37 / 66
願い 4
「お邪魔します」
昨日来たばかりの部屋に入る。
相変わらず整理はされていないけど、私が買っていったスポドリとかは飲んでくれたみたいだった。
上着を脱ぎ、ポスっと彼はベッドに座った後
「で、何。話って?」
気になっていたようで、すぐに話を切り出された。
「これから私が質問することに、嘘をつくことなく答えてほしい」
彼にとって何も利益がないお願い、聞いてくれるだろうか。
「なにそれ?」
しばらく沈黙が続く。
「そうだな。昨日、美月にはお世話になったし。良いよ?」
じゃあと言いかけたが
「俺を満足させることができたら答えてあげる」
「はっ?」
俺を満足って、なに?
「どういうこと?」
「言葉の通りだけど」
ニヤリと彼は笑っていた。
昨日とは大違い。満足させるって、卑猥なことしか考えられない私はもう彼に支配されている。
「何してほしいの?」
一応、聞いてみるも
「それは美月が考えて」
彼の王様的態度は変わりない。
いっそ、昨日の素直な加賀宮さんの方が可愛かったかも。
でも、迅くんなのか確かめたい。
彼と契約した当初は感情もないまま、彼に身を委ねてた。
今はなぜ、恥ずかしいと心が揺らいでしまうの。
それは私が彼のことを――。
「わかった」
私は自分の着ていた服を脱ぎ、キャミソールになる。
そして、ベッドに座っている彼に顔を近づけて、唇にチュッとキスをした。
「もっと」
彼から強請られ、もう一度唇を重ねる。
「んっ……」
彼に舌を入れられ、声が漏れる。
どうしてこんなにドキドキするの?
前は割り切って自分からキスしてたじゃない。
「どうした?こんなんじゃ答えられないよ」
彼がフッと笑った。
その余裕が悔しい。
ムッとした顔をしてしまったが、私は加賀宮さんを押し倒し、ワイシャツのボタンを外していった。
「どうしたの?美月。そこまでして」
私の髪の毛をさらっと撫で、彼は笑っていた。
加賀宮さんの問いには答えず、首筋や鎖骨に唇をつける。
私はこんなにも必死なのに、彼は私の髪の毛を指先で巻いて遊んでいるくらい平気。
服を脱がしながら、キスをした。
心臓が飛び出そう。
半裸の彼、腰の部分をチラッと見たが、よく見えない。
傷がある部分は、たぶん右腰の後ろだ。
この状況で<後ろ向いて?>は無理がある。
だったら――。
私はベルトを外そうとした。
カタカタっという音がするも、緊張で手が震えてなかなか外せない。
すると
「もういいよ。美月」
止められた。
「そこまでして、美月が知りたいことって何?頑張ったから、一つだけ答えてあげる」
「えっ?本当!?」
ああと言いながら
「水持ってくる」
彼がベッドから立ち上がった。
あっ!!
彼がまだ服を着ていなかったのが幸いした。
私が予想した通りのところに、何かに噛まれたような傷があった。二つ点が付いている。
こんな偶然が重なることなどそうはない。
目の前に居るのが、子どもの時に大好きだった迅くんだ。
「美月もなんか飲む?」
彼はいつもと変わらない様子だった。
私が過去のことを思い出したなんて知ったら、どんな反応をするんだろう。
「ううん。大丈夫」
なんて聞けば……。
「で、質問って何?」
彼の目線は私に向けられている。
「子どもの頃……。私と仲良くしてくれた迅くんは、あなたなの?」
洋服を着ようとしていた彼の動きが止まった。
「その腰の傷は、私の代わりに犬に噛まれた時のもの……だよね?」
お互いにその後、無言になった。
それは時間にすると十秒くらいのもの。けれど、その十秒が数分以上経っているような感覚だ。
加賀宮さんは真っすぐに私を見据えている。
「そうだよ。美月」
子どもの頃、毎日優しく私の名前を呼んでくれたのに、今まで思い出せなかった。
それが悔しくて
「迅くん!」
私は子どもの頃のように、彼に抱きついた。
昨日来たばかりの部屋に入る。
相変わらず整理はされていないけど、私が買っていったスポドリとかは飲んでくれたみたいだった。
上着を脱ぎ、ポスっと彼はベッドに座った後
「で、何。話って?」
気になっていたようで、すぐに話を切り出された。
「これから私が質問することに、嘘をつくことなく答えてほしい」
彼にとって何も利益がないお願い、聞いてくれるだろうか。
「なにそれ?」
しばらく沈黙が続く。
「そうだな。昨日、美月にはお世話になったし。良いよ?」
じゃあと言いかけたが
「俺を満足させることができたら答えてあげる」
「はっ?」
俺を満足って、なに?
