紡ぐ者

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【第8章 生贄と約束】

第2節 歴史を辿る

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「あぁ、寒い…」
ロビンは体を震わせながら春蘭の後ろをついて行く。
「ここは冬場はかなり冷え込むからね。体調には気をつけるように。」
「へくしっ!絶賛風邪引きそうだわ。」
ロビンは盛大にクシャミをする。2人は神社の麓の階段につく。
「うわぁ…登るのか…」
「足元に気をつけろよ。滑らせたら大変だ。」
ロビンと春蘭は慎重に階段を登る。



「うわ!すげえ!」
神社の境内は一面汚れ1つない真っ白だった。
「こういうのって、歩きたくねえな。」
「綺麗だからね。そう思うのも仕方ない。」
2人は神社の拝殿に入る。
「ここにあるのか?」
「椿に関するもののほとんどはここに保存してある。劣化してないといいが。」
2人は棚や床にある書物や紙を調べる。椿に関するものは片っ端から集める。

「これぐらいかな。」
「1つずつ読んでくのか?」
「それしか方法はない。」
ロビンはうわぁとなりながらも書物を読む。
「何々、椿様の好物は食べられる物ならなんでも……」
「なにこれ?好物は聞いてねえよ。」
ロビンは静かにツッコむ。
コン…
「この箱はなんだ?」
春蘭に聞くが、調べるなに熱心で声が届かない。ロビンは箱を開ける。
「石?」
箱の中には石が入っていた。その石は宝石のように青紫色に輝いている。
「春蘭。これなんの石だ?」
ロビンは春蘭に宝石を見せる。
「これはタンザナイトという宝石だね。その箱に入っていたのか?」
「あぁ。重かったから開けてみたらこれが入ってた。」
春蘭は箱を見る。
「どうやらそれは、椿の私物みたいだな。」
「なんでこんなの持ってんの?」
春蘭は首を横に振る。ロビンはタンザナイトを観察していると、何か彫ってあることに気づく。
「なんか彫ってあるな。」
「見せてくれ。」
春蘭はタンザナイトを手にとって観察する。
「これは……魔法の刻印だ。」
「なにそれ?」
「簡易的な魔法陣だと思えばいい。魔力が少しこもってる。何かに使ったのか?」
ロビンは他の書物を漁る。
「字が掠れて読めねえ。」
「まあ200年前のものだから仕方ない。鑑定魔法がある。」
春蘭は書物に魔法を使う。字が浮き出てきた。
「これは日記か?ロビン、内容を読んでくれ。」
「椿様の側には、常に"一対の龍"がいる。邪念を持って近づこうものなら、瞬く間にして龍になぶり倒される。」
春蘭は首をかしげる。
「一対の龍?初耳だな。次の内容は?」
ロビンは紙をめくる。
「今日、椿様が逝去なさった。しかし、いつもは椿様の側にいる龍が片方しかいなかった。昨日までは両方揃っていた。もう片方はどこに行ってしまったのだろう。」
「どういうことだ?」
「考えるのは後だ。次がある。」
ロビンは紙をめくる。2人はそこに書いてある内容に目を丸くする。
「おかしい。椿様のご遺体が見当たらない。それに椿様は逝去する前、自らの姿を隠していた。一体どのようなお考えがあったのだろう。その上、椿様の側にいた片方の龍も姿を消してしまった。」
春蘭は書物を閉じる。
「椿の遺体がない?消えたのか?でもそんなことがあり得るのか?」
「龍も消えたって書いてあったな。」
2人はしばらく考え込んだが、全く答えが見当たらない。
「矛盾というか、不可解な点が多いな。やっぱり考えるのは後か。」
「でもまだ色々残ってるぜ。」
「何か見つかるといいが……。」
2人はその後も書物などを漁り続けた。しかし、有益な情報は何も手に入らなかった。



ガラッ…
「おかえりなさいませ。」
雫が出迎える。
「ただいま。」
「ただいま…」
ロビンは疲れ切って、足が少しふらついている。
「ロビンの肩を支えてやってくれ。あの部屋まででいい。」
雫はロビンの肩を持つ。
「おかえり~。何か見つかりましたか?」
「見つかりはしたんだが、美桜の症状には関係ないことだった。」
「そのわりにはあまりおちこんでいないようですね。」
「椿に関する新たな謎がいくつかわかったんだ。今からそれを整理する。」
春蘭は座布団に座る。同タイミングにロビンと雫が部屋に着く。
「ロビン、座ってくれ。内容を整理する。」
ロビンは座布団に腰を下ろす。隣に雫が座る。
「まずこれだ。」
春蘭は凜にタンザナイトを見せる。
「こ、こんなに大きな宝石……観たことないです。」
「これは椿の私物だ。ここに印が刻まれてる。」
「少し手に持ってもいいですか?」
春蘭は凜にタンザナイトを手渡す。
「意外と重い。それに魔力が少しこもってますね。何かに使ったのでしょうか?」
凜は春蘭と同じ答えに至った。
「2つ目のわかったことは、椿には"一対の龍"がいたことだ。」
「龍、ですか。それも一対の。」
凜は目を輝かせる。
「お前ってそういうの好きなの?」
「龍は伝説上の生物。現実にいるなんてロマンじゃないですか。」
「まあそうだけど。」
ロビンは少し視線を逸らす。
「3つ目は、椿が逝去する際、誰も側にいなかった。代わりに片方の龍がいたと書かれていた。」
「"一対の龍"のはずじゃ?片方しかいないのはどう考えてもおかしいですよ。」
「そこが問題なんだ。椿が逝去する際、もう片方はどこに行っていたのかが分からないんだ。書物にも龍の行方は書いてなかった。」
4人はしばらく話し合うが、答えには辿り着けない。
「最後4つ目。椿の遺体がどこにもない。」
「え?お墓に埋まってるんじゃ?」
「書物の内容だと、椿の遺体は誰も見つけていないらしい。」
「椿は逝去する直前、自身の部屋に籠もり、合図があるまで誰も入らないように命令したんだ。」
4人の間に沈黙が走る。
「一旦飯にしようぜ。頭がパンクしそうだ。」
「賛成です。」
「すぐにご用意を致します。」
雫はキッチンへと向かう。
「ロビン。美桜の様子を見てきてくれ。」
ロビンは美桜がいる部屋に向かう。


