魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ

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終章 世界の終わりと創世の伝説

247 心と体の同期しない動悸

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 エンプティモのクーデターが成功した結果、続々とクルセイダーズが集結し推定四十万人を超えたようだ。
 さらに増える可能性もある。
 しかも帝国から漏れてくる情報を分析した結果、ギスケはえらい怪物と戦っていたようだ。
 大量のゴーレム、神狼、神馬、神蛇というヤバそうな能力を持った神獣達。

 運がいいのか悪いのか、レイネスの部隊は未だ神獣と交戦していない。
 ひたすら敵後方の補給物資を、ベリーウェルダンという焼き加減に調理して回っているだけだ。
 そろそろテストも兼ねて神獣と戦っておきたいところなんだけど。
 神獣の出現傾向を見ると、その都度一カ所で集中してしか出現していないのが気になる。
 何か理由があるんだろうか?

 エンプティモという帝国の防衛拠点は、レイネスにとっての防波堤でもあった。
 それが無くなった今、今後はここも危ない状態となる。
 とは言っても、敵がここを攻めてくれても構わないのだ。
 レイネスの火力と射程は、この世界の魔法を凌駕している。
 武器運搬の手間が省ける。

 今は、いずれ行われるであろう帝国のエンプティモ奪還作戦に備えるべき時だ。
 その準備の一つとして、レイネスとエンプティモの間に補給基地を設けている。

 そうこうしている間に、レイネスが建設中の基地近くで小規模な戦闘が勃発する。
 二千人規模のクルセイダーズが入り込んできたのだ。
 そしてクルセイダーズは分散しつつ、街を包囲するような体勢をとって攻めてきてた。
 ホームグラウンドでの戦闘は、こちらが圧倒的に有利だ。
 随所にセンサーが設置され、さらに気球を使った索敵により、敵の動きは筒抜けになっている。
 場所さえ分かれば、そこに火力を投入するだけだ。

 そして戦闘はあっさり終了する。
 大兵力の敵にとって、二千人というのは偵察部隊という感覚なのだろう。
 その為、こちらが勝ったという状況でも、敵方はほとんど痛手になっていないはずだ。

 レイネスの戦闘部隊は冒険者と武器マニアの傭兵団で構成されている。
 地形的に人間の稼働がとりにくい森や山などの索敵と運搬は、魔族と魔物が担当している状態だ。
 そして彼らは総じて勘がいい。
 センサーや空からの監視に引っかからないような索敵の情報が不十分な場合でも、見事に敵の動きを看破してしまう。
 近代兵器の練度も上がり、隙の無い完全な無双集団と化していた。

 しかし無双集団ではあるレイネスの部隊には大きな欠点がある。
 絶対数が少ないのだ。
 近代兵器が使用可能な人間の部隊は、ようやく二千に達したところだ。
 敵にとっての偵察部隊レベルの数。
 この数で一度負けると、その後の立て直しが困難なのだ。
 作戦は「命を大事に」で、慌てずゆっくり確実に戦う必要がある。
 
 レイネスの防衛は特に問題が無い一方、帝国軍の方はかなり切羽詰まっている状態だ。
 神獣との戦いが相当にキツいようだ。
 その為、レイネスに銃器の供給を増やすように要求が来ている。
 しかし製造プラントをロケットやミサイル系の高火力兵器を作るのにシフトさせてしまっている。
 ついこの間まで、帝国用の武器の増産が難しい状態になっていた。

 ところが、テイラン先輩がプラントに魔法技術を導入してからは、製造能力が数倍に膨れあがった。
 完全に僕の想定を超えてきたのだ。
 確かにスカウトはしたのは僕だけど、ちょっとテイラン先輩を侮っていたかもしれない。
 レイネス側の装備を予定通りに作りつつ、帝国の要求を超える銃器の製造が可能になった。

 異世界の辞典に頼り切っている僕は、どうしても科学技術依りになってしまい、柔軟な発想が出来なくなってしまう。
 そんな僕にとって、テイラン先輩の新技術は完全に目から鱗だった。

 エンプティモ陥落から時間が流れ、決戦に向けての出来る限りの準備は終わった。
 ついにアリスも魔領から大兵力を引き連れてやってくる。
 僕の闇魔法のせいでだいぶ遠回りすることになったみたいだけど。
 それについて、怒ってないといいな。
 
 でも魔族にとっては遠回りルートの方が良かったのかもしれない。
 人間が多く使う街道周辺は、魔族が必要とする魔素がほとんど得られないからだ。
 田舎を経由した方が、消耗が防げるはずなのだ。

 アリスともうすぐ再会することになる。
 そのことを考えると心臓がバクバクする。
 これは胸のときめきなのだろうか?
 不思議なことに心臓の鼓動が激しくなるだけでなく、何故か冷や汗が吹き出てくる。
 手まで震えるのは嬉しいから・・・なんだよね?

 今度は殺されないといいなあ。






 トラウマ無双?
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