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2章
留守番 2
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午前中はあれから特に変わった事もなくお昼過ぎになりました。ママさんが診療所に来てお昼ご飯が出来たと呼びに来てくれた。
「少し忙しくてお昼過ぎになっちゃってごめんなさいね」
少し前までお昼ご飯など食べないのが当たり前だったのに、ヒデ兄師匠が来てから食べるのが当たり前になったんだよね。
お昼ご飯が食べられると聞いた途端、お腹がご飯を食べたいと要求しだしました。
”グ~~”
自分のお腹だけでなく別の方向からも聞こえてきたので、自分のお腹を見てから顔を上げてみんなの顔を見ていたらみんなも同じ様な行動をしていた。なんか可笑しくて笑ってしまった。
もしかしてこれがヒデ兄師匠がたまに言う幸せでお腹がくすぐったくて笑っちゃった。ってやつかな?
「ほらほら、笑ってないで酒場まで早く来なさい」
「ハーイすぐ行くねー」
そう言ってから周りを見て少し整頓してドアを閉めて酒場に向かう。
孤児院のアン先生のお料理もおいしいけどママさんのも凄く美味しい。お料理のスキルを持っているんだって。でもママさんが言うには、練習さえすれば誰でも出来るらしい。お料理は愛情だそうです。
そんなママさんのお昼ご飯を食べ終わって食後のジュースを飲んでいる時に、ギルドの入り口でキョロキョロしてから診療所に向かって歩いて行くローブを深く被っている人が見えた。
「あ、患者さんかな?診療所に戻るね。ママさんご馳走様」
そう言うと残ったジュースを飲み干して診療所に急ぎ足で向かう。食べるのが一番遅かったのが私で、他の三人はすでに食べ終わっているので直ぐについてきてくれた。
私が声をかける前にハルちゃんが先に声をかける。
「おじさん、診療所に御用ですか?」
後ろから急に声をかけられたローブの人はビクッと跳ねるとゆっくりと振り向いた。
「なんだ子供かお前らなんかにかまっている暇は無い失せろ。後、おじさんではない」
「な、何ですって?おじさん診療所に用があってきたんでしょ?」
「そうだ、それがお前らとどんな関係があるんだ」
このままだとまずいと思って勇気を出して声を出しました。
「ま、待って。ハルちゃん落ち着いて。私が話すから」
ブスッとした顔をしたハルちゃんが答えた。
「わかったよ。ミラちゃん」
「えっと、私はミラといいます。この診療所で助手をしています。中で話を聞きますのでどうぞ」
そう言って診療所のドアを開けて中に入る。おじさんが入った後にハルちゃんが先頭で中に入って行く。
中に入っていつも患者さん達が座る席を勧める。その椅子に座るとローブの男が口を開いた。
「お前みたいなチビがここの助手だって?ここの回復師はどんな病気も治してくれるって聞いたんだけどな。やっぱりデマだったか、無駄足だったな」
「そんな事ないです。ヒデ兄師匠はどんな病気だって治しちゃうんだから」
「フン、口では何とでも言える」
黙って後ろで聞いていたトランが話しかけた。
「じゃあ、おじさんはどこが悪いの?そこのミラだって回復師見習いだけど、実際に怪我や病気も治した事があるんだ。診察だけでもして貰えば?治せなくても症状をヒデ兄に報告すれば必ず治してくれるよ」
「フン、まあいいそこのチビにどうにか出来るとは思わないがな」
そう言うと頭のローブを外すと右肩の方まで開いて見せる。
「おじさんこの症状はいつ頃からなったの?何か心当たりある?」
「へ?お前、驚かないのか?じゃなくて。い、いや、心当たりなんか無いぞ。数日前に突然出来たんだ」
このウロコを見せて驚かすつもりだったのかな?そんな事よりこの状態は……
肩から背中にかけて魚のウロコみたいなものが張り付いたみたいになっていた。しかもそのウロコが生きているみたいに鼓動を打つたびに赤黒く点滅を繰り返している。
「おじさん、これもしかしたら呪いかもしれない」
「な、なに?これが呪いだって?」
「多分、私もヒデ兄師匠から話でだけしか聞いてないから初めてみるけど」
「何?お前の師匠はこの呪いの事を知っているのか?」
「うん、女の人の背中にウロコの様なものが出来てそれをヒデ兄が治したって」
「おい、今なんて言った?治しただと?呪いを解呪したのか?」
「そうそう、解呪したって言ってた」
