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まさちち

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4章

王都 その7

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 「やあ、ヒデ君準備はいいかな?まだなら焦らなくていいからね」
若様がいつものイケメンに柔和な笑顔を浮かべて話す。

「ああ、もう大丈夫ですよ。何時でも行けます」
俺はそう言いながらゲン達とキャリーさんの顔を見渡すとみんな頷いて返す。

「わかった。じゃあすぐに行こうか」
若様がそう言うと酒場の中央の少し広い場所に歩いて行く。

いつの間にか来ていたギルマスが話しかけてきた。
「ヒデ、王都の冒険者ギルドの手紙はそちらの用が終わってからでいいから必ず届けてくれ。それと心配は無いだろうが気を付けてな」

さっきまで話していたヒューイさんがギルマスの後に話し出す。
「ああ、僕の方の手紙もそこまでの急ぎじゃないから、手が空いた時でいいよ。開発の話し合いまで行くなら時間がかかると思うしね。そこら辺はヒデさんに任せます」

その後ママさんが待ってましたとばかりに話し出す。
「ヒデちゃん、無事で戻ってきてね。それとお土産は王都の流行の香水とお化粧セットでいいわ」

ママさんの言葉に俺は右手を出して、お金を請求するジェスチャーをする。がママさんはお道化た声で言う。
「あら?何その手?握手かしら?ヒデちゃんは甘えん坊さんねえー」
とか言いながら俺の手を握って来やがった。

俺はママさんのゴッツイ手から自分の手を引き抜いて言う。
「なんでそうなるんだよ。言われたの買って来るからお金よこせって事だよ」
「まあ、ヒデちゃんたら冗談ばっかりー」
そう言いながら俺の背中をバンバン叩いてくる。

痛い痛い、勘弁してください。お土産買ってきますから。


若様が楽しそうに話す。
「ハハ、相変わらずここは騒がしくて楽しいね。さて行くよ」
「はい、お願いします。みんな行ってきます」
そう言った俺の後にゲン達も元気に続いて言う。
「「「「行ってきまー―す」」」」

その次の瞬間目の前の風景が変わる。

いつぞや行った事のあるミイさんのお城の時の様に大きな部屋?に到着する。

目の前には数人の人影があった。その中の一人が目の前に来た。

いつもの簡素なドレスではなくてなんかゴージャスと言っていいのだろうか?これからどこかの舞踏会にでも行くのとか聞きたくなるようなドレスのシオンさんがいた。

俺がそのドレスに驚いているとシオンさんが優雅にそしてどこか精悍な感じで淑女の挨拶をしてきた。
「ヒデ様よくおいでくださいました」
一瞬見惚れてしまって返事が遅れたが急いで返事をする。
「あ、ああ、いえ、こちらこそお出迎えありがとうございます」

 俺の対応を笑顔で見ていたシオンさんの顔が一瞬で怪訝そうな顔になった。

そして俺の後ろにいたキャリーさんが前に出て話す。
「お出迎えご苦労様ですわ。シオン様」
おお、流石は元悪役令嬢のキャリーさんだ。なんか凄く様になってる。

「あら、キャロライン様に労をねぎらってもらう必要はないですわ。私がお迎えしたのはヒデ様だけですから。そのお供の方ではないですわ」

ん?気のせいか?真横にいたキャリーさんの額がピクピクしている?

「あーら、そうでしたの?それにしてもそのドレス素敵ですわ。まるでふた昔前の流行のドレスに見えますけどまさかそんなことないですわよねー」

 キャリーさんはそう言いながらツカツカと歩きシオンさんに近寄っていく。
シオンさんも同じ様に優雅に歩いて向かってくる。そして何やら話しているようだが両社とも扇子で口元を隠しながら話しているので何を言っているのか聞き取れない。

相変わらず仲がいいなあの二人は。


俺がそちらに気を取られていると若様が俺に話しかけてきた。
「ヒデ君いいかい?今回ヒデ君に来てもらった用事を先に済ませたいと思ったのだけど。その前に父と兄が君に会いたいというんだけど良いかな?」

ん?父と兄って‥‥‥王様と第一王子じゃん、いきなりそこからか?まあ、いつかは来るかなとも思っていたけどいきなりか。

「あー、はい、もちろんいいデスヨ」
少し緊張して答える。

「ハハ、そんなに緊張しないでいいよ。ヒデ君に治療してもらった僕の父と、義姉の事でヒデ君に感謝している兄が会いたがっているのだから」

そう言えばそんな事もあったな。結構前だから忘れてた。


俺が少し考えていると、もう何と言うかメイドさん?
いや、メイド様とか言いたくなるような威圧を感じるのだが、素人目にもわかる位優雅な動きをする。
さっきのシオンさんの動きはなんかキビキビした動きだったけど、この人のはなんか安心するような感じがする。

「ヒデ様、ようこそおいで下さいました。私は貴方様にお会い出来るのを待っておりました」
そう言って深々と頭を下げる。

へ?何?お会い出来るのを待っていた?メイドさんの挨拶ってそう言うのが普通なの?

俺は何のことか分からず若様の顔を見る。

若様は笑いながら俺にではなくメイドさんに向かって話す。
「フフ、アーレ、ヒデ君にはハッキリ言わないと伝わらないよ」
メイドさんいや、アーレさんはもう一度俺に深々と頭を下げると話し出す。

「わが主を病魔よりお救い頂き感謝申し上げます」
ああ、そう言う事か。

あれ?でも王様の病気って若様の神薬が治したって事になってるんじゃなかったっけ?
俺がそう考えていると若様が察したのか直ぐに教えてくれた。
「一部の人間はあの事を知っているんだよ。アーレはこの城のメイド長で僕の乳母でもあるからね。特別なんだよ」

ああ、メイド長かなるほどでも、この若さで凄い‥‥‥え?乳母?この人が?乳母ってなんかおばちゃんのイメージなんだけど?アーレさんどう見ても三十代前半にしか見えないんだけど?若様って今の俺の少し上か同じくらいだよな?え?え?この人の歳いくつなの?

ついアーレさんをマジマジと見てしまった。

するとアーレさんはニッコリとして言う。

「そう言った事はナイショです」

え?俺、口に出してないのに?何で分かるんだ?

いや、それよりもニッコリとしているんだけど一瞬背中がゾックっとする様な感じがして、その事は二度と口にしないと魂に刻み込む自分がいた。



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