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【第18章 《王》の影】
第3節 暗闇に沈む涙
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青と赤は左右から少女を追い込む。
「そっちに向かったぞ!」
「わかっている!」
青は少女に向かって雷を落とす。少女は手で雷を防ぐ。その隙に赤が口から爆炎を吐く。少女は平然としている。
「くそっ……炎は効果が薄いな。」
少女は赤に向かって魔法を放つ。しかし魔法は赤の真横を通り過ぎる。
「効かなくても視界を防ぐぐらいならできるようね。そのまま吐き続けて。」
少女は自身の周りに無数の剣を生成する。全てに黒い炎が付与されている。
「離れて!」
椿は赤の角を掴んで右に傾く。
「わかったから引っ張るな!」
赤は椿の手を角から剥がす。
「逃さ……ない……」
少女は赤の背後から手を忍ばせる。
「はっ!」
美桜は少女に向かって斬撃を放つ。手は少女を包みこんで攻撃から守る。
「やっぱり防がれるよね……」
「連続で攻撃すれば崩せないのか?」
「やってみる。」
美桜は青の背中から連続して斬撃を放つ。手の形を崩すことはできるがすぐに元通りになる。黒い炎で作られているため、完全に消すことはできないようだ。
「隙は作れるわね。」
「我がその隙に雷を落とそう。もう一度頼む。」
美桜は無数の斬撃を放つ。手は少女を守る。しかし先程のように形が崩れることはなかった。
「おい!加減したか?!」
「そんなことする余裕があると思う?!」
椿はその様子を赤の背中から観察する。
「なるほどね。あの手は崩されるたびに頑丈のなるのか。厄介極まりない………」
(崩すたび、徐々に頑丈になるのか…はたまた、崩したときの攻撃よりも頑丈になるのか…後者だったらかなり面倒くさいことになるわね。まあ前者でも面倒くさいことに変わりないけど。)
椿は赤に少女に近づくよう指示する。少女は自分に接近してくる椿と赤に気づく。無数の剣はすぐに向けられ、飛ばされる。
「しっかり受け止めてよ。」
椿は赤から飛び出すと、無数の剣を一気に斬り刻む。剣は見事にバラバラになって消えた。落下する椿を赤が受け止める。
「あんたの攻撃がだいぶわかってきたわ。今からはこっちのターンよ!」
少女は椿の威圧に少し怯む。手は少女の周りから離れようとしない。
(あの手………片方はこちらに近づいてくるが、片方はあいつを守ろうとしている。美桜が攻撃をする隙を作りつつ、ニグレードに反撃を行わせないといけない。そのためにはこの手が邪魔でしかないわね。)
「赤、あの手潰せる?」
椿は青を掴もうとしている手を指差す。
「時間稼ぎならできる。」
「じゃあお願い。あと、美桜を下に降ろして。」
椿は赤から飛び降りる。
「まったく、龍使いが荒い奴だ。」
赤は手の敵視を買いに向かう。
「ちっ、しつこいな!」
青は尻尾を使って手を振り払うが、手は執拗に青に襲いかかる。
「お前の相手は俺だ。」
赤は手を掴む。手は赤の顔に掴みかかる。赤は手に噛みついて思い切り引っ張る。
(青、美桜を下に降ろせ。俺たちはこいつの足止めをするぞ。)
赤は青にテレパシーで説明する。
「わかった。お前は椿のところに向え。我は赤とこいつの足止めをする。」
「ほんとに大丈夫?」
「我が心配か?忘れているかもしれんから言うが、我らは龍神だ。そうやすやすと負けるわけない。」
美桜は青の言葉を信じて地面に飛び降りる。
「もう………いいでしょ。邪魔………しないで。」
「悪いわね。でもあんたたちが私たちに手を出さないなら考えなくもないけど。」
「そんな言葉………信じられるわけ………ない。」
「はぁ………じゃあ、死んで。」
椿は少女の胸に薙刀を突き刺す。少女は反応することができなかった。手はすぐに椿を掴もうとするが、椿はすぐにその場から離れる。手は椿を追う。
(やっぱり、この手は思ったより単純みたいね。あとは………)
