紡ぐ者

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【第3章 魔道士の組合《サークル》】

追憶ーその1

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 2人はアリスの家で先程もらった紙を見ている。
「お前はこのサークルに入るのか?」
「うーん、まだ分からない。他のサークルも見てみないと。」
「本当は?」
「ここでいいかもしれない。」
アリスは右手を頭の後ろにあてる。
「情報収集が得意な子がいるみたいだからね。」
「ロビンは入らないの?」
ロビンは考え込む。
「入る理由がないんだよな~。」
「なにかないの?強くなりたいとか?」
「それは戦闘狂の奴が言う理由だ。」
「真っ当な理由だと思うけど…それに……」
「それに……?」
「親しい人がいれば入りやすいでしょ」
「確かに。まあ考えておく。」
(きたコレ!)
アリスは心の中で親指を立てる。ロビンはアリスの家を出て、自宅に向かう。

帰宅中…
 ロビンは悩んでいた。
「俺はサークルに入るべきなのか?」
「理由は強くなるため…か。」
(そういえば俺は昔、強くなりたいと思ってたな。)
「なんでだ?」
自分が強くなりたいと思った理由は考えるほど分からなくなった。
「なんだこの感じ。まるで記憶に霧がかかってる感じだ。」
いくら記憶を辿っても何も思い出せない。
(アリスの調べた情報を知ればなにか思い出せるかもしれない。)
「でもあいつは教えてくれない。」
「なら……方法は1つしかないな。」
ロビンは表情を変え家まで走る。

 家についた途端、体に一気に負荷がかかる。長い距離を走ったせいでスタミナ切れを起こしたことをを忘れていた。
「やっべ、走りすぎた。」
ロビンは部屋に戻ってソファに寝転ぶ。
「今日は何もないといいが…」
ロビンは着替えを持って浴室に向かう。

入浴中……
 温かい湯が疲れた体に染み渡る。
「ふう~生き返る。」
ロビンは気持ちよさのあまり、声が出る。

浴室から出たロビンはソファに座っていた。
「サークルに入るか入らないか…」
「あー分かんねえ。」
ロビンは頭を抱える。
(アリスに聞いてみるか。)
スマホを持ちアリスに連絡する。
「アリスはサークルに入るのか?」
「いろいろ悩んだ結果春蘭さんのところに入ろうかな~って。ロビンは?」
「入るか入らないか悩んでる。」
「ゆっくり考えればいいと思うよ。」
「そうか…ありがとう。」
「どういたしまして。おやすみ。」
ロビンはベッドに向かう。

(ゆっくり考えればいいと思うよ。)
「ゆっくり……か。」
ロビンは意識が薄くなり眠りについた。

「ん?ここは?」
ロビンは目が覚めると街中にいた。しかし東京ではない。地面に落ちている新聞紙を見ると字がすべて英語で書かれていた。
「ここは……イギリス?!」
「ん?この新聞……9年前のものだ!」
キイィィィン!
「くっ…なんだ?」
ロビンの頭に痛みが走る。見知らぬ声が頭の中に響く。
「見つけた……見つけた。」
「誰…だ?……お前は?」
「貴様こそあのお方の器に相応しい。」
「器?何を……言っている?」
ドオォォン!!
「なんだ?!」
ロビンは後ろを向くと街で火災が起きていた。
「なんで……突然?」
「9年前………そういえば俺が日本に来たのは確か……8年前だったはず…。」
「まさか…………」
ロビンは火災の現場の近くに向かって走り出す。前から人が走ってくる。
「うお!」
ロビンはぶつかりそうになる。
「俺に気づいていない?というか見えてないのか?」
誰もロビンに声をかけない。逃げるのに必死で気づいていないのか、それとも見えていないのか。ロビンは再び走り出し火災の現場へ向かう。

 ロビンは火災の現場についた。炎が轟々と燃え盛る。
「ひでぇ、なんだこれ……」
「一体誰が……」
ドオォォン!
近くの建物が爆発する。爆風がロビンを襲う。
「くっ…」
ロビンは起き上がり上を見上げる。上空に翼の生えた人型の何かが飛んでいる。
「なんだあれ?人じゃないな。魔獣……なのか?」
「でもあんなの見たことがない。」
ロビンは警戒する。
「That guy.《あいつか》」
後ろから女性の声が聞こえる。振り向くと空を見上げる女性が立っていた。その手には槍を持っていた。胸には魔道士の紋章があった。
「誰だあんたは?」
ロビンが聞くがこちらを向かない。
(やっぱり見えてないのか?)
ロビンは首を傾げる。
「Fuck it.《くたばれ。》」
女性は飛び上がり上空の"何かに"槍を向ける。
「おっと、危ないなあ。」
"何か"は避ける。
「Fuck. Did you avoid it?《クソ。避けたか。》」
「Who are you?《お前は何者だ?》」
「俺様の正体を聞くだあ?見たらわかるだろ。"人間"だ。」
「は?!」
ロビンは度肝を抜かれる。
「What are you talking about?《貴様、何を言っている?》」
女性も聞き返す。
「俺は何も嘘をついていない。なんせ俺は元々人間なのだからな。」
「I do not understand the meaning.《意味が分からない。》」
「クックック、戸惑っているな。分からなくていい、分かる必要もない。」
(こいつら……互いの言葉が分かるのか?)
「You invaded my territory. You should atone for that sin with your body.《お前は私の縄張りを荒らした。その罪、身をもって償うといい。》」
女性は槍に魔力を込め、渾身の一撃を放つ。
「やれるならやってみろ!」
男は炎をまき散らす。ロビンは炎に囲まれる。
「ヤバい!」
ロビンは炎に飲まれた。

ドゴッ!
「痛った!」
ロビンはベッドから落ちた。窓から日差しが差し込む。
「もう朝か。」
ロビンは着替えて下に下りる。
(変な夢を見ていた気がする。)
ロビンは夢の内容をあまり思い出せなかった。
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