「クソッ、これはお前の師匠とやらのせいなのか!」
「はあ?何でそうなんのよ?ヒデ兄は人を呪う様な人じゃないわよ」
反射的にハルちゃんが反論する。
男はハルちゃんの言葉など全然耳に入ってない様子で私に襲い掛かって来た。
私は気になる事があってスキルを発動させておじさんのウロコに集中していたので動く事すら出来なかった。
いつの間にかすぐ横にいたゲンが、おじさんに横から体当たりをしておじさんの軌道をそらしてくれた。
私に掴みかかろうとしていたおじさんは斜め後ろにある診察台にぶつかった。その時おじさんが診察台の上から何かを見つけてつまむ様な動きをしたのが見えた。
後ろから追い打ちをしようとしたトランをかわして入口の方に走って行く。
「ガキ共覚えてろ。こないだ買った呪いよりも高かったとっておきで呪ってやるからな」
そう言うと診療所のドアを思いっきり閉めて逃げて行った。
「ミラ、怪我はないか?」
「う、うん私は大丈夫だけど。さっきのおじさんを捕まえて。診察台から何か持っていったかも」
「え?診察台の物だったらみんなあるよ?キルトのひざ掛けも枕もあるけど?」
「何かわかんないけど拾い上げてた」
私が捕まえてと言った時に外に飛び出して行った二人が戻って来た。
「ワリー逃げられた。外出たけどどっち行ったかもわかんない」
悔しそうにトランが報告をする。
「そう、どうしよう?あのおじさんの言っていた事って多分本当だと思う」
「ん?呪うって言ってた事?」
「うん、多分あの人が呪っていた人をヒデ兄師匠が解呪したんだよ。ヒデ兄師匠が呪いをかけていた人に呪いを返したって言ってたもん」
「じゃあ、あのウロコみたいのは呪いを返されて出来たのか」
トランが目をつぶって考えながら話す。
「え、あのおじさん悪い奴だったの?やっぱり一発殴っておけばよかった」
ハルちゃんが悔しそうに話す。
最後に言っていた言葉。呪ってやるって言っていた。何か嫌な感じがする。
「よし、俺ヒデ兄を呼んでくる。昼過ぎぐらいには終わるって言ってたし。何か早く知らせた方がいいきがする」
突然ゲンがそう言うと外に走って行った。
「じゃあ、僕はあのおじさんが戻って来たら二人じゃ心配だしここで待ってよう」
「戻ってきたら今度は私が殴ってやる」
話す二人を見ながらヒデ兄師匠が早く戻って来る様に祈った。
「少し忙しくてお昼過ぎになっちゃってごめんなさいね」
少し前までお昼ご飯など食べないのが当たり前だったのに、ヒデ兄師匠が来てから食べるのが当たり前になったんだよね。
お昼ご飯が食べられると聞いた途端、お腹がご飯を食べたいと要求しだしました。
”グ~~”
自分のお腹だけでなく別の方向からも聞こえてきたので、自分のお腹を見てから顔を上げてみんなの顔を見ていたらみんなも同じ様な行動をしていた。なんか可笑しくて笑ってしまった。
もしかしてこれがヒデ兄師匠がたまに言う幸せでお腹がくすぐったくて笑っちゃった。ってやつかな?
「ほらほら、笑ってないで酒場まで早く来なさい」
「ハーイすぐ行くねー」
そう言ってから周りを見て少し整頓してドアを閉めて酒場に向かう。
孤児院のアン先生のお料理もおいしいけどママさんのも凄く美味しい。お料理のスキルを持っているんだって。でもママさんが言うには、練習さえすれば誰でも出来るらしい。お料理は愛情だそうです。
そんなママさんのお昼ご飯を食べ終わって食後のジュースを飲んでいる時に、ギルドの入り口でキョロキョロしてから診療所に向かって歩いて行くローブを深く被っている人が見えた。
「あ、患者さんかな?診療所に戻るね。ママさんご馳走様」
そう言うと残ったジュースを飲み干して診療所に急ぎ足で向かう。食べるのが一番遅かったのが私で、他の三人はすでに食べ終わっているので直ぐについてきてくれた。
私が声をかける前にハルちゃんが先に声をかける。
「おじさん、診療所に御用ですか?」
後ろから急に声をかけられたローブの人はビクッと跳ねるとゆっくりと振り向いた。
「なんだ子供かお前らなんかにかまっている暇は無い失せろ。後、おじさんではない」
「な、何ですって?おじさん診療所に用があってきたんでしょ?」
「そうだ、それがお前らとどんな関係があるんだ」
このままだとまずいと思って勇気を出して声を出しました。
「ま、待って。ハルちゃん落ち着いて。私が話すから」
ブスッとした顔をしたハルちゃんが答えた。
「わかったよ。ミラちゃん」
「えっと、私はミラといいます。この診療所で助手をしています。中で話を聞きますのでどうぞ」
そう言って診療所のドアを開けて中に入る。おじさんが入った後にハルちゃんが先頭で中に入って行く。
中に入っていつも患者さん達が座る席を勧める。その椅子に座るとローブの男が口を開いた。
「お前みたいなチビがここの助手だって?ここの回復師はどんな病気も治してくれるって聞いたんだけどな。やっぱりデマだったか、無駄足だったな」
「そんな事ないです。ヒデ兄師匠はどんな病気だって治しちゃうんだから」
「フン、口では何とでも言える」
黙って後ろで聞いていたトランが話しかけた。
「じゃあ、おじさんはどこが悪いの?そこのミラだって回復師見習いだけど、実際に怪我や病気も治した事があるんだ。診察だけでもして貰えば?治せなくても症状をヒデ兄に報告すれば必ず治してくれるよ」
「フン、まあいいそこのチビにどうにか出来るとは思わないがな」
そう言うと頭のローブを外すと右肩の方まで開いて見せる。
「おじさんこの症状はいつ頃からなったの?何か心当たりある?」
「へ?お前、驚かないのか?じゃなくて。い、いや、心当たりなんか無いぞ。数日前に突然出来たんだ」
このウロコを見せて驚かすつもりだったのかな?そんな事よりこの状態は……
肩から背中にかけて魚のウロコみたいなものが張り付いたみたいになっていた。しかもそのウロコが生きているみたいに鼓動を打つたびに赤黒く点滅を繰り返している。
「おじさん、これもしかしたら呪いかもしれない」
「な、なに?これが呪いだって?」
「多分、私もヒデ兄師匠から話でだけしか聞いてないから初めてみるけど」
「何?お前の師匠はこの呪いの事を知っているのか?」
「うん、女の人の背中にウロコの様なものが出来てそれをヒデ兄が治したって」
「おい、今なんて言った?治しただと?呪いを解呪したのか?」
「そうそう、解呪したって言ってた」
「クソッ、これはお前の師匠とやらのせいなのか!」
「はあ?何でそうなんのよ?ヒデ兄は人を呪う様な人じゃないわよ」
反射的にハルちゃんが反論する。
男はハルちゃんの言葉など全然耳に入ってない様子で私に襲い掛かって来た。
私は気になる事があってスキルを発動させておじさんのウロコに集中していたので動く事すら出来なかった。
いつの間にかすぐ横にいたゲンが、おじさんに横から体当たりをしておじさんの軌道をそらしてくれた。
私に掴みかかろうとしていたおじさんは斜め後ろにある診察台にぶつかった。その時おじさんが診察台の上から何かを見つけてつまむ様な動きをしたのが見えた。
後ろから追い打ちをしようとしたトランをかわして入口の方に走って行く。
「ガキ共覚えてろ。こないだ買った呪いよりも高かったとっておきで呪ってやるからな」
そう言うと診療所のドアを思いっきり閉めて逃げて行った。
「ミラ、怪我はないか?」
「う、うん私は大丈夫だけど。さっきのおじさんを捕まえて。診察台から何か持っていったかも」
「え?診察台の物だったらみんなあるよ?キルトのひざ掛けも枕もあるけど?」
「何かわかんないけど拾い上げてた」
私が捕まえてと言った時に外に飛び出して行った二人が戻って来た。
「ワリー逃げられた。外出たけどどっち行ったかもわかんない」
悔しそうにトランが報告をする。
「そう、どうしよう?あのおじさんの言っていた事って多分本当だと思う」
「ん?呪うって言ってた事?」
「うん、多分あの人が呪っていた人をヒデ兄師匠が解呪したんだよ。ヒデ兄師匠が呪いをかけていた人に呪いを返したって言ってたもん」
「じゃあ、あのウロコみたいのは呪いを返されて出来たのか」
トランが目をつぶって考えながら話す。
「え、あのおじさん悪い奴だったの?やっぱり一発殴っておけばよかった」
ハルちゃんが悔しそうに話す。
最後に言っていた言葉。呪ってやるって言っていた。何か嫌な感じがする。
「よし、俺ヒデ兄を呼んでくる。昼過ぎぐらいには終わるって言ってたし。何か早く知らせた方がいいきがする」
突然ゲンがそう言うと外に走って行った。
「じゃあ、僕はあのおじさんが戻って来たら二人じゃ心配だしここで待ってよう」
「戻ってきたら今度は私が殴ってやる」
話す二人を見ながらヒデ兄師匠が早く戻って来る様に祈った。
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