椿は分身を作り出して少女に刺した薙刀を回収する。少女はすぐに分身を破壊しようと錫杖を向ける。椿は分身を操って少女の背後に回る。手は分身のほうを見る。その隙に椿は手を魔法で破壊する。
「やめ………」
分身は少女の背中から薙刀を突き刺す。その直後、少女を中心にして黒い炎が燃え広がる。
「あとは任せたわよ。」美桜は椿の横を通り過ぎて少女に向かう。
少女から黒い炎が消えた直後、美桜は少女の胸に薙刀を突き刺す。薙刀は見事に心臓を貫く。
「あ………あぁぁ………また………」
少女はその場に膝から崩れ込む。
「また………また………まただ………」
少女の目から涙がこぼれ落ちる。涙は地面に当たる前に消える。まるで暗闇に吸い込まれているかのようだ。
「もう………こりごりだよ………」
少女の体は少しずつ崩れていき、最終的には黒い炎へと変わった。
「やっと倒した……」
「でもこれで、ニグレードから制限が消えた。これからが踏ん張りどころよ。」
椿は赤に乗って海面を目指す。美桜も青に乗って椿に続く。
「お、いたいた。」
ロビンはニグレードを見つける。ニグレードは黒い炎の種火のようになっている。
「弱ったところ叩きに来たか。」
ニグレードは炎を膨らませる。ロビンはその姿を見て鼻で笑う。
「なんだろうな。その姿を見ても、何を思わなくなっちまったぜ。」
「実に醜だろう。ここまで弱々しくなっても、がむしゃらに足掻こうとする。お前たちと同じだ。今ならお前たちの考えが理解できるような気がする。」
ニグレードは空を見る。
「今思い出したことだが、かつて、俺が封印される前にも、このような感覚に落ちたことがある。あの時の人間など、昔過ぎて憶えていない。」
「なんだ?素直に負けを認めるのか?」
ニグレードはロビンの方を見て言葉を発する。
「お前は、俺を倒したあとどうするつもりだ?」
「時間稼ぎか?」
「いや、純粋な疑問だ。」
ロビンはしばらく考え込んでから口を開く。
「俺は…………普通に生活するかな。」
「なぜだ?もっと世界に誇るべきではないのか?」
「なんだろうな………そんなことをする気にならねえんだよ。しても意味ないし、何年かしたら忘れちゃうし。歴戦に名前を残せても、内容が信じられなかったら意味ないんだよ……」
ロビンはため息をつく。
「真逆だな。」
「ん?」
「俺とは真逆だ。清々しいほどに………」
ニグレードの炎が少し弱まる。
「俺はかつて、生きることに必死だった。だがある日、身勝手な人間の手によって全てを失った。俺の住む場所も、記憶も、大事なものも。残ったのは復讐の炎だけだ。」
ニグレードの形が最初の姿に戻っていく。
「またこの姿に戻るとはな。封印が解けた時もこれだったな。」
ニグレードはロビンを睨む。
「もう1つ聞こう。お前はさっきの俺の話を聞いてもなお、俺を倒すのか?」
「倒す。絶対にな。」
ロビンもニグレードを睨む。ロビンの体から青い炎が溢れる。
「青い炎………炎の魔法の中では最上位に位置する魔法であり、俺に致命傷を与えることができる唯一の攻撃。だが今は……俺の力でもある。」
ニグレードの体が少し青みがかる。それと同時に、姿が人間のような姿に変わっていく。
「その姿は……」
「やっぱりこの姿が動きやすい。お前をベースにさせてもらった。」
ニグレードは手のひらに炎を作る。その炎は青い炎ではあるが、黒い炎に近い見た目をしている。
「お前の青い炎は、今や俺の力でもある。お前を乗っ取った時に少しばかり頂いた。俺の技術を持ってすれば、扱うのは非常に容易だ。」
ニグレードは手のひらの炎を大きくする。
「そしてこれは、先程の戦闘の中で作り上げた炎だ。青い炎の破壊力と、黒い炎の特性を合わせ持つ最強の炎だ。そうだな………"蒼黒の炎"とでも呼ぼう。」
ニグレードは炎とロビンを重ねる。
「お前は炎に対して耐性があるが、この炎の前では無意味と言っていい。この炎はお前の耐性さえも貫通する。結果など尚更だ。」
「どういうことだ?耐性は完璧じゃないのか?」
