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決意 5
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「はい。どうしましたか?」
「今日の夕ご飯、ミネストローネにしようと思って、作ったんですけど。なんか味に自信がなくて。薄いような……。カフェメニューの監修までしている美月さんに、アドバイスをもらいたくて」
なんか、引っかかる言い方かも。私の考えすぎ?
「美和さんのお料理、いつも美味しいですし、私で役に立てれば良いんですが」
キッチンに向かい、鍋に入っているスープを小さなスプーンを使って飲む。
うーん、言われてみればコクがないかも。
本当に美和さんは悩んでいるのかな。
「もしコクを出したいなら、味噌を少し足してみると良いかもです。私も前に作ったことがあって」
私が伝えると、美和さんの動きがピタッと止まった。
もしかして、癪に障っちゃった?
「ありがとうございます!ピンっときました。早速、足してみますね」
いつものようにニコッと微笑んでくれた。
良かった、怒っていないみたい。
その後は、美和さんとあまり会話することなく過ごした。
最近カフェに行くようになって、昔より彼女と話さなくなった。
私が孝介との浮気現場を目撃してしまったっていうのもあるけど。私の一歩引いた雰囲気を察してか、美和さんに話しかけられる回数も減った。<仲良くしてほしい>そう言ってくれたのは、それほど昔でもないのに。
その日の夜、数日ぶりに帰ってきた孝介と会話のない食事が始まる。
「今日ね、美和さん、孝介の好きなミネストローネを作ってくれたんだよ」
声をかけるも、返事はない。
こんなことでめげない。
私は普通の妻でいなくちゃいけないから。
孝介がスープを一口飲む――。
「っ!!なんだこれっ!!」
「どうしたの!?」
渋い顔をして洗面台に行き、水を何度も口の中に入れ、吐き出している。
「大丈夫!?」
どうしたんだろう。
私がスープを飲んだ時は、なんともなかった。
自分のお皿に盛ったミネストローネを一口、口の中に入れる。
「っ!!」
どうして!?
私が飲んだ時より、かなり塩辛い。正直、食べれない。薄めるとかそんなレベルじゃない。
「おい、お前!!なんか変な物入れてないだろうな!!」
孝介がリビングへ戻り、私に鋭い視線を投げた。
「入れてないよ。私も今、一口飲んだけど」
「じゃあ、なんでこんな味すんだよ!美和さんがこんな料理作るわけないだろ!」
けど、これは確かに美和さんが作った物だ。
「わからない」
そう答えるしかない。
「直接、彼女に聞いてみる」
孝介はスマホを取り出し、美和さんに電話をかけた。
「もしもし?すみません。急に。あの、今日作ってくれたミネストローネなんだけど、ちょっと味がおかしくてさ?美和さんが作る料理はいつも美味しいから。どうしたのかなって思って」
言い方がかなりやんわりしてる。
この味付け、ちょっとどころではないのに。
「えっ。そんなことがあったんですか?ごめん。美月にはキツく言っておくから。うん。わかった。また明日、よろしくお願いします」
美月にはキツくってどういうこと?
私、何もしてない!
彼は「はぁ」と溜め息をついた後
「お前、美和さんの作った料理にケチをつけたらしいな?」
そう言って、キッチンテーブルを叩いた。
「えっ?」
ケチをつけたって。私、そんな言い方してない。
「ケチはつけてないよ。美和さんに、味付けをアドバイスしてほしいって言われて。コクを出すなら少し味噌を足した方が良いって言っただけ……」
「それが余計なお世話なんだよ!調子に乗るな!!美和さんが素直にそれを受け取ったから、こんな味になったんだろうが!」
室内に響く、怒号。
いや、少しでこんな味にはならない。
もしかして美和さんはわざとこんなことを?
孝介は美和さんを信じている。私の言葉なんて伝わらない。
私が黙っていると
「非常に不愉快だ。お前、罰としてこれ全部飲め」
眼が、本気だ。
「嫌よ」
私なりに精一杯反抗する。
「食材を無駄にしやがって!誰が金を稼いでると思ってるんだ!」
孝介は私に近寄り、平手で頬を殴ろうとした。
「やめて!」
私は咄嗟に自分の腕を使い、防ぐ。
「チッ」
孝介は舌打ちをし
「二度と美和さんの料理に口を出すな」
そう言って、自室に入って行った。
急に肩の力が抜ける。
座り込みそうになったが、なんとか耐えた。
美和さんのこと、そんなに大切なんだね。
孝介が私と一緒に居る意味などない。
腕が痛い。顔だったらもっと痛かったかな。
私はテーブルに残った食事を片づける。
美和さんと会った時、私はどんな風に接すれば良いんだろう。
「今日の夕ご飯、ミネストローネにしようと思って、作ったんですけど。なんか味に自信がなくて。薄いような……。カフェメニューの監修までしている美月さんに、アドバイスをもらいたくて」
なんか、引っかかる言い方かも。私の考えすぎ?
