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1巻

1-3

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【名 前】
 ザルド

【レベル】
 28


 む、毒のときはわかったのに、鑑定じゃ怪我の状況まではわからないものらしい。
 とりあえず、右の膝辺りに手をかざして、魔力を込めてみる。
 きっと、傷口に砂利が入ったままだったんじゃないかな。それさえなくなれば……そう考えながら手をかざしていたら、おっちゃんの右足がほんのり光った。光が収まってからおっちゃんに尋ねてみる。

「ゆっくり動かしてから、徐々に力を入れてみて、どう? 痛くない?」
「お、お、痛くねえ、痛くねえよ、治ったのか? お前、ヒーラーだったのか?」

 俺は、ちょっと困った顔をして誤魔化す。

「ヒーラーというよりも、回復しかできないというかー」
「そうなのか、あ、俺の名はザルドだ。こう見えても、Cランクの冒険者をしてる。今は手持ちがとぼしいから、お礼は少し待ってくれないか?」
「英信です。呼びづらければヒデと。あと、お礼は別にいらないですよ」

 そう答える俺に、ザルドはまゆを寄せて少し怒ったような表情になった。

「それはダメだ。ヒデ、俺はお前に感謝してお礼がしたいんだ。もらってばかりの関係はいつかおかしくなる。たとえどんな相手でも対価はもらうものだぞ」

 きっといま俺は、とても間抜けな顔をしていただろう。
 俺が治療することで相手が喜ぶ。それは俺にとって十分な報酬ほうしゅうだと思った。でも、相手にしてみれば与えられただけ。それでは次何かあったとき、遠慮えんりょしてしまうかもしれないしな。

「うん、そうだね。その通りだ、じゃあ楽しみにしてるよ、そのお礼を」
「おう、楽しみにしとけ」

 そう言うとおっちゃんは上位ランクの掲示板に向かっていった。

「あ、でも無茶しないでね」

 後ろから声をかけると、おっちゃんは手だけ上げて答えた。
 そろそろ空いてきたかな~。



 6 ギルド(2)


 相変わらず並んでる。
 でも、さっきのザドルさんを治した魔法って何だろ?
 ミーシャさんのときは毒を消し去るってことで「プットアウト」って唱えたけど……ん? あれ? そもそも魔法をなんで使えるの俺? 使い方教わってないし……
 あれか、やっぱ魔法はイメージが大事ってやつなんだ。
 なら、他の魔法も使えるのでは?
 人のいなそうなすみっこのほうに行って、イメージを試してみることにした。ファイヤーは危険だからウォーターボールにしよう。
 手のひらを上に向けて水の球をイメージして――

「よし、ウォーターボール」

 出ませんでした。
 ファイヤーとかアイスアローとかいろいろ試したけど、出ませんでした。
 イメージ説違うのかな?

「あ、いたよ」 

 悩んでいたら後ろから声をかけられた。ミーシャさん、アードルさん、イールさんだった。

「もうー行くなら一声かけてくれればよかったのに」

 ちょっとご機嫌ななめだ。

「ちょ、声大きい、頭に響く……」

 アードルさんが頭を押さえながら言った。
 二日酔いかな?

「……ん、そうだ」

 アードルさんの頭に手をかざして、アルコールを浄化するようにイメージしながら、子供の頃にやったRPGの中の魔法名を口にした。

「エルーナ」

 アードルさんの体がほんのり光る。

「お、なんか頭スッキリしてきた、ヒデがやってくれたのか?」

 アードルさんが嬉しそうに話しかけてきた。しかし、俺の頭は魔法のことでいっぱいで生返事しかできなかった。
 プットアウトとエルーナの効果は、どちらも状態回復で同じはずだ。
 チラッとイールさんを見ると、イールさんも同じような症状で頭を押さえてる。イールさんがうらやましげにアードルさんを見ていた。
 イールさんに手をかざして、先ほどと同じようにイメージして――

「二日酔いサヨーナラー」

 イールさんの体がほんのり光りだした。

「お、なんだ? すごいな、頭の痛みが消えたぞ」

 フム、魔法名はなんでもいいのか。やっぱりイメージで発動だな。で、水とかの他の属性魔法は単に、俺に特性がないから発動しないと。
 フムフム、と一人納得していると――

