紡ぐ者

haruyama81@gmail.com

文字の大きさ
41 / 117
【第7章 追憶を求める者】

第4節 運命とはときに無慈悲なものである

しおりを挟む
「おっ、目ぇ覚めたか。」
「なんで俺の部屋にいるんだ?」
「外を見ろ、こんなに晴れてるんだ。今日外出しなくていつ外出するんだ?」
 男性は張り切りながら話す。
「わかったよ。すぐ着替えるから外で待っててくれ。」
「へいへい。」
 男性は外に出る。
「どこに行くんだ?」
「さあな。歩きながら決めようぜ。」
「それぐらい決めとけよ…」
 2人が歩いていると1人の女性とバッタリと出会う。
「あ、面倒なやつら。」
「それはこいつだろ。」
 男性のほうを指さして答える。
「おいおい冗談キツイぜ。」
「わりとガチだけどな。」
 男性は笑いながら頭をかく。
「お?あの店に行こぜ。」
「行ったことあるのか?」
「ない。だからこそ楽しみだ。」
「俺はそうは思わんが。」
 男性から視線をずらしながら答える。
「まあそういうな、早く行こうぜ、ラビィ。」





「ラビィ……」
 ヴァンパイアは空を見上げる。その顔はどこか懐かしそうだった。
「そうだ……俺の名前だったな。何年も口にしてなかったから忘れてたぜ。」
 ラビィは地面を見下ろす。街は火の海と化していた。
「流石にあいつ以外はくたばったな。回収したらさっさと帰るか。」
 ラビィは地面に降りてロビンを探す。辺りの建物はほとんどが燃えている。
「おい、生きてるか?」
「うぅ……なんだよ。」
「立て。早く動かないと危険だ。」
「んなこたわかってんだ。だけど……少し待て。体勢を整える。」
 ロビンは瓦礫の下敷きになりながらも刀を持ち、いつでも攻撃できる体勢をとる。
「後ろから出れそうだな。回り込むか。」
「そのほうがよさそうだな。」
 ロビンはラビィの後ろに回り込むため、建物の裏にまわる。
「ここか?」
 ラビィが瓦礫をどかすが、そこにはすでにロビンの姿はない。
「ふむ……なるほどな。」
 ラビィは何かに気づく。ロビンは屋根の上からラビィの首を狙う。
 ドンッ!
 ラビィはロビンの腹部に槍の柄を打ち付ける。
「ぐっ…!」
 ロビンは地面に倒れる。
「気づいてないと思ったか?魔力痕があったからすぐに場所がわかったぜ。」
 ラビィはロビンの胸ぐらを掴む。
「そんじゃ、大人しく着いてきてもらおうか。」
「ふっ、断ると言ったら?」
「その場合は力ずくで連れていく。」
「へっ、そうかいそうかい。」
 ラビィはロビンの匂いに違和感を感じる。
「スンスン……お前、コンパルゴと会ったな?」
「コンパルゴ?誰だそいつは?」
「コンパルゴも俺と同じ半獣だ。あいつは八岐大蛇を復活させようとしていたな。まあ失敗に終わったが。」
 ロビンは八岐大蛇討伐前の出来事を思い出す。
「あいつか……」
 九尾がラビィの腕に噛みつく。ラビィはロビンを離す。
「ちっ、妖怪ごときが……人間に加勢するか!」
「立て。やるぞ。」
 ロビンは魔纏を使う。
「うっ……」
 ロビンは体の力が抜けるような感覚に襲われる。
「とうした?」
「多分……魔力がそろそろ切れる。」
「憑依と魔纏による消耗が仇となったか。」
ラビィもロビンの限界が近いことに気づく。
「もう投降したらどうだ?それ以上戦っても傷付くだけだ。」
ロビンは魔纏を解かない。
「俺は諦めが悪いたちでね。」
「なら気絶させるしかないか。」
ラビィは剣を作り出す。先程とは違い、いかにも悪魔らしい剣だ。
「やっぱお前悪魔だろ。」
ロビンは思ったことを口にする。



「ハア、ハア、いた!」
アリスは春蘭のもとに駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
春蘭は瓦礫をどかす。
「怪我はない。君にはガーネットのほうを任せる。」
「僕は……ヴァンパイアとケリをつける。」
春蘭はラビィのもとに向かう。
「行っちゃった……」
アリスは唖然としている。
(いやいや、そんなことよりガーネットを探さないと!)



