悪役令嬢とドラゴン王子

第4章 束の間の休息

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「ジャスワン公爵。国王は息才か？」
「はい。ぴんぴんしております。それよりも国王の姫君が――」


公爵は口を濁した。
公爵が言うには国王の愛娘、アイリス姫が色々と問題を起こしているそうだ。
部下たちを苛め、困らせ、その上何人もの侍女たちを痛めつけているとか。
まるで悪役令嬢そのものだった。
ルクはため息をついてゆっくり口を開いた。


「なるほどな。あやつの事だ。遊び半分でやっていることなのだろう。私がよく言っておくことにしよう」
「済みませぬ、王子。私共部下一同何も手出しが出来ません。陛下はお優しい方で愛娘に注意すら出来ない状態。このままでは次期女王として相応しくないと、皆口々に言っておりまして」
「それで私に白羽の矢が立ったのか。あやつ、幼き頃から私の事しか耳を貸さぬからな。私も国に帰る途中に寄ったということにしているのも色々面倒になるからなのであろう？」


公爵は苦笑しながら頷いた。
ルクの役目って一体何をするのだろう。
それにそこに私が居ても良いのだろうか。
そんなことを考えているといきなりルクが私の顔を見て話した。


「エリーザ、何も心配は要らぬぞ。姫の事は私が何とかする。其方には関係のない事だ。大丈夫すぐ終わる」
「ですが……私がお城に行くことはまずいのでは？」
「ルク様、そのことですが、お城に言っておられる間私の屋敷にエリーザ様をおいて行かれてはどうでしょう。私共がしっかりお守りします」
「そうか。そうしてくれると助かる」


公爵の心づきで私は屋敷に残ることになった。
ルクは直ぐにお城に向かうと私を屋敷に残し部屋を後にした。
残された私と公爵。


「エリーザ様。滞在されている間の世話役としてこの者が身の回りをお手伝いさせて頂きます。おい、入りなさい」


公爵がそう言うと部屋の扉が開き美しい洋服を纏った女性が部屋に入って来た。
女性は私に一礼した後公爵の隣に腰かけた。


「これは私の娘、アイルと申します。アイル、エリーザ姫だ。身の回りの世話を頼む」
「アイルと申します。宜しくお願い致します。エリーザ姫」
「わたくしはもう姫ではございません。エリーザで構いませんよ」


公爵と同じ髪の色をして長い髪の毛を一つに纏めた美少女が会釈した。
此処にどれだけ滞在するのだろう、私はそう思いながら彼女を見つめた。