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【第15章 太陽が沈む時】
第3節 黒き太陽の誕生
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ロビンはゆっくりと立ち上がる。遺跡を覆っていた結界が消える。ロビンの髪が少しずつ漆黒に染まっていく。
「ニグレード様。おはようございます。」
ディファラスは地面に膝をついて頭を低くする。
「ふぅ……貴様は確か……ディファラス、といったか?」
「名を憶えて頂けるとは、身に余るお言葉です。」
「貴様が我……俺の復活に協力してくれたことは知っている。こいつらを阻止してくれたことに感謝しよう。褒美に願いを1つ、いや、2つほど叶えてやろう。今は気分がいい。」
ニグレードは手のひらに黒い炎を出す。
「では、お言葉に甘えて。1つ目の願いは、こちらをご覧ください。」
ディファラスはニグレードに何かを見せる。
「ふむ……。了解した。」
「そして2つ目ですが……あなたのお力を拝見させていただきたいのです。」
「ほう、俺の力を見たいと言うのか。誰にぶっ放せばいいんだ?」
「そうですね。この場と、外に魔道士にはどうでしょうか?」
「なっ…?!」
玖羽は目を丸くする。
「こやつらは貴方様の復活を邪魔しようとした者たちです。この場で皆殺しにしたほうがよろしいかと思います。」
「お前の言うことには一理あるな。その願い、俺が叶えてやろう。」
ニグレードは天に向かって黒い光を放つ。
「おお……素晴らしい。」
ディファラスは手を広げて目を輝かせる。
「美桜。」
「何?」
「逃げろ。」
玖羽は美桜の目を見ながら真剣に話す。
「俺のことは気にするな。お前だけでも助かれ。外の奴らにも伝えろ。《王》が復活して、ロビンの体を乗っ取ったと。」
「そんなこと………」
「今の俺らは後手にまわっている。早くしろ。」
「言われてもしないわよ!」
美桜は玖羽に怒鳴る。
「仲間を裏切ったらあいつ(ディファラス)と同族じゃない!そんな勇気が私にあると思う?それに!ここで逃げたら世界がどうなるかもわかったもんじゃないわよ!」
美桜は玖羽に叫びながら治療魔法をかける。
「ハァ……そうだな。俺が間違ってた。それに、さっきの光で外の奴らも気づいてるだろ。すぐに応援が来る。それまで耐えるぞ。」
玖羽は短剣を手にして立ち上がる。
「最後まで抵抗するのか。俺も見習うべき根性だな。」
ディファラスはそう言い残して姿を消す。
「………。」
「どうしたニグレードさん。俺らにビビってるのか?」
「そのようなことがあるわけないだろう。ただ、かつての人間達を思い出しただけだ。彼らも、無謀わかっていながら最後まで俺に抗った。お前たちは彼らに似ている。なぜ人間はこうも諦めが悪い?」
玖羽は腕を組んでため息をつく。
「それは少し前に言っただろ。生きてるからだし……生きたいからだよ。」
ニグレードは地面に降りてくる。
「人間は寿命が短い生物だ。ただでさえ短いというのに、戦死すれば尚更だ。お前の発言は矛盾している。」
「じゃあお前に聞くぜ。人間が1番恐れてるものってなんだと思う?」
「………。」
「まあ知らないか。死だ。」
ニグレードは黙って玖羽の話を聞く。
「人間は死を恐れている。生き物だから当然っちゃ当然だな。」
「だけど人間ってのはな、死の淵に立つととんでもない力を発揮するんだ。火事場の馬鹿力、とは少し違うが似たようなものだ。」
「……何が言いたい?」
ニグレードは静かに聞く。
「生き物全員に言えることだが、防衛本能ってやつかな。死を逃れるために力を発揮する。人間も例外じゃなねえ。だから、俺たちは最後まで抵抗するぜ。どんなに強い奴であってもな!」
玖羽は短剣をニグレードに向ける。
「やはり気に入らない。」
ニグレードは2人にむかって黒い炎を放つ。その威力は凄まじく、遺跡の壁を破壊して外に溢れる。
(こんなん喰らったら即死だろ……炎が岩を破壊するってどゆこと?)