「ゲホッ!ゲホッゲホッ!」
ロビンは吐血する。ラビィとの実力に相当な差があり、今のままでは到底歯が立たない。
「やっぱ限界か。所詮は人間だからこんなものだと思うべきなのかもしれないが、少し残念だ。」
ラビィはロビンの襟を掴む。
「まあ連れていくのは簡単だからいいが。」
ラビィは体を反らす。春蘭の刀がギリギリをかすめ取る。
「くそっ、避けられたか。」
「そういう単純なやつは喰らわねえよ。」
春蘭はロビンに耳打ちする。
「君はアリスとガーネットを連れて退くんだ。」
「お前はどうするんだ?」
「ヴァンパイアをここで殺す。君はもう限界だし、ガーネットは重症、アリスも魔力切れを起こす直前だ。」
「……わかった。健闘を祈る。」
ロビンはアリスたちを探しに向かう。
「1人でいいのか?お遊びの状態の俺を相手するのに手一杯だったろ?今の俺を相手にできるわけないな。」
「それはどうかな?」
春蘭の雰囲気が変わる。
「いつ僕が、本気を出した?」
ラビィは警戒する。春蘭の刀を魔力が覆う。
(また魔纏か。)
ザシュ!
「あ……?」
ラビィの脇腹を春蘭の刀が傷を与える。
「見えたかい?」
(今斬られたのか?全く反応できなかった。)
「だからなんだ?二度は喰らわんぞ。」
春蘭は再び先程の攻撃を行う。ラビィは剣で刀をいなす。
ザシュ!
「ちっ!」
しかし春蘭の刀のほうが速い。今度は左肩に傷をつける。
(なんだこの速さは?先程よりも速い。いや、速すぎる!)
ラビィは驚いている。春蘭の異常なほどの速度に。
「貴様……何をした?」
「魔纏さ。それだけだ。」
春蘭は刀をしまう。
「本当に魔纏だけか?普通ならありえないぞ。」
ラビィは剣で斬りかかるが、体が重く感じた。
「くそっ!なんだ?!」
「今僕は刀に衰弱魔法を纏わせている。さっき受けた攻撃で君は弱体化しているのさ。」
「だがよぉ、魔纏を使ってるのなら魔力も相応に消費しているはずだが?」
ラビィは春蘭の様子を見て違和感を覚える。春蘭は全く消耗した様子を見せないのだ。
「僕は長時間、魔纏に耐えられるくらいの魔力を持っている。それに…」
春蘭は刀だけではなく、足にも魔纏を使う。
「僕の魔力量なら複数部位への魔纏が可能だ。これは従来の魔道士は誰一人としてできなかった所業だ。」
「身体強化魔法……それで脚力を上げていたのか。」
ラビィは剣を構える。
「早く負けを認めるといい。そうすれば一撃で終わらせる。」
「そうやすやすと負けを認めると思うか?こっちにもプライドってやつがあるんだよ!」
2人は激しい攻防を始める。



「いた!」
ロビンはガーネットに肩を貸すアリスを見つける。
「無事だったのね。」
「ヴァンパイアは……どうなったの?」
「春蘭が相手にしてる。」
「そう……」
ガーネットは気を失う。
「マズイな、早く連れて行くぞ。」
ロビンも反対の肩を持つ。
(血の匂いがすごいな……)
ロビンはガーネットの右足を見る。
「なんでこの状態で生きてるんだ?見た感じ爆発にも巻き込まれてるだろ。」
「生命力が強いんじゃない?」
「人間って思ったより頑丈だな。」
 3人は長い時間をかけてイギリス支部に辿り着く。
「あ、だ、大丈夫ですか?!」
凜が駆け寄る。こちらに気づく直前までソワソワしていたので、かなり心配だったのだろう。
「俺とアリスは魔力切れ。ガーネットは重症だ。医者を呼んでくれ。」
「その必要はない。」
凜の後ろからルアーザが現れる。
「治療は私に任せろ。そなたたちのことはカーザスに任せよう。」
ルアーザはガーネットを抱えて治療室へと向かう。