「回復魔法を二日酔い治すために使うの、初めて見たわ」

 ミーシャさんが呆れ顔で話しかけてきた。

「いやー、ちょっとした実験というか、確認のためですよ」
「「実験」」

 男二人が同時に声を上げた。

「あ、大丈夫だよ、確証はあったから。うん大丈夫、大丈夫」

 ジト目でこっちを見ていたアードルさんが、ため息を吐きながら言う。

「まあ、頭が痛いのなくなったのは助かったし、いいか」

 続いてイールさん。

「それより、もう冒険者登録したのか?」
「あ、まだです。行ってきますね」

 人の少なそうな列に並ぶ。受付のお姉さま方は綺麗な人が多い。
 そろそろだ。

「いらっしゃいませ。ギルドにどんなご用でしょうか?(ニッコリ)」

 むふ、ナイス笑顔だ。
 しかもこのお姉さん、ネコミミです。
 用件を口にしようとしたとき、お姉さまの後ろからおっさんが現れる。

「ポーラ君、受付を変わりましょう」

 お姉さんの後ろから、メガネをかけて几帳面きちょうめんそうな細身のおっさんが声をかけてきた。

「サブギルマス、わかりました」

 ネコミミお姉さまと交代したメガネが、満面の笑みで尋ねてくる。

「どういったご用件で?」
「チェンジで」

 俺は立ち上がらんばかりの勢いで言った。

「チェンジとかそういったシステムはございません」

 クソ! 満面の笑みで返された。

「はーっ、冒険者登録に来ました」

 俺のねた様子など意に介さず、サブギルマスは淡々と続ける。

「そうでしたか。では、奥の部屋でお聞きします。どうぞこちらに」
「はっ? いや、ここでもできるじゃん、そこの子も登録してるし」

 俺は辺りを見回して、俺の二つ隣で登録している10代後半の男の子を指さす。
 しかしサブギルマスは営業スマイルを崩すことなく、それでいて、反論しても無駄ですよ? と言わんばかりの笑み浮かべてさらに強く言ってきた。

「いやいや、どうぞこちらに」

 あーこれ何言っても連れていかれる、と思って観念した。

「ふーっ、わかったよ」

 そう言いながら俺は、サブギルマスのあとに付いて奥に入っていった。


 しばらく歩き、一つのドアを開けて部屋に入る。
 その中は会議室みたいな感じになっていた、言われるまま椅子に座ると、「今ギルマスが来ますので」と言われた。
 せめて妖艶ようえんな色気ムンムンのギルマスとかを希望だ。部屋をノックする音がすると、すぐにドアが開く。
 ものすっっごい、筋肉ダルマが現れた。
 うん、わかってたよ。だってドアが開く前に、足音がドッスドッスって聞こえてたしね。

「この子が報告にあった子かな?」

 筋肉ダルマがサブギルマスのほうを見ながら言う。

「そうです、彼が、回復の……」

 その言葉に頷くと、筋肉ダルマはこちらを見ながら話しだした。

「俺はここのギルドマスターをしている、ウスベルだ」

 右手を出しながら自己紹介をしてくる。俺は出された手を握りながら、こちらも自己紹介をする。

「ヒデです、よろしくお願いします」
「登録は?」

 筋肉ダルマがサブギルマスに尋ねる。

「これからです」

 そう言いながら、サブギルマスが用紙を俺の前に差し出してきた。

「わかるとこだけでいいので書いてください」

 渡された用紙を見ると、この世界の言葉で書かれていたのだが、日本語として感じ取ることができた。文字を書こうとすれば、日本語で書いてるつもりなのにこの世界の言語に変換されていく。
 書き終わったのでサブギルマスに渡す。彼は軽くチェックをすると、そのまま書類を持って部屋を出ていった。
 ギルマスと二人きり。
 すると、彼は急に真剣な表情になって切り出してきた。

