紡ぐ者

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【第8章 生贄と約束】

第1節 久しぶり

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「着いた。」
3人は空港に着くやいなや体を伸ばす。
「流石に半日ずっと座ってるのはキツイな。」
春蘭は雫に連絡をする。
「入口で雫が待ってる。早く向かおう。」
春蘭に着いていき空港を出る。入口では雫が待っていた。
「いやどうしたそのクマ?!」
「別に……なんてこと…ありませんよ。三日三晩、睡眠をロクにとらずに看病していただけですよ。」
雫はフラフラしながら春蘭と話す。
「この状態じゃあ運転は無理だ。僕が代わる。」
「すみません。」
(いや……こいつが運転してきたんだよな?その精神力を見習いたい。)
ロビンは雫を見る目が変わった。
「粉骨砕身とはこのことか……」



「美桜の体調は?!」
春蘭は医療班の者に聞く。
「はい。鎮静剤を打ちました。今は安定していますが、また不安定になる可能性があります。」
「わかった。ありがとう。」
医療班は別の部屋に行く。春蘭は畳に座る。
「ふぅ……美桜の様子を見てきてくれ。医療班の人に茶菓子を出す。」
ロビンは美桜のいる部屋へ向かう。
スゥ…
ロビンは襖をゆっくりと開ける。
「何してんの?」
「ストレッチ。ずっと寝たきりだったからほぐしてる。」
美桜は手足を伸ばしながら質問に答える。
「いや安静にしてろよ。鎮静剤打った意味ないじゃん。」
ロビンは机に置いてある本を手に取る。
「小説?読んでいいか?」
「いいわよ。……寒っ…。」
美桜は布団に潜る。ロビンは本を開く。
「………これ、小説じゃねえな。」
「なあ美桜。"神降ろし"ってなんだ?」
「あ、そっか。そういう血統じゃないもんね。」
美桜は体を起こす。
「神降ろしっていうのは、祭りの場に神霊を招請したり、巫女が神託を受けるために神霊を憑依させることよ。」
「巫女……お前って巫女?」
「そうだけど。言ってなかったっけ?」
「言ってないな。……多分。」
美桜は体を倒す。
「寒っ……」
「いや厚着しろよ。」
「雫が、「汗かいたときに拭きやすいから、薄着でいてください。」ってうるさいのよ。」
「風邪引くなよ。」
ロビンは部屋を出る。外は雪が降っている。
「ん?」
医療班がいる部屋が妙に騒がしかった。襖の隙間から覗いてみると、春蘭と医療班の者が何か話し合っていた。
「なるほど。特例か。」
「はい。過去の記録を調べても何一つとして一致するものが見当たりません。完全な処置は難しい可能性が高いです。」
春蘭は立ち上がる。襖を開ける。
「あ…」
「そんなところで聞かずに、入ってくればいいのに。」
ロビンは春蘭に連れられて部屋に座る。
「なあ。さっきから話し聞いてたけど、何も対処法がないのか?」
「はい。症状の周期が不安定で処置が難しいのです。」
「美桜って椿の生まれ変わりだよな?」
ロビンは春蘭に聞く。
「よく憶えてるね。」
「椿って確か、早死したはずだろ?何か関係あるんじゃ?」
春蘭は顎に手を当てる。
「調べる価値はありそうだ。しかし……」
春蘭は顔を曇らせる。
「ここには、椿に関するものはほとんど残っていない。あるのは簪ぐらいだ。」
「それに、今日はもう遅い。調べるのは明日だ。」
ロビンは春蘭に部屋の場所を教えてもらう。

「ああー、いい湯だった。」
(美桜の様子を見ていくか。)
ロビンは美桜がいる部屋に入る。
「ん?」
「あ、いや…」
ロビンは顔を隠す。美桜が着替えていた。
「閉めて。」
「……はい。」
ロビンは部屋を出る。
(やっちまったー!)
ロビンはしゃがんで顔を隠して焦る。
「入っていいわよ。」
ロビンは恐る恐る襖を開ける。
「どしたの?寒いから早くして。」
ロビンは部屋に入る。
「……やっぱ怒ってる?」
「なんのこと?」
美桜はとぼけた顔をする。
(あれ?こいつ怒ってない?)
「ちょっと様子を見にきただけだ。元気そうなら良かったぜ。」
ガッ!
「つぁー!」
ロビンは部屋を出ようとしたらスネを殴られる。
「やっぱ怒ってるよなあ?!」
「怒ってないわよ。」
美桜は蔑んだような目をロビンに向ける。
(怖っ!いやいやいやいやいや、怖い怖い怖い怖い!)
「何が怖いの?」
美桜の言葉が胸に刺さる。
「お、お邪魔しました~!」
ロビンは逃げるように部屋を出る。
「ちっ、飛びかかればよかった。」
美桜は爪を噛む。


ロビンは廊下に座り込んでいた。
「怖っ……」
ふと思い返してみると、美桜に違和感を感じた。
(なんか……変だったな。美桜だけど美桜じゃない感じだ。)
ロビンは部屋に入る。布団が綺麗にひかれていた。
(絶対雫がひいたな。)
ロビンは布団に入る。
(俺は選択は間違っていないはずだ。)


「俺の答えは………アリスは蘇生しない。」
「なぜ?」
「こういうときは、しっかり見送ってあげないとな。」
ロビンの目には迷いはなかった。
「わかった。そなたの答えを尊重しよう。」


ロビンはペンダントを開く。
「お前の分まで、しっかり生きないとな。」
ロビンは写真に写るアリスを見ながら1人呟く。
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