この世界の平均寿命を頑張って伸ばします。

まさちち

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1巻

1-2

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 ガッッと、何か刺さる音が聞こえた。後ろを見ると、ホーンラビットの角が木に刺さっていた。
 慌てて異次元収納からナイフを取り出して、ホーンラビットの首のあたりを刺す。ホーンラビットはしばらくバタバタと暴れていたが、徐々に動かなくなっていった。
 一応採取しておこう。皮剥ぎとかできないしもちろん解体もできないので、そのまま異次元収納に投げ込む。

「よし、初めての戦闘(?)も終えたし、町に向かいましょ~」

 独り言を言いながら、少し震える手を握りしめる。
 実は、都会育ちの自分にとって、ホーンラビットくらい大きな生き物を殺すのは初めての行為だった。学生の頃、友人に豚の解体動画を見せられたことがあったけれど、それさえしっかりとは見られなかった。そんな自分がまさか、自分の手で生き物を殺してしまうとは。
 だが、これからこの世界で生きていくのなら、こうしたことはきっと当たり前になっていくのだろう。
 そう思って、俺は覚悟を決める。
 すると、自然と震えが止まった。
 震えの収まった手を見つめながら俺は、この世界で生き抜いてやる、そう誓うのだった。



 3 冒険者


 お日様に向かって決意をあらたにしていると、またガサガサという音が聞こえてきた。

「決意を決めた私に、もう怖いものは何もない」

 などと、フラグチックなことを口にしながら音のほうに顔を向ける。
 2匹いた!
 さっきと同じホーンラビット。向こうもこちらに気がついたらしく、やる気マンマンの様子だ。

「えー、いくら決意ができたからっていきなり2匹かよ」

 と小声で言ってから、ナイフを逆手さかてに持ち――

「俺は強い子、俺は強い子」

 暗示をかけるようにつぶやきながら、熟練のボクサーのように左右に体を揺らす。そして「来い」と短く低い声を吐き出した。
 2匹のホーンラビットは心得たというように飛びかかってきた。
 じっくりと観察をしていた俺の目がギラリと光る。

「今だ! そ~い」

 横っ跳びにかわすと、すぐ後ろでガッガッと二度音が聞こえてくる。「ふ~」と肺にたまった熱い息を吐き出す。
 また木に刺さっていた。
 こいつらバカじゃね~と思いながら、プスップスッと初めのときと同じように刺していく。ホーンラビットが動かなくなってからボックスに放り込む。

「レベルとかあるのかね? 女神様は経験値とか言ってたし」

 あと、ステータスとかはないのかな、この世界。どうしたらいいんだろう。

「あ、自分を鑑定すればいいのか、鑑定」


【名 前】
 ヒデノブ タナカ

【レベル】
 5

【スキル】
 光属性魔法
 異世界言語翻訳
 異次元収納
 鑑定
 パーティーメンバー経験値2倍(発動中はスキル保持者は経験値×0・5)


「……ん? 鑑定の説明が少ないのはいつものことだけど、スキルの最後に書いてあったの何?」

 もう一度じっくり見てみる。
 パーティーメンバーの経験値が2倍で、俺の経験値は半分しか入らないの??
 えっとつまり、100の経験値の敵を倒したとすると、パーティーメンバーは200の経験値が入るのに俺は50しか入らないってことか。
 ちゃんと数字で考えてみたけど、ひどすぎるぞこれ。

「あ~の~チョロイン女神め~~~! 天使さんも適当すぎるよ! これじゃ~俺、仮にパーティーを組んだとしても、パーティーのお荷物になるじゃん。カワイイ子とか奴隷どれいのネコミミ娘とかとパーティーを組めたとしても守ってもらう感じ? 嫌だそれは嫌だ! 俺の考えていたのとだいぶ違うよそれー」