「実は、ちょっとお願いしたいことがあるんだよ。ヒデ、回復魔法が使えるよな?」
「はい、さっきの書類にも書きましたが」
「ギルドの専属になってくんないか?」
「は? 専属? ギルドの職員になれってこと?」
「いやいや、そうじゃねえよ」

 そのときドアがノックされて、さっきのサブギルマスが入ってきた。

「続きは、私のほうから話しますね、その前に、これがヒデ様のギルドカードです。ここに血を一滴落としてください」

 そう言いながら針を渡された。
 少し躊躇ちゅうちょしながら指に針を刺して血をカードに付けると、カードが光った。

「はい、これで手続きは完了しました。再発行のときにはお金がかかりますので、なくさないようにしてください。続きまして、ランクの話ですが………」

 ランクの話を要約すると、最低ランクはFで、上位はA。その上には、S、SSまであるらしかった。ランクは基本的には戦闘能力に比例しているが、国への貢献度でもランクが上がったりするそうだ。
 どちらにしても、戦闘能力が壊滅かいめつ状態の俺にはあまり関係なさそうだけど。

「さて、ギルマスの話では要領が得られなかったと思いますので、私がご説明します」

 ここからが本題と言わんばかりに、サブギルマスは背筋を伸ばした。



 7 ギルド(3)


「ご挨拶が遅れました。私は、このギルドでサブギルドマスターをしております、オファンと申します。よろしくお願いします」

 椅子に腰かけたまま頭を深く下げてくる。
 サラリーマン時代の癖で、こんなふうに低姿勢で挨拶をされると、身体が勝手に反応してしまう。

「こちらこそよろしくお願いします。ヒデです」
「では、さっそくですが、先ほどギルマスが言っていた件です。その本題に入る前に、少し説明をさせてください」

 オファンさんが俺の目をじっと見て話してくるので、俺も目をそらさず頷いて了承する。

「ありがとうございます。まず、ヒデ様もご存知だと思いますが、回復魔法を唱えられる人たちが冒険者になろうとするのは非常に珍しいのです。その才能があれば、教会で優遇されますからね。まあ、教会にいたほうがモンスターに襲われないですし。冒険者になろうとしないのは当たり前です」

 ご存じだと思いますが、と言われたけれどもちろん知らない。とりあえず神妙しんみょうな顔を作って軽く頷いておいた。
 もう少し情報が欲しいので質問してみる。

「もちろん回復魔法を扱える冒険者が少ないのは知ってました。でも、そんなに少ないのですか?」

 ギルマスとオファンさんの顔を交互に見ながら質問をすると、ギルマスは渋い顔をして頷くだけだったが、オファンさんは無表情で教えてくれた。

「はい、正確な情報は漏らせませんが……少ないです」

 この反応ということは本当に少ないんだと思う。正確な人数まで知る必要はないので、他の質問をする。

「冒険者ギルドというからには、冒険で怪我を負う人がたくさんいると思うのですが、このギルドではどうやって対応していたのですか?」

 ギルマスの顔がさらに渋くなっていく。相変わらずの無表情なままのオファンさんが答えてくれる。

「そうですね。今までは、これといった対応はしていません。緊急時に他のギルドから回復師の手配はしていますが、あくまでも緊急時のみですので」
「ん? じゃあ今まで、怪我をしても治す人がいなかったのですか?」

 オファンさんは、その質問が来るのがわかっていたかのようにすぐに答える。

「ギルドとして雇っていたのではなくて、ギルマスが個人的に雇っていた方がいたのですが、先日お辞めになってしまいまして」

 回復できる人はいたようでちょっと安心した。けれど、辞めてしまったというのは気になる。

「辞めた理由を教えてもらってもいいですか?」
「高齢のためです。息子さん夫婦の元で暮らすそうなので、町も出ていかれました」

 高齢で引退なら仕方ないな。それにしても、冒険者ギルドで回復する人を雇っていなかったのか。俺の疑問を察して、オファンさんが言う。

「ギルドに回復師を備えるといった制度はないですから。冒険者の怪我は、あくまでも自己責任。それが普通なんです」

 オファンさんがギルマスに目配せをすると、ギルマスは一度頷いてから俺に話し始めた。

「ヒデ、見てわかるだろうが、俺は元冒険者だ。だから、冒険者という仕事がどれだけ危険で、どれだけ油断できないか知っている。そして、生還したときの安堵あんどもな。俺の経験上言えることは、怪我を負ったときに、ギルドに回復師がいれば、生存率は上がるということだ。だから俺は、回復師を雇っていたんだ」