「耐性というのは、同じ属性の攻撃が複数種類重なると防ぐことができなくなる。」
「九尾、知ってるか?」
「聞いたことはある。信じてはいなかったが。」
ニグレードは炎を消す。
「お前に選ばせてやろう。灰になるか、抗うのをやめるか。さあどっちだ?」
ロビンは刀をニグレードに向ける。
「抗う………それが答えだ。」
「そうか………なら、この炎を、受けてみろ!」
ニグレードはロビンに向かって炎を放つ。
「早速使ってきたか!」
ロビンは青い炎で対抗する。2つの炎は互いに打ち消し合う。
「相殺した?あいつのほうが威力が高いはずだろ?」
「そういうことか……いいデータが手に入った。黒い炎を含んでいるせいで青い炎の影響を受けやすくなっている。だが、魔力量は俺のほうが多い。炎のぶつけ合いでは、お前に勝ち目はないだろう。」
「だったら数で勝負してやる。」
ロビンは青い炎の勢いを強くする。青い炎は分裂して玉のようになる。
「そんなもの、全てかき消す!」
ロビンは炎の玉をニグレードに向かって投げる。ニグレードは炎の玉を自身の炎で覆い尽くす。
「ちっ、分裂させたら威力が下がるな。」
ニグレードは攻撃を行わず、その場に立ち尽くしている。
(攻撃してこない……何をしているんだ?)
ロビンはその隙に青い炎で周りを囲う。
「燃えろ!」
ロビンは青い炎をニグレードに集める。集まった炎はニグレードを覆い尽くすほど巨大に燃え上がる。
「やれやれ、こんなもので俺を倒せると思うのか?そうだったら実にめでたい奴だ。」
ニグレードは青い炎を払う。
「試してみただけだ。そんなに甘く見てるわけないだろ。」
「そうか……ならこちらも、甘く見るわけにはいかないな。」
そう言って、ニグレードは炎を集めて剣の形にする。炎でできた剣をニグレードが持つと、炎が消えて中から剣が現れる。
「武器を作ることは初めてだが……中々の出来だな。」
ニグレードは剣の刃をなぞりながら喋る。
「お前の炎を再現したかのような剣だな。」
ロビンはニグレードの剣先から目を離さない。
「さてと、続きを始めるぞ。」
ニグレードは剣を払う。剣からは不穏な気配を感じた。ロビンは無意識の内に体が身構える。
「そっちに向かったぞ!」
「わかっている!」
青は少女に向かって雷を落とす。少女は手で雷を防ぐ。その隙に赤が口から爆炎を吐く。少女は平然としている。
「くそっ……炎は効果が薄いな。」
少女は赤に向かって魔法を放つ。しかし魔法は赤の真横を通り過ぎる。
「効かなくても視界を防ぐぐらいならできるようね。そのまま吐き続けて。」
少女は自身の周りに無数の剣を生成する。全てに黒い炎が付与されている。
「離れて!」
椿は赤の角を掴んで右に傾く。
「わかったから引っ張るな!」
赤は椿の手を角から剥がす。
「逃さ……ない……」
少女は赤の背後から手を忍ばせる。
「はっ!」
美桜は少女に向かって斬撃を放つ。手は少女を包みこんで攻撃から守る。
「やっぱり防がれるよね……」
「連続で攻撃すれば崩せないのか?」
「やってみる。」
美桜は青の背中から連続して斬撃を放つ。手の形を崩すことはできるがすぐに元通りになる。黒い炎で作られているため、完全に消すことはできないようだ。
「隙は作れるわね。」
「我がその隙に雷を落とそう。もう一度頼む。」
美桜は無数の斬撃を放つ。手は少女を守る。しかし先程のように形が崩れることはなかった。
「おい!加減したか?!」
「そんなことする余裕があると思う?!」
椿はその様子を赤の背中から観察する。
「なるほどね。あの手は崩されるたびに頑丈のなるのか。厄介極まりない………」
(崩すたび、徐々に頑丈になるのか…はたまた、崩したときの攻撃よりも頑丈になるのか…後者だったらかなり面倒くさいことになるわね。まあ前者でも面倒くさいことに変わりないけど。)
椿は赤に少女に近づくよう指示する。少女は自分に接近してくる椿と赤に気づく。無数の剣はすぐに向けられ、飛ばされる。
「しっかり受け止めてよ。」