 どれくらいジタバタとしていたことか………

「まっいっか。これはこれで使いようはありそうだしな」

 相変わらず切り替えの早い男であった。
 ――と自分で思いつつ、何回かホーンラビットに出くわしながらも、ほぼ同じように倒していく。
 しばらくすると街道に出た。地図を出して方向確認していると、道の向こうから馬車がのんびりと向かってくる。
 少し手前で止まると、剣を持ち胸鎧むねよろいを着けた男がこちらに歩いてきた。
 うゎ~鎧カッコイイな~。そう思って目をキラキラさせていたら、男が話しかけてくる。

「ここで何をしている!」
「へ? あ、薬草を採りに森に入ってました」

 少々不躾ぶしつけな物言いをされたが、男からあまり余裕が感じられず急いでいそうだったので、素直に答えた。薬草採りは目的ではなかったけれど嘘は言っていない。実際採ってたし。

「すまない、盗賊どもに襲われて仲間が怪我をしてしまって……薬草を採りに来たのなら薬師くすしなのだろう? 手持ちのクスリはないだろうか? あれば売ってほしいのだが」

 どうやら仲間が怪我をしていたから余裕がなかったみたいだ。
 ふと地球の女神様のことを思い出す。ここは俺の能力、回復魔法の使い所じゃないだろうか。

「薬はないですが、少々回復魔法が使えます。怪我をした方はどなたですか?」
「え、回復魔法? 教会の守銭奴しゅせんどか………ゲフンゲフン、教会の方ですか?」
「ん? 違いますよ?」

 教会の人間だと何かあるのか? しかも何か言いかけていたけど?

「教会の人じゃないのか。ともかくお願いします。てください。こっちです」

 男の後に付いていく。
 馬車に近づくと、御者台ぎょしゃだいに乗った年配の男が声をかけてきた。

「アードルさん」

 俺を連れてきたこの男、アードルっていうらしい。慌てていたから互いに自己紹介もしてなかったよ。
 アードルさんが返答する。

「大丈夫、薬師の方です。ミーシャの怪我を診てもらうためにご同行いただきました」

 年配の男は大きくうなずくと顔を引っ込めた。
 荷馬車の後ろに回ると、そこには年若い女性が苦しげな息を吐きながら横たわっていた。

「ポーションも効かなくて……」

 女性の隣でせ型の男がポツリとつぶやく。この荷馬車には三人の冒険者と商人らしき年配の男一人が乗っているようだ。そして、冒険者の一人が怪我をしていると。
 俺はうなずいてから女の人に目を向ける。かなり苦しそうだ。鑑定で状態がわかるかもしれないと思い、心の中で「鑑定」と念じる。


【名 前】
 ミーシャ

【レベル】
 15

【状 態】
 毒


 毒かー。毒だったら、それを浄化させればいいはずだよな?
 あれ? そういえば、どうすれば魔法を発動させられるんだ? 「回復魔法が使えます」なんて言ってしまった手前、今更できませんとか言えないし。
 思いつきで、毒が入り込んだと思われる傷口に手を当てて「プットアウト」とつぶやく。
 これはよくやっていたMMOの解毒げどくの呪文だった。
 しかし、何も起きない。
 あ、あれ? やばい、どうしたらいいんだ? えっと、そうだ。イメージだ。異世界物の魔法はイメージが大事なんだよ、きっと。
 血液から毒が浄化されていくようなイメージをする。周りの空気が重くなってきたのを肌で感じながら、もう一度唱えてみる。

「プットアウト」

 口にした途端、軽い頭痛とけだるい感じがした。
 次の瞬間、ミーシャさんの身体が青白く光ると、何かが飛び出て、そのまま消滅した。
 ミーシャさんの顔を見てみると、苦しげだった顔が安らいだ感じになっていた。
 もう一度鑑定をかけてみる。


【名 前】
 ミーシャ

【レベル】
 15


 あ、状態の項目が消えたから毒がなくなったってことでいいのかな?
 うん、良かった。助けられて。

「薬師様ありがとうございます。ありがとうございます」

 アードルさんが俺の手を握って、ありがとうを連発してくる。
 あーそういえば、あのMMOの最初のときも、毒で死にそうになってる人に毒消しをかけてあげたんだったなー。
 俺は喜ぶ二人を眺めながら、そんなことを思い出していた。



