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1章

side キャロライン物語

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 私の生まれた国は三人のご兄弟が蛮族より守り切り発展させた国、本当は四人のご兄弟で始めたのですが、途中でお一人が行方不明になられたそうなので三人のご兄弟と私達は教えられましたわ。三兄弟の中の一番下の方が国王となって栄えていったのがノース・ゴッドケン国ですわ。

 四人目の話はお爺様がご健在の時によく聞かされた話ですの。お爺様のお話を話すと本一冊や二冊では収まりませんので、ここではお話ししませんわ。

 幼少の頃にお爺様の真似をして剣を振っていましたの。その鋭さにお爺様がスキルを持っているかもしれないと言われて調べて見たら剛力と棒術の二つがありましたわ。数日後に来た棒術の先生に教わってメキメキ上達していきましたのよ。

 棒術は楽しかったですけど、第二王子のピエール様の婚約者になってしまいましたので習い事が増えてしまい棒術の時間が減ってしまったのが残念でしたわ。

 それでも、棒術の時間を無くされないように他の習い事も完璧にこなしましたわ。

 特に他国の方を接待するのは王族の女性の仕事、王族の振る舞い方は特に厳しく教え込まれましたの。その先生はピエール様のお母さまである王妃様が直々に教えてくださいましたわ。

 普段から武術を習ってますから叱咤されるのは慣れてましたので、多少きつく叱咤されても泣き言を言わない私の事を王妃様は大変気に入って下さいましたわ。

 王妃様の授業が終わった後のピエール様とのお茶会が一番苦手でしたわ、一方的にピエール様がお話しになっているのですがその内容が、剣鍛練が厳しくて辛いとか、習い事や勉強で遊ぶ時間が無いなどの愚痴を延々と聞かされるのです。

 初めての時にそれは仕方ないのでは?と返したら「お前は黙って聞いてればいいのだ」と言われたのでその時以来一言も話さず聞いているばかりになったのですわ。


 そんな生活も十五歳を迎え貴族学園に入学して色々変わりましたわ。生活が変わるのは当然なのですが、ピエール様が最近愚痴をこぼしに来なくなりましたの。

 成人して心を入れ替えたのかしら?まあ、あの苦痛の時間が無いのは助かりますわ。

 そして最近よく見かけえるようになったピエール様の横にいる女性、確かヒカリさんでしたわね。自己紹介の時の名前を思い出しましたわ。確か男爵だったはずですが王子であるピエール様に怖気づかないで話しかけてますわ。


「ピエール様はとても頑張っていますわ。今にみんなピエール様の凄い事に気付きます」
「そう言ってくれるのはヒカリだけだよ」

 私がお友達と噴水の広場でお話をしている近くでそんな会話が聞こえてきましたの。声の方を向いて見ると王子がこちらに気付いたようですわ。

「キャロライン、そんなとこで聞き耳を立てているなんて公爵令嬢として恥ずかしくないのか!?」
「はあ?、私達は随分前からここにいましたわ。後から来て勝手に話し出したのは殿下の方ですわ」
「お、お前口答えするのか?」

「口答えではなく、間違いを正したのです。後、殿下この様な所で女性とお二人になるのはお気を付けなさいませ王子の醜聞はそのまま王家の醜聞になりますわ」
「お前まで父上や兄上と同じことを言うのか?」
「もう言われてるなら軽率な行動はお控えませ。それとヒカリさん婚約者のいる殿方に容易に近づかれない方がよろしいですわよ」

「な、何よ婚約者が取られそうで焼いてるのかしら?」
「ハァ、何を言っているかよくわかりませんが貴族の婚約とは、家と家が決めた事、男と女の情事は関係ございませんわ。貴方が王子の妾になりたいのでしたらお止しませんけど?」

「なんですって、私は逆ハー狙ってんのよアンタなんかお家取り潰されて路頭に迷うんだからね、その時が来たら思いっきり笑ってやるんだから、行きましょうピエール様」

 言いたい事言ってサッサとピエール様の腕を掴んで、大股で校舎の方に向かって行きましたわ。後、逆ハーって何ですの?考えていたら、隣にいたお友達が話し出す。

「何あれ、あの人私の婚約者にも近づいてますのよ。あの人が妾とかになったら仲良くやっていく自信ないですわ」
「あら、うちの婚約者にもちょっかい出してますのよあの女、何考えてるのかしら?」