「どういうこと?」
「言葉の通りだけど」
ニヤリと彼は笑っていた。
昨日とは大違い。満足させるって、卑猥なことしか考えられない私はもう彼に支配されている。
「何してほしいの?」
一応、聞いてみるも
「それは美月が考えて」
彼の王様的態度は変わりない。
いっそ、昨日の素直な加賀宮さんの方が可愛かったかも。
でも、迅くんなのか確かめたい。
彼と契約した当初は感情もないまま、彼に身を委ねてた。
今はなぜ、恥ずかしいと心が揺らいでしまうの。
それは私が彼のことを――。
「わかった」
私は自分の着ていた服を脱ぎ、キャミソールになる。
そして、ベッドに座っている彼に顔を近づけて、唇にチュッとキスをした。
「もっと」
彼から強請られ、もう一度唇を重ねる。
「んっ……」
彼に舌を入れられ、声が漏れる。
どうしてこんなにドキドキするの?
前は割り切って自分からキスしてたじゃない。
「どうした?こんなんじゃ答えられないよ」
彼がフッと笑った。
その余裕が悔しい。
ムッとした顔をしてしまったが、私は加賀宮さんを押し倒し、ワイシャツのボタンを外していった。
「どうしたの?美月。そこまでして」
私の髪の毛をさらっと撫で、彼は笑っていた。
加賀宮さんの問いには答えず、首筋や鎖骨に唇をつける。
私はこんなにも必死なのに、彼は私の髪の毛を指先で巻いて遊んでいるくらい平気。
服を脱がしながら、キスをした。
心臓が飛び出そう。
半裸の彼、腰の部分をチラッと見たが、よく見えない。
傷がある部分は、たぶん右腰の後ろだ。
この状況で<後ろ向いて?>は無理がある。
だったら――。
私はベルトを外そうとした。
カタカタっという音がするも、緊張で手が震えてなかなか外せない。
すると
「もういいよ。美月」
止められた。
「そこまでして、美月が知りたいことって何?頑張ったから、一つだけ答えてあげる」
「えっ?本当!?」
ああと言いながら
「水持ってくる」
彼がベッドから立ち上がった。
あっ!!
彼がまだ服を着ていなかったのが幸いした。
私が予想した通りのところに、何かに噛まれたような傷があった。二つ点が付いている。
こんな偶然が重なることなどそうはない。
目の前に居るのが、子どもの時に大好きだった迅くんだ。
「美月もなんか飲む?」
彼はいつもと変わらない様子だった。
私が過去のことを思い出したなんて知ったら、どんな反応をするんだろう。
「ううん。大丈夫」
なんて聞けば……。
「で、質問って何?」
彼の目線は私に向けられている。
「子どもの頃……。私と仲良くしてくれた迅くんは、あなたなの?」
洋服を着ようとしていた彼の動きが止まった。
「その腰の傷は、私の代わりに犬に噛まれた時のもの……だよね?」
お互いにその後、無言になった。
それは時間にすると十秒くらいのもの。けれど、その十秒が数分以上経っているような感覚だ。
加賀宮さんは真っすぐに私を見据えている。
「そうだよ。美月」
子どもの頃、毎日優しく私の名前を呼んでくれたのに、今まで思い出せなかった。
それが悔しくて
「迅くん!」
私は子どもの頃のように、彼に抱きついた。
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す
花里 美佐
恋愛
榊原財閥に勤める香月菜々は日傘専務の秘書をしていた。
専務は御曹司の元上司。
その専務が社内政争に巻き込まれ退任。
菜々は同じ秘書の彼氏にもフラれてしまう。
居場所がなくなった彼女は退職を希望したが
支社への転勤(左遷)を命じられてしまう。
ところが、ようやく落ち着いた彼女の元に
海外にいたはずの御曹司が現れて?!
俺様上司に今宵も激しく求められる。
藤白ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
4番目の許婚候補
富樫 聖夜
恋愛
愛美は家出をした従姉妹の舞の代わりに結婚することになるかも、と突然告げられた。どうも昔からの約束で従姉妹の中から誰かが嫁に行かないといけないらしい。順番からいえば4番目の許婚候補なので、よもや自分に回ってくることはないと安堵した愛美だったが、偶然にも就職先は例の許婚がいる会社。所属部署も同じになってしまい、何だかいろいろバレないようにヒヤヒヤする日々を送るハメになる。おまけに関わらないように距離を置いて接していたのに例の許婚――佐伯彰人――がどういうわけか愛美に大接近。4番目の許婚候補だってバレた!? それとも――? ラブコメです。――――アルファポリス様より書籍化されました。本編削除済みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン