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2章

お祭りの準備 閑話その2

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 投稿が遅くなってしまいすいません。

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 ゲンの指さす方を見てみると木の周りをなんか黒い物が飛んでいた。

 隣にいたハルナちゃんが素早く背中の弓を取り出して構える。
「いやいや、ハルナ街中で飛び道具はダメだよ」
トランが慌ててハルナちゃんを止めていた。

「なによー、この距離なら絶対にはずさないのに」
ブツブツと文句を言いながら弓を背中に戻す。

「そもそも、退治する必要ないでしょ、人襲わないし‥‥‥」
トランがハルナちゃんと話していた時フライングバッドを観察していたゲンが声を上げた。

「あ、木の上になにかいる。子ネコかな?」
その言葉でハルナちゃんがまた弓を取り出した。

「待てって、僕が行くから。とにかく弓はしまっておけよ」
そういうと、トランがあっという間に木の下に着くとスイスイと木に登っていく。

突然現れた人間に驚いたのか、フライングバッドはどこかに飛んで行った。
戻って来たトランが大事そうに両手の上に乗せているのはゲンの言った通り黒い子ネコだった。

「あ、この子怪我してる」
トランの両手の上でぐったりとしている子ネコに急いでスキルを発動する。身体の色んな場所にフライングバッドに受けただろう傷があった。

「ちょっと待っててね。ヒール」

子ネコの周りに暖かい光が生まれ包み込む。
「ニャ、ニャーンン」
苦し気な息がおちついた正常な息に代わっていった。
トランの手の上からジャンプして私の肩に飛びついてきた。驚いて固まっていると頬をペロペロと舐めだした。

そんな子ネコを、もう一度スキルを発動してみてみる。痛い所は無くなっていた。だけどこの子のオーラは少しだけ大きくなっただけでなんだか弱弱しかった。

「この子お腹空いてるのかな?」
ニャンニャンと身体を摺り寄せている子ネコを見る。

「あ、ママさんがお弁当に作ってくれたスープのが少し残ってるはずだから」
ハルナちゃんがそう言いながら鞄の中を探し出す。

「あったあった、ちょっと待っててねー、容器の蓋に入れてあげるからね」
八ルナちゃんが容器の蓋を開けると子ネコが鼻をスンスンとさせている。そんな様子を見ながら笑顔でテキパキと用意をしていく。

蓋を地面に置くと匂いを嗅いでから小さな舌でペロリと一回舐めた後は無我夢中で舐めていた。
オーラも普通の大きさに戻っていった。

「この子ネコどうする?院長先生に相談してみようか」
「うーん、院に連れて行くのはどうかなー?弟妹達にもみくちゃにされそうで」
「確かに、かまい過ぎてこの子が大変そう」
「でもここに置いていったらまた襲われちゃうよ?」

四人で首をかしげながら考えていると後ろから声をかけられた。

「みんなそんな所でなにやってるの?」

*****
sideヒデ

 さてと、祭りの準備も大詰めに入って来たな。どうしようかな?まだ時間ありそうだし商人ギルドに行って‥‥‥
そこで俺の思考はとぎれた。いつもならこの時間に居ないはずの四人組を見つけたからだ。何やら広場で集まって話している様子だった。

「みんなそんな所でなにやってるの?」
四人のいる方に歩きながら話しかける。

 よく見ると四人の中心に小動物が容器の蓋を凄い勢いで舐めていた。

「あ、そうだヒデ兄がいた」
「そうだよ、ヒデ兄がいるじゃん」
「私は今言おうと思ってたよ」
「ヒデ兄師匠お願い」

は?は?なに?何の話?
四人から事情を聴き、子ネコに目を向けスキルを発動する
【診断】

『かなり衰弱してます。病気などはないですが、右の前足を以前に骨折して少し曲がってついてしまってます』
≪そう、じゃあ治してあげよう。頼むよ≫
『了解です』

《ヒール》

 目の前の蓋に顔を突っ込んで舐めている子ネコがヒールの光に包まれていく。子ネコは一瞬顔を上げたがまた食事に没頭し始めた。

そんな子ネコの頭を撫でると邪魔するなと抗議の鳴き声を上げてまた食事に戻っていった。

「うん、事情はわかった。一旦診療所で預かるよ」

「よかった、連れて帰ったらどうなるか想像出来るからさ」
トランがみんなの代表で答える。他の三人もウンウンと頷いていた。

「ハハ、そうだな、じゃあ後は任せて早く院に帰ってあげな。弟妹が待っているんだろ?」

ミラが思い出したように話し出した。
「あ、そうだった。それで早く上がらせてもらったんだった」
四人が子ネコの頭を撫でてから少し速足で院に向かって歩いていった。

その後ろ姿を見送りながら容器の蓋を綺麗に舐め、満足げにしている子ネコに目を向ける。子ネコはお腹がいっぱいになったのか丸まって寝てしまった。
「よっぽど疲れてたのかね?」
そう独り言を言いながら子ネコを起こさない様に、ゆっくり両腕に抱え込むと診療所に向かって歩き始めた。

冒険者ギルドに着くとこの時間にしては珍しく騒がしくなっていた。
「ゲンの言った通りだな」
そんな独り言をついていると横からいつもの声がかかった。

「あら、ヒデちゃんお帰りなさい。今日は早いのね。でもおチビちゃん達はもう帰っちゃったわよ」
ママさんがカウンターの中からくねくねと身体を動かしながら話しかけてくる。

「ただいま。ゲンやミラ達には帰り道で合いましたよ。ついでに頼まれ事もされましたけど」
話ながら酒場の中に入って行きママさんに子ネコを見せる。

「あら?子ネコ?頼まれごとってこの子の事?」
「そうです。なんかフライングバッドに襲われてたんだって、それでこの子一人みたいだったからほっとけなかったみたい」

「フフ、可愛いわねー。なんか安心しきってぐっすり寝ちゃってるわ」
「空腹と疲労がピークだったんじゃないかな?ハルナがスープ飲ませたら凄い勢いで食べていて、お腹いっぱいになったらコテンって感じで寝ちゃったし」

「フフ、それだけじゃないわよ。きっとこの子は本能的にこの人たちは悪い人じゃないって判断したからその場で寝ちゃったのよ」
「そうなんですかね?」

ぐっすり寝込んでいる子ネコをのぞき込む。

「そうよ、襲われてたって事は怪我してたんでしょ?ヒデちゃんとミラちゃんがそんな子を見て治さない訳ないじゃない。しかもご飯まで上げたんだから気も緩むわよ」

なるほど、自分に置き換えてみればなんか納得してしまった。
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