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2章
お祭り開催 その14
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いつまでも外で話をしているのもおかしいので、事務所の中に入って話す。
魔法球のキーシステムの方は後日親方なんかも呼んで、細かい話をするという事でまとまり。その後工場の視察をしてみたいと言うのでイアン様の方はウィルさんに任せた。
休みの部署なんかも多いので、今稼働している所だけになるって話したんだけど、それでも見たいとの事だった。まあ、本来の目的はこっちだったのだろう。
イアン様と爺やさん、ウィルさんが部屋から出ていくと、待ってましたとばかりにケネスさんが話し始める。
「さて、まず最初に今回も予想数を上回る生産量で助かった。出来れば全部買い取らせてほしいが良いだろうか?」
ヒューイさんが仕事の顔になって頭で数字をはじき出してすぐに答える。
「はい、もちろんです。今回はお祭りの準備などの業務も入ってしまったのでこの数ですが、次回の納品数はもう少し上乗せ出来ます」
ケネスさんは仕事用のスマイルのまま続ける。
「ふむ、それは助かる。国外の販路の拡大を考えている所なのでな、この湿布薬がその目玉になってくれれば良いと思っていたところだ」
「ありがとうございます。うちの商品をよろしくお願いいたします」
ヒューイさんがケネスさんに頭を下げる。それにあわせて俺も頭を下げる。頭を下げた時ヒューイさんがこちらに目で合図を送って来た。
俺はそれに小さく頷くと話を切り出した。
「ケネスさん、お祭りの様子を見てもらったのでもう気がついていると思いますが‥‥‥」
俺の言葉にかぶせてケネスさんが答える。
「このスライム風船の事かな?」
ケネスさんはポケットから数個のしぼんだスライム風船を出して話を続ける。
「面白い物だなこれは、効果は宣伝、広告、といった所かな?配るだけで勝手に歩き回って町中に宣伝してくれるのは実に効率的だ。コストもそんなにかからんしな」
仕事用のスマイルで答え合わせの様に聞いてくる。
俺はその答えに満足してニッコリして答えた。
「フフ、80点です」
「なに?何だ他にも用途があるのか?」
そう言いながらスライム風船を引っ張ったり角度を変えて見渡したりしている。
「ああ、すいません。今言った用途ももちろんあります。それにこのスライム風船のコストは安いのも確かです。ですがこれを作った一番の用途は子供の玩具なんですよ」
ケネスさんが俺を穴のあくほど見てから仕事用でない大笑いをした。
「ワハハハ、相変わらずの発想じゃのう。宣伝、広告はついでか?」
「いえいえ、ついでと言う訳じゃないですよ。子供の玩具にその機能が付いてるだけですよ」
俺の話を聞いてさらに笑い出した。
ドアがノックされたのはちょうどその時だった。ドアのノックの主を知っている様なヒューイさんが席を立ってドアに向かう。入って来たのはポールさんだった。
どうやら、ケネスさんが今日到着するので新製品の開発者のポールさんにも来てもらったようだ。
これは助かる、素材の詳しい話になってもポールさんがいてくれれば説明が出来る。
俺も席を立ってポールさんを迎えに行く。
「ポールさん、お祭りなのに呼び出してしまってすいません」
ポールさんはいつものにこやかな顔で答えてくれる。
「フォフォ、かまわんかまわん。じじーには人ごみは疲れるだけじゃよ」
以前あった事のあるケネスさんとあいさつを終えて席に着く。
みんなが席に着いてから俺はスライム風船からの派生のスライムボールを出してケネスさんに見せる。
バスケットボ―ルくらいの大きさがあるので両手で持って弾力や重さなどを色々調べている。
「これは、さっきのスライム風船より固いようだな?これも子供の玩具か?」
「そうです。最初はそのつもりで作りましたから。それより今注目してほしいのはこの素材です」
そう言いながらスライムボールをペチペチと叩く。
ケネスさんは俺の話に目を瞑って腕を組んで何かを思い出すような感じで話す。
「フム、確かこの素材のスライムは防具の緩衝材なんかに使われて言う物だったな?メリットは柔らかく、加工しやすく、衝撃を吸収するので防具にはもってこいの素材。逆にデメリットは熱に弱く持続性が悪くこまめなメンテナンスが必要になる事だったかな?」
うわ、この人何でも知ってるな。
俺は頷くと話を続けた。
「はい、今言われた通りです。そこでまず持続性を持たせてなおかつ柔らかくしてもらう事でこのボールを作ってもらいました」
「フム、どれぐらい持つ?」
「まだ実験中です。少し前から孤児院の子供達に遊んでもらっていますが、今の所問題はないようです」
「それで?このスライムボールの売り込みか?」
ケネスさんは今一つの反応をする。もちろんそれは話す前からわかっていた結果だ。だから俺はこう言った。
「うーん、これの売り込みはもう少し先かな?ゲームのルールを流行らせてからかな」
俺の思わせぶりな言葉に眉を寄せるケネスさん。
俺は急いで話を続ける。