 4 うたげ


「起きられるか? ミーシャ?」

 アードルさんにそう問われたミーシャさんは「うん」と答えながら、上半身だけを起こす。アードルさんと俺は、おーっと大げさに感嘆の声を上げてしまった。
 そんなふうに後ろで騒がしくしていたら、御者台に乗っていた年配の男が荷馬車にやってきた。

「お、ミーシャさんよくなったのかい? よかったよかった。それで、暮れるまで時間があまりないですし、町まではもうすぐだ。町でゆっくり話したらどうです?」

 年配の男性は少しあせっている感じで話した。
 アードルさんは年配の男性に向かって頷く。

「確かにそうですね。薬師様にお礼をしなければいけないんですけど……見たところほとんど手ぶらですね。近くの町からいらしたんですか? 戻られるのなら、このまま一緒に行きませんか?」

 町まで連れてってもらえるのはありがたいな。

「わかりました。ご同行します。でも、私は町から来たのではなくて町に向かっている最中だったんです。あと、手ぶらではなくて、荷物はこの『アイテム袋』に入ってます」

 俺がここで言った「アイテム袋」とは、この世界においてダンジョンや遺跡いせきから発掘される道具だ。容量の多さで値段が決まり、貴重だがお金で買えるらしい。これは天使さんがくれたノートに書いてあった。

「ほほー、アイテム袋ですか?」

 年配の男が食い入るように見ている。

「はい。と言っても、このぐらいしか入りませんけど」

 そう言って俺は、地面に1メートルくらいの四角形を描く。

「いやいや、商売をやっている者からすれば、うらやましい限りですな~」

 グイグイ迫ってくる年配の男。

「う、売りませんよ」
「ま、そうでしょうが、もしも手放すことがあればぜひ私に売ってくださいね」

 御者台に戻りながら年配の男は「ぜひ、ぜひ」を繰り返していた。
 ごめんよおっちゃん。これタダの革の袋だから売っても意味がありませんよ……俺が、異次元収納を持っているのを隠すために言った咄嗟とっさの嘘だし。
 それから荷馬車の左右に一人ずつ人を配置して、荷車にはまだフラフラしているミーシャさんを乗せた。ミーシャさんは座っていても後ろの警戒ならできるそうだ。
 俺は、彼らの仕事の邪魔をしないように、その斜め後ろから付いていった。
 2時間ほど歩いていくと、背の高い木製の壁が見えてきた。
 映画やゲームなどで見る城壁とは迫力が全然違う。こうして肉眼で見ると、高揚感が格別だ。
 目をキラキラさせてキョロキョロしていると、ミーシャさんが笑いながら聞いてきた。

「町は初めて?」

 俺は門に釘付けになりながら答える。

「うん、すごい田舎いなか育ちだから、こんな建築物はなかったんだ。すごく珍しいよ」

 町へ入る手続きの列はそんなに混んでなかったので、すぐ自分たちの番が来た。アードルさんたちは門番の衛兵と顔見知りのようだ。二言三言話すと、カードみたいなものを球にかざして門をくぐり抜けていく。
 入るにはカードが必要なのか。

「カード持っていないのですが……」

 嘘を言っても仕方ないので正直に話した。

「あ、はい、じゃあここの水晶球に手をかざしてください」

 言われた通り水晶球に手をかざすと、2秒ほどで済んだ。手続きが完了したらしい。

「はい、結構です。じゃあ通行料は銀貨1枚です」
「はい」

 ポケットから銀貨1枚を渡す。

「次からは、冒険者ギルドか商人ギルドで登録してカード発行してもらうといい。そうすればタダになるからな」

「はい」と答えてから、アードルさんたちが待ってくれているところに向かう。荷馬車を停めるスペースがなかったので、商人のおっちゃんは先に行ったみたいだった。
 護衛クエスト(?)もこれで終わりのようだ。
 俺を見つけたアードルさんが話しかけてくる。

