悪役令嬢とドラゴン王子

杏仁豆腐

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第7章 故郷

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朝を迎えて私はベッドから起き上がった。
窓の外を見つめるとルクが居ると思われる森が見える。
毎日ルクは一人でドラゴンの姿になって魔力補給をしないといけないのかしら。
ルクの事を知らない私、疑問だらけだった。


朝食の時間になると侍女が私の部屋を訪れた。
既に部屋着に着替えていた私は侍女の先導で食堂に向かった。
食堂に着くと既にルクと伯爵が食事をしていた。


「おはようございます、皆様」


私が挨拶すると座っていた二人が声を掛けた。


「おはよう」
「おはよう、エリーザ」


私は一礼して席に着いた。
目の前にあった紅茶が入ったカップを手にして啜る。
ダージリンティー、美味しい。
朝食は、食パンと卵スープ、それにイチゴジャム。
私はそれを食べながらルクに訊ねた。


「この後はどのような段取りなのでしょうか」
「食事後、この地を立ち、故郷へ向かう予定だが……何かあるのか?」
「いえ……特に何も。ただ……」


ただ、ヨ―ルリアン帝国にいる父や兄の事が心配だと言いたかった。
ルドリア令嬢と婚約をしている兄の事が。
あれからどうなったのだろうか。
父は私の事を許すと言ってくれていたが、それは本当なのだろうか。
頭の中で色々な事が浮かんできて不安になってゆく。


黙ってしまった私をルクが優しく頭を撫でて話をしてくれた。


「家族が心配か? あれだけされたのに……」
「はい、本当に不思議な事なのですが、父や兄の事を恨むことが出来ません。今でも心配している自分がいます。どうしたら断ち切れるのでしょう。この気持ちを……」
「そうだな……また、戻ればよいのではないか? 今は戻ったところで其方を幽閉するであろう。其方の兄が結婚した後にでも私と一緒に帝国へ赴くのも悪くないぞ。その時、其方は私の妃になっておるのだからな」


ははは、と笑いながら私の頭を優しく撫でてくれるルク。
私の心はどんどん彼に惹かれていく。
ドクンドクンと心臓が高ぶる。
彼のエメラルドの瞳で見られると吸い込まれそうになるくらい、彼の事を愛している自分がいる。


「はい……有難う御座います、ルク様」
「さ、それを食べて少し落ち付いたら出発しよう」


朝食の続きを再開したルクと私。
それを黙って微笑みながら見つめていた伯爵。
私は急に恥ずかしくなり顔が熱くなるのを感じた。


「朝からお熱いですな」


伯爵の一言で更に恥ずかしくなってしまった。
ルクは何を言っている、と伯爵に声を掛けていた。
ルクは恥ずかしくないのかな。
私といちゃついていた事。
ドラゴンだから感じないのかな。
スプーンに卵スープを掬い口に入れながらそんなことを考えていた。
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