 自身の経験からというだけあって、ギルマスの言葉には重みがあった。俺が頷くと、ギルマスは真面目だった表情を崩してニヤッと笑う。

「ハハハ、別にヒデにプレッシャーを与えたいわけじゃないが、今の話は本当なんだぞ。クエスト中に心が折れるのが一番危険なんだ。怪我をしても治してもらえるって思えれば、心に余裕ができるからな。この差がデカいのさ」

 これは駆け引きではなく本音なんだろうな。このギルマス、いかつい顔だけど何となく人を引き付ける何かを持っている人だと思った。
 頷きながら聞いていたオファンさんがさらに続ける。

「それで、最初のギルマスの言葉に繋がるわけです。ヒデ様には、ギルマスに雇われるという形で当ギルド専属になっていただき、怪我をした冒険者を治療してほしいのです。もちろん料金はお支払いします」

 この話を受けるかどうかは別にしても、もしやるならば誰でも払えるくらいの料金にしたいと思った。でも相場がよくわからないな。ここは素直に尋ねてみよう。

「料金? えっと、どれくらいですか? 田舎いなかものでわからないので教えてほしいのですが」
「そうですねー、病気や怪我の具合にもよりますが、教会に頼むと金貨1枚ですね」

 天使さんにもらったノートに書いたあった情報によると――


 銅貨1枚              10円
 銀貨1枚(銅貨100枚)  1000円
 金貨1枚(銀貨100枚)   10万円


 ……えっ!! 10万って高いっ! あ、でも健康保険とかで国が負担してるのを考えたら、日本でもそんなもんなのか? いやそれでも高すぎか。

「状況は大体つかめました。で、ギルドの値段設定はどんな感じですか?」
「簡単な治療であれば銀貨1枚でお願いしたいです。治療した人はギルドカードで管理できますので、ヒデさんには日払いでギルドからお支払いします。この治療費にはギルドの取り分はないので、そのままヒデさんにお支払いする金額になります」

 なるほど、取りっぱぐれはないってことか。で、実際やるとなると俺の稼ぎってどんな感じだ?

「大体で良いのですが、1日どれくらいの患者さんが来ますかね?」
「そうですねー、日によって違うでしょうが、平均十から二十人は来るでしょうね。この価格なら、ポーションより安いですし」

 じゃあ1日で銀貨20枚だから、2万円くらいか。

「簡単な治療でなかった場合は?」
「この場ではっきりしたことは提示できませんが、状況に応じて相談できればと……」

 まあ、お金をもうけたいわけじゃないから、正直そこはいいか。
 ひっかかるとすれば……この辺りでレベルを上げてから、いろいろな町や国を回っていこうかなとうっすらと思っていたんだよなー。専属になったらそうもいかなくなってしまう。
 でも、さっきの話を聞かされたあとではどうも断りづらい。あと、あのチョロイン女神がこの町の近くに俺を出現させたことにも、運命を感じ始めていた。
 こうなることがわかってたのかな? あのチョロイン女神、あれでも女神は女神ってことなのか。
 ちょっと考えて、俺は提案してみる。

「条件はわかりました。こちらからも、希望を言ってもいいですか?」
「もちろん」
「まず、俺を雇うというのではなくて、俺が診察をする場所を提供してもらうっていうのはどうですか? 診察室の場所は、ギルドの入り口近くにしたいです」

 オファンさんがメガネを上げながら確認してくる。

「雇うのではなくて場所の提供ですか? 診察室は、ここの会議室を使ってもらって構いませんが……」
「いや、出入り口付近がいいんです。雇われるというふうにしたくないのには理由があって、ギルドの所属の冒険者だけじゃなくて、町の人たちも診察したいと思って。ギルドカードを持たない人の診察料の管理はこちらでやります。あ、不公平がないように料金は一緒にします。そうすれば……冒険者ギルドの株も上がりますよ?」

