紡ぐ者

haruyama81@gmail.com

文字の大きさ
23 / 117
【第4章 開戦の予兆】

第5節 早世屋敷

しおりを挟む
 4人はバスに乗り、親友の家に着く。
「なんでお前の行く先はいっつも豪邸があるんだ?」
「仕方ないだろ。彼は名門の出なんだから。」
ガラッ!
春蘭は玄関を開ける。
「来たか…」
1人の男性が玄関に立っていた。
「ビッックリしたぁ!」
ロビンが驚く。
「驚かせてすまない。気にせず上がってくれ。客間はここから見て左側の部屋だ。俺は茶でも淹れてくる。」
4人は客間に向かう。
「久しぶりに来たな。」
「前も来たことあるのか?」
「ああ、もう何年前か覚えてないけどね。」
春蘭は懐かしそうな顔をする。
「さきほどの人は?」
雫が春蘭に聞く。
「早世 疾風《そうせい はやて》。日本支部の最高管理者にして現役の天級魔道士さ。そして僕の同期でもある。」
「つまり旦那様の親友ということですね。」
「うん、正解。」
アリスは2人を見ながらニヤけている。
(なんでこの2人の会話は見ていて楽しいの?)
「お前、何ニヤニヤしてんだ?」
「ふぇ?!」
アリスは変な声を出す。
「その声どっから出たんだ?」
「胃から出た。」
「胃から声は出ないだろ。」
ロビンは正論を叩きつける。疾風が客間に茶菓子を持ってくる。
「悪いな、用意が遅れて。」
疾風は全員の前に茶菓子を置く。
「まさかお前が来るとはな。実に何年ぶりだ?」
「僕も覚えてないな。」
疾風は少し部屋を見渡す。
「お前の妹は来ていないのか?」
「美桜は体調が悪いらしい。」
「そうか。お大事にと伝えておいてくれ。」
「はいはいわかったよ。」
疾風はロビンとアリスのほうを見る。
「こっちの2人は?」
「僕のサークルのメンバーだ。右からロビン、アリスだよ。」
「あぁお前たちのことか。団長から聞いてるぞ。」
「本来なら俺が迎えに行くべきだったんだが……春蘭が連れて来ると言うから迎えに行かなかったが。まあ駅までは行けば良かっかな。」
疾風は立ち上がる。
「任務を行う場所が必要だろう。ついて来い。」
2人は疾風について行く。

「着いたぞ、ここだ。」
疾風について行った2人は山の中にいた。
「この山の中が観測に向いているのか?」
「ああ、ここは魔力の"収束点"だからな。魔力を観測するにはもってこいの場所だ。」
アリスは地面に手を付ける。
「確かに魔力が集まっているのを感じます。」
ロビンも手を付ける。しかし何も感じない。
「……分からん。」
「魔力の流れがわかるかは人による。仕方のないことだ。」
疾風はロビンにフォローを入れる。
「今日は……時間的に観測は難しいだろう。屋敷に戻るぞ。」
3人は屋敷に戻る。その途中、疾風は手帳を取り出した。

「あ、お帰りなさい。」
雫が箒を持って、玄関で出迎える。
「何してんだ?」
「掃除です。汚れていたので。」
雫は当たり前かのように答える。
(これが職業癖というやつか…)
ロビンはふむふむと感心したような顔をする。
「またお前の世話になるとはな。」
「気にしないでください。こちらも宿泊させてもらう身ですので。」
「またって?」
ロビンが疾風に聞く。
「前に何度が来たときもこうやって掃除してたんだよ。」
「まあ、こっちとしてはやることが減るからありがたいけど。」
疾風は手帳を見ながら客間に向かう。