「ん?」
美桜の部屋の襖が開いている。ロビンは部屋の中を見る。
「?!」
そこはもぬけの殻になっていた。ロビンは慌てて春蘭に電話をかける。
「美桜がいない!」
「なっ?!わかった、すぐに向かう。」
少しして春蘭がやってきた。内心、焦っているように見える。
「一体どこに?」
春蘭とロビンは部屋に手がかりがないか漁る。
「ロビン。こっちを見てくれ。」
春蘭が指さしたところを見ると何かの跡があった。
「なんの跡だ?」
「魔力痕だ。外に続いてる。」
2人は魔力痕を辿る。雪は止んでいるが、かなり冷え込んでいる。

「神社に続いてる。」
「また登るのかよ!」
ロビンは足を引きずりながら階段を登る。階段に積もった雪に足跡があった。おそらく美桜のものだろう。
「あれ?足跡がない。」
境内には足跡が見当たらない。春蘭は魔力痕を見つける。
「この先って……森じゃね?」
魔力痕は山頂のほうへと続いている。
「この先は僕も知らない場所だ。気をつけてくれ。」
2人は魔力痕を辿って、山頂のほうへ進む。
「一応道があるのか。でも長い間手入れされてないな。」
道は草木が生い茂っており、かなり暗い。魔力痕はこの先に続いている。
「なんで美桜はこんなところに来たんだ?」
「いや、美桜もこの道を知らないはずだ。」
「何かに誘導されたんじゃ……」
春蘭はロビンの言うことを横目に聞いていた。
「あれ?なんでここに階段があるんだ?」
2人は開けた場所に出る。階段は山頂に続いている。魔力痕も階段を登るように残っている。
「ん?崩れてる。」
下りのほうを見ると、崩れて穴ができていた。
「この感じ、崩れたというより壊された感じだな。」
「なんのために?」
春蘭は階段を見る。階段には人の足跡がほとんどなかった。
「誰も入らせないために、かな。」
春蘭は階段の先を見る。
「おそらく、この先は禁足地だろう。気を引き締めて行こう。」
2人に緊張が走る。

コンッコンッコンッ…
2人は階段をゆっくり登る。山頂に近づくにつれて風が強くなり、吹雪に見舞われる。
「まるで人を拒んでいるかのようだな。」
吹雪の中に山頂が見せる。
「あと少しだ。」
春蘭は最後の階段を登る。山頂付近は先程の吹雪が嘘のように晴れている。夜空に星が輝いている。
「ここは……祭壇?」
奥には大きな建物が立っていた。左右には柱が立っている。人間よりも遥かに大きい柱だ。手前には美桜が横たわっている。
「美桜!」
春蘭は美桜を抱える。美桜は返事をしない。
「ここって……神社?」
「おそらく本殿だろう。そういえば、昔から郷の人は本殿を見たことがないと言っていたな。まさかこんなとこにあるなんて。」
「じゃあこの祭壇みたいな場所はなんだ?」
「それは……分からない。」
春蘭は本殿のほうを見る。
「ロビン、本殿の中に休めそうな場所を探してきてくれ。」
ロビンは本殿に入る。
「暗い……」
本殿の中は薄暗く、足元がよく見えない。しかし、常に手入れしてあるかのように綺麗だった。ロビンは目の前においてある巻物を手にとる。
「巻物?なんでこんなとこに。」
ロビンは巻物を床に置いて、内容を読む。
「本殿には巫女以外の一切の立ち入りを禁ずる。」
「さもなくば、龍神様のお怒りを買うこととなる。」
「龍神様?」
ロビンの頭の中には真っ先に"一対の龍"が思い浮かんだ。
「あの柱って……」
ドンッッッ!
「?!」
外から雷の音がする。
「なんだ?!」
ロビンは本殿から出る。外に広がっていた光景に目を丸くする。


「意識が戻らないな。」
ロビンが休めそうな場所を探している間、春蘭は美桜の介護をしていた。
「何か体を温められるものは……」
空に雲が集まってくる。春蘭は不思議そうに見上げていた。
「っ?!」
美桜から魔力が溢れている。正確には魔力が出てこようとしていた。
(なんだ?何が起きている?)
バチッ!
「うっ!」
春蘭の手に電気が走る。美桜が何かに動かされる。
「誰だ!」
春蘭は刀を抜く。辺りに不気味な静寂が走る。
「邪魔をするな。」
ドンッッッ!
春蘭は雷を間一髪で避ける。春蘭は雷の向こうに何かの姿を見る。
(あれは……まさか!)
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