「ふぅ、魔力は補給できた。」
「本来ならば私も戦うべきだったが、ルアーザ樣を護衛しなければならなくてな。すまない。」
カーザスは申し訳無さそうにする。
「あの人は神級だろ。なんで護衛が必要なんだ?」
「ルアーザ樣は、今は戦うことができない。」
「え?どういうことだ?」
「ルアーザ樣は昔に負った傷がまだ治っていない。それの治療で戦えないんだ。」
アリスは部屋の隅の方で話を聞いていた。
「あれは傷と言うよりも、呪いと言ったほうがいいな。」
「呪い?まず、何と戦ったんだ?」
「少し昔話をしよう。」

「あれは、20年前のことだ。」
「この街の近くでデュラハンが暴れていたんだ。ルアーザ樣は1つの中隊に加わり、討伐に赴いた。」
「デュラハン……上級の魔獣の中でもかなり強力な個体ですね。確か、首がなくて馬にまたがった騎士のような姿をしていたはずです。」
「その通りだ。よく知っているな。」
カーザスはアリスの知識に少し驚く。
「その戦闘の際、デュラハンの魔法で呪いを受けた。20年間、この呪いを解く方法は分かっていない。」
アリスはうんうんと頷く。
「呪いの効果はどんなものなの?」
「魔力を消費すると体に激痛が走る。」
「へ?治療には魔力を使うんじゃ……」
カーザスは窓の隙間のホコリをなぞりながら話す。
「治療ぐらいなら耐えられるようだ。戦闘は無理だが。」
ロビンは立ち上がる。
「ちょっとガーネットの様子を見てくる。」
「私も行く。」
「邪魔にならないようにな。」
2人は部屋を出て治療室に向かう。

ガチャ…
2人は治療室に入る。
「来たか。ちょうど目覚めそうだ。」
改めてガーネットを見ると先程の戦闘の激しさがよくわかる。凜がパソコンを開いて何かを調べている。
「そういえば、爆発の被害はどれくらいだ?」
「今見せますね。」
凜は慣れた手つきで画面を切り替える。
「うわっ……この赤いところ、全部か?」
「はい。爆発が起きた場所です。」
「ほぼ街の全体じゃない。酷い……」
被害状況をを見ると赤くないところを探すほうが難しかった。
「ここ……は?」
ガーネットが目を覚ます。
「ルアーザ……様?」
「もうすぐ終わる。動くな。」
「はい……」
ガーネットは弱々しい声で返事をする。
「ヴァンパイアは?」
「まだ討伐報告はあがっていない。」
「そう…ですか…」
「ふぅ……」
ルアーザは苦しそうに見える。首筋を汗がつたう。
「外に行きましょう。邪魔しちゃ悪いわ。」
「そうだな。凜はどうする?」
「私も着いていきます。」
3人は部屋を出て、外に向かう。