「お、帰ってきた。」
「お帰りなさい。兄さん。」
客間には春蘭と1人の青年が食事の用意をしていた。
「誰?」
わだち。俺の弟だ。ちなみに美桜と同い年で24歳。」
「美桜って24なの?」
「そうだよ。」
春蘭と疾風の言葉に驚く2人。
「美桜って俺らより年上なんだな。」
「ちょっと意外ですね。」
2人はコソコソと話す。ロビンとアリスは21歳。美桜は2人よりも3歳年上だった。
「俺、19歳ぐらいだと思ってた。」
「私もそれぐらいかと思ってました。」
2人がコソコソ話していると春蘭の声が聞こえた。
「疾風、こっちに来てくれ。」
春蘭が疾風を部屋の隅に呼ぶ。
「なんだ?」
「純連から連絡があったよ。」
「なんて言ってた?」
「もうじきこっちに来るかもだって。」
「そうか。あとあいつが来れば全員揃うな。」
「彼が来るかはわからないけどね。こちらで何かあったら来ると思うよ。」
「何の話をしているのですか?」
春蘭と疾風の背後から雫が声をかける。
「ちょっと昔話をしているだけだ。」
「そうそう、昔の学生時代の話をして懐かしんでただけだよ。」
「そうですか。お食事の用意が終わりました。冷めないうちに召し上がってください。」
雫はキッチンに向かう。2人が客間の机を見ると夕食が用意されていた。
「そういえば、君の家の料理を食べるのも久しぶりだね。」
「作ったのはお前のところのメイドだろ。」
「まあそう言わずに、材料はこの家のものだから、実質この家の料理だろう。」
「なんだその実質理論。」
「ただのジョークさ。」
疾風は春蘭のジョークに呆れ、額に手を当てる。
「雫が言ったように、冷めないうちに食べてしまおう。」
「そうだな。時間も無駄にしたくないしな。」
2人は座布団に座り、食事を始める。雫が戻ってきた頃合いに明日からの予定について全員で話し合った。

神宮寺邸…
カラン
「ん?」
家に何かが届く。玄関に向かい届いたものを見てみると、1つの封筒だった。宛名には"神宮寺"とだけ書いてあった。
「この封筒……大魔統制会のものだ。」
印鑑を見る限り本部からの封筒のようだ。
「開けていいの?」
美桜は封筒を観察するが特に開けるなとは記されていない。
「兄上に伝えよ。」
美桜はスマホで封筒の写真を送る。

早世家……
ピロン♪
「ん?美桜から写真が送られてきた。」
「どんな写真だ?」
「1つの封筒だ。しかも本部からの。」
春蘭は美桜に「開けてくれ」と送信する。
 数分後に再び写真が送られてくる。
「……なんだこれは?」
「見せてみろ。」
春蘭は疾風に封筒の中身の写真を見せる。
「なにこれ?」
送られてきた写真には封筒に入っていた"何かの破片の写真"だった。破片は黒く澄んでいて禍々しさを感じる代物だった。横にスライドすると手紙の写真がある。
「仙級以上の魔道士に緊急の任務を言い渡します。任務の内容はこの"破片"の正体を調べること。有力な情報を見つけ次第、本部に連絡すること。」
カラン
玄関から物音がする。
「少し待ってろ。」
疾風は玄関に向かう。先程写真で見た封筒を見つける。
「これがあった。」
「なにこれ?」
ロビンは不思議そうに封筒を見る。アリスも興味津々で封筒を見つめる。疾風が封筒を開けると、先程と同じく"何かの破片の写真"と手紙が出てきた。
「手紙と、写真?なんだこの破片?」
「それは僕にも分からない。」
ロビンの問に春蘭は首を横に振る。
「この封筒はすでに僕の家にも届いている。」
「なんで知ってんの?あ、わかった。美桜から送られてきたんだろ。」
「正解。」
アリスは写真を手に取り、不思議そうに写真の破片を見つめる。
「これ…不思議な感じがしますね。」
「どういう感じだ?」
「なんか……吸い込まれそうな感じです。」
「吸い込まれそう?」
疾風は顎に手を当てる。
「なんか……嫌な感じがするな。」
「本当になんなんでしょう。」
5人の間に大きな疑問が生まれた。

