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「やっぱり香り付きが多いね。フローラルブーケとかローズじゃなくていいんだけどな」
「無香料だとこれとかこれは?」
売り場であれこれ見ていたら、女性店員が寄ってきた。祐樹の外見のせいか店員は親切だった。
孝弘は口を出さずに見守ることにする。日常会話はそれなりにできるはずだ。店員は祐樹の少したどたどしい中国語をちゃんと聞いて、カウンターにいくつかお勧めを出してくれた。
北京のデパートで商品を見せてと言って、投げるように渡されたのはほんの数年前だ。店によって対応はかなり違うが、以前よりは接客という概念が浸透して来たと思う。
「これ、どういう意味? 何とか入りって言ってるみたいなんだけど」
聞き取った言葉に自信がなかったようで、祐樹が困惑した顔で孝弘に助けを求めた。
「ん? ああ、漢方成分で茯苓《ブクリョウ》入りで保湿効果が高いんだって。寝る前に塗って寝たら手がすべすべになります、美白効果もあります、だって」
早口の女性店員の言葉を訳すと、祐樹はふーんとうなずいた。
「孝弘は何使ってるの? あんまり匂いとかしたことないと思うけど」
「無香料のやつだから。ふつーのベビーオイル」
棚に並んでいる海外資本のどこでも見かけるベビーオイルを指差した。
「ああ、そう言えば置いてるね」
洗面所の棚に置いてあるのを思い出したようだ。
祐樹の部屋で過ごすことが多いから、孝弘の部屋の洗面所にはあまり来ない。
「風呂上りに塗ってるけど、オイルだからちょっとべたつくかも。持ち歩いて普段から使うならハンドクリームがいいんじゃないか?」
孝弘もバッグの中に入れている。まだ11月の初めだからマシだが、これからますます乾燥して冷え込んでくる。だから今後は必需品になるはずだ。
「そうだね。そうしようかな」
祐樹は店員お勧めの真珠パウダー入り保湿クリームとベビーオイルを選んだ。ついでにリップも追加する。部屋は加湿してあるからそうでもないが、ここに来るまでの空気で唇がパリパリした気がした。
女性店員は手早く会計をして「無くなったらまた来てくださいね」と商品を渡した。
「けっこう親切だったね」
「祐樹がカッコいいからだろ。でも俺のだけどな」
孝弘がそう言ったら、祐樹はちょっと頬を赤くして孝弘を睨んだ。
「そういうことをさらっと言わない」
自分はけっこう孝弘を煽るようなことを言うくせにと思ったけれど、照れる祐樹がかわいかったので孝弘は黙っておいた。
「次は?」
「新しいポット欲しいな」
「電熱タイプ?」
「そう。コンセントのとこ、コードがちょっと破れてて」
「テレビ台に置いてるやつ?」
「うん。部屋に置いてあったやつだから、古いんだと思う」
家電や調理道具は前任者が置いていった物がけっこうある。買い足しながら使っているがダメになるものも多い。
「危ないからもう使わないほうがいいな」
突然ショートしたりするからだ。乾燥した地域なので火事は怖い。
「そう思って。コーヒーとかお茶淹れる分のお湯が沸けばいいから、小さいのでいいんだけど」
耐熱ガラス素材の電熱ポットはすぐに見つかった。日本で見るコーヒーメーカーのコーヒーがたまる部分に、直接電熱器のコードがついているようなポットだ。早く沸くので重宝する。
買い物はすぐに済んだけれど、二人で調理器具や家電コーナーを見て回るのは案外楽しい。
最近は新しい商品がどんどん入ってきて、これまで見たことのない物がたくさん増えている。ショッピングセンターに来ると人々の生活が豊かになっているのを実感する。
海外ファッション雑誌の中国語版や海外のCDやVCDなども以前とは比較にならないくらい増えた。衣類もかつての布を選んで買い、それを仕立ててもらうと言う買い方はかなり減って、既製品が豊富になった。
もちろん生地や縫製もよくなって、すぐにほつれるとか洗濯の水が染料で真っ赤や真っ青に染まるということも少なくなった。
ちょっとお知らせです!
『名刺代わりの短編集1』という電子書籍を出しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B09N2JWVCR
その名の通り、自己紹介代わりの短編とお勧めの小説を紹介した小冊子です。
12月11日のオンラインイベント参加に合わせて出したので、12月10日17時~12日16時59分の2日間、無料キャンペーンをします。
読み放題設定していますので、興味のある方はご覧ください!(^^)!
kindle Unlimitedに入ってない方は、無料キャンペーン期間にダウンロードしてくださいませm(__)m
本当は最初から無料配布予定で作ったのですが、kindleの小説は最低価格が99円で、0円にはできなかったの(T_T)
マンガは無料で出せるのに……。
12月11日には新作『逢瀬を重ねて』を出す予定です。
こちらはあと一息なので、頑張ります!