「これから冒険者ギルドに護衛の報告に行くんです。ギルドでカード作るのなら案内しますよ?」

 初めての町で地図もないので、案内してもらえるのは助かる。考えるまでもなく答える。

「はい、お願いします」

 三人の後ろに付いていく。

「ミーシャさん、お身体の具合どうですか? 気持ち悪いとかありませんか?」

 歩きながら聞くと――

「もう全然平気。なんか逆に調子いいかも」

 ムンと力こぶを作る真似をして見せるミーシャさん。

「薬師様、本当にありがとな」

 アードルさんがニッコリと笑いながら言う。なんだか薬師様って「様」付けされるのは気恥ずかしいし、そもそも俺は薬師じゃない。

「いいえ、それより私のことは英信と呼んでください」
「ヒ、ヒデノブ?」
「呼びづらかったらヒデでいいです。あと、年齢もそんなに違わなそうだし、敬語じゃなく普通に話しませんか?」
「わかった、俺はアードル」
「イールだ」

 名前不明の痩せ型の男はイールという名前だったようだ。

「あらためてミーシャよ、よろしくね」
「こちらこそよろしく」

 夕方近くになって冒険者ギルドにたどり着いた。時間帯のせいもあってか、酒場兼冒険者ギルドは大賑おおにぎわいだった。
 アードルさんは護衛クエストの完了書を提出しに行ってすぐに戻ってきた。
 そしたら俺の背中を叩く。

「今日は混んでるから、冒険者登録は明日にして、まずは飲もうぜ」

 ま、嫌いじゃない。今を楽しくだな。
 この世界はいつ命を落とすかわからない。ならば今を楽しむか。

「ん、何だ、ヒデ嬉しそうだな」
「ん、いや、そうだな。俺は今を楽しむぞ~、って思っただけだ」

 アードルさんたちがなんじゃそりゃ? みたいな顔をしているけど、気にしないで酒場に向かう。
 酒場の四人席に座ってエールで乾杯した。
 なんか久々にお酒を飲んだ気がする、料理がどんどん運ばれてきて、唐揚からあげっぽいのとか煮物っぽいのとかパスタっぽいのとかいろいろ来た。
 うまい旨い!
 飲んじゃ喰い、喰っちゃ飲んだ。
 お腹いっぱいだ~。

「ヒデ、宿決まってないだろ? 俺たちの泊まってるとこ来いよ」

 断る理由もないので素直に付いていく。
 宿はギルドのすぐ裏にあった。


「いらっしゃいませ~お泊りですか? お食事ですか? ってアードルさんたちお帰りなさい」

 カウンターから元気な女の子の声が聞こえた。

「お、ただいまー。今日からまたお願いね」
「はい、いつもの部屋で大丈夫ですよー、そちらの方は?」
「宿探してるって言うから誘ったんだ」

 急に俺に話が振られたので、慌てて挨拶する。

「ヒデといいます。よろしくお願いします」
「こちらこそ。鹿しか角亭つのていにようこそ、お泊り一晩銀貨5枚です。食事のお金は別で、その都度つどいただきます」
「じゃとりあえず2日お願いします」

 そう言って俺は銀貨10枚を渡す。

「はい確かに、お部屋はアードルさんたちの隣です」
「はいどーもー」

 鍵を受け取ってアードルさんたちについていく。客室の前で彼らと別れて、部屋に入ると俺はすぐ寝てしまった。



 5 ギルド(1)