玖羽はその威力に唖然とする。
「ふぅ……上々だな。今まで制限されていた力を思う存分扱うことができる。」
ニグレードは遺跡の天井を破壊する。
「真の絶望をその身に焼き付けろ!」
ニグレードは上空に黒い炎を放つ。黒い炎は上空で爆発すると、分裂して隕石のように地面に降り注ぐ。
「美桜、物陰に隠れろ!一発一発の威力が爆弾の比じゃねえぞ!」
「わかってる!」
美桜の頭上に巨大な岩が落ちてくる。天井の残骸だろう。
「美桜!」
「くっ…………あれ?」
岩は粉々に破壊される。美桜から少し離れた場所に天垣が降り立つ。
「大丈夫か?」
「やっっっと来たか。他に誰がいる?」
「いや、来れたのは俺だけだ。」
「え?」
「他の団員はほとんどが負傷している。戦うふりをして退くぞ。」
「ロビンはどうするの?」
天垣は額に手を当てる。
「……今の段階では分からん。だが、絶対に助ける。見殺しにはしない。」
美桜は静かに頷く。
「行くぞ。お前たちは戦いの隙を見て逃げるんだ。」
ニグレードが上空からこちらを見下ろす。
「3人か。少なすぎないか?」
「お前こそ、俺たちを舐めすぎないほうがいい。」
天垣はニグレードの威圧感に気圧されない。
「へぇ……なら、本気でやってもぶっ壊れるんじゃねぇぞ!」
ニグレードが腕を振り上げると、合わせるようにして地面から黒い炎が立ち昇る。
「おわっ?!」
「―、―!」
イザナミが天垣の耳元で囁く。
「……わかった、あの炎には気をつける。」
(あの神霊ってそこまでわかるんだ……)
「つまり青のほうが格下ってわけか。」
「なんだそれは?嫌味か?」
「出てくるな。」
美桜は青を押し戻す。
「呑気だなぁ。」
美桜の目の前にニグレードが現れる。一瞬の出来事に美桜の頭が追いつかない。
「っ?!」
「ふぅん。てめぇ、こんな奴に守られてるぐらいじゃあ俺に勝つなんて夢のまた夢だ。身の程を知れ!」
ニグレードは美桜の胸ぐらを掴むと、地面へと叩きつける。
「うぁっ……」
美桜はめまいを起こす。
「させるかっ!」
天垣は頭上から大剣を振り下ろし、光の斬撃を放つ。
「神霊に頼り切ってんじゃねえ、ぞ!」
ニグレードは刀を抜くと、頭上から勢いよく振り下ろす。刀から黒い炎の斬撃が放たれ、光の斬撃を簡単に打ち破る。
「くっ………」
天垣はイザナミの加護で事なきを得る。
「中々使え…」
刀はニグレードの手を振り払って地面に落ちる。
「へぇ……この中の奴は自立して動けるのか。封印されているみたいだが、憑依と変わらねえのか。」
「ふん…貴様に従う義理はない。」
九尾はそそくさとどこかに逃げる。ニグレードの腰から鞘も消えていた。
「鞘も含めて1つの刀なのか……まあいい。」
ニグレードは上空に向かって飛び立つ。
「もう飽きた。お前らでは弱すぎる。」
ニグレードは手のひらを上に向ける。ニグレードの頭上に黒い炎が集まり、巨大な球体を作り出す。
「まさか……魔力弾か?なんという大きさだ。」
天垣はその光景に圧倒される。しかし、すぐに我に返る。
「鶴城、俺の後ろ!」
「あいつはどうするんだ!」
「こいつは我に任せろ。」
青は美桜に覆いかぶさる。その直後に、ニグレードは魔力弾を地面に向かって叩き落とす。
「……違う……魔力弾じゃない?!」
球体は地面に着弾すると、一点に収束し始める。次の瞬間には、辺りに凄まじい衝撃波が走っていた。その衝撃波は砂漠全体に及ぶものだった。
「ふっふっふっふっ、はっはっはっはっはっはっ!」
ニグレードは上空から地上を見下ろしながら笑い声をあげていた。
「見たことか!俺に抗うからこうなるんだ。最後まで物わかりの悪い奴らだったなぁ!」