よろしくお願いしますm(__)m
2021.12.6
ゆまは なお
「無香料だとこれとかこれは?」
売り場であれこれ見ていたら、女性店員が寄ってきた。祐樹の外見のせいか店員は親切だった。
孝弘は口を出さずに見守ることにする。日常会話はそれなりにできるはずだ。店員は祐樹の少したどたどしい中国語をちゃんと聞いて、カウンターにいくつかお勧めを出してくれた。
北京のデパートで商品を見せてと言って、投げるように渡されたのはほんの数年前だ。店によって対応はかなり違うが、以前よりは接客という概念が浸透して来たと思う。
「これ、どういう意味? 何とか入りって言ってるみたいなんだけど」
聞き取った言葉に自信がなかったようで、祐樹が困惑した顔で孝弘に助けを求めた。
「ん? ああ、漢方成分で茯苓《ブクリョウ》入りで保湿効果が高いんだって。寝る前に塗って寝たら手がすべすべになります、美白効果もあります、だって」
早口の女性店員の言葉を訳すと、祐樹はふーんとうなずいた。
「孝弘は何使ってるの? あんまり匂いとかしたことないと思うけど」
「無香料のやつだから。ふつーのベビーオイル」
棚に並んでいる海外資本のどこでも見かけるベビーオイルを指差した。
「ああ、そう言えば置いてるね」
洗面所の棚に置いてあるのを思い出したようだ。
祐樹の部屋で過ごすことが多いから、孝弘の部屋の洗面所にはあまり来ない。
「風呂上りに塗ってるけど、オイルだからちょっとべたつくかも。持ち歩いて普段から使うならハンドクリームがいいんじゃないか?」
孝弘もバッグの中に入れている。まだ11月の初めだからマシだが、これからますます乾燥して冷え込んでくる。だから今後は必需品になるはずだ。
「そうだね。そうしようかな」
祐樹は店員お勧めの真珠パウダー入り保湿クリームとベビーオイルを選んだ。ついでにリップも追加する。部屋は加湿してあるからそうでもないが、ここに来るまでの空気で唇がパリパリした気がした。
女性店員は手早く会計をして「無くなったらまた来てくださいね」と商品を渡した。
「けっこう親切だったね」
「祐樹がカッコいいからだろ。でも俺のだけどな」
孝弘がそう言ったら、祐樹はちょっと頬を赤くして孝弘を睨んだ。
「そういうことをさらっと言わない」
自分はけっこう孝弘を煽るようなことを言うくせにと思ったけれど、照れる祐樹がかわいかったので孝弘は黙っておいた。
「次は?」
「新しいポット欲しいな」
「電熱タイプ?」
「そう。コンセントのとこ、コードがちょっと破れてて」
「テレビ台に置いてるやつ?」
「うん。部屋に置いてあったやつだから、古いんだと思う」
家電や調理道具は前任者が置いていった物がけっこうある。買い足しながら使っているがダメになるものも多い。
「危ないからもう使わないほうがいいな」
突然ショートしたりするからだ。乾燥した地域なので火事は怖い。
「そう思って。コーヒーとかお茶淹れる分のお湯が沸けばいいから、小さいのでいいんだけど」
耐熱ガラス素材の電熱ポットはすぐに見つかった。日本で見るコーヒーメーカーのコーヒーがたまる部分に、直接電熱器のコードがついているようなポットだ。早く沸くので重宝する。
買い物はすぐに済んだけれど、二人で調理器具や家電コーナーを見て回るのは案外楽しい。
最近は新しい商品がどんどん入ってきて、これまで見たことのない物がたくさん増えている。ショッピングセンターに来ると人々の生活が豊かになっているのを実感する。
海外ファッション雑誌の中国語版や海外のCDやVCDなども以前とは比較にならないくらい増えた。衣類もかつての布を選んで買い、それを仕立ててもらうと言う買い方はかなり減って、既製品が豊富になった。
もちろん生地や縫製もよくなって、すぐにほつれるとか洗濯の水が染料で真っ赤や真っ青に染まるということも少なくなった。
ちょっとお知らせです!
『名刺代わりの短編集1』という電子書籍を出しました。
https://www.amazon.co.jp/dp/B09N2JWVCR
その名の通り、自己紹介代わりの短編とお勧めの小説を紹介した小冊子です。
12月11日のオンラインイベント参加に合わせて出したので、12月10日17時~12日16時59分の2日間、無料キャンペーンをします。
読み放題設定していますので、興味のある方はご覧ください!(^^)!
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本当は最初から無料配布予定で作ったのですが、kindleの小説は最低価格が99円で、0円にはできなかったの(T_T)
マンガは無料で出せるのに……。
12月11日には新作『逢瀬を重ねて』を出す予定です。
こちらはあと一息なので、頑張ります!
よろしくお願いしますm(__)m
2021.12.6
ゆまは なお
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