椿は赤から飛び出すと、無数の剣を一気に斬り刻む。剣は見事にバラバラになって消えた。落下する椿を赤が受け止める。
「あんたの攻撃がだいぶわかってきたわ。今からはこっちのターンよ!」
少女は椿の威圧に少し怯む。手は少女の周りから離れようとしない。
(あの手………片方はこちらに近づいてくるが、片方はあいつを守ろうとしている。美桜が攻撃をする隙を作りつつ、ニグレードに反撃を行わせないといけない。そのためにはこの手が邪魔でしかないわね。)
「赤、あの手潰せる?」
椿は青を掴もうとしている手を指差す。
「時間稼ぎならできる。」
「じゃあお願い。あと、美桜を下に降ろして。」
椿は赤から飛び降りる。
「まったく、龍使いが荒い奴だ。」
赤は手の敵視を買いに向かう。
「ちっ、しつこいな!」
青は尻尾を使って手を振り払うが、手は執拗に青に襲いかかる。
「お前の相手は俺だ。」
赤は手を掴む。手は赤の顔に掴みかかる。赤は手に噛みついて思い切り引っ張る。
(青、美桜を下に降ろせ。俺たちはこいつの足止めをするぞ。)
赤は青にテレパシーで説明する。
「わかった。お前は椿のところに向え。我は赤とこいつの足止めをする。」
「ほんとに大丈夫?」
「我が心配か?忘れているかもしれんから言うが、我らは龍神だ。そうやすやすと負けるわけない。」
美桜は青の言葉を信じて地面に飛び降りる。
「もう………いいでしょ。邪魔………しないで。」
「悪いわね。でもあんたたちが私たちに手を出さないなら考えなくもないけど。」
「そんな言葉………信じられるわけ………ない。」
「はぁ………じゃあ、死んで。」
椿は少女の胸に薙刀を突き刺す。少女は反応することができなかった。手はすぐに椿を掴もうとするが、椿はすぐにその場から離れる。手は椿を追う。
(やっぱり、この手は思ったより単純みたいね。あとは………)
椿は分身を作り出して少女に刺した薙刀を回収する。少女はすぐに分身を破壊しようと錫杖を向ける。椿は分身を操って少女の背後に回る。手は分身のほうを見る。その隙に椿は手を魔法で破壊する。
「やめ………」
分身は少女の背中から薙刀を突き刺す。その直後、少女を中心にして黒い炎が燃え広がる。
「あとは任せたわよ。」美桜は椿の横を通り過ぎて少女に向かう。
少女から黒い炎が消えた直後、美桜は少女の胸に薙刀を突き刺す。薙刀は見事に心臓を貫く。
「あ………あぁぁ………また………」
少女はその場に膝から崩れ込む。
「また………また………まただ………」
少女の目から涙がこぼれ落ちる。涙は地面に当たる前に消える。まるで暗闇に吸い込まれているかのようだ。
「もう………こりごりだよ………」
少女の体は少しずつ崩れていき、最終的には黒い炎へと変わった。
「やっと倒した……」
「でもこれで、ニグレードから制限が消えた。これからが踏ん張りどころよ。」
椿は赤に乗って海面を目指す。美桜も青に乗って椿に続く。
「お、いたいた。」
ロビンはニグレードを見つける。ニグレードは黒い炎の種火のようになっている。
「弱ったところ叩きに来たか。」
ニグレードは炎を膨らませる。ロビンはその姿を見て鼻で笑う。
「なんだろうな。その姿を見ても、何を思わなくなっちまったぜ。」
「実に醜だろう。ここまで弱々しくなっても、がむしゃらに足掻こうとする。お前たちと同じだ。今ならお前たちの考えが理解できるような気がする。」
ニグレードは空を見る。
「今思い出したことだが、かつて、俺が封印される前にも、このような感覚に落ちたことがある。あの時の人間など、昔過ぎて憶えていない。」
「なんだ?素直に負けを認めるのか?」
ニグレードはロビンの方を見て言葉を発する。
「お前は、俺を倒したあとどうするつもりだ?」
「時間稼ぎか?」
「いや、純粋な疑問だ。」
ロビンはしばらく考え込んでから口を開く。
「俺は…………普通に生活するかな。」
「なぜだ?もっと世界に誇るべきではないのか?」
「なんだろうな………そんなことをする気にならねえんだよ。しても意味ないし、何年かしたら忘れちゃうし。歴戦に名前を残せても、内容が信じられなかったら意味ないんだよ……」
