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第3話 お姉ちゃんが僕に……
しおりを挟む新学期が始まった。
僕は新たな気持ちで新しい制服を身に纏い緊張しながら学校へ向かった。隣には大学生になったお姉ちゃんがレディーススーツを身に纏い笑顔で僕の腕を掴みながら歩いていた。すれ違う人から変な視線で見られるのが凄く辛い。
「お姉ちゃん、ちょっと離れてよ。他の人が見てるからっ」
「え~、何でぇ~。嫌。真ちゃんは私のものなんだからっ」
「そういうことを大きな声で言わないでって……」
「いいじゃない。本当の事なんだもんっ」
「はぁ……」
今朝起こしてもらった身である僕はそれ以上お姉ちゃんに何も言えなかった。実は昨日の夜あまりにも緊張してしまい眼が冴えてしまって全然寝付けず、朝の目覚ましでも起きれなかった僕は不覚にもお姉ちゃんに起こされてしまったのだ。
そのお礼にと僕がお姉ちゃんの言う事を一日黙って聞くことになっている。朝はパンが食べたいからコンビニまで走らされ、服装はどれがいいか選べだの、もう朝から散々な目に遭っているのだ。でも、お姉ちゃんが笑顔でお礼を言われるとドキッとしてしまう。可愛いんだよ、くそっ。
「真ちゃん? どうしたのよ。そんなに私のかを見つめて……。あ、私に惚れちゃったのっ!」
「な、何言ってんだよっ! 僕たち姉弟だろ。そんなことないからっ!」
僕の顔が凄く熱いのが自分でも分かる。お姉ちゃんはきゃはは、と笑いながら僕の腕をぎゅっと掴んで楽しそうに笑っていた。周りの通行人たちにも笑われている。本当にこの状況が昔と変わらず恥ずかしいのだ。
僕の学校付近に着くとお姉ちゃんは僕から離れて大学へ向かった。やっとお姉ちゃんから解放された僕は安堵した。さぁ、今日からここが僕の新しい学校。友達も沢山作って、出来れば彼女も作って学生生活をエンジョイするぞ。
「新入生の人は掲示板に書かれた自分の名前のある教室へ向かってください」
校門前に先生らしき人が声を張っていた。そっか、まずは自分の教室を探さないとな。僕は掲示板に向かって自分の教室を確認して校舎に入った。出席番号24番。結構前の方の番号だ。『嶋』と言う名前からしてそれくらいなんだろうか。中学の時は40番くらいだタけどな。
教室――1年2組。
ガラガラ、と扉を開けると既に多くのクラスメイトが自分の席に座っていた。誰も僕の事を知らないんだよな。自分の席に着いてカバンを置いてため息をつく。周りでは中学の知り合いだったのだろうか、仲良く話をしながら入学式の時間つぶしをしていた。
「よっ。お前、どこ中?」
「え……?」
僕の後ろから声が聞こえた。僕に話掛けてくれたのか? 僕はゆっくり後ろを振り向くと黒髪短髪で頭のよさそうな雰囲気の男子がにこにこしながら僕を見つめていた。いきなり友達が出来るのかな。凄くラッキーじゃんか。中々僕からは声を掛けられなかったからな。ここはちゃんと答えなきゃ。
「あ、僕は隣町の中学卒業なんだ。だからここの近くの中学卒じゃないんだよ」
「へぇ~。珍しいな。家からどうやって通ってんだよ。あ、俺の名前は正木和也。宜しくな」
「あ、僕は嶋真治。此方こそ宜しく。今は姉と二人暮らししてるんだ。この近くのアパートで」
「へぇ~。それも珍しいな。姉弟仲が良いだな」
「あはは……そう、だね」
言えない。僕のお姉ちゃんが超ブラコンで僕と家でどんなことをしているのか、言える訳がない。でも折角出来た友達になってくれるかもしれない彼を絶対話すわけにはいかない。僕は彼と他愛もない会話をしながら時間を潰した。
「真治、でいいよな。俺の事は和也って呼んでくれよ。仲良くしようぜ」
「あ、うん。宜しく。和也」
入学式も終わり、僕は初日から初めて友達が出来た。和也、彼は僕なんかに声を掛けてくれた友達だ。大切にしたい。やっと僕が『シスコン』と揶揄されない世界に来たんだ。絶対バレちゃだめだ。お姉ちゃんが僕の学校に来ないことを祈らないと。
「真治、じゃ、またな」
「うん、またね」
校門前で和也と別れた僕はアパートに向かった。なんだか充実した第一歩だったような気がする。楽しい学校生活を送るんだ。
「真ちゃぁ~ん。学校、終わった?」
え……? 後ろからお姉ちゃんの声が……。立ち止まって後ろを振り返ると微笑んでいるお姉ちゃんがっ!! もう大学終わったのか。まだ学校近くだがら他の生徒たちもいるってのに。ここでいきなり抱きつかれたらやばい。何とかしないと。
「お、お姉ちゃん。もう学校終わったの? は、早かったね」
「うんっ! 早く終わったから真ちゃんの高校に行こうって思って来ちゃった」
「そ、そうなんだ。帰ろ」
「うんっ!」
お姉ちゃんは僕の腕を掴もうとした。僕は慌てて腕を小さく畳みカバンを抱きしめた。ここでは不味いんだよ、お姉ちゃんっ!