 最後は、少しおどけて付け足した。
 助けを求める人がいるなら誰でも助けたいと思ったのだ。
 黙って聞いていたギルマスが、俺の目を覗き込みながら凄みのある声を出す。

「間違いなく、教会がうるさそうだぞ」
「そのためのギルドでしょ」

 俺は、もらったばかりのカードをひらひらさせる。
 ギルマスがニヤッと笑う。

「そうだな、ヒデがギルドの仲間になってくれるんだったら守ってやらないとな、余計な手出しはさせないよ。ギルドの評判も上がるだろうし」

 無表情だったオファンさんの雰囲気も少しやわらいだ。

「あと、何か必要なものとかありますか?」

 ちょっと考えて、目の前の椅子を指さす。

「この椅子を二脚。あとは机と……なんか白衣みたいなの。ああ、あと、ベッドかな」

 俺の言ったものを書き留めながら、オファンさんが困った顔をする。

「ベッドをすぐに用意するのは難しそうですね」
「では、テーブルとシーツをください。テーブルにシーツを敷いてベッド代わりにしますから」

 ほんとはちゃんとしたベッドを用意したいところだけど、ひとまず簡易のもので。

「あと、白衣ですか?」
「あ、はい、あまり立派ではなくていいですよ。あればいいかなぐらいに思ったんで」

 治療する→医者→白衣着たほうがいい、という適当な連想でリクエストしてしまった。
 オファンさんは頷いたあとで、ギルマスに話しかける。

「ギルマス、場所はどういたしましょうか?」

 ギルマスがいかつい顔を少し緩ませ、考えるまでもなく答える。

「入って右のかどでいいだろ。掲示板を受付のほうに寄せればスペースは取れる」
「了解しました。すぐに取りかかります」

 オファンさんが一礼して部屋から出ていくと、ギルマスがこちらを見ながら聞いてくる。

「今日はこれからどうする?」
「ちょっと教会を覗きに行こうかと思ってます」

 天使さんがくれたノートに、チョロイン女神に連絡を取りたいときは教会に来ればできると書いてあったのだ。それにあの女神が、教会に営業用女神像があると言っていたのも気になっていた。アルデンドに着いた報告がてら、石像を見に行こう。

「ふむ、わかった。こっちは準備を進めとく。改めてよろしく頼む。ヒデ」

 そう言って差し出された右手を、俺は力強く握る。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 じゃあ、営業用のチョロイン女神でも見に行くかな。
 アードルさんたちはいなかった。おそらくクエストに出たのだろう。結構話し込んでたからな。
 教会の場所を聞いて、途中で昼飯に串焼きを購入。食べながら歩いて向かった。
 しばらくして教会が見えてきた。思っていたより豪華な作りだった。玄関のドアは開いているので、自由に入れるようだ。
 ドンドン進んでいくと……あれがそうかな?
 女神像は胸の前で手を組み、慈愛の表情を浮かべていた。思わず「似てねー」と小声でツッコミを入れる。
 エリル像か。あのチョロイン女神の名前はエリルというらしい。そういえば、天使さんがチョロイン女神を呼ぶとき、エリル様って呼んでいたような気がする。
 そんなことを考えていたら、上のほうから声が聞こえてきた。

「よかったー。どうやって連絡取ろうか考えてたところだったから」

 パタパタ、と背中の羽を動かしながら降りてきたのは天使さんだ。ノートや服やその他いろいろ入った袋をくれた、気の利く天使さんである。

「教会から離れたとこだと行くの面倒だったから、来てくれて助かったー」

 まずはお礼を言っておかなければ。どれだけ、天使さんがくれたものに助けられたことか。

「天使さんのくれたノートと服や装備のおかげで、すんなり町にも入れました。ありがとうございます」
「フフ、そうですか、それは良かったです。あと、エリル様から伝言を預かってきていて、その前にお届け物です」

 お届け物ですって、宅配便の配達員みたいだな。

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