「ハハ、実際このスライムボールの耐久性も実験中だし、このゲームが流行るかわからないし。そんな事よりこれからがこのスライム素材の本題ですよ」
魔法球のキーシステムの方は後日親方なんかも呼んで、細かい話をするという事でまとまり。その後工場の視察をしてみたいと言うのでイアン様の方はウィルさんに任せた。
休みの部署なんかも多いので、今稼働している所だけになるって話したんだけど、それでも見たいとの事だった。まあ、本来の目的はこっちだったのだろう。
イアン様と爺やさん、ウィルさんが部屋から出ていくと、待ってましたとばかりにケネスさんが話し始める。
「さて、まず最初に今回も予想数を上回る生産量で助かった。出来れば全部買い取らせてほしいが良いだろうか?」
ヒューイさんが仕事の顔になって頭で数字をはじき出してすぐに答える。
「はい、もちろんです。今回はお祭りの準備などの業務も入ってしまったのでこの数ですが、次回の納品数はもう少し上乗せ出来ます」
ケネスさんは仕事用のスマイルのまま続ける。
「ふむ、それは助かる。国外の販路の拡大を考えている所なのでな、この湿布薬がその目玉になってくれれば良いと思っていたところだ」
「ありがとうございます。うちの商品をよろしくお願いいたします」
ヒューイさんがケネスさんに頭を下げる。それにあわせて俺も頭を下げる。頭を下げた時ヒューイさんがこちらに目で合図を送って来た。
俺はそれに小さく頷くと話を切り出した。
「ケネスさん、お祭りの様子を見てもらったのでもう気がついていると思いますが‥‥‥」
俺の言葉にかぶせてケネスさんが答える。
「このスライム風船の事かな?」
ケネスさんはポケットから数個のしぼんだスライム風船を出して話を続ける。
「面白い物だなこれは、効果は宣伝、広告、といった所かな?配るだけで勝手に歩き回って町中に宣伝してくれるのは実に効率的だ。コストもそんなにかからんしな」
仕事用のスマイルで答え合わせの様に聞いてくる。
俺はその答えに満足してニッコリして答えた。
「フフ、80点です」
「なに?何だ他にも用途があるのか?」
そう言いながらスライム風船を引っ張ったり角度を変えて見渡したりしている。
「ああ、すいません。今言った用途ももちろんあります。それにこのスライム風船のコストは安いのも確かです。ですがこれを作った一番の用途は子供の玩具なんですよ」
ケネスさんが俺を穴のあくほど見てから仕事用でない大笑いをした。
「ワハハハ、相変わらずの発想じゃのう。宣伝、広告はついでか?」
「いえいえ、ついでと言う訳じゃないですよ。子供の玩具にその機能が付いてるだけですよ」
俺の話を聞いてさらに笑い出した。
ドアがノックされたのはちょうどその時だった。ドアのノックの主を知っている様なヒューイさんが席を立ってドアに向かう。入って来たのはポールさんだった。
どうやら、ケネスさんが今日到着するので新製品の開発者のポールさんにも来てもらったようだ。
これは助かる、素材の詳しい話になってもポールさんがいてくれれば説明が出来る。
俺も席を立ってポールさんを迎えに行く。
「ポールさん、お祭りなのに呼び出してしまってすいません」
ポールさんはいつものにこやかな顔で答えてくれる。
「フォフォ、かまわんかまわん。じじーには人ごみは疲れるだけじゃよ」
以前あった事のあるケネスさんとあいさつを終えて席に着く。
みんなが席に着いてから俺はスライム風船からの派生のスライムボールを出してケネスさんに見せる。
バスケットボ―ルくらいの大きさがあるので両手で持って弾力や重さなどを色々調べている。
「これは、さっきのスライム風船より固いようだな?これも子供の玩具か?」
「そうです。最初はそのつもりで作りましたから。それより今注目してほしいのはこの素材です」
そう言いながらスライムボールをペチペチと叩く。
ケネスさんは俺の話に目を瞑って腕を組んで何かを思い出すような感じで話す。
「フム、確かこの素材のスライムは防具の緩衝材なんかに使われて言う物だったな?メリットは柔らかく、加工しやすく、衝撃を吸収するので防具にはもってこいの素材。逆にデメリットは熱に弱く持続性が悪くこまめなメンテナンスが必要になる事だったかな?」
うわ、この人何でも知ってるな。
俺は頷くと話を続けた。
「はい、今言われた通りです。そこでまず持続性を持たせてなおかつ柔らかくしてもらう事でこのボールを作ってもらいました」
「フム、どれぐらい持つ?」
「まだ実験中です。少し前から孤児院の子供達に遊んでもらっていますが、今の所問題はないようです」
「それで?このスライムボールの売り込みか?」
ケネスさんは今一つの反応をする。もちろんそれは話す前からわかっていた結果だ。だから俺はこう言った。
「うーん、これの売り込みはもう少し先かな?ゲームのルールを流行らせてからかな」
俺の思わせぶりな言葉に眉を寄せるケネスさん。
俺は急いで話を続ける。
「ハハ、実際このスライムボールの耐久性も実験中だし、このゲームが流行るかわからないし。そんな事よりこれからがこのスライム素材の本題ですよ」
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