大魔統制会本部 保存室…
 アーロンドは机に置かれた"何かの破片"を見つめていた。ふとした瞬間に破片に触れる。
「ッツ!」
アーロンドの指先に不可解な痛みが走る。
「なんと異質な物。まさに"異物"ですね。」
「こちらを解析班に渡しなさい。取り扱いには厳重な注意をするようにと伝え忘れないように。」
「はっ!承知しました。」
後ろにいた2人の団員は"破片"を運び出す。アーロンドは破片に触れた指先を見る。黒い靄がついていた。
「これは…」
匂いを嗅いでみたが特に匂いはない。しかし少しばかり気分が悪くなる。
「少しでも靄を吸うと気分を害する、と。」
アーロンドは手帳にメモをとる。追記で「人体に悪影響を及ぼす」と書き足す。
「団長!解析班からの伝達です。あの破片がどこで発見されたかの情報が欲しいようです。」
「この破片は島根県の"出雲市"で見つかりました。詳しい資料を渡し忘れていましたね。」
アーロンドは団員に資料を渡す。
「追加で少量でも吸えば人体に悪影響を及ぼす、触れると不可解な痛みが生じると伝えておいてください。」
「承知しました。」
団員はその場を離れる。
「………。」
「また妙なことが起こったな。」
後ろから男が現れる。
「あなたは今回の件、魔力濃度の異常化と関係があると思いますか?」
「分からん。だが、少なくとも直接的ではないにせよ、どこかしらで繋がっている可能性はある。」
「ふっ。あなたもその結論に辿り着きますか。」
男はアーロンドの横に立つ。
「俺が何故ここに戻ってきたかわかるか?」
「いいえ、分かりません。」
「俺はあの日、お前の部屋であの紙を見て以降、魔力濃度の異常化について調べていた。」
「何か収穫は?」
アーロンドは口角を上げながら聞く。
「あった。」
「ほう、素晴らしい。」
「今回の魔力濃度の異常化は"何者かによって引き起こされた"可能性が非常に高い。」
「何故そんなことをするのですか?」
男は後ろに下がる。
「分からん。だが俺は1つの魔力濃度の異常化の原因について、1つの仮説を立てた。」
「聞かせてください。」
「まず魔力濃度の異常化だが、報告では数値が急激に上下していた、とのことだった。」
「これは何者かが魔力を吸い出して"何か"に使ったからだろう。使うことで魔力が少なくなり濃度が下がる。そして減った場所に大量の魔力が流れ込み数値が急上昇する。これが俺の仮説だ。」
「なるほど。しかし魔力は何に使われているのでしょう?」
「お前は観測場所を忘れたのか?」
男の言葉にアーロンドの脳裏に嫌な予感が走る。
「まさか……」
「そう、異常化を起こした奴は"八岐大蛇の復活"に魔力を使っていた可能性が高い。」
「お前の予想は当たっている可能性が高いということになる。」
「奴が復活する場合、残された時間はどれくらいですか?」
アーロンドは真剣な表情で男に聞く。
「異常化が確認されてから2日経っている。その間も休むことなく供給されたと考えると……遅くても1週間、早いと5日程だろう。」
男は保存室を出ようとするがアーロンドに止められる。
「八岐大蛇討伐にあなたの力が必要です。力を貸してもらえないでしょうか。」
「俺も手伝えるならそうしたい。だが、それは無理な話しだ。まあ助言ならできなくもないが、その助言すら思い浮かばない。」
「それに、八岐大蛇くらいお前たちでも問題ないはずだ。」
「しかし事はそうはいかなそうですよ。」
男は振り返る。
「どういうことだ?」
「観測隊の話によると魔力に"違和感"があったとのことです。その違和感を2人の団員に調査させています。その結果次第で考えてもらえると幸いです。」
男は出口のほうを向く。
「わかった。俺も奴の文献を片っ端から漁る。何か見つけたらすぐに伝えに向かう。」
「伝えに来るなら日本支部までお願いしますよ。」
男は頷くと保存室を出る。アーロンドも団長室に戻る。

「ふう…」
アーロンドは椅子に腰掛けてため息をつく。
「あの人にも手伝ってもらいたいものですが……多忙すぎるせいでそう簡単には承諾してくれそうにないですね。」
アーロンドは立ち上がり窓の外を除く。
「まあ彼は、」











「天垣 時雨《てんがき しぐれ》は、世界に"3人しか"存在しない、神級魔道士の1人ですからね。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

処理中です...