上 下
9 / 16
第一章

始動 その4

しおりを挟む
    

 ま、まあ俺は別に戦士や魔法使いとかじゃないし、それにHPだって低いし、こんな高レベルのダンジョンじゃまともにやりやっても勝てないし‥‥‥

≪ハルどうしたの?壁に向かって座り出したと思ったらブツブツ呟き始めて≫

ポーの言葉で我に返ると自分の今の姿を再確認する。
壁に向かって体育座りで座っていた。

「ハッ、いつの間に?いかん、あまりにも簡単にLVが上がった事に後ろめたさがあったのか?」
≪どうかしたのハル?≫
ポーが心配げに顔をのぞき込む。その顔に向かって笑顔で返す。

「いやー、どうもしないさ。今は自分に出来る事を精一杯やってこのダンジョンを脱出するぞー」
自分にも元気づける為にも少し大きな声で右手を上げてポーズをとる。
そのポーズをポーもマネしている。

手を下ろそうとした時またあの声が聞こえた。

LVが1上がりました。
LVが1上がりました。
LVが1上がりました。
LVが1上がりました。
LVが1上がりました。
LVが1上がりました。

 外を見てみるとさっきの罠にまたホーンラビットがかかっていた。
いやいや、戻ってきてから罠を掛け直してないよ?

 ただ木の枝から紐が輪っかを作って垂れ下がっているだけなんだけど?なんで態々その輪っかに首突っ込むの?そして何故か首の骨が折れているんだ?わけわからん。

 LVアップで少しクラっときたけど今回は耐えられたみたいだった。まあ考えるのは後にしてドロップ品を拾いに行こう。

目視で周りを見回してから急ぎ足で行きドロップ品を拾って戻る。

魔力石X3
ウサギ肉x2
けものの皮x1

ふむ、肉がまた出たのか大事がって取っておかないでなんか料理作ってみようかな?
これだけ草生えてるしなんか食べれそうな草とかないかな?

そう思って洞窟の出入り口、バリアがギリギリあるとこまで行く。
「食べれる草、食べれる草‥‥‥」
ブツブツと呟きながら鑑定をかけてみる。

 するとさっきまで雑草としか出てなかった草の中に何やら名前が書いてある草がある。周りに何もいないのを確認して急いで葉っぱや草を引き抜いて集める。

 抜いてはボックスに入れを繰り返して結構な種類と数を採ったので急いで洞窟に戻る。

ボックスの中から食べれると鑑定が出た奴だけ取り出して、匂いを嗅いだり少しかじってみたりと色々試してみる。
そこまで来て初めて気が付いた。

‥‥‥鍋ねえじゃん。

取り合えず煮込めばいいかなとか考えていたただけだったので食べれそうなのと一緒に煮ればいいやとか思ってた。

周りを見るが鍋っぽいのいは石しかないよなー。石か、下から火に当てるんじゃなくて焼いた石を中に入れて煮る方法とかなんか本で見た事ある様な?出来るんかね?
うーん、まあ悩んでても仕方ないし作ってみるかな。

 大き目の岩の横に立ってさっき手に入れたホーンラビットの魔力石を右手に持って。デッカイ鍋を思い浮かべながら手をかざす。

魔力石が大きいからかなんか光もデッカイ。

光が収まると少し不格好な底の深い大きな鍋が出来た。
「おお、いい感じのが出来た」
俺がウンウンと頷きながら眺めているとポーが近づいてきた。

≪ハルこれ何するの??≫
「フッフーン。これで料理をするのさ」

そう言いながらウサギの肉や食べれる草などご自慢の意思のナイフでぶつ切りにしていく。
そして鍋に入れようとした時、鍋を洗わないと使えないと思って固まった。

‥‥‥洗うだけなのにボックスの中の水使うのか?そもそも料理しようにも水の事とか何も考えてない。
こんなデカい鍋作ってどうするんだよ。

ジワッと今、自分が置かれている状況が身に染みてきた。

 今までの様に蛇口の栓をひねると水がいくらでも出て来たり。暗くなってきたらスイッチ一つで電気がつく、なんて当たり前の状態だったし、安全が約束された場所に食料(錠剤)と水がある程度確保できていたのもあってなんか軽く考えていたのだが少し気を引き締めなければいけないな。

料理などしている場合じゃないな。

先ずは水の確保をしよう。

そう思ってぶつ切りにした食材と石鍋をボックスにしまい込む。

≪あれ?ハル料理とか言うのをするんじゃなかったの?みんなしまっちゃったけど?≫
「あー、料理は後回しだ。ポーこの辺りに川とか湖みたいなのないか?」
≪うーん、湖なら遠くの方にあるの見た事あるよ≫
「おお、遠くってどれくらいだ?どっちの方角だ?」
ポーは俺の質問攻めに少し考えるようなそぶりで洞窟から外を見て答える。

≪えっとね、今お日様が真上辺りだから‥‥‥湖に着くころには夕方くらいになりそうかな≫

ポーに並んで外を見る。太陽の位置が真上辺りだから、これが夕方になるとかだと5,6時間かかるって事かな?まあ、この星が24時間制かだとしたらだけど。

まあ、もの凄く遠いという事はわかった。水かーなんかモンスター倒すとドロップしたりするのかな?

≪ハル、水持ってるじゃん?それじゃダメなの?≫
「ん?まあ、あるけど。これ使い切ったら終わりだしさ。サバイバルでの水源の確保は最優先なんだ」
まあ、浮かれてクラフト作業に没頭してたけど。

≪えー、じゃあもうハルのお水飲めないの?≫
「ああ、大事に飲む分には平気だよ。ただ、色々なことで水を使うから大事にしないといけないけど。必要な分飲むのは大丈夫だよ」
 
≪んん?ハルみたいに魔力たっぷりの水じゃなくてもいいなら近くに湧き水があるよ。


++++++++++++++

お読みいただきありがとうございます。

1話まえのホーンラビットのLVを15と言っていましたが話しの都合上、結構上げました。

これからもこんな事が色々あるかもですが出来る限りお知らせしていきますのでよろしくお願いいたします。

_(_^_)_








しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

死んだと思ったら異世界に

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:372

異世界ゆるゆる開拓記

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:11

転生したら守護者?になり称号に『お詫び』があるのだが

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:1,790

万能チートで異世界開拓! 〜辺境スタートの最強転移者スローライフ〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:177

処理中です...