ニグレードは砂漠をあとにしてどこかに飛び去る。砂漠の遺跡は跡形もなく消えている。砂漠の地形は先程の衝撃波でいびつに変わってしまった。至るところに魔獣が蔓延っている。その光景は、まるで地獄そのものだった。
「ニグレード様。おはようございます。」
ディファラスは地面に膝をついて頭を低くする。
「ふぅ……貴様は確か……ディファラス、といったか?」
「名を憶えて頂けるとは、身に余るお言葉です。」
「貴様が我……俺の復活に協力してくれたことは知っている。こいつらを阻止してくれたことに感謝しよう。褒美に願いを1つ、いや、2つほど叶えてやろう。今は気分がいい。」
ニグレードは手のひらに黒い炎を出す。
「では、お言葉に甘えて。1つ目の願いは、こちらをご覧ください。」
ディファラスはニグレードに何かを見せる。
「ふむ……。了解した。」
「そして2つ目ですが……あなたのお力を拝見させていただきたいのです。」
「ほう、俺の力を見たいと言うのか。誰にぶっ放せばいいんだ?」
「そうですね。この場と、外に魔道士にはどうでしょうか?」
「なっ…?!」
玖羽は目を丸くする。
「こやつらは貴方様の復活を邪魔しようとした者たちです。この場で皆殺しにしたほうがよろしいかと思います。」
「お前の言うことには一理あるな。その願い、俺が叶えてやろう。」
ニグレードは天に向かって黒い光を放つ。
「おお……素晴らしい。」
ディファラスは手を広げて目を輝かせる。
「美桜。」
「何?」
「逃げろ。」
玖羽は美桜の目を見ながら真剣に話す。
「俺のことは気にするな。お前だけでも助かれ。外の奴らにも伝えろ。《王》が復活して、ロビンの体を乗っ取ったと。」
「そんなこと………」
「今の俺らは後手にまわっている。早くしろ。」
「言われてもしないわよ!」
美桜は玖羽に怒鳴る。
「仲間を裏切ったらあいつ(ディファラス)と同族じゃない!そんな勇気が私にあると思う?それに!ここで逃げたら世界がどうなるかもわかったもんじゃないわよ!」
美桜は玖羽に叫びながら治療魔法をかける。
「ハァ……そうだな。俺が間違ってた。それに、さっきの光で外の奴らも気づいてるだろ。すぐに応援が来る。それまで耐えるぞ。」
玖羽は短剣を手にして立ち上がる。
「最後まで抵抗するのか。俺も見習うべき根性だな。」
ディファラスはそう言い残して姿を消す。
「………。」
「どうしたニグレードさん。俺らにビビってるのか?」
「そのようなことがあるわけないだろう。ただ、かつての人間達を思い出しただけだ。彼らも、無謀わかっていながら最後まで俺に抗った。お前たちは彼らに似ている。なぜ人間はこうも諦めが悪い?」
玖羽は腕を組んでため息をつく。
「それは少し前に言っただろ。生きてるからだし……生きたいからだよ。」
ニグレードは地面に降りてくる。
「人間は寿命が短い生物だ。ただでさえ短いというのに、戦死すれば尚更だ。お前の発言は矛盾している。」
「じゃあお前に聞くぜ。人間が1番恐れてるものってなんだと思う?」
「………。」
「まあ知らないか。死だ。」
ニグレードは黙って玖羽の話を聞く。
「人間は死を恐れている。生き物だから当然っちゃ当然だな。」
「だけど人間ってのはな、死の淵に立つととんでもない力を発揮するんだ。火事場の馬鹿力、とは少し違うが似たようなものだ。」
「……何が言いたい?」
ニグレードは静かに聞く。
「生き物全員に言えることだが、防衛本能ってやつかな。死を逃れるために力を発揮する。人間も例外じゃなねえ。だから、俺たちは最後まで抵抗するぜ。どんなに強い奴であってもな!」
玖羽は短剣をニグレードに向ける。
「やはり気に入らない。」
ニグレードは2人にむかって黒い炎を放つ。その威力は凄まじく、遺跡の壁を破壊して外に溢れる。
(こんなん喰らったら即死だろ……炎が岩を破壊するってどゆこと?)
