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【第19章 蒼黒の炎】
第3節 可能な限り
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「よし、これくらいだな。」
ロビンは大剣に炎を込め終わる。大剣に集めた炎は煌々と青い光を放ちながら燃えている。
「じゃあ隙を作ってくるぜ。」
「少し休憩したらどうだ?炎が弱まっているぞ。」
ロビンは天垣に言われて纏っている炎が小さくなっていることに気づく。
「これくらいならなんともない。それに、休んでいる暇なんてないぜ。だって……」
遠くで椿とニグレードが交戦しているのが見える。
「早く向かったほうがいいだろ?」
「お前の言う通りだ。だが無理はするなよ。お前からは疲労の色が見える。」
ロビンは天垣の言葉に頷いてその場から離れる。
(こいつ……先程とは動きが違う。)
ニグレードと椿は激しい攻防を繰り返している。両者とも確実に攻撃を防ぎつつ、的確に攻撃を行っている。僅かな隙を見せれば勝敗が決する状態だ。椿は無言で淡々と薙刀を振る。その太刀筋は、ニグレードが本能から警戒するものだ。
「なぜこれほどの力を隠していた?もっと早く使えば俺をすぐにでも倒せていたかもしれないというのに。」
「疲れるからよ。魔力の消費はいつもの5倍。スタミナも物凄い勢いで消耗する。万全の状態でも保って1時間よ。そんなものを最初から使って倒せなかったときが一番最悪なのよっ!」
椿はニグレードの剣を弾く。剣は手から落ちる。椿はそのまま薙刀をニグレードに突き刺す。
「これは………どう?!」
椿は薙刀を右に薙ぎ払う。薙刀はニグレードの胴体を大きく切り裂く。しかし体はすぐにもとに戻る。
「俺の体は炎でできている。効くわけないだろ!」
ニグレードは椿に向かって拳を突き出す。椿は薙刀の柄で防ぐが、距離が開いてしまう。ニグレードはその距離を一瞬で詰めて鎌を横に振る。
「そんな初歩的な攻撃に引っかかると思った?」
椿は軽やかに宙を跳んで、ニグレードの背後に降り立つ。ニグレードは鎌をすぐに背後に向かって振る。椿は薙刀で鎌を止める。
「反応速度も大幅に上昇しているな。今のお前の速さは俺を超えているだろう。」
椿は鎌を振り払う。薙刀がニグレードの胸を斬り裂く。ニグレードは反応できず、もろに受ける。
(速度が上がった?しかしなぜ?)
ニグレードは椿の攻撃を防ぐ。防いだ直後、ニグレードの武器を連続で衝撃が襲う。
(いつ攻撃した?一度かしか受けていないはずだ。)
ニグレードが気づいた頃には、椿が自身の足元で武器を構えていた。
「っ?!」
椿の薙刀はニグレードが想像するよりも圧倒的に速い速度で振り上げられる。薙刀はニグレードの首筋を斬り裂く。
(こいつの目………殺戮者がよくする目に似ている。闘争心が最大まで刺激されている状態だ。)
ニグレードは椿の攻撃を防ごうとするが、反応したときにはすでに何度か攻撃を受けている。
「そこか!」
ニグレードは椿の攻撃を武器で受け止める。
「お前の攻撃は俺には効かないぞ。お前もわかっているはずだ。」
「あんたは気づいてないわけ?あんたに傷をつけるつもりなんかないわ。自分の魔力を見てみなさい。」
ニグレードは魔力の残量が激減していることに気づく。
「そういうことか。なら、極力防いだほうが良さそうだな。そうだ、1つ聞かせてもらおう。
お前……更に強くなっていないか?」
「この力は魔力を継続的に消費する。その代わり、一定量消費するたびに使用者の潜在能力を飛躍的に上昇させる。魔力がある限り、何回でも強くなれる。どうやら、あんたが強くなるには時間がかかるみたいね。私とは違って、ねっ!」
椿はニグレードの武器を払い除けて薙刀を振り下ろす。ニグレードは一歩下がって躱すが、背後から椿に斬り裂かれる。
(速い……速すぎる。)
ニグレードは椿を探すが、速すぎて目で捉えることができない。探している間にも、椿の攻撃で魔力を削られる。ニグレードは目を閉じて武器を槍に変える。
(私の魔力を捉える気ね。なら、見つけられないほどの速度で接近する!)
