悪役令嬢とドラゴン王子

第7章 故郷

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屋敷に戻ると、疲れがどっと出てしまい私はベッドの上で少し横になることにした。
ルクは別室で伯爵と話をすると言いっていた。
ルクの旅とはどういうモノなのだろう。
国々の身分の高い人と話をするってどんな話をしているのだろう。
私はそう思いながら部屋で過ごしていた。


暫くすると屋敷の使用人がやって来てお茶を飲まないか、と誘われて私はテラスに通された。


「此処のお庭はとても綺麗なのです。外の空気を吸いながら心を落ち着かせるのも又よろしいかと」
「有難う。本当に綺麗なお庭ですね」


使用人から誘われてテラスの花々を見ながらお茶を啜った。
幾分か美味しく感じる。久々の心地よさを感じながら飲むお茶は格別に美味しい。
大きく深呼吸すると美味しい空気が体中に入ってくるのが分かる。
私は大きく深呼吸して心を落ち着かせていた。


「此処にいたのか、エリーザ」


後ろからルクの声が聞こえた。
話を終えて私を探しに来てくれたのだろうか。
私は席を立ち、一礼するとルクが私の方に歩み寄って来た。


「此処のお庭がとても素敵と教えて貰い、お茶を楽しんでおりました」
「本当に綺麗な庭だな」
「はい……辛かった事を払拭してくれるようで、心地が良い所です」
「そうか。明日には故郷へ戻るつもりだが、其方はそれでよいか？」
「はい、もう帝国へは戻りたくありません」
「そうか。分かった。私は夕食が終わってから森に籠らないとならぬ。其方は此処で一夜を過ごしてほしい」


森に戻ってドランゴンとなってマナを吸収するという事なのだろう。
私はこくりと頷いた。
ルクは私の手を取って優しく握りしめてくれた。
寂しくないと言えば嘘になるが、私も同じように森に行きたいとルクに言えばルクは困ってしまうだろう。私はルクが困ることをしたくはない。


夕食後、私は客間の部屋へ、ルクは屋敷を出て森へと向かって行った。
明日、ルクの故郷に向かう。
色々あったけれどルクの故郷ってどんなところだろう。
人が沢山いるのだろうか。
それともルクのようなドラゴンが居るんだろうか。
ヨ―ルリアン帝国では味わえない事が起こると思うと目が冴えて寝れなくなってしまった。
私はベッドから起き上がり窓の外を眺めた。


「星が綺麗……」


窓の外の星々を見ながら一人事をぽつり。
綺麗な夜空を眺めながら気持ちがどんどん高揚していく。
どんな国なのだろう、ドラギウス王国とは……。
暫く外を詰めていると段々眠気が押し寄せてきた。
私はベッドに戻り布団を被せて目を瞑った。
ルクの故郷を思い浮かべながら……。