「なんで。なんで嫌がるの?」
「ここでは……ね。アパート近く迄我慢してほしいな」
「ちぇー。なんだか悲しいぞ。お姉ちゃんは」
「ご、ごめんね。でも直ぐそこだから、さ」
「もう、仕方が無いんだからぁ~。その代わり……」
「なに? その代わりって?」
「真ちゃん、家に帰ってたら私の言うことをきいてもらいますからねっ」
またかぁ~……。お姉ちゃんのいう事ってあれしか思い浮かばないんだけど。でもここでまた嫌がるとお姉ちゃんの機嫌が悪くなりそうだ。仕方なく僕は頷いた。それを見たお姉ちゃんは笑顔で僕の隣に並んで歩いた。
家に戻るとお姉ちゃんは自分の部屋に行った。荷物を置いてスーツを着替えたいらしい。僕も自分の部屋に戻りカバンを床に置いて制服から普段着に着替えた。ベッドに座ってため息をつく。何を僕にお願いするんだろう。本当に変な事じゃなきゃいいんだけど。
「真ちゃん。着替え終わったぁ~」
お姉ちゃんがそう言いながら僕の部屋に入って来た。
「ちょ、ちょっとっ!! なんて格好してんのさ」
「え~。いいじゃん。これ普通だよぉ~」
「ふ、普通じゃないって。何で高校の制服着てんだって」
お姉ちゃんは高校時代に来ていた制服に着替えていたのだ。黒のニーハイを履いて。笑顔で僕の隣に座って僕の顔を覗き込むお姉ちゃん。なんだ、何をされるんだ、僕は!?
「真ちゃん、私のいう事きいてくれるんだよね?」
「内容によっては断る可能性もあり」
「いやいやいやいや!! きてよ! 真ちゃんの馬鹿ぁ~!」
じたばたするお姉ちゃん。まるで子供だ。仕方がないなぁ~。
「で、何をお願いなの?」
「それはね。私とちょっとラブラブしてほしいのっ!」
「えぇ~!! ら、ラブラブって……」
「いやんっ! 真ちゃんだ~い好きっ」
いきなり僕に抱き着くお姉ちゃん。抱きつかれた反動でベッドの上に仰向けになってしまった。お姉ちゃんが僕の胸に頬を擦り付けながら笑顔で喜んでいる。これくらいなら、良いか。
「真ちゃん、真ちゃん、真ちゃん!!」
「お姉ちゃん……どれだけ僕が好きなんだよ」
「え? 大好きだもんっ!」
「はいはい。分かったよ。僕も好きだから」
「わぁい! これで恋人同士だねっ!」
「……いや、それは違うぞ……お姉ちゃん」
お姉ちゃんに僕の言葉は通じなかったのか、今度は僕の胸から顔を離すと僕の顔に向かってきた。どんどんお姉ちゃんの顔をが近づくと、僕の唇にお姉ちゃんの唇が重なった。1回、2回、ちゅっ、ちゅっ、とリップ音を鳴らしてから今度は頬にキスをするお姉ちゃん。
「お姉ちゃん。キス、だけだからね」
「うふふ。私、今真ちゃんの上にまたがってるんだけどなぁ~」
「な、何する気?」
「こういう事、してみたかったんだぁ~」
そう言うと僕の上に跨ったお姉ちゃんは自ら制服のスカートを手繰り寄せてパンティを露わにさせた。そして僕の股間に自分の股間を当てながらゆっくり左右に腰を動かし始めた。
「や、やめ…てって……んっ」
「はぁはぁ……凄くいい気分だよ、真ちゃん」
「きょ、姉弟で……だめ、だって……あっ!」
「ふふふ。真ちゃんもいい気分でしょ? これ一度やってみたかったの」
お姉ちゃんはそう言いながら腰を振っている。僕は何とも言えない刺激に耐えながら布団を握りしめて理性を保とうと必死になっていた。このまま、お姉ちゃんを僕は、僕は、僕はっ!! お姉ちゃんは不敵な笑みを浮かべながら僕を見下ろしている。口元から涎らしきものが僕の服に落ちていた。何とも言えない妖艶な笑み。何処でこんなことを覚えてきたんだ、お姉ちゃん!
「も、もう、ダメだよっ! 止めてよ!」
「はぁ~はぁ~。し、真ちゃんを感じるよぉ~。凄く感じるぅ~」
「お姉ちゃんっ! もうダメだって!」
「だって…寂しいんだもん……真ちゃんが遠くに行っちゃう。私の傍に居て、真ちゃん」
「いるから! だから止めてくれっ」
「はい。今約束したからね。真ちゃん、約束守らないと、めっ、だからね」
お姉ちゃんはそう言うと僕から離れてスカートを戻してベッドに座りなおした。僕は起き上がりお姉ちゃんの顔を見つめた。してやられたのか……お姉ちゃんめっ!
お姉ちゃんが僕に構い過ぎて……と言うか、お姉ちゃんのブラコンパワーが半端なく上がっていて僕を誘惑してきて凄く困ってますっ!!
毎回えっちな事をしてくる実の姉を何とかしてください。僕はもう精神的にも、肉体的にも限界に近づいてきています。このままだとお姉ちゃんを……僕は、僕は、僕は……一線を越えちゃダメだよっ!! お姉ちゃん!!
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