへと向かわれた。それを私は遠目で見送った。するとルイス様がいなくなったのを見計らったように令嬢たちがやって来た。
「ウェル様がダメなら今度はルイス様を狙ってらっしゃるのかしら?」
(えーと、確かこの方は、ルイス様の従妹のスペクター公爵令嬢のステーシア様だったかしら?)
「私はただ、お誘いをお受けしただけですわ」
「全く油断も隙もありませんこと。ルイス様は第二王女殿下のお気に入りなんですから、貴女みたいな人が一緒にいていい相手ではありませんことよ」
冷たい瞳で睨みながらそう言われた。
そしてルイス様の方を見ると、王族の方々に挨拶されているルイス様のことを、確かにじっと見つめている第二王女殿下がいらした。
私はどうしたものかと考えたが、このまま何も言わずに去ることは失礼なので、とりあえずルイス様が戻られるのを待つことにした。
そんな私に更に言う。
「ちょっと、聞いていますの? 貴女みたいな婚姻無効にされた女性が側にいたらルイス様の迷惑になることも分からないのかしら」
今度は怒鳴っている。そして……
「あら、手が滑ってしまいましたわ」
と言って私のドレスにワインをかけてきた。
「こんな格好ではさすがに恥ずかしいでしょうからさっさとお帰りになったらいかがかしら」
(こんな恰好にしたのはご自分でしょうに)
するとそんな騒ぎに気がつき、ルイス様が戻っていらした。
「なにをしている!」
と、ステーシア様に怒っている。ステーシア様は焦った表情で言い訳をする。
「わ、わたくしはただルイス様のためにならないと」
と言いかけたところで私は言った。
「ルイス様、申し訳ありませんがこのようなドレスではこれ以上こちらにはいられませんのでお先に失礼させて頂きます」
そう言ってその場を去ろうとした。するとルイス様は
「ステーシア嬢、彼女に何をした!」
すごい勢いで詰め寄った。
「ルイス様、私は大丈夫ですから、どうぞお戻りください」
私は走りながら王宮を後にしようとしたが、ルイス様は追ってきて、私のことを引き止めた。
「ルイス様、本当にこの姿ではさすがに無理です。今日はマーガレットのお祝いの席なのでこれ以上は騒ぎを大きくなさらないでください」
そうお願いしてから
「すみませんが、乗って来た馬車だけお借りします」
そう言って、その場を後にした。
「ロザリー嬢、遠慮は要らない、好きな物を選んでくれ」
そう言われ、沢山の宝飾品が並んだ店内に案内された。
「好きな物と言われましても、今、持っている物で事足りていますので」
「そんなことは言わず、これなんかどうだ?」
ルイス様は水色の石で出来たネックレスを指さされた。
それは今まで見たことがないほど鮮明に光り輝いていた。
「本当に綺麗な石ですね」
「ではこれで決まりだ、丁度私の瞳の色と同じだし、これにしよう」
そう言って勝手に決めてしまわれた。
「こんな高価な物、頂けません」
「だったら来週、誕生日だろう? そのお祝いということにしよう」
そう仰って、強引に買われてしまった。私は心の中で思った。
(こんな高価な物を頂いたらルイス様とのお付き合い、断り難くなってしまうわ)
「もしかしたら、こんな物を貰ったら私とのこと、断れなくなると思っているのかな?」
思わず図星を突かれ、黙ってしまった。
「そんな心の狭い男ではないよ、嫌なら捨ててくれても構わない」
「そんな捨てるだなんて、頂いた物は一生、大事にします」
「良かった、ならそうしてくれると嬉しい」
ルイス様は優しい笑顔を向けてくださった。
「ありがとうございます。それでは大事に使わせて頂きますね」
(あら? 何故ルイス様は私のお誕生日を?)
「そういえば私のお誕生日はマーガレットから聞いたのですか?」
「ああ、そうだよ。来週のマーガレットの婚約パーティに是非、これを着けてくれたら嬉しいな」
「はい、では必ずこれを着けさせて頂きますね」
するとルイス様はとても嬉しそうに微笑んでくれた。
そんなお姿がとても素敵に感じられ、私は心の中で(決して物に釣られたわけではないわ)と自分に言い聞かせ、苦笑した。
いよいよ婚約パーティーの当日、ルイス様は前回の社交界の時と同じ様に迎えに来てくださった。
そして、頂いたネックレスに合うドレスを選び、仕上がった私を見て、ルイス様は 瞬きをしている。
「いつにも増して綺麗だ、良く似合っているよ」
そんなルイス様に私も返した。
「ルイス様もとても素敵です」
「ありがとう、君にそう言ってもらえて嬉しいよ」
そう言いながら、なんだか少し照れていらした。
そしてその後、私たちは王宮へと向かった。
王宮に着くと、今日はいつもよりも大勢の貴族たちが集まっていた。
ルイス様はそっと手を差し出した。
「じゃあ、殿下のところにまずは挨拶に行こう」
私は静かに首を振った。
「私は身内ではありませんので、まずはルイス様お一人で行かれるべきかと」
「いいや、遠慮は要らない、君はマーガレットの親友でもあるんだ」
「いえ、こればかりはダメです、まずはお身内からでないと」
するとルイス様はさすがに諦めて
「分かった、では先に行って来るよ」
そう言われ、王族の方々のところへと向かわれた。それを私は遠目で見送った。するとルイス様がいなくなったのを見計らったように令嬢たちがやって来た。
「ウェル様がダメなら今度はルイス様を狙ってらっしゃるのかしら?」
(えーと、確かこの方は、ルイス様の従妹のスペクター公爵令嬢のステーシア様だったかしら?)
「私はただ、お誘いをお受けしただけですわ」
「全く油断も隙もありませんこと。ルイス様は第二王女殿下のお気に入りなんですから、貴女みたいな人が一緒にいていい相手ではありませんことよ」
冷たい瞳で睨みながらそう言われた。
そしてルイス様の方を見ると、王族の方々に挨拶されているルイス様のことを、確かにじっと見つめている第二王女殿下がいらした。
私はどうしたものかと考えたが、このまま何も言わずに去ることは失礼なので、とりあえずルイス様が戻られるのを待つことにした。
そんな私に更に言う。
「ちょっと、聞いていますの? 貴女みたいな婚姻無効にされた女性が側にいたらルイス様の迷惑になることも分からないのかしら」
今度は怒鳴っている。そして……
「あら、手が滑ってしまいましたわ」
と言って私のドレスにワインをかけてきた。
「こんな格好ではさすがに恥ずかしいでしょうからさっさとお帰りになったらいかがかしら」
(こんな恰好にしたのはご自分でしょうに)
するとそんな騒ぎに気がつき、ルイス様が戻っていらした。
「なにをしている!」
と、ステーシア様に怒っている。ステーシア様は焦った表情で言い訳をする。
「わ、わたくしはただルイス様のためにならないと」
と言いかけたところで私は言った。
「ルイス様、申し訳ありませんがこのようなドレスではこれ以上こちらにはいられませんのでお先に失礼させて頂きます」
そう言ってその場を去ろうとした。するとルイス様は
「ステーシア嬢、彼女に何をした!」
すごい勢いで詰め寄った。
「ルイス様、私は大丈夫ですから、どうぞお戻りください」
私は走りながら王宮を後にしようとしたが、ルイス様は追ってきて、私のことを引き止めた。
「ルイス様、本当にこの姿ではさすがに無理です。今日はマーガレットのお祝いの席なのでこれ以上は騒ぎを大きくなさらないでください」
そうお願いしてから
「すみませんが、乗って来た馬車だけお借りします」
そう言って、その場を後にした。
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