婚約破棄された令嬢の復讐シン…。

６ 鬱陶しい

やっと解放された……。
何気ない会話を無理やりさせられるのは地獄だった。
イリスは私の事なんて考えもせず楽しそうに話しながら門まで歩き、私は苦痛に耐えながら門まで歩く。
これは拷問だ、そう思った。

馬車に乗り込むとため息をつく。
はぁ……全く本当にむかつく女だわ。
正直鬱陶しいとしか思えない、あの顔、あの表情……etc。

「お嬢様、何か学校であったのですか？」

私の表情を伺いながら使用人が話しかけてきた。
私は髪の毛を流し、一度目を瞑った後口を開いた。

「大丈夫よ…問題ないわ」
「そうですか…ではお屋敷まで…」
「ええ…お願いね…」

会話はそれで終わった。
何事もなかったように馬車に揺れながら窓の外を見つめる。
何も変わらない街並み。
空を見上げると鳥たちが鳴き声を上げながら優雅に泳いでいた。


馬車を降りて屋敷に入ると奥から話し声が聞こえて来た。
誰かが屋敷に来ているらしい。

私は居間へ向かって歩くと扉の前で止まる。
一呼吸おいてからドアをノックした。

コンコン……。

「……ただ今戻りました」
「お帰り、レイジー。お客様が来ているよ」

え…？
客？
誰かしら…。

ソアーに寄りかかっているの誰？

そう思いながら見るとそこにいたのはアンドレイの執事だった。
今更何の用事なのかしら。

「レイジーお嬢様、お久しぶりでござます。お元気そうで何よりで…」
「ええ…元気でやっております。今日は何用ですか？」
「アンドレイ様から此方をお持ちするよう言われましたのでお持ちしました」