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4 お茶会続き

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「イリス…こんなところでお茶にせずにこちらにいらしたら?」
「はい。有難う御座います」

のこのこやって来てこの私から嫌がらせを受けに来たかと思うと面白くて笑いこけそうになる。
だかここはシャキッとした顔をして相手に悟られないようにしなければ……。

私の座る目の前にイリスは腰かけ、あとは4人の令嬢たちがにこやかな顔で座った。
私の隣に座っていた子がイリスに話しかけている。
とても楽しそうにするイリス。
全く何がそんなに楽しいのかしら。
下らないお茶会なのに……。

「この紅茶は本当においしいですわね」
「ええ…とっても…」

何処が!
何が!
はあぁ!!

ごく普通の紅茶にしか味わえない私に向かってなんてことを言い出すのかしら!
満面の笑みを浮かべながらこっちを見ないでほしいわ!
ムッとした表情は見せず、少し笑顔を返す。

そしてここからが嫌がらせの始まりだっ!!

「そう言えばエリー。来週は貴女の御屋敷でパーティがあるらしいわね。わたくしのお父様やお母様が言っていらっしゃったわ」
「ええっ! そうなんです。是非いらしてください」
「ええ。勿論行かせて貰うわ」

イリスの家は私の家よりも階級が低い。
エリーの家はイリスの家よりも階級が高い。

だからイリスがパーティに呼ばれることは決してない。
そのことを知りながらあえてこの話題を出す私……なんて卑劣な好意だろう。

ちらっとイリスの顔を見る。
この場に居づらそうな顔をしているに違いない…。
さあ、私にその寂しそうな表情をして許しをこいなさい。
そして羨みなさい!

「あら、そうなんですか? 私もお邪魔したいですわ」

イリスはそう言うと笑顔で私の方を見つめた。
何でそんな笑顔で嗤えるのよ。
貴女は呼ばれていないのよ。
お呼びでないのよっ!!
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