「しっかし、酷え有り様だ。建物がほとんど燃えちまってる。」
外は物が焼け焦げるような匂いが漂っている。
「巻き込まれた人がいるかも。手分けして探そう。」
2人はアリスの意見に賛同する。
「いるかー?」
「ロビンー。こっちの瓦礫持ち上げてー。」
ロビンは瓦礫を持ち上げる。奥から人が数人ほど出てくる。
「ありがとうございます。ありがとうございます。」
「あそこの建物に向かってください。治療や食事の用意をしてくれます。」
救助者はイギリス支部へと向かう。凜は救助者を護送する。
「近辺にはいなさそう。」
アリスは探知魔法を使って負傷者を探す。
「魔法って便利だな。」
「何を今更。」
アリスにツッコまれる。2人は引き続き、救助者を探す。
「意外といない?」
「避難指示が行き届いたのか。」
ロビンは後ろから殺気を感じる。後ろから飛んできた魔法を刀で弾く。瓦礫の陰からラビィが姿を見せる。
「くそっ……外したか……」
ラビィはかなり疲弊している。体中に傷跡がある。
「お前……春蘭をどうした!」
「あいつか……逃げてきただけだよ。せめて、お前の力だけでも開花させとかねえと……あの方に顔向けできねえ。」
「あの方?」
ラビィは剣を持って2人に急接近する。
「っと!」
(さっきより遅い?)
ロビンのほうに追撃が飛んでくるが、難なく躱す。
「ハア…ハア…ハア…」
(やっぱりだ。明らかに動きが遅い。)
ラビィは後ろに下がる。
「くそがっ……あいつにしてやられたな。」
ロビンは隙を逃さない。
ズバッ!
ラビィの首を刀で斬り飛ばす。
「貴……様。」
ラビィの胴体は地面に倒れる。
「倒した……の?」
「あぁ。春蘭が弱らせてくれたおかげだ。」
「報告に行こ。」
2人はイギリス支部に向かう。ロビンは足を止めて振り返る。
「待て。」
ロビンはアリスを呼び止める。
「どうしたの?」
「何か変だ。」
ラビィの指が少しだが動いている。
「まさか……死んでいないのか?」
「そ、そんなわけないよね?首を斬られて死なない生き物がいるわけ……」
ラビィの胴体は起き上がり、落ちていた首をもとの場所に繋げる。
「っあー、お前らがバカで助かったぜ。俺はヴァンパイア、吸血鬼だぞ?首を斬られただけで死ぬと思うか?」
(普通は首斬ったら死ぬんだよ。)
ロビンは心の中でツッコむ。
「まずは手始めに……」
ラビィはロビンの目の前に現れる。
「お前だ。」
ロビンは殴り飛ばされる。衝撃で地面に何度も打ち付けられる。
「ぐぐっ……おまっ……」
「やっと通常通りに戻れたぜ。」
ラビィは指を鳴らす。
「早く立てよ。時間が許す限り死合おうじゃねえか。」
ラビィは不気味な笑みを浮かべる。
「野郎……ぶっ殺す!」
「やってみろよ!」
2人は魔力を周囲に放つ。次の瞬間には空中で激しくぶつかり合っていた。
「そうだ怒れ!もっと怒れ!怒りの感情は手足を動かす最大の燃料だ!そのまま力を解放しろ!」
ラビィは声を荒げる。
「うるせえ外道吸血鬼!」
ロビンは刀を力一杯振るう。刀を振った勢いで、前方に風圧を起こす。
「おぉー、すげえ威力だ。」
ラビィは余裕はそうな表情で感心する。
(やはりこの感じ……力が目覚める寸前か。火をつけたら一発でドカン!だな。)
「ん?」
ラビィの翼に氷が刺さる。遠くからアリスが魔法で支援している。
「そうか、あいつもいるのか。」
ラビィはアリスのほうに向かおうとするが、ロビンが立ちはだかる。
「おい。相手は俺だぞ。どこに行くつもりだ?」
ロビンの目から凄まじい圧力を感じる。
「おいおい、そんな怖い目をするなよ。」
ロビンは無言で刀を振る。ラビィの右腕にかする。
「あれ?う~ん、そろそろマズイか?」
ラビィの剣とロビンの刀が交わる。
「お前、力が目覚めかけてる自覚はあるか?」
「んなこた知らねえ!今はお前を殺すだけだ!」
(怒り心頭って感じだな。これくらい怒ってたら判断力が鈍るだろうな。)
ラビィはロビンから離れる。ロビンは距離を詰める。
「逃がす気はないか。」
ザンッ!
ロビンの刀がラビィの左腕を斬り落とす。
(え?反応が遅れた?そんなはず……)
ザクッ!
気づけばロビンの刀がラビィの胸を貫いていた。
「……、マジかよ。」
ロビンは刀を抜き、ラビィの肩を狙う。
「そう何度も喰らってたまるかよ!」
ラビィも剣で反撃するが、舞うように躱される。
(まさか、な……)
ラビィは背筋に寒気を感じる。ロビンの瞳孔が、いつの間にか炎のように朱くなったいた。
「いや、まだか。けど……」
(それでもこの強さ、圧倒的な威圧感。完全に目覚めたらどうなるんだ?)
ラビィは少し後ずさりする。ロビンは躊躇なく突っ込んでくる。
(完全に冷静さを失ってるな。今がチャンスか…)
ロビンが横に刀を振るうのに合わせて、ラビィはロビンの視界から姿を消す。
「どこいった?出てこい!」
ロビンは辺りを見渡す。ロビンは冷静さを少しずつ取り戻す。
(なんだ……嫌な予感が……)
ロビンは背筋が凍る感覚がし、後ろを振り返る。
「ッ!?」
ロビンはそのとき思い出した。



運命とはときに、"無慈悲"なものということを。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

処理中です...