ロビンはため息をつく。
「真逆だな。」
「ん?」
「俺とは真逆だ。清々しいほどに………」
ニグレードの炎が少し弱まる。
「俺はかつて、生きることに必死だった。だがある日、身勝手な人間の手によって全てを失った。俺の住む場所も、記憶も、大事なものも。残ったのは復讐の炎だけだ。」
ニグレードの形が最初の姿に戻っていく。
「またこの姿に戻るとはな。封印が解けた時もこれだったな。」
ニグレードはロビンを睨む。
「もう1つ聞こう。お前はさっきの俺の話を聞いてもなお、俺を倒すのか?」
「倒す。絶対にな。」
ロビンもニグレードを睨む。ロビンの体から青い炎が溢れる。
「青い炎………炎の魔法の中では最上位に位置する魔法であり、俺に致命傷を与えることができる唯一の攻撃。だが今は……俺の力でもある。」
ニグレードの体が少し青みがかる。それと同時に、姿が人間のような姿に変わっていく。
「その姿は……」
「やっぱりこの姿が動きやすい。お前をベースにさせてもらった。」
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「お前の青い炎は、今や俺の力でもある。お前を乗っ取った時に少しばかり頂いた。俺の技術を持ってすれば、扱うのは非常に容易だ。」
ニグレードは手のひらの炎を大きくする。
「そしてこれは、先程の戦闘の中で作り上げた炎だ。青い炎の破壊力と、黒い炎の特性を合わせ持つ最強の炎だ。そうだな………"蒼黒の炎"とでも呼ぼう。」
ニグレードは炎とロビンを重ねる。
「お前は炎に対して耐性があるが、この炎の前では無意味と言っていい。この炎はお前の耐性さえも貫通する。結果など尚更だ。」
「どういうことだ?耐性は完璧じゃないのか?」
「耐性というのは、同じ属性の攻撃が複数種類重なると防ぐことができなくなる。」
「九尾、知ってるか?」
「聞いたことはある。信じてはいなかったが。」
ニグレードは炎を消す。
「お前に選ばせてやろう。灰になるか、抗うのをやめるか。さあどっちだ?」
ロビンは刀をニグレードに向ける。
「抗う………それが答えだ。」
「そうか………なら、この炎を、受けてみろ!」
ニグレードはロビンに向かって炎を放つ。
「早速使ってきたか!」
ロビンは青い炎で対抗する。2つの炎は互いに打ち消し合う。
「相殺した?あいつのほうが威力が高いはずだろ?」
「そういうことか……いいデータが手に入った。黒い炎を含んでいるせいで青い炎の影響を受けやすくなっている。だが、魔力量は俺のほうが多い。炎のぶつけ合いでは、お前に勝ち目はないだろう。」
「だったら数で勝負してやる。」
ロビンは青い炎の勢いを強くする。青い炎は分裂して玉のようになる。
「そんなもの、全てかき消す!」
ロビンは炎の玉をニグレードに向かって投げる。ニグレードは炎の玉を自身の炎で覆い尽くす。
「ちっ、分裂させたら威力が下がるな。」
ニグレードは攻撃を行わず、その場に立ち尽くしている。
(攻撃してこない……何をしているんだ?)
ロビンはその隙に青い炎で周りを囲う。
「燃えろ!」
ロビンは青い炎をニグレードに集める。集まった炎はニグレードを覆い尽くすほど巨大に燃え上がる。
「やれやれ、こんなもので俺を倒せると思うのか?そうだったら実にめでたい奴だ。」
ニグレードは青い炎を払う。
「試してみただけだ。そんなに甘く見てるわけないだろ。」
「そうか……ならこちらも、甘く見るわけにはいかないな。」
そう言って、ニグレードは炎を集めて剣の形にする。炎でできた剣をニグレードが持つと、炎が消えて中から剣が現れる。
「武器を作ることは初めてだが……中々の出来だな。」
ニグレードは剣の刃をなぞりながら喋る。
「お前の炎を再現したかのような剣だな。」
ロビンはニグレードの剣先から目を離さない。
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