 皆さん公爵家や侯爵家なので婚約破棄になって、多少の醜聞があっても婚約者に困る事は無いので、あまり関りをを持たないようにしているとの事でしたわ。
 他にも噂になっている人がいる人がいるのですけど、その中に私の弟が入っているのが少し気がかりでしたわ。

 弟が私を疎ましく思い始めたのは何時の事だろうか?母が亡くなり私が母代わりにならなければと思った辺りだった気がする。


 私も学生で色々忙しい日々を送っていて王子の事ばかりに構っていられないのですが、ある日王妃様から呼び出しが来た。相手が王妃様では仕方ないのでお城に向かいお会いした。

「キャリー、ピエールと何かあったの?」
 挨拶が済むと真っ先に訊かれた。
「いえ、逆に何もないですが?」

「貴方との婚約を破棄して男爵令嬢と婚約するってバカな事言って来たんだけど、ビックリしてぶんなぐちゃったわ」

「ああ、その件ですか。ヒカリさんというんですけど他にも色々噂があるようですけど」

「まあ、そこは調べたからわかってるんだけど。あの子何がしたいのかわからなくて不気味なのよね」
 そうなのだ、第二王子、宰相の息子、親衛隊長の息子、大臣の息子、司祭様の息子と手を出していたはずだ。確かに世代が変われば色々出来るだろうが今は只の息子なので何の力もない、成長するまで待つのだろうか?それも気の長い話だ。何がしたいのかわからない?

「ただ、あの子が王族に入ってきたらこの国は終りね」

 ハッキリと言う王妃様、そうなのだこの人がハッキリと言う時はそれが当たるのだ。

「出来るだけ阻止するけどまあ無理ね。まあその件はいいわ、よくお聞きなさいキャリー貴方はこれからこの国を出なければならなくなるわ。そうなったら貴方の夢である冒険者になりなさい」

「え、なぜそれを知っているのですか?誰にも話した事は無いはずなのに」
「ホホホ、私にはわかってしまうのですよ。貴方は天涯孤独になってしまうけど冒険者を続けていればまた、帰る場所が出来るわ。必ずよそれだけは間違いないの」

「天涯孤独……あ、もしかしてお家取り潰しの事ですか?」
「ん?何故その事を?」

「前にヒカリさんに言われたのです。アンタなんかお家取り潰されて路頭に迷うんだからと」
「そんな事が、もしかしたら同じ力かしらなら平気かもね。よし、私達もそれに便乗しましょう」
「何の事ですの?」

「ホホホ、まあ、今はその時の為に旅に出れる準備をしておきなさい」
「はあ、わかりましたわ」

 本当はよくわかってなかったが、お城を出てすぐに冒険者ギルドに向かって登録だけ済まし、道具屋で旅に必要な物を教えてもらいながら買い集めてアイテム袋にしまい込んだ。

 今すぐ旅に出るわけではないのだが久し振りに心が弾んだ。


 それからしばらくして、卒業パーティーの時に王子から婚約破棄が言い渡された。宰相であるお父様が横領の罪で訴えられている事と同時に、弟の名前が母方の性に変わっている事を知る。

 親切にも、初めからヒカリさんが全て解説付きで話してくれた、なるほど弟を使って父の横領の証拠を集めさせ弟には跡取りのいない母方の家に入り込ませたのか、いつの間にか声に出ていましたわ。

「見事、見事なりヒカリさん、感心いたしましたわ」
「な、なによ、泣いて頼むのなら私のメイドにしてあげるわよ」

「ホーホホホ、私そんな事をしている暇はございませんの。それでは皆様ごきげんよう」

 スカートの端をつまみ王族の完璧な振る舞いで最後の挨拶をすると振り返る事無く学園を出て、街の門を出て行った。

 その後近くの街に移動して冒険者をしていると噂が聞こえてきた。

 何でも父の横領の事で、王様が責任を取って王座を息子である第一王子に渡して自分は、王妃様と共に政治の世界から全て手を引き旅にでたらしい。

 第一王子と第二王子は仲が悪いらしくお家騒動が勃発しそうな雰囲気だそうだ。まあ、ヒカリさんの予知があれば丸く収まるでしょう。

 そして、王妃様の言葉通り冒険者を続けていたらまた帰る場所が出来た。

 お師匠様や姉弟子のミラお姉様、元気の良い弟子のような三人。

 クエストから帰るといつもホッとした顔をする人達この空間を壊そうとする人は絶対にゆるさない。

 この広い世界でお師匠様とここの人達に巡り会わせてくれた女神様に感謝を。

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