玖羽はその威力に唖然とする。
「ふぅ……上々だな。今まで制限されていた力を思う存分扱うことができる。」
ニグレードは遺跡の天井を破壊する。
「真の絶望をその身に焼き付けろ!」
ニグレードは上空に黒い炎を放つ。黒い炎は上空で爆発すると、分裂して隕石のように地面に降り注ぐ。
「美桜、物陰に隠れろ!一発一発の威力が爆弾の比じゃねえぞ!」
「わかってる!」
美桜の頭上に巨大な岩が落ちてくる。天井の残骸だろう。
「美桜!」
「くっ…………あれ?」
岩は粉々に破壊される。美桜から少し離れた場所に天垣が降り立つ。
「大丈夫か?」
「やっっっと来たか。他に誰がいる?」
「いや、来れたのは俺だけだ。」
「え?」
「他の団員はほとんどが負傷している。戦うふりをして退くぞ。」
「ロビンはどうするの?」
天垣は額に手を当てる。
「……今の段階では分からん。だが、絶対に助ける。見殺しにはしない。」
美桜は静かに頷く。
「行くぞ。お前たちは戦いの隙を見て逃げるんだ。」
ニグレードが上空からこちらを見下ろす。
「3人か。少なすぎないか?」
「お前こそ、俺たちを舐めすぎないほうがいい。」
天垣はニグレードの威圧感に気圧されない。
「へぇ……なら、本気でやってもぶっ壊れるんじゃねぇぞ!」
ニグレードが腕を振り上げると、合わせるようにして地面から黒い炎が立ち昇る。
「おわっ?!」
「―、―!」
イザナミが天垣の耳元で囁く。
「……わかった、あの炎には気をつける。」
(あの神霊ってそこまでわかるんだ……)
「つまり青のほうが格下ってわけか。」
「なんだそれは?嫌味か?」
「出てくるな。」
美桜は青を押し戻す。
「呑気だなぁ。」
美桜の目の前にニグレードが現れる。一瞬の出来事に美桜の頭が追いつかない。
「っ?!」
「ふぅん。てめぇ、こんな奴に守られてるぐらいじゃあ俺に勝つなんて夢のまた夢だ。身の程を知れ!」
ニグレードは美桜の胸ぐらを掴むと、地面へと叩きつける。
「うぁっ……」
美桜はめまいを起こす。
「させるかっ!」
天垣は頭上から大剣を振り下ろし、光の斬撃を放つ。
「神霊に頼り切ってんじゃねえ、ぞ!」
ニグレードは刀を抜くと、頭上から勢いよく振り下ろす。刀から黒い炎の斬撃が放たれ、光の斬撃を簡単に打ち破る。
「くっ………」
天垣はイザナミの加護で事なきを得る。
「中々使え…」
刀はニグレードの手を振り払って地面に落ちる。
「へぇ……この中の奴は自立して動けるのか。封印されているみたいだが、憑依と変わらねえのか。」
「ふん…貴様に従う義理はない。」
九尾はそそくさとどこかに逃げる。ニグレードの腰から鞘も消えていた。
「鞘も含めて1つの刀なのか……まあいい。」
ニグレードは上空に向かって飛び立つ。
「もう飽きた。お前らでは弱すぎる。」
ニグレードは手のひらを上に向ける。ニグレードの頭上に黒い炎が集まり、巨大な球体を作り出す。
「まさか……魔力弾か?なんという大きさだ。」
天垣はその光景に圧倒される。しかし、すぐに我に返る。
「鶴城、俺の後ろ!」
「あいつはどうするんだ!」
「こいつは我に任せろ。」
青は美桜に覆いかぶさる。その直後に、ニグレードは魔力弾を地面に向かって叩き落とす。
「……違う……魔力弾じゃない?!」
球体は地面に着弾すると、一点に収束し始める。次の瞬間には、辺りに凄まじい衝撃波が走っていた。その衝撃波は砂漠全体に及ぶものだった。
「ふっふっふっふっ、はっはっはっはっはっはっ!」
ニグレードは上空から地上を見下ろしながら笑い声をあげていた。
「見たことか!俺に抗うからこうなるんだ。最後まで物わかりの悪い奴らだったなぁ!」
ニグレードは砂漠をあとにしてどこかに飛び去る。砂漠の遺跡は跡形もなく消えている。砂漠の地形は先程の衝撃波でいびつに変わってしまった。至るところに魔獣が蔓延っている。その光景は、まるで地獄そのものだった。
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