Love Potion

煉彩

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願い 4

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「お邪魔します」
 昨日来たばかりの部屋に入る。
 相変わらず整理はされていないけど、私が買っていったスポドリとかは飲んでくれたみたいだった。

 上着を脱ぎ、ポスっと彼はベッドに座った後
「で、何。話って?」
 気になっていたようで、すぐに話を切り出された。

「これから私が質問することに、嘘をつくことなく答えてほしい」

 彼にとって何も利益がないお願い、聞いてくれるだろうか。

「なにそれ?」
 しばらく沈黙が続く。

「そうだな。昨日、美月にはお世話になったし。良いよ?」
 じゃあと言いかけたが
「俺を満足させることができたら答えてあげる」

「はっ?」

 俺を満足って、なに?

「どういうこと?」

「言葉の通りだけど」

 ニヤリと彼は笑っていた。
 昨日とは大違い。満足させるって、卑猥なことしか考えられない私はもう彼に支配されている。

「何してほしいの?」

 一応、聞いてみるも
「それは美月が考えて」
 彼の王様的態度は変わりない。

 いっそ、昨日の素直な加賀宮さんの方が可愛かったかも。
 でも、迅くんなのか確かめたい。

 彼とした当初は感情もないまま、彼に身を委ねてた。
 今はなぜ、恥ずかしいと心が揺らいでしまうの。
 それは私が彼のことを――。

「わかった」
 私は自分の着ていた服を脱ぎ、キャミソールになる。
 そして、ベッドに座っている彼に顔を近づけて、唇にチュッとキスをした。

「もっと」
 彼から強請られ、もう一度唇を重ねる。

「んっ……」
 彼に舌を入れられ、声が漏れる。

 どうしてこんなにドキドキするの?
 前は割り切って自分からキスしてたじゃない。

「どうした?こんなんじゃ答えられないよ」
 彼がフッと笑った。

 その余裕が悔しい。
 ムッとした顔をしてしまったが、私は加賀宮さんを押し倒し、ワイシャツのボタンを外していった。

「どうしたの?美月。そこまでして」

 私の髪の毛をさらっと撫で、彼は笑っていた。

 加賀宮さんの問いには答えず、首筋や鎖骨に唇をつける。
 私はこんなにも必死なのに、彼は私の髪の毛を指先で巻いて遊んでいるくらい平気。
 服を脱がしながら、キスをした。
 心臓が飛び出そう。

 半裸の彼、腰の部分をチラッと見たが、よく見えない。
 傷がある部分は、たぶん右腰の後ろだ。
 この状況で<後ろ向いて?>は無理がある。

 だったら――。
 私はベルトを外そうとした。
 カタカタっという音がするも、緊張で手が震えてなかなか外せない。

 すると
「もういいよ。美月」
 止められた。

「そこまでして、美月が知りたいことって何?頑張ったから、一つだけ答えてあげる」

「えっ?本当!?」

 ああと言いながら
「水持ってくる」
 彼がベッドから立ち上がった。

 あっ!!

 彼がまだ服を着ていなかったのが幸いした。
 私が予想した通りのところに、何かに噛まれたような傷があった。二つ点が付いている。

 こんな偶然が重なることなどそうはない。
 目の前に居るのが、子どもの時に大好きだった迅くんだ。

「美月もなんか飲む?」
 彼はいつもと変わらない様子だった。

 私が過去のことを思い出したなんて知ったら、どんな反応をするんだろう。

「ううん。大丈夫」
 なんて聞けば……。

「で、質問って何?」
 彼の目線は私に向けられている。


「子どもの頃……。私と仲良くしてくれたは、あなたなの?」

 洋服を着ようとしていた彼の動きが止まった。

「その腰の傷は、私の代わりに犬に噛まれた時のもの……だよね?」

 お互いにその後、無言になった。
 それは時間にすると十秒くらいのもの。けれど、その十秒が数分以上経っているような感覚だ。

 加賀宮さんは真っすぐに私を見据えている。

「そうだよ。
 
 子どもの頃、毎日優しく私の名前を呼んでくれたのに、今まで思い出せなかった。

 それが悔しくて

 私は子どもの頃のように、彼に抱きついた。

 
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