椿は地面に手をついて姿勢を低くすると、足に魔力を込めて地面を思い切り蹴る。椿は恐ろしい速度でニグレードの胸に薙刀を突き刺す。
「見つけたぞ。」
ニグレードは目を見開いて椿を見下ろす。
(こいつ………自分の体で受け止めた?!あの速度を……。これが意味することは………)
「ちっ………強化が終わったか。」
「その通りだ。先程までとは違う。今の俺は、お前と同等の存在だ。」
椿はニグレードを押しのける。
(一回の強化幅が馬鹿みたいに大きいわね。)
椿は薙刀から連続で斬撃を放つ。ニグレードは1つずつ確実に防ぐ。
「助けに来たぞおぉぉぉ!」
ニグレードの上空からロビンが刀を振り下ろす。刀からは青い炎の斬撃が放たれる。
「来たか。」
ニグレードは蒼黒の炎で相殺する。ロビンは椿の横に着地する。
「来てくれたところ悪いけど、あんたは下がってて。説明する暇はない!」
椿はニグレードに向かって走る。槍と薙刀が激しくぶつかり合う音が四方八方から聞こえてくる。
「速っ?!てか見えねぇ!」
椿はニグレードに向かって斬撃を絶え間なく放つ。ニグレードは斬撃を躱しつつ接近する。接近したニグレードは、椿に向かって槍を突き出す。椿は槍を弾いて、その隙に斬撃を連続で叩き込む。
「同じものが通用すると思うな!」
ニグレードは槍を2本の剣に変えて斬撃を全て斬り捨てる。今度は逆に、ニグレードが斬撃を放つ。椿は斬撃を接近しながら冷静に躱す。ニグレードは斬撃をやめると、椿に向かって急接近する。
「どんだけ近くで戦いたい、のっ!」
椿はニグレードの攻撃を薙刀で弾く。
「お前を遠くに行かしたら何をしでかすか分からんからな。」
ニグレードは2本の剣を翻して、椿の手から薙刀をはたき落とす。ニグレードは剣を椿の首に振る。
「これで勝てると思った?」
椿は背後からニグレードの背中を斬り伏せる。
(また強化されたか……)
ニグレードは剣を椿に向かって薙ぎ払う。椿は軽やかに躱してニグレードの脇腹を斬り裂く。
(また魔力を持っていかれたか。)
椿はニグレードに斬りかかろうとしたとき、生臭い匂いがするのに気づく。
(あ……やばい。)
椿は袖で口元を拭う。袖には血が付着していた。
(鼻血………魔力を消費しすぎた証拠だ。)
この時、椿の魔力残量はすでに半分を切っていた。
(速く隙を作らないとまずい………)
椿は少し焦りを感じる。
「冷静になれ。」
椿は赤の言葉で自分に落ち着けと言い聞かせる。
「赤、まだ力を使える?」
「あと3回ぐらいなら。」
「じゃあ3回分の力を全部注ぎ込んで。」
「はぁ……どうなっても知らないぞ。」
赤は薙刀に力を込める。薙刀の刃は、赤く輝いている。
(この一撃で確実にあいつの体勢を崩す。攻撃を全て躱して的確に叩き込む………)
誰かが後ろから走ってくる。ロビンが椿の前に飛び出す。
「俺がいたほうが隙を作りやすいだろ!」
「あいつの言う通り、お前1人では困難だ。」
「まあこの状況だしね。手段は選ばないほうがいいか。」
椿はロビンの後ろについて進む。
「2人に増えたか。だが、結果はなにも変わらない!」
ニグレードは剣を振り下ろす。剣から放たれた炎が2人に迫る。ロビンは青い炎で炎を相殺する。2つの炎がぶつかったことで、強烈な爆風が巻き起こる。
「…………。」
ニグレードは爆風の中を目をこらえてよく見張る。爆風を突き破って、椿がニグレードの胸に薙刀を振り下ろす。薙刀にこもった赤の力がニグレードに炸裂する。
「があぁぁぁっ?!」
「今だ!」
ロビンは上空にいる天垣に向かって叫ぶ。ニグレードは天垣の存在に今気づく。
(しまった、完全に気を取られた。)
天垣はニグレードに大剣を向けて勢いよく落下する。天垣の大剣がニグレードを貫く。それと同時に大剣に込められた青い炎と、天垣のありったけの魔力がニグレードを包む。凄まじい暴風が2人を中心に辺りに広がる。ロビンは飛ばされないよう岩陰に身を隠す。
(これは効いたはず。)
椿は体勢を維持しながら状況を見極める。
「ぐっ………うおぉぉぉ!」
天垣は衝撃に押されないよう懸命に耐えている。
(まだだ……まだ終わらない……)
ニグレードは足掻かんとばかりに大剣を引き抜こうとする。
「さ…せ…るかぁぁぁ!」
天垣は持てる力の全てで大剣を押し返す。辺りを更に激しい衝撃が襲う。
(まだ……こんなものじゃない。)
ニグレードは天垣を睨む。天垣はその目から恐ろしいほどの殺意を感じる。
「貴様らの骨の髄まで……燃え……尽きろ。」
ロビンは大剣に炎を込め終わる。大剣に集めた炎は煌々と青い光を放ちながら燃えている。
「じゃあ隙を作ってくるぜ。」
「少し休憩したらどうだ?炎が弱まっているぞ。」
ロビンは天垣に言われて纏っている炎が小さくなっていることに気づく。
「これくらいならなんともない。それに、休んでいる暇なんてないぜ。だって……」
遠くで椿とニグレードが交戦しているのが見える。
「早く向かったほうがいいだろ?」
「お前の言う通りだ。だが無理はするなよ。お前からは疲労の色が見える。」
ロビンは天垣の言葉に頷いてその場から離れる。
(こいつ……先程とは動きが違う。)
ニグレードと椿は激しい攻防を繰り返している。両者とも確実に攻撃を防ぎつつ、的確に攻撃を行っている。僅かな隙を見せれば勝敗が決する状態だ。椿は無言で淡々と薙刀を振る。その太刀筋は、ニグレードが本能から警戒するものだ。
「なぜこれほどの力を隠していた?もっと早く使えば俺をすぐにでも倒せていたかもしれないというのに。」
「疲れるからよ。魔力の消費はいつもの5倍。スタミナも物凄い勢いで消耗する。万全の状態でも保って1時間よ。そんなものを最初から使って倒せなかったときが一番最悪なのよっ!」
椿はニグレードの剣を弾く。剣は手から落ちる。椿はそのまま薙刀をニグレードに突き刺す。
「これは………どう?!」
椿は薙刀を右に薙ぎ払う。薙刀はニグレードの胴体を大きく切り裂く。しかし体はすぐにもとに戻る。
「俺の体は炎でできている。効くわけないだろ!」
ニグレードは椿に向かって拳を突き出す。椿は薙刀の柄で防ぐが、距離が開いてしまう。ニグレードはその距離を一瞬で詰めて鎌を横に振る。
「そんな初歩的な攻撃に引っかかると思った?」
椿は軽やかに宙を跳んで、ニグレードの背後に降り立つ。ニグレードは鎌をすぐに背後に向かって振る。椿は薙刀で鎌を止める。
「反応速度も大幅に上昇しているな。今のお前の速さは俺を超えているだろう。」
椿は鎌を振り払う。薙刀がニグレードの胸を斬り裂く。ニグレードは反応できず、もろに受ける。
(速度が上がった?しかしなぜ?)
ニグレードは椿の攻撃を防ぐ。防いだ直後、ニグレードの武器を連続で衝撃が襲う。
(いつ攻撃した?一度かしか受けていないはずだ。)
ニグレードが気づいた頃には、椿が自身の足元で武器を構えていた。
「っ?!」
椿の薙刀はニグレードが想像するよりも圧倒的に速い速度で振り上げられる。薙刀はニグレードの首筋を斬り裂く。
(こいつの目………殺戮者がよくする目に似ている。闘争心が最大まで刺激されている状態だ。)
ニグレードは椿の攻撃を防ごうとするが、反応したときにはすでに何度か攻撃を受けている。
「そこか!」
ニグレードは椿の攻撃を武器で受け止める。
「お前の攻撃は俺には効かないぞ。お前もわかっているはずだ。」
「あんたは気づいてないわけ?あんたに傷をつけるつもりなんかないわ。自分の魔力を見てみなさい。」
ニグレードは魔力の残量が激減していることに気づく。
「そういうことか。なら、極力防いだほうが良さそうだな。そうだ、1つ聞かせてもらおう。
お前……更に強くなっていないか?」
「この力は魔力を継続的に消費する。その代わり、一定量消費するたびに使用者の潜在能力を飛躍的に上昇させる。魔力がある限り、何回でも強くなれる。どうやら、あんたが強くなるには時間がかかるみたいね。私とは違って、ねっ!」
椿はニグレードの武器を払い除けて薙刀を振り下ろす。ニグレードは一歩下がって躱すが、背後から椿に斬り裂かれる。
(速い……速すぎる。)
ニグレードは椿を探すが、速すぎて目で捉えることができない。探している間にも、椿の攻撃で魔力を削られる。ニグレードは目を閉じて武器を槍に変える。
(私の魔力を捉える気ね。なら、見つけられないほどの速度で接近する!)
椿は地面に手をついて姿勢を低くすると、足に魔力を込めて地面を思い切り蹴る。椿は恐ろしい速度でニグレードの胸に薙刀を突き刺す。
「見つけたぞ。」
ニグレードは目を見開いて椿を見下ろす。
(こいつ………自分の体で受け止めた?!あの速度を……。これが意味することは………)
「ちっ………強化が終わったか。」
「その通りだ。先程までとは違う。今の俺は、お前と同等の存在だ。」
椿はニグレードを押しのける。
(一回の強化幅が馬鹿みたいに大きいわね。)
椿は薙刀から連続で斬撃を放つ。ニグレードは1つずつ確実に防ぐ。
「助けに来たぞおぉぉぉ!」
ニグレードの上空からロビンが刀を振り下ろす。刀からは青い炎の斬撃が放たれる。
「来たか。」
ニグレードは蒼黒の炎で相殺する。ロビンは椿の横に着地する。
「来てくれたところ悪いけど、あんたは下がってて。説明する暇はない!」
椿はニグレードに向かって走る。槍と薙刀が激しくぶつかり合う音が四方八方から聞こえてくる。
「速っ?!てか見えねぇ!」
椿はニグレードに向かって斬撃を絶え間なく放つ。ニグレードは斬撃を躱しつつ接近する。接近したニグレードは、椿に向かって槍を突き出す。椿は槍を弾いて、その隙に斬撃を連続で叩き込む。
「同じものが通用すると思うな!」
ニグレードは槍を2本の剣に変えて斬撃を全て斬り捨てる。今度は逆に、ニグレードが斬撃を放つ。椿は斬撃を接近しながら冷静に躱す。ニグレードは斬撃をやめると、椿に向かって急接近する。
「どんだけ近くで戦いたい、のっ!」
椿はニグレードの攻撃を薙刀で弾く。
「お前を遠くに行かしたら何をしでかすか分からんからな。」
ニグレードは2本の剣を翻して、椿の手から薙刀をはたき落とす。ニグレードは剣を椿の首に振る。
「これで勝てると思った?」
椿は背後からニグレードの背中を斬り伏せる。
(また強化されたか……)
ニグレードは剣を椿に向かって薙ぎ払う。椿は軽やかに躱してニグレードの脇腹を斬り裂く。
(また魔力を持っていかれたか。)
椿はニグレードに斬りかかろうとしたとき、生臭い匂いがするのに気づく。
(あ……やばい。)
椿は袖で口元を拭う。袖には血が付着していた。
(鼻血………魔力を消費しすぎた証拠だ。)
この時、椿の魔力残量はすでに半分を切っていた。
(速く隙を作らないとまずい………)
椿は少し焦りを感じる。
「冷静になれ。」
椿は赤の言葉で自分に落ち着けと言い聞かせる。
「赤、まだ力を使える?」
「あと3回ぐらいなら。」
「じゃあ3回分の力を全部注ぎ込んで。」
「はぁ……どうなっても知らないぞ。」
赤は薙刀に力を込める。薙刀の刃は、赤く輝いている。
(この一撃で確実にあいつの体勢を崩す。攻撃を全て躱して的確に叩き込む………)
誰かが後ろから走ってくる。ロビンが椿の前に飛び出す。
「俺がいたほうが隙を作りやすいだろ!」
「あいつの言う通り、お前1人では困難だ。」
「まあこの状況だしね。手段は選ばないほうがいいか。」
椿はロビンの後ろについて進む。
「2人に増えたか。だが、結果はなにも変わらない!」
ニグレードは剣を振り下ろす。剣から放たれた炎が2人に迫る。ロビンは青い炎で炎を相殺する。2つの炎がぶつかったことで、強烈な爆風が巻き起こる。
「…………。」
ニグレードは爆風の中を目をこらえてよく見張る。爆風を突き破って、椿がニグレードの胸に薙刀を振り下ろす。薙刀にこもった赤の力がニグレードに炸裂する。
「があぁぁぁっ?!」
「今だ!」
ロビンは上空にいる天垣に向かって叫ぶ。ニグレードは天垣の存在に今気づく。
(しまった、完全に気を取られた。)
天垣はニグレードに大剣を向けて勢いよく落下する。天垣の大剣がニグレードを貫く。それと同時に大剣に込められた青い炎と、天垣のありったけの魔力がニグレードを包む。凄まじい暴風が2人を中心に辺りに広がる。ロビンは飛ばされないよう岩陰に身を隠す。
(これは効いたはず。)
椿は体勢を維持しながら状況を見極める。
「ぐっ………うおぉぉぉ!」
天垣は衝撃に押されないよう懸命に耐えている。
(まだだ……まだ終わらない……)
ニグレードは足掻かんとばかりに大剣を引き抜こうとする。
「さ…せ…るかぁぁぁ!」
天垣は持てる力の全てで大剣を押し返す。辺りを更に激しい衝撃が襲う。
(まだ……こんなものじゃない。)
ニグレードは天垣を睨む。天垣はその目から恐ろしいほどの殺意を感じる。
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