「美和さんのお料理、いつも美味しいですし、私で役に立てれば良いんですが」
キッチンに向かい、鍋に入っているスープを小さなスプーンを使って飲む。
うーん、言われてみればコクがないかも。
本当に美和さんは悩んでいるのかな。
「もしコクを出したいなら、味噌を少し足してみると良いかもです。私も前に作ったことがあって」
私が伝えると、美和さんの動きがピタッと止まった。
もしかして、癪に障っちゃった?
「ありがとうございます!ピンっときました。早速、足してみますね」
いつものようにニコッと微笑んでくれた。
良かった、怒っていないみたい。
その後は、美和さんとあまり会話することなく過ごした。
最近カフェに行くようになって、昔より彼女と話さなくなった。
私が孝介との浮気現場を目撃してしまったっていうのもあるけど。私の一歩引いた雰囲気を察してか、美和さんに話しかけられる回数も減った。<仲良くしてほしい>そう言ってくれたのは、それほど昔でもないのに。
その日の夜、数日ぶりに帰ってきた孝介と会話のない食事が始まる。
「今日ね、美和さん、孝介の好きなミネストローネを作ってくれたんだよ」
声をかけるも、返事はない。
こんなことでめげない。
私は普通の妻でいなくちゃいけないから。
孝介がスープを一口飲む――。
「っ!!なんだこれっ!!」
「どうしたの!?」
渋い顔をして洗面台に行き、水を何度も口の中に入れ、吐き出している。
「大丈夫!?」
どうしたんだろう。
私がスープを飲んだ時は、なんともなかった。
自分のお皿に盛ったミネストローネを一口、口の中に入れる。
「っ!!」
どうして!?
私が飲んだ時より、かなり塩辛い。正直、食べれない。薄めるとかそんなレベルじゃない。
「おい、お前!!なんか変な物入れてないだろうな!!」
孝介がリビングへ戻り、私に鋭い視線を投げた。
「入れてないよ。私も今、一口飲んだけど」
「じゃあ、なんでこんな味すんだよ!美和さんがこんな料理作るわけないだろ!」
けど、これは確かに美和さんが作った物だ。
「わからない」
そう答えるしかない。
「直接、彼女に聞いてみる」
孝介はスマホを取り出し、美和さんに電話をかけた。
「もしもし?すみません。急に。あの、今日作ってくれたミネストローネなんだけど、ちょっと味がおかしくてさ?美和さんが作る料理はいつも美味しいから。どうしたのかなって思って」
言い方がかなりやんわりしてる。
この味付け、ちょっとどころではないのに。
「えっ。そんなことがあったんですか?ごめん。美月にはキツく言っておくから。うん。わかった。また明日、よろしくお願いします」
美月にはキツくってどういうこと?
私、何もしてない!
彼は「はぁ」と溜め息をついた後
「お前、美和さんの作った料理にケチをつけたらしいな?」
そう言って、キッチンテーブルを叩いた。
「えっ?」
ケチをつけたって。私、そんな言い方してない。
「ケチはつけてないよ。美和さんに、味付けをアドバイスしてほしいって言われて。コクを出すなら少し味噌を足した方が良いって言っただけ……」
「それが余計なお世話なんだよ!調子に乗るな!!美和さんが素直にそれを受け取ったから、こんな味になったんだろうが!」
室内に響く、怒号。
いや、少しでこんな味にはならない。
もしかして美和さんはわざとこんなことを?
孝介は美和さんを信じている。私の言葉なんて伝わらない。
私が黙っていると
「非常に不愉快だ。お前、罰としてこれ全部飲め」
眼が、本気だ。
「嫌よ」
私なりに精一杯反抗する。
「食材を無駄にしやがって!誰が金を稼いでると思ってるんだ!」
孝介は私に近寄り、平手で頬を殴ろうとした。
「やめて!」
私は咄嗟に自分の腕を使い、防ぐ。
「チッ」
孝介は舌打ちをし
「二度と美和さんの料理に口を出すな」
そう言って、自室に入って行った。
急に肩の力が抜ける。
座り込みそうになったが、なんとか耐えた。
美和さんのこと、そんなに大切なんだね。
孝介が私と一緒に居る意味などない。
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