「うん? まぶし……」

 太陽の光に目を細めながら周りを見わたす。

「えっ! ここどこ?? えっ? あれ? あ、そうだ、そうだった」

 夢じゃなかったんだよな?
 ベッドから起き上がり身なりを整えると、下の食堂に行ってみた。忙しく働いていた昨日の女の子に挨拶をする。

「おはよう」
「おはようございます。朝ごはんどうします? 銅貨50枚ですよ」

 銅貨50枚を出して、そのまま手渡した。

「お願いします」
「はーい、好きなとこ座ってください」

 女の子は銅貨をポケットに仕舞うと、厨房ちゅうぼうの中に入っていった。
 適当な席に座って周りを見わたすと、昨日のアードルさんたちのようにアーマーを着ていたり、しっかりとした武装をしていたりする者たちが多くいた。彼らの種族は様々で、ずんぐりとしたドワーフ、犬や猫の耳と尻尾がついた獣人じゅうじん、中には顔までほとんど獣の姿をした者さえいる。

「うわあ、熊そのものなのにしゃべっている人がいるよ。さすが異世界」
「お待たせしました」

 独り言をつぶやいていたら料理が運ばれてきた。コンソメスープみたいなのと、ベーコンモドキ、そして黒パンがテーブルに並べられていく。おいしそー。

「いただきます」

 手を合わせてそう言ってから食べ始める。
 昨日ホーンラビットの命を奪ったこともあって、こういう食前の感謝の言葉がより一層大事に思えた。だから何となく、ちゃんと言わなければ気が済まなくなったのだ。
 食べ終わってから、厨房に「ご馳走ちそうさま」と声をかけて、冒険者登録のためにギルドに向かった。


 ◇ ◇ ◇


 朝のギルドは喧騒けんそうに包まれていた。クエストは早い者勝ちなので、駆け出しの冒険者は朝早くに来るそうだ。
 当然、受付も並んでいる。昨日のうちに済ましたほうが良かったんじゃないかな。

「うーん、少し減るの待つかな~」

 ブラブラとギルドの中を歩き始める。どんなクエストがあるか気になるので、ワクワクしながら掲示板のほうに歩いていく。
 掲示板は大きく二つに分かれていた。人の少ないほうが上位ランクのクエスト。たくさん人が集まっているほうが下位ランクの掲示板らしい。
 邪魔にならないように後ろから見てみる。ここで、上位ランクの掲示板に近づいて「おいおい、ここはお前みたいなひよっこが受けるようなクエストはないぜーヒャーハッハッハー」っていう、よくあるテンプレイベントは発生させないぜ。
 俺と同じように遠く離れた位置から掲示板を見ていたおっちゃんが、チッと舌打ちをした。たまたまそっちのほうを見たら目が合ったのだ。そのおっちゃんが近づいてくる。
 む、絡まれるのか、と身構える。

「どうした、クエスト受けないのか? いいのなくなっちまうぞ」
「おっちゃんこそ受けないんですか」
「受けるよ、ただ若い奴らの邪魔したくねーしな」

 そう言っておっちゃんは、再び掲示板を眺めている。
 どうやら、ただのお節介焼きだったみたいだった。
 歴戦れきせんの冒険者みたいな見た目なのに、下位クエスト受けるつもりなのかなあ? と思いながら再びおっちゃんを見ていたら、俺の視線に気づいたのかおっちゃんが話し出した。

「あー、ちょっと前のクエストでな、怪我してから調子が悪いんだ」
「怪我? どこです? 怪我したのは?」

 おっちゃんの全身を見ながら尋ねる。

「右足の膝あたりだ。普通に歩く分には問題ないんだけどな。攻撃のときに踏み込んだり力入れたりすると痛みが走りやがるんだよ」
「フムフム、怪我したときの状況は? 剣で切られたとか、魔物にまれたとか」
「相手はファイヤーリザードだ、奴め、火の玉吐きやがって、直撃は避けてかわせたんだけど、着弾して跳ねた砂利じゃりが足に当たってよ。ファイヤーリザードは仲間と一緒に何とか倒せたんだけどな。足のほうは、ポーションかけて傷口ふさいで、そのまま帰ってきたんだけどよ。調子が悪くてな」

 おっちゃんは苦笑しながら、ポンポンと右足を叩く。

「フムフム、見せてもらっていい?」

 俺はそう言うなり、かがんでおっちゃんの右足を凝視。心